御所野遺跡

(No.8)岩手県二戸郡一戸町
東より 配石遺構

95年5月、配石遺構で話題になった岩手県二戸郡一戸町の御所野遺跡を訪れた。 岩手、青森県境を北上山地北端から八戸湾へそそぐ馬淵川流域は縄文時代の遺跡を多く残す地帯となっている。特に中期後半から晩期にかけての特出した遺跡が多く、盛土遺構、環状列石、などの際だった文化様式を留めるものや亀ケ岡文化の優品、貴重な資料が数多く出土している。 また円筒土器と大木式土器を用いる文化の画する地域であることから、大木式土器の北進の痕跡を知りうる背景を秘めている。これら文化様式の顕著な発達は亀ケ岡文化発祥に大きな係わりを持つものとして関心が集められている。
 東北自動車道を八戸自動車道へ分岐し一戸インターで降りると起伏の激しい山並みに落ち込む盆地を馬淵川が北へ流れる。この川の東岸に張り出した丘陵地に御所野遺跡は所在する。丘上は平坦地となっており細い坂道を登りきるまで想像ができないほど広陵としている。 周囲を山並みに囲まれているせいか孤立した空間を感じさせる。東側は畑が穏かに森へと続き裾野は保存され一面草原で木立が並び、所々に見える黒色土が発掘の後を残している。遺跡は丘上一帯に広がり縄文時代から平安時代までの遺構が検出されている。特に縄文時代における中期後半大木8aから10式期の竪穴式住居400棟が確認されたことは大集落の形成を促すものである。
1989年(平成元年)から1992年までの発掘調査で、中央部とその東西3ケ所に遺構が分布し、中央部は配石遺構、盛土遺構をともなう墓域であることが確認された。
■参考文献■
日本考古学年報45