ライブをすることが決まってから、2週間に1度

エンサージョ(リハーサルまたはその為の準備

練習)をすることになった。期間は4ヶ月半。

回数にして9回だ。 このエンサージョの目的は、

群舞を1曲振り付けて仕上げること、クワドロで

ライブをする為メンバー全員のリズムをつくりだ

すことだ。 最初は全員で群舞の振付けを考えよう

と提案したけど、皆遠慮の固まりで振付けが先に

進まなかったので、結局私が踊らないパート以外

は全部私が振付けをした。何ごとも他人に頼って

いる内は成長しない。自分から積極的に振付けを

したことで、今まで見えなかったことが見えるよ

うになってきた。視野が広くなったのだ。これは

私にとって大きな収穫だった。 私が振付けをしよ

うとして発見したことは、自分が持っている振り

のバリエーションがとても乏しいということだった。

語学でいえば、ボキャブラリー(語彙)が少ない

のだ。英会話はできるけど、ボキャブラリーが少

ないから表現できる内容が限られ、ワンパターン

で単調な会話になってしまうのだ。そこで、あり

とあらゆるビデオを観て研究した。そして、自分が

持っている振りをベースに振付けをし、リズムや

構成でおかしい所をギタリストとカンタオールに

チェックしてもらい、何とか1曲仕上げることが

できた。

このエンサージョで一番大変だったのは、パルマ

だった。ひとりづつソロを踊り、それに合わせて

パルマを叩く。これが想像していた以上に難しく、

いつも落ち込んでしまった。最初、踊りを見なが

ら何となくパルマを叩いていたら、ギタリストに

「まるで観客がパルマを叩いているみたいだよ。

間違えてもいいから、もっと空気をよんでリズム

をつくっていかなきゃ。フラメンコは生き物なん

だから」と注意された。その次からコントラをい

れたり色々試してみたら、「コントラが重い」

「ただコントラをいれればいいってもんじゃない。

もっと全体の流れをみなきゃ。」とか注意されて

また凹んだ。それからも、そのくり返しだった。

いろいろ試し、注意され、凹む。パルマは、ライ

ブが終わった今も自分の課題として大きくのしか

かっている。

この練習で学んだことは、踊り手はしっかりした

リズムを持ってバック(ギター、カンテ、パルマ)

を引張って踊らないといけないということ。パル

メロ(パルマを叩く人)が素人の場合、リズムの

メリハリやテンションをかけるところなど、かなり

雄弁な表現で踊らないとフラメンコらしいノリにな

らない。逆に、自分がパルメロの場合、踊り手が

たんたんと踊っていると、どこで盛り上げたらいい

か分からないし、テンポを上げるところも上げづらい。

つまり、バックに頼って踊っている内は、ただ振り

を踊っているだけで、まだ自分の踊りになっていない

ということだ。

あ〜、奥深し、フラメンコ。。。

2001.01.18.

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