産地訪問記
1999.7.25
奈良県吉野郡下市町



 今回は、昨年より取り扱いを始めた西吉野「大和すいか」の生産者の谷車さんのスイカ畑を訪れました。子供たちも夏休みに入って体力をもてあましているので 動き回れるだろうと楽しみに出かけました。


 伏見区桃山のにんじんくらぶを午前8時前に出発しました。この季節ではすでに30度近くまで温度は上がっており、車の中はエアコンを強冷にしながら南へと向かいました。京都の南端の山田川までは京奈和自動車道路を走り、そこからはひたすら国道24号線を南下し、樫原より国道169号線をさらに南へ向かいます。伏見より、ちょうど2時間が経ったところで吉野川にぶつかり、橋を渡るとそこから「下市町」に入ります。谷車さんの畑へは、山道を登って5分もかからずに到着です。

西吉野の山の風景西吉野の山の風景

 小高い山の上からはかなり遠くの山までが一望でき、思わず「ヤッホー」と叫んでしまいました。けっこう山深いところでしたが、辺りはほとんどがスイカやその他の野菜の畑として開拓されており、さらに手入れも行き届いていました。
 近畿地方のスイカは、この吉野地方の「大和スイカ」がもっとも有名で 大阪や京都の消費地へ多くが出荷されています。

収穫後のスイカ畑スイカ畑2

 とりあえず一番近くのスイカ畑を見学させてもらう事にしました。
 車の移動でぐったりとなっていた子供たちも畑に実ったスイカを見て ようやく元気な顔になってきたようで笑い声が聞こえるようになりました。
 ほとんどのスイカの収穫は終わっていて、小さな成長しきれなかったスイカが残っているだけで、そのスイカを おもしろそうに少しちぎって遊んでいました。

スイカ生産者の谷さんスイカ生産者の車谷さん

 仕事中の谷車さんに手を止めてもらい お話を聞きました。
 今年のスイカは、春から夏の初めにかけての良い天候と高い気温により7〜10日ほど早く成長してきたようで、この地方では今がピークの一番おいしい時期だそうです。今年は 8月のお盆の時期では、ちょっと遅く おいしい物がないだろうとのことです。
 今はスイカ出荷の最盛期です。この日も 2トントラックに出荷用スイカの積み込みの最中で、やく半分の積みこみが終わったところでした。黙々と選別、函詰め、積み込みの作業が進められており、倉庫の中で扇風機がビュンビュンと回っていました。

 果物には意外に大量の農薬が使われていますが、スイカは比較的少ない農薬での栽培で育ちますが、中でも この地域の特性で夜になるとけっこう気温が低くなるので、さらに低農薬で栽培されています。谷車さんは植え付けてからのすぐの段階に1回だけの散布を行うほかは まったく農薬を使うことなく栽培できるようになったそうです。 自然に任せての栽培なのでスイカの色合いは若干悪く、黄色く見えるところがあります。しかし、中の色や,味にはまったくの問題はありません。
 低農薬栽培で色合いの良いものは進物用などでかなりの高額で販売されます。


採れたてのスイカ採れたてのスイカ

 試食用にやや大きめのスイカを切ってもらいました。甘味がとても高く、みずみずしくて、採れたてのものはやはり一味違う感じがしました。でも、あまりの数のスイカを前にすると「僕ら、なんぼでも好きなだけ食べや」という谷車さんの言葉にもかかわらず、あまり多くは食べることができませんでした。6人で半分を食べるのが精一杯でした。

 大きく育ちすぎたスイカなど規格外のものは別によけてあり、「飾り物なんかには使えるし,もって帰り。でも味はおいしいで。」と言ってくださいました。実際に家へ帰ってからその晩に冷やして食べましたが、本当に甘くて、白い部分近くまで十分においしく食べられました。


カブトムシの森にて 3兄弟カブトムシの森にて

 歩いてほんの5分のところに 今年から町営の「かぶとの森」という 小さなネットで作ったドームができていました。クワガタやカブトを放し飼いにしてあり、あちこちで飛んでいるところを見ることができました。ちょっと怖がりの子供たちは、家の虫かごの中のカブトなどは触る事ができますが、飛んでいたり、木に登っているカブトを触る事はできず、少し怖がっている様子でした。でも、車で疲れていることをすっかり忘れているようで、ドームの中を走り回っていました。そして、毎日世話をするという約束で 小さな「ミヤマクワガタ」のつがいを買うことにしました。
 帰りには、吉野川が大変きれいで涼しそうだったので、川原に下りてみました。かなり透き通った水がゆるやかに、また、川の中ほどではけっこう激しく流れており,25cmほどの魚(あゆ?)も優雅に泳いでいるのを見ることもできました。少し水辺で遊ぶことにし、おにぎりを食べ、一休みしてから帰路へと向かいました。



 下市町では、自然を活かした催しや安全な農作物、古くからある伝統的なものなど、町をあげて積極的に取り上げて産業を興しているようでした。

 また、国、県、町などが多くの予算を組み、隣り街の五條市にダムを作り、そこからパイプで水の便の悪い地域の7〜8個所の貯水用建造物への水を供給するプロジェクトが15年ほど前に決定され、今年できあがったそうです。

 各農家では、トラックも持っているし、水の供給には慣れており、多少の労力はかかってもやってはいけるとのことでしたが、谷車さんのところでも 水の供給のための大きな建造物が畑の横にでき、その水を使う事になると、使用料などが 各農家のかなりの負担になってくるとも言っておられました。

 世間の実情は、プロジェクトの始まった時と今とではかなりの違いがあり、莫大な税金を費やして、さらに厳しい農家の経営に更なる負担を掛けるような建造物への税金の使い方には疑問が残りました。

 


このページのトップへ 上ページヘ
バックへの絵
前のページへ
ホームへの絵
ホームヘ
次への絵
次のページヘ