高柳遺跡

(No.18/1996.11.2)仙台市泉区七北田字高柳
大木8b式 大木8b式

 高柳遺跡は仙台市内北部を流れる七北田川の河口から西へ10キロメートル程、泉区と青葉区との境に接し国道4号線を北から七北田川を越した右手にあたる。
近年の著しい開発による周辺の変貌は驚くばかりである。 川岸丘陵として自然の姿をとどめていた風景は仙台市との合併を契機に都市化が進み、遺跡のすぐ側を地下鉄が走りショッピングセンターが矢継ぎ早に姿を見せ始めた。もはや遺跡の景観は当時を忍ぶには変わりすぎたようである。
1997年5月、仙台市の「地底の森ミユージアム」での企画展で、高柳遺跡から出土した大木式を代表するみごとな土器を目にすることができた。 特徴である渦巻文が迫力に満ちて展開する様は、大木式土器が繁栄を極めるエネルギーに溢れる時代背景を彷彿させる。
1989年の調査で出土した土器は、縄文中期大木7b式をはじめとする8a、8b式を中心としたもので、700固体におよんだ。包含層が窪地に集中することから土器の捨て場であったのかもしれない。遺構としては小規模な配石遺構が検出されている。
七北田川を挟んで北側には赤生津遺跡(早期から晩期)があり、川を軸とした周辺は長期に渡り集落が営まれていたことが窺える。
■参考文献■
「仙台市史」特別編2 考古資料(平成7年)