
スペインから帰国して1週間後に、妹の結婚式で
フラメンコを踊ることになっていた。プロのギタ
リストとカンタオーラを雇っていたし、親戚から
の期待もあったので、いい加減な踊りは出来ない
と気合いが入っていた。だから帰国してすぐ練習
を再開した。 スペインから帰ってすぐだったせ
いか、大丈夫だろうと高を括っていた。それが、
エスコビージャの追い上げの練習をしている時、
とんでもないことを発見してしまったのだ。
テンポを上げながら音量も上げようとしたら、
足が思うように動かないのだ。テンポを上げると
音量が上がらず、音量を上げるとテンポが上が
らないのだ。信じられなかった。スペインに行
く前は、出来ていたことなのに。
考えてみると、スペインにいる時は基礎レッスン
を一切していなかったことを思い出した。毎日
何時間もレッスンをしたけど、ただ振付けを追
うだけ。何時間もレッスンをしてれば、無条件
で身体が鍛えられると勘違いしていたのだ。
スペインにいると、いるだけで楽しいし、上手
くなるような気がするけれど、それは浅はかな
考えだ。
それから焦って必死に練習したけど、数日頑張っ
たところで、すぐ上達するはずがない。
結婚式3日前のエンサージョ(リハーサル)では、
カンテの人に「ブレリアに入る追い上げは、もっ
とテンポを上げた方がいいんじゃない?それと
もこっちがテンポを上げましょうか?」と言わ
れてしまった。頑張ってテンポを上げながら音
量も上げようと頑張ったけど、自分がイメージ
するリズムにならなくて、とても恥ずかしかっ
た。穴があったら入りたい気分だった。
残りの2日間も必死で練習したので、そこそこの
レベルまでは出来るようになったけど、スペイ
ンに行く前のレベルには戻らなかった。
私は身を持って、日々の絶え間ない基礎レッス
ンの重要性を知ったのだ。
2001.04.26.
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