受験算数講座(1) 更新2004年11月30日・久保田塾
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面積図
1.面積図とは 2.面積図を使える問題 3.面積図を使う理由 4.その他の活用法
一言で言うと、文章で聞かれている内容を長方形の面積に置き換えた図のことです。
ただし何でも適当に置き換える訳ではありません。
一定のルールがあります。
それは、たてには一あたりの量
横には個数、人数、回数などの数量を置くというルールです。例えば次のような具合です。
(例1)一冊80円のノートを12冊買ったらいくらになりますか。
【たての長さ】 一あたりの量ですから、一冊の値段です。
【横の長さ】 個数ですから、買った冊数です。
すると面積は何になるでしょうか。
たて×横=面積ですから、
80×12=960
面積が合計の金額(代金)にあたります。
答は960円。つまり、面積図の面積は、合計や、総量を表します。
すると、次のような問題には未知数の□を使って作図が出来ます。
(例2)一冊80円のノートを何冊か買ったら代金が960円でした。
ノートを何冊買いましたか。
【たての長さ】 一あたりの量ですから、一冊の値段です。
【横の長さ】 個数ですが、この場合、これを聞かれているので、□とします。
そして、面積が代金でしたから、長方形の中に960と書きます。
すると、たてが80で面積が960という図になります。
横の□が960÷80で求められると分かります。
960÷80=12
答は12冊。
買い物以外にも、色々な問題に当てはめられます。
速さの問題
【たて】 速さ(例えば時速とは1時間に進む距離ですから、まさに一あたりの量です)
【横】 時間(3時間進むとは、時速を3つ買うのと同じことです)
【面積】 進んだ距離
平均の問題
【たて】 平均(例えば平均点とは一人あたりの点数ですから、まさに一あたりの量です)
【横】 人数あるいは回数など
【面積】 合計
食塩水(など)の濃度の問題
【たて】 濃度(%では、1あたりを100とみますから、100gあたりの塩の量とも考えられます)
【横】 食塩水全体の量
【面積】 塩の量
(注)塩に注目して作図するので、少し分かりにくいかもしれませんね。
仕事算の問題
【たて】 1時間あたり(1分あたり)の仕事量
【横】 掛かった時間
【面積】 出来た仕事量
これらの考え方を使い、つるかめ算、差集め算などにも応用できます。
では、なぜわざわざ面積に置き換えるのでしょうか。
それは次のような理由からです。
(1)視覚化により、より具体的にイメージがつかめる。
(2)共通の作図パターンにより、処理が一般化できる。
処理の一般的な考え方は次の2つです。
(2−1)並べる面積図(色々な事が次々と起こるような問題のとき)
(2−2)重ねる面積図(ある一つのものを色々に説明しているような問題のとき)
(3)比の利用がしやすくなる。
面積が等しくなる部分をみつけられると、たてと横の比が逆比であることを使い
面倒な計算をせずに必要な数値を見つけだすことが出来ます。
これまで説明した「面積図」というのとは少し意味が違うのですが
次のような問題でも、面積を活用すると理解しやすくなります。
(例3)5で割ると3あまる数と、5で割ると2あまる数とを掛けます。
その答えの数を5で割ったときのあまりはいくつになりますか?
これだけなら実際の数を当てはめて答えを出せますが、入試だともう少し凝った質問も出ます。
(例えば捜真女学校中学部2004年入試の[2](2)を参照してください。)
また、なぜそうなるか説明しなさいと言った質問が出ないとも限りません。
そのときは面積を活用してください。
えっ?どう使うのって?
考えてみましょう。どう使うと説明に活用できるか。
これと同じような説明はよく分配法則の説明で使われます。
分配法則って、知ってますよね。
名前は知らなくても、3.14の計算の時に
「×3.14」は最後にやれ!とよく言われませんか?
3×3.14+7×3.14=(3+7)×3.14=10×3.14
という奴です。
これを一般的に書くと次のようになります。
A×M+B×M=(A+B)×M
なぜそうなるかを説明するのに面積を活用します。
まず長方形を書きましょう。
横にAとBとを並べて書いて、縦にMを書きます。
すると縦がMで横がAの長方形と
縦がMで横がBの長方形とが横に並んだ形になりますね。
だから、さっきの式の意味がはっきり分かるでしょう。
(例3)の説明にもほとんど同じように面積が使えるんですよ。
もう分かったかな?
以上、簡単に面積図について解説しましたが、これらの基本的な考え方は案外と説明されないまま
ただ経験的に面積に置き換えている解説が結構あります。
様々な参考書、塾での解説で面積図が出てきたとき、これらの説明を思い浮かべながらその面積図を眺めてみてください。
すると、そこで得た知識が、他の分野の問題にも適用出来ることに気づくと思います。
いや、むしろそうした発見を意識的にしようと思って解説を読んでみましょう。
そして、自分なりの把握をしてみましょう。
すると、食塩水の問題と差集め算と
あるいは平均の問題や割合のつるかめ算など
様々な問題が、実は底の方ではつながっていたんだと気づくと思います。
そして、より一般的な算数の解法があると気が付きます。
そうした発見の積み重ねが、算数の学習をより楽しいものにしてくれます。
そして勿論、そうした積み重ねが実戦力を付けるのは言うまでもないことでしょう。
まさに考える力を養う学習だと思います。(久保田塾・久保田實)
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