ギミックは省かれるのか? 

 

 省かれたギミックが、どういう理由で省かれるのかを考察する前に、まず、設計で予定されておきながら省かれるギミックが存在したのであろうか? という疑問もあるであろう。商品化された全てのゾイドは、設計当初から予定されていたギミックが全て盛り込まれたモノであり、その通り商品化されている、わざわざ設計しておいて省略することなど有り得ないのではないか、と考えられるかもしれない。もちろん、全てのゾイドが当初の設計通りのギミックから、商品化に至る過程でギミックの省略が行われている、とは言わないが、発売されたゾイドから、省略されたギミックの形跡というのを見つけてみたいと思う。

 

 当研究所と連動している生産工場では、いくつものゾイドにギミックを追加してきている。そのいくつかに、当初の設計段階では予定されていたモノの、何らかの理由で省かれたと思われるギミックがいくつか有るのではないか、と思わせる形跡を見つけている。その、当初予定されていたけれども省かれたであろう、と推測できる根拠は、改造中にいくつも部品の寸法を測ってギミック部品を追加した際に、その寸法があまりにきりのいい数字であったり、腕や足、武器の配置があまりに都合良い位置に有るという事の気付いた事が理由となっている。実際に、生産工場のラインの中から具体例をあげて見たいと思う。

 

 あまりにきりのいい寸法という面では、まずサーベルタイガーをあげてみる。

 サーベルタイガー、当生産工場では、グレートサーベルを使って、早々と背中の高機動ウイングの開閉を実現した。この際、ウイングに動きを伝えるための部品のあまりに数字のきりの良さに驚いた経緯がある。この部品のまずは厚さ5mmというきりのいい数字に驚かされる。つまり、パワーユニットの最上面から、グレートサーベルの背中の装甲部品までの間に5mmの隙間ができているという事である。日本はメートル法を採用しているので、人は自然とミリとセンチを使い、設計にあたっては、きりにいい数字を当てはめて行うのがやりやすいのは当然である。その意味で、この厚さが、6mmでも3mmでもなく、1cmの半分の5mmであたことは、何らかの意図があったと見ることができるかも知れない。また、背中に開いた開口部は、前後5mmの突起が口の開閉ギミックに合わせて前後しても、ぎりぎりぶつからないちょうどいい前後の長さに開いている開口部なのである。実際のサーベルタイガーにもグレートサーベルにも、口の開閉に連動し、背中の開口部から動きを取り出すギミックは装備されなかったが、そのあまりの寸法の良さに、当初は何かしらの動力を取り出す予定で開口したのではないかとたと思わざるを得ないのである。

 

 武器の位置が都合の良い配置になっていた、という面では、カノントータスがあげられる。

 当生産工場のカノントータスは、対空砲の動きからレーダーの動きを取り出している。左右の対空を動かすために、左右全通の軸を設け、この軸にクラウンギアを通して、ピニオンギアを回してレーダーを動かすことに成功している。だが、裏を返せば、こうしたギミック方法が可能となったのは、側面から見たときに、対空砲の軸のほぼ真上に、レーダーが配置されていたからこそである。このことから、更に推測されるのは、こうした配置が選ばれたのは、当初、ほぼ同じような方法で、対空砲さえ動けば、レーダーを動かす予定があったのではないかと思わせられてしまう位置関係である、と言えるのである。

 

 そもそも、こうした話しは、当生産工場がギミック改造を行っていることによって気付くことになったモノであり、これらのギミック改造が成功したからと言って、前述したようなギミックを、トミーが当初から予定していたとは断言できない。しかし、こうしたギミック改造に成功していることから、トミーが設計しておきながら、何らかの理由で省かざるを得なかったギミックがあったかも知れないことも、否定できないのではなかろうか。

 

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