★境木地蔵 / 品濃の一里塚

さらに道なりに進むとバスの通る道に突き当たる。ここを右に曲がるとしばらくで境木地蔵尊がある。地名の通りここは武蔵と相模の境だったところである。この隣に若林家という大きな屋敷があり、昔はここで牡丹餅を売っていたという。道は地蔵尊の前で左に曲がる。道は下り坂になり、再び上ったところに大きな一里塚が残っている。品濃の一里塚といい、昔のままの形で残されている。道の両側に残っているのだが右側(写真)のほうがよく形が分かり、左側のほうは塚の状況がよく分からなくなっている。一里塚を過ぎるとほぼ道なりに細い道を進む。しばらくすると東戸塚の新しい町の中を貫く広い通りがあり、これをを歩道橋で渡ると、やがて柏尾川に出る。川沿いにしばらく行くと国道1号線にぶつかる。

★上方見付跡 / お軽、勘平戸塚山中道行きの場碑


これから国道を少し行ったところに上方見付跡がある。保土ヶ谷寄りには江戸方見付があり、この両方の見付の内側が宿場内になる。その説明板と広重の戸塚宿を描いた浮世絵の複製が配置されている。道はこれからゆるい上り坂になる。大坂台、大坂上と過ぎ、国道は横浜新道に続くバイパスと合流する。今では交通の要衝となっているが、昔は山の中の淋しい道だったようで、途中に「お軽、勘平戸塚山中道行の場碑」というのがある。戸塚観光協会が建てた碑であるが、今では想像もつかないことである。しかし、道は高台を走っていてここからの見晴らしはよい。

第3日目(2月11日 土曜日)保土ヶ谷宿〜藤沢宿〜茅ヶ崎



★保土ヶ谷宿本陣跡 / 権太坂

旧道は東海道線の踏切を越え、国道1号線とぶつかる。この国道を渡ったところに保土ヶ谷宿本陣跡があり、説明板がたっている。現在残っているのは門だけである。しばらく国道を歩くとやがて旧道は右にゆるいカーブで曲がってゆく。あとは地図をしっかり見て権太坂への上り道を間違えないようにしよう。権太坂は結構急で長い坂道である。周りには高層マンションや学校が建ち並び、静かな住宅地となっている。箱根駅伝でよく出てくる権太坂は国道1号線の坂で、こちらが本家本元の「権太坂」である。



★益田家のモチの木 / 吉田大橋

国道1号線を歩くが、山崎パン工場、ポーラ化粧品などの工場、ダイエーなどが道の右側に並び、東海道ゆかりのものは左側に残っている。したがってここは道の左側を歩くほうがよい。
国道沿いに益田家のモチの木というのがある。大きなモチの木が2本寄り添うように立っており、昔からよく目立ったのだろう。説明板もある。神奈川県の天然記念物に指定されている。戸塚1里塚跡の標識を過ぎるとまもなく柏尾川を渡るが、ここにかかっているのが吉田大橋である。広重の戸塚宿に描かれている橋である。橋の途中には広重の絵が何枚か掲げられている。


★戸塚宿本陣跡 / 冨塚八幡宮

東海道線の踏切を越えてしばらく行くと戸塚宿本陣跡がある。「澤辺本陣跡」となっている。ここには「明治天皇戸塚行在所跡」碑も建っている。その先に戸塚の地名の由来ともなった富塚八幡宮がある。国道から長い急な階段を上ったうえに本殿がある。説明板によれば源頼朝、義家が八幡大神を勧請したのが始まりと伝えられており、かなり由緒のある神社である。



★国道脇の道祖神 / 旧東海道松並木記念碑

排気ガスを胸いっぱい吸い込んだ国道の歩きが続いたが、国道の脇に写真のように花の生けられた道祖神があり、ほっとした。街道沿いにはこのような道祖神がよく見られるが、このように花が生けられているというのは少ない。影取、鉄砲宿という古くからの伝説のある町を過ぎ、ようやく国道1号の喧騒から別れ、旧道は藤沢宿に入る。
旧東海道松並木の記念碑というのがあって、昔はこのあたりは松並木が続いていたことが分かる。解説板によると昭和60年ころの松くい虫の被害にあってほとんど枯れてしまったそうである。


★遊行寺本殿 / 遊行寺黒門

道は遊行寺坂というゆるい坂を下る。下ったところに大きな時宗の総本山「遊行寺」がある。正しくは清浄光寺といい、鎌倉時代の建立である。藤沢はこのお寺の門前町として栄えた。境内は大変広く、一遍上人の像や樹齢650年という大銀杏の木もある。石畳の坂を下ってゆくと大きな黒門が建っている。


★藤沢宿本陣跡 / 旧道沿いの古い建物(紙屋)

遊行寺を過ぎると藤沢宿の中心に入ってゆく。藤沢宿は鎌倉、江ノ島道、また大山への分岐点として古くから大いに栄えた宿だったが今では残っているものはほとんどない。道脇に「蒔田本陣跡」の標識があり、わずかにこのあたりが宿の中心であったことが分かる。また、付近には古い家(紙屋)などもあってわずかに昔の雰囲気が感じられる。


★おしゃれ地蔵 / 茅ヶ崎の松並木

国道の脇にまた道祖神があった。解説板があり、「昔から女性の願い事は何でも聞いてくださり、願い事が成就すると顔におしろいを塗ってあげる。それで人よんでおしゃれ地蔵という。」とある。確かに顔には白くおしろいが塗ってあった。
さて、道はまた国道1号と合流し、茅ヶ崎市松林1丁目となる。その名のとおり国道に沿って松林が続いている。交通量の多い国道沿いにこれだけの長さの松林が残っているのは立派なものだ。冬の日は短い。そろそろ日が翳ってきたようだ。JR茅ヶ崎駅が近い。今日は茅ヶ崎までにしよう。


歩行距離  約25km   歩数 40,300歩

★保土ヶ谷旧道沿い商店街 / 金沢横町道標四基

先週に引き続き今日はJR保土ヶ谷駅から歩き始める。旧道に戻り、昔ながらの道幅の商店街を進む。しばらく歩くと道標が4基並んで立っているのがみえる。「金沢横町道標四基」という説明板がある。この地は金沢、浦賀往還の出入り口にあたり、円海山、杉田、富岡などへの枝道があるためここに道標四基が建てられた、とある。この中には「保土ヶ谷の枝道曲がれ梅の花」という俳句を刻んだ大変ユニークな道標もある。梅で有名だった杉田への道標だという。