
昨年8月に共同通信社(全国の新聞に記事を配信し
ている報道機関)の記者の方から取材の依頼が飛び
込んできた。 全国地方紙の芸能欄用連載記事に
「踊りたい!」というシリーズがあって、そこでは
様々なジャンルの踊り、ダンスの世界に打ち込んで
いる人達(プロ、アマ問わず)を紹介していて、そ
このフラメンコ特集で私を紹介したい、という依頼
だった。 これにはちょっとびっくりした。何故私が
選ばれたのか不安になったので、聞いてみた。そし
て答えを聞いて納得(?)した。
「いろんなフラメンコ関係のホームページを見まし
たが、その中で一番情熱を感じたからです。」
このホームページを立ち上げた目的はいくつかある。
多くの人にフラメンコのことを、そして踊ることの
楽しさを知ってもらいたかったから。自分が悩んで
相談できる相手がいなかった時、こういうホーム
ページがあればいいなぁと思ったから。生徒の為の
生徒レベルの情報を発信したかったから。
それが、こんな形で自分が世間に紹介されるなんて
想像もしなかった。 雑誌でこのHPが紹介されたこ
とはあったけど、どれもメールでのやりとりという
簡単なものだった。けどこの取材は4時間くらいか
けて、レッスン風景を撮影したり、私のフラメンコ
人生を聞かれたり、神戸のNaomi先生にインタビュー
したり、かなりしっかりしたものだった。記者の方
が最後に「Mariさんのフラメンコ人生を600字にま
とめられるかなぁ。。。」と自信なさそうに帰られ
たのが印象的だった。 記事は以下の通り。
「踊りたい!」(8)
人生を変える情熱 フラメンコダンサー
すべては、強烈な肩こりから始まった。 六年前、
大手電機メーカーでデザイナーとして働いていた
松本真理子さん(現・大阪市在住)は「ずっと机に
向かっているせいかな。運動しなきゃ」と思っていた。
だから「フラメンコ無料体験レッスン」のちらし
に目が留まった。
現在、日本のフラメンコダンス人口は推計で約五
万人。そのほとんどが女性で「単なる趣味では済
まず、人生を変えてしまうほど熱中する人が多い」
(フラメンコ専門誌の元編集者)ことが特徴だという。
mariさんもそうだった。フラメンコには決まった
型がない。曲の種類に合わせて自分自身の喜怒哀楽
を表現する。その自由さにひかれ、一気にのめり込
んだ。結婚して退職してからもデザインの仕事を続
けているが、収入の多くはレッスン代や衣装代に消える。
夫の転勤で移り住んだドイツも、日本と並ぶフラメ
ンコ先進国。評判の教室に毎週、往復六時間かけて
通い、スペインに何度も足を運んだ。「フラメンコ
を見ていてゾクゾク血が騒ぐことがあるんです。
本場で“デュエンデ(魔力)”と言うその感覚を
知ると、もうやめられない」
だが、アンダルシアのジプシーが「血で踊る」と
言われるフラメンコ。どんなに努力しても限界が
ある。そんな悩みがモデルノ(現代)フラメンコに
触れて、消えた。ホアキン・コルテスら新世代の
ダンサーたちが、伝統の世界に次々と新しい表現を
持ち込んでいる。「ならば“日本人のフラメンコ”
もつくれるはず。それが私の目標なんだ」
“プロ”を意識し始めたのは昨年帰国してからだ。
プロという地位も、そこに至る過程も、日本では確
たるものではない。ただ「デュエンデを感じさせら
れる踊り手になりたい」という純粋な情熱だけを
支えに、mariさんは今日もレッスンを続けている。
写真紹介文:
ステージに立つmariさん。おっとりした普段の顔が
一変し、145センチの体から情熱がほとばしる
=東京・新宿「エルフラメンコ」
紹介された新聞は、徳島新聞、神奈川新聞、岩手日報、静岡新聞、山陰中央新報、河北新報、高知新聞、東奥日報、新潟日報など。
2001.01.07.
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