スケールは大きいのにギミックは小さい-3
little gimmick-3
肘から下の加工をします。
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大きなアクチュエーターが二つ有るのが特徴です。アクチュエーターの内側は肉抜き穴が空いていますので、プラ板でふさぎ、違和感無いように成形しました。この肉抜き穴を埋めると上腕の肘の内側の扇状の部分の肉抜き穴を塞いだプラ板と干渉してしまうことがわかりました。そこで、上腕側の扇状の部分のプラ板を一部削って、干渉を回避させました。 |
本物で有れば伸縮する部分にはピン跡が5カ所もあります。細い部品を安全に金型から外すために必要であった処置だろうとは思います。ピン跡は2mm以下の大きさだったので、まず全て一度2mmのドリルで少しだけ穴を大きくして、1mm程の深さの穴にします。そして、2mmのプラ棒を差し込んで接着。その後違和感無いように成形しました。パテを使う方法もありますが、パテは成形を始めてから、少し盛りが足らなかったことに気づくことがあったりで、1カ所だけ作業し直しなんて事に成りかねません。プラ棒を接着して余分を切り落とす方が確実と思い、この方法を採りました。でもプラ棒には時々スが有りますので、一長一短かもしれません。
今回、成形で力を入れたのは、いわゆる手の部分です。
手は、ゴーレムで最も前側に来る部分です。バンパーのように横にパイプが5本も走っているような意匠になっています。最も前に来る部分であり、戦闘で振り回して相手にぶつける部分であり、作業で使う部分で有りと、頑丈に作られていることを印象づける意匠になっています。しかし、このパーツは、二つの部品を張り合わせることで形状を作るようになっているため、縦に合わせ目が走ってしまいます。合わせ目が見えてしまうと力強さが感じられ無くなってしまいます。
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今回張り合わせて、一つのパーツとし、そのうえで合わせ目を消す処理をしました。しかし、手のパーツをただ接着しただけでは、分解組立が出来なくなってしまいます。そこで、手のパーツを一つの部品としながらも分解組立が可能となる方法を考えねばなりません。
いわゆる手首とつながる部分に軸が有ります。まずこれを切り落とします。
片方にはゴムキャップにつながるための5mmの穴が空いています。軸を切り落とした部分をきれいに整え、同じように5mmの穴を開けます。こうして接着後、5mmの軸が通るようにします。 そして手の部品を接着。合わせ目には接着剤を流し込んで、硬化後にしっかりと成形します。 上面のパーティングラインが走っている部分には、プラ板を貼って成形します。 |
これをどうやって腕につなぐかです。
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プラパイプ重ねて使うことで、切り落とした軸の代わりをさせる事にしました。 5mmのプラパイプを手の部品を貫通するほどの長さに切ります。ここではプラパイプを使いましたが、これは5mmのプラ棒でも可能です。両端にゴムキャップがおさまる長さが必要です。 外径6mm内径5mmのプラパイプを用意します。腕側の手首部分の軸を受ける穴の幅ぴったりの長さにします。 |
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手を付けない状態で見ると、こんな感じ。 画像では、腕側の穴から外径6mm内径5mmのプラパイプが見えてしまっていますが、実際には両側からぴったりはみ出ない長さにします。 外径6mm内径5mmのプラパイプが腕側の穴の内側におさまり、外径5mmのプラパイプが手側の穴を支えることになります。 |
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まず腕を順番に組み立てて行きます。 手首部分。本来手のパーツの軸の通る穴に、外径6mm内径5mmのプラパイプを差し込みます。このとき、外径6mm内径5mmのプラパイプが腕側の手首の穴の幅とぴったり同じになっていることを確認します。 接着した手を手首の所定の位置に持ってきて、5mmのプラ棒を貫通させます。そのうえで、両側からゴムキャップで支えます。 |
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手を取り付けてしまえば、手首の軸に加工がされていることはわからなくなります。
こうして組立手順を変えることで、2つの部品で構成されていた手の部分を、一つの部品にしてしまってからも分解組立が出来る要素を残します。 ゾイドは、動くおもちゃですから、メンテナンスが必要になります。分解組立が出来ない事はメンテナンスが出来ない事を意味しますから、それではゾイドでは無くなってしまいます。全ての場所で出来るわけではありませんが、分解組立が可能であることと、見栄えを両立させることは、ゾイドを作る上での課題です。 |
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ここまで加工した腕を組み上げてみます。 当然、動きに干渉がないかを確認します。 画像は片腕しか有りませんが、もちろん反対側の腕も同じように加工しています。
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