
ドイツから帰国して最初に感じたのは日本は本当に
便利で物にあふれた豊かな国だなぁということ。
個人の価値観も多様化してきて、社会もそれを受け
入れ、自由な人生を選択できるようになってきた。
例えば、親が自営業でも子供が望まなければ子供は
その後を継がなくてもいい自由が日本にはある。
こんなに自由なのに、豊かなのに、便利なのに、人
生が何か物足りなく感じたことはないだろうか?
私の友人や知り合いがこうもらす。「大学に行って、
一流企業に勤めて、結婚して子供もいて幸せなはず
なのに、何かが物足りないの。本当の幸せって何だ
と思う?」
私も就職して、自分の人生そのものに悩んだことが
ある。私は得意な美術をいかしてデザイナーの道を
選び、受験勉強し、大学生活をenjoyし、デザイナー
として就職した。あまりにも理想的な人生を歩んで
いるかの様に見られたし、自分もそうだと思った。
でも、心の中にはぽっかり穴が空いていて、何かが
物足りなく感じた。その当時は、こんなに充実した
生活を送っているのに何が私をこんなに不安にさせ
るのか、それが何なのか分からなかった。 それから
私はフラメンコとめぐりあった。そして人生が変った。
今思うと、フラメンコを通して本当の自分をやっと
見つけることが出来たのだ。自分の生を、魂を感じ
ることが出来るのだ。だから、もうフラメンコは止
められない。たぶんこれは私だけじゃなくて、フラ
メンコにハマった全ての練習生に共通していること
ではないかなぁ。
日本では理想の人生像があって、その理想像
からはみださないよう決められたレールの上を歩く。
自由があるのに、自由にはできない何かが日本には
存在する。それはたぶん、世間が「女(男)はこう
するべき」「妻(夫)はこうあるべき」「母(父)は
こうであるべき」という価値観を求め、また本人も
周囲の目を気にしてしまうからだと思う。新世紀を
迎えたんだし、日本もそろそろ、そんな価値観から
抜け出さないといけないと思う。
本当の幸せって、自分が自分らしく生きることじゃ
ないかなぁ。
2001.01.14.
|