ナンバリングと組立手順

 

 ゾイドのメインターゲットを小学生とするのであれば、彼らが組み立てることができなければならない。単純に、組立やすくするには、部品点数を減らし、部品一つ一つを大きくして、その分割の仕方もできるだけ形の異なるものにすれば、説明書の説明文を読まなくても、図だけでどの部品か探すことができ、組立は簡単になる。しかし、見て部品がわかるからと言っても何も目印を付けないのは不親切きわまりない。結果的に、各部品にはナンバーが割り当てられ、説明書には図とともに部品ナンバーが明示されるようになる。しかし、これで部品が見つけ安くなったからと言って、組み立てやすくなるわけでもない。組立安さには手順という問題も含まれてくる。ゾイドには、この部品へのナンバリングと組立手順にある関係があるので、それを見ていくことにする。

 

 とりあえず、ビガザウロの取扱説明書を用意してみた。これを選んだのは、初のB/Oゾイドであるため、例外を含んでいないので、これから言いたいことが100%実証されるからである。

 ビガザウロではパワーユニットをメインフレームで取り囲むというところからはじまる。No.1部品とNo.2部品である。ゾイドでは、半数以上のモノが最初の手順はパワーユニットとメインフレームの取り付けである。

 

そして、No.3部品で、左右の部品を結合する。

 

左前足から、No.4部品をゴムキャップで止めて、No5部品を止める。

そして、No.5部品とパワーユニットからのびるクランク軸に止まるようにしながらNo.6部品を止める。

さらにNo.4とNo.6を連結させるようにNo.7部品を止めて、接地部分であるNo.8を取り付ける。

さて、ここまでで既に一つの結論が出ているのがわかるであろうか。そうゾイドは、部品ナンバーの順に組み立てていくようにできているのである。これは、やはりメインターゲットへ配慮した、作り安さからきたナンバリング方法であると結論づけられる。

 更に組み立てていこう。

左後ろ足の組立。No.4部品は、左前足の部品と同じモノなので、特に違うナンバーは与えられていない。同時にNo.9部品をキャップで止める。

 

No.10部品をNo.9部品とパワーユニットのクランク軸に同時に取り付ける。No.9部品は、前足で言うNo.5部品と同じ役割をすることになる事がわかる。

 

そしてNo.11部品をNo.4部品とNo.10部品に連結するように止めてから、接地部分であるNo.8部品を前足と同じように止める。前後の足のギミック構造を見る限り、No.7部品とNo.11部品は同じように機能するが、前足と後ろ足の違いを出すために、太さが変えられており、結果的に前後に振り分けられているのである。また、No.4部品と同様No.8部品も全く同じモノなので特に異なる番号が与えられていない。通り過ぎた番号はわかるであろうし、同じ部品に同じナンバリングをすることは、簡単に部品を探しやすくする上では必要なことである。

 

そして、No.12部品を前後に渡すように取り付ける。この取り付け方からわかるように、このビガザウロ級のパワーユニットでは、パワーユニットの外部からは、ギミック的な連動はないことがわかる。あくまでも、前後が連動しているかのようにNo.12部品が取り付けられているだけである。

 

右側に話をすすめる。No.13部品はNo.4部品の右側のモノ、No.14部品はNo.5部品の右側のモノ。特に変わったところはないが、説明書には、わざわざ「反対側」と説明されている。

 

No.14部品とクランク軸に通しながら、No.15部品を取り付ける。

 

No.16部品を取り付け、足の先は左と同じNo.8部品を用います。

 

No.13部品は右前足と同じ、No.9部品は左後ろ足と同じ。ゾイドでは、部品を探しやすくするために、流用できるモノはできるだけ流用してしまおうと言う姿勢が見える。結果的に、部品点数は増えても、個々の部品を設計する手間を避けることができるようになる。そしてなにより、部品を探すのが楽になるのである。

 

No.17部品を取り付けNo.18部品を取り付け、やはりNo.8部品を取り付ける。

 

そして、やはりギミックが連動しているように見せかけるためのNo.19部品を取り付ける。

 

No.20部品にナンバリングのないウエイトを差し込み、No.21部品に取り付ける。このときにゴムキャップを装飾として取り付ける。

 

できあがった尻尾を更に胴体に取り付ける。

 

さてここから首の組立。

No.22部品に、N0.23部品を差し込みゴムキャップで止める。

 

更にNo.24部品を差し込みゴムキャップで止める。

 

更にNo.25部品を差し込みゴムキャップで止める。

 

No.26部品を差し込み、そのままNo.27部品を差し込んでゴムキャップで止める。

 

No.28部品を差し込みゴムキャップで止める。

 

No.29部品を差し込みゴムキャップで止める。

 

ナンバリングのないコクピット部品を組み立てる。580円シリーズを見てもらえばわかるように、ゾイドは当初コクピットを統一することで、シリーズの統一性を出していた。その踏襲のため、コクピット部品にはナンバリングがない。

 

できあがったコクピットを首の最先端に取り付ける。

 

できあがった首を胴体に取り付ける。

 

No.30部品の背部銃座を取り付ける。装備、前からNo.31、32、33、34、35ととりつけていく。もちろん、ここは共通ハードポイントなので、入れ換えは可能であるが、取扱説明書の関係上、ナンバリング展開されていると見るべきである。

 

最後にNo.36部品を装備して、ナンバリングのないパイロットとガナーを載せて部品としての組立は終わり。この後、ラベル(デカール)を貼ることになる。

 

 以上を見てきたうえで、ゾイドは組み立てやすくするための3つの条件をあげることにする。

1 組み立てる順番に部品にナンバリングされている。

とにかく、前述の通りビガザウロは、初のB/Oゾイドであるため、例外が無く気持ちいいくらいに話が進みむ。ゾイドは部品ナンバーの順番に組み上げていけば完成するようになっているのである。

2 部品の流用

流用できる部品はできるだけ流用するように考えられている。左右の共通部品。前後での共通部品。時には上下。つまり、対の関係にある部品は極力流用するように配慮されているので、部品ナンバーの数を減らすことができている。その結果、部品の探しやすさと、すでに使った部品をもう一度使うという事への安心感を生んでいると思われる。つまり、簡単に組み立てられるんだ、という印象を与えることに一役買っていると思われる。

 ちなみに上記ビガザウロでは、ナンバリングされた部品の数は47であるが、部品ナンバーの数は36である。36までの数字のうち、6種類の部品が、同じモノを複数用いているのである。たった、6種類の部品しか同じもが流用されていないじゃないかと思うかも知れないが、ゾイドは艦船プラモデルのように同じ銃座をたくさん備えているわけでもないし、軍用機プラモデルのように同じ爆弾をたくさん持っているわけでもない。その中で6種類とは少ない方ではないと思う。

3 部品へのナンバーの刻印

上記説明は、取扱説明書を用いて行ってしまったため、唐突に触れることになるが、ゾイドは各部品にはナンバーが刻印してある。これには当初から例外があり、必ずしもすべてとは断言できないが、ナンバーが刻印されていない部品の方が少ないのは事実である。

 

 このように、ゾイドでは、普通のプラモデルとは違う視点での、組立やすさへの配慮がされているといえる。これは、組立やすさと同時に、接着剤を使わないゾイドの特徴を生かす結果でもある。

 ゾイドは、接着剤を使わないため、分解組立が可能である。ゾイドを組み立てた後で分解しても、説明書を見ないで組み上げることができるのである。やり方は、各部品に刻印されているナンバーの順に部品を並べて、その順番に組立を進めればいいだけの話である。

 

 この上記特色は、ゾイド特有のモノではない。先頃発売された、トミーのポケットモンスターのスーパーアクション・カメックスやリザードンにも同じ方法がとられているのである。その意味では、トミーでは対象年齢を考えた上で部品へナンバリングするという、メーカーとしての方針を決めていると考えられる。

 

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ゾイド取扱説明書より転載