ラインナップ展開

 

 おもちゃショーなのだから、これからの新製品が披露されるのは当たり前。

 おもちゃショーは、この月のはじめ、帝国側のジェノザウラー、レブラプターと、旧シリーズにない新シリーズの新型ゾイドが登場し、月末には共和国側のブレードライガー、ストームソーダーの発売をひかえているというタイミングでの開催であった。ゾイド的には、ファンを飽きさせない、よいタイミングでの開催でると言える(裏を返せば、トミーが、おもちゃショーを見計らって、新製品のリリーススケジュールを立てたのであろうが)。

 発売直後のジェノザウラーをはじめ、これから発売されるブレードライガーストームソーダー、そして、4月末の発売となるガンスナイパーがゾイドコーナーの、それこそ角でありながらスクリーンの前のメインとなる位置に並べられていた。 

 

 新製品という事で、力が入っているのは当たり前、持ち込まれた体数もかなりモノ、単純展示用から、電池の入ったデモンストレーション用、こちらはゾイド担当者を招いての具体的なラインナップ紹介の時のデモンストレーション用も兼ねられていた。

 設定的にシールドライガーの後継機となるブレードライガーは、シールドライガーと同じメインフレームと足のギミックを用いながら、シールドライガーの特徴を際だたせている青い成形色の部品を全面的に作り替えることでブレードライガーを表現しており、おもちゃ的にもシールドライガーの後継機であることが意識されている。ブレードライガーを特徴づけているパーツは、それぞれがシールドライガーのそれよりも一回りほど大きなモノとなっており、シールドライガーの角張った直線的なメカメカしさを消して、一回り大きくなったという印象を与えている。結果的にこの方法は、金型の作り起こしを減らすことにつながり、時間と手間の節約になっているはずである。方法としては旧シリーズでも繰り返された方法であり目新しいモノではないが、現在のメインのファン層にも、両者を作り比べて気づいてもらい、ゾイドの特徴の一つである。

 旧シリーズを知るファンにとって飛行ゾイドと言えばサラマンダー。新シリーズにおいてはラインナップに加わっていないサラマンダーを上回る汎用性を持つ飛行ゾイドとして登場する全くの新製品がストームソーダーである。金属色むき出しを連想させるシルバーの主体の成形色は、共和国らしさから来た選択であろうか。確かに「むき出し」という意味では同じであろうが、本来の共和国側の特徴である「むき出し」は、素材ではなく構造なので、ちょっと意味が違うと思わせられたのは否定できない。しかし、それを打ち消してあまりあるのが、その翼の動きである。

 ゾイドシリーズは、飛行ゾイドであれば、極力翼の羽ばたきは表現されている、それこそ生体を再現しているおもちゃである。しかし、考えてみればその羽ばたきは、板翼が単に羽ばたくだけか、翼の開閉というモノであった。板翼の羽ばたきはおもちゃとしての限界と考えられるため致し方ないとしよう。だが考え直してみれば、飛行しながらの翼の開閉とは、ゾイド的には当たり前であったが、生体的にはあり得ない事である。それが、このストームソーダーで、羽ばたきのギミックが一新され、より生体の動を再現するようになり、いかにも空気をつかむように揚力を得ようとする羽ばたきが再現されるようなったのである。

 ここに、飛行状態への変形という遊びの要素を加えることで、この翼の羽ばたきがよりいっそう際だつような作りになっている。

 

 ブレードライガーとストームソーダーは、この2週間後に発売となる。。ガンスナイパーにしてもおよそ1ヶ月半後には発売である。ホビーフェアから噂されるシンカーや、ディバイソンをはじめとする、5月・6月以降の本体ラインナップの紹介が無かったのは、少々残念であった。また、旧シリーズを知るファンにとっては、この先何が再販されるのか、本体持ち込みとともに紹介がなかったのは残念でならない。しかし、今後ゾイドを息の長いトイシリーズにして行くには、単に新製品を連発するだけでは、メーカーだけにシリーズの寿命が握られてしまうことになりかねない。ゾイドには改造という遊び方があり、もともとのゾイドが遊びの素材であった事を考えると、それほど多くないラインナップだけでも、遊び方をいくらでも広げることが出来ると言うことをユーザーに理解してもらう必要があり、ユーザーとメーカーの両方で、ゾイドを息の長いトイシリーズにしていく必要があるであろう。ユーザーにもそれを理解してもらった上で更にラインナップを充実させていくという事が、特にゾイドには必要なことであろう。その意味では、あまりにたくさんの新製品を紹介しきらなかったことは、かえってユーザーの意識を分散させないことになっていると言え、一つのゾイドでじっくり遊ぶという意識を植え付けることに成功していると思われる。 

 

戻るback