セイスモサウルス
ゾイド史上最長のゾイド、として、ゾイド20周年の記念すべき年の大型アイテムしてリリースされるセイスモサウルスであるが、初公開された実物を前にしての印象を述べさせていただきます。
セイスモサウルスを見て最初に受けた印象は、随分と小さいゾイドに感じられたことである。事前に最長のゾイドであることの情報は流れていたため、ウルトラザウルスの印象を持って、セイスモサウルスの首や尻尾の太さ、胴体部分のボリューム、を考えていたのであるが、いずれもウルトラザウルスよりも細く二まわりほど小さなボリュームであった。それを象徴しているのがゴムキャップで、ウルトラザウルスではBキャップを用いているが、セイスモサウルスではRキャップクラスの新シリーズになってからの新しいデザインのゴムキャップが用いられている。
前述の通り、セイスモサウルスは、ウルトラサウルスと比較しても、最長のゾイドであるモノのボリューム感に足りない印象を受けてしまっている。もし、セイスモサウルスが、1/200〜1/400程度でも違和感無いのでははなかろうか、と感じさせられたのである。これは、各所に配された連装砲塔から来るスケール感が与えている印象であろう。すると、考えうるのは、アニメに登場したウルトラザウルス同様、おもちゃとアニメの中では、設定上の大きさが異なるような商品展開が、事前に考えられた上でデザインがされたのではないか、と言う推定である。おもちゃとしてのセイスモサウルスは、1/72のパイロットを乗せるコクピットを設けることで1/72スケールとして発売され、それに対応した設定上の大きさがスペックとして紹介されている。しかし、新しいアニメにセイスモサウルスが登場した場合、全長は何百メートルかの巨大な母艦で、内部に中隊規模のゾイド部隊を収容できる程の設定となっているのではないかと思われる。つまり、セイスモサウルスは、将来的なメディアミックスを考えて、設定的に柔軟性を持たせることが可能なデザインがされているのではないかと思われる。
セイスモサウルスの新たな試みは、やはり大きく振り回される尻尾である。紐の捲き取りを利用して、尻尾の先端は、完全に真正面を向く角度にまで振り返らせることが出来るようになっている。これだけの動きを再現するとなると、紐の長さは、しっかりと指定の長さに固定する必要があるため、ギミックの組立にどこまでユーザーがかかわるのか、どこまでが組立済ユニットになっているのか、気になるところである。組立済ユニットが避けられていれば、それだけユーザーは、どのような構造があの動きを生むのかを知ることが出来、往年のゾイド並の、知育玩具に耐えうる商品になるのではないかと思われる。
四肢は、新世紀ゾイドではずっと用いられている2枚の足部品をスライドさせることで擬似的に関節を表現させるタイプではなく、しっかりと足関節を表現しようとしている。最も近いのはレッドホーンの足であろう。また、爪部分は別パーツかされているようで、爪先から降りて爪先が最後に離れる、を表現するような構造になっている。また、装甲パーツと内部構造部を分けるような配置がされ、内部構造では、膝関節部分にアイアンコングを思い起こさせるようなデザインがされることで、ゴムキャップとプラスチックパーツの親和性を意識したデザインされていることが見て取れる。
こうして、セイスモサウルスを見てくると、セイスモサウルスは、ギミックや個々のパーツのデザインなど、部分部分に個別に見た場合には、旧シリーズの初期から中期にかけてのゾイドの特徴を有するような要素が取り入れられ、それらを、他の新シリーズ新製品同様、かっこよさを優先したデザインの中に押し込めている、と言うことが出来る。(2003/6)