Q2.「街道歩き」の楽しさ、面白さはどのようなところにありますか
A2.いきなり核心をついた質問ですね。私の経験を主にお答えしましょう。
●古い街道筋には歴史が感じられる
旧東海道、旧中山道など主な街道には歴史保存地区として地域全体の環境を保存している場所があります。それはそれで非常に価値があり、歴史を感じられるものですが、残念ながらそれほど数は多くありません。旧街道筋も時代の流れには勝てず、だんだんと古い家並みも建替えられ昔の面影も失われつつあります。しかし、そういう中で古い建物や遺構、遺跡を見つけたとき、また、周りの自然が昔と変わらない姿で望めるときなど歴史の息吹を感じ、ここまで歩いてきてよかったなあと思います。
●「歩く」ということで、車では見過ごしてしまうものをじっくりと見ることができる
歴史保存地区を巡ってとにかく歴史を感じたいという場合には、車でさっと回るという方法も効率的だと思います。ぜんぜん行かないよりはずっとよいでしょう。しかし、先に述べたように「歩く」ということで見えてくる物事がたくさんあります。いくら早足で歩いたとしても、車と歩くスピードはまったく違います。時間をかけるということはそれだけ自分の目で見たり、感じたり、考えたりする時間が多いということです。車では見えなかったものが見えてきます。特に交通の不便な地方を歩くときに感じるのですが、何も歴史的なものだけに限らす、現在の町や村の様子、人々の暮らしぶりなどあらゆることに興味は尽きません。
●長い日数、苦労して歩くことにより、終わったあと達成感を味わうことができる
長い「歩き旅」のうちには、なんとも味気ない部分も出てくることはたしかです。たとえば、旧道が新しい国道に取って代わられて、車の多い無味乾燥な道をひたすら歩かなければならない、などということもあります。私も街道歩きを始めた頃は、何でこんな道を歩かなくちゃいけないんだ、と思ったこともあります。これを補って余りあるのは、全部歩きとおした後の達成感です。たとえ細切れに歩いたとしても、最後に全部つながったと思ったときの爽快感です。これが途中で少しでも抜けたりすると、何か瑕疵(きず)が残っているようで後々まで気にかかるものです。まあ、この辺は趣味の問題ですが、この「達成感」を第1に上げる人も多いようです。