吉久yoshihisa |
城下町である高岡の市街地の北東側、富山湾の海岸近くにある吉久は、小矢部川と庄川に挟まれた中洲のような地形の場所にある地区。水運を利用するのに適した場所であったことから、江戸時代の初めには加賀藩の年貢米を保管する倉庫(「御蔵」)が置かれることになり、近くの伏木に寄港する北前船などによって運ばれてきた物資の集散地として栄えた。 御蔵の跡がある西照寺のそばを通る、かつての街道(旧放生津往来)沿いには、江戸時代から昭和の初めに建てられた家屋が多数残る。これらの多くは、かつてこの地に集まった米穀商などの家で、「さまのこ」と呼ばれる出格子が特徴的。その繁栄は、昭和初期になって米の流通が国に管理されるようになるまで続いた。 高岡市内にはすでに、金屋町と山町の二か所の重伝建地区があるため、ここが三か所目ということになる。ただ、吉久は高岡の中心市街地から少し離れていて、高岡駅前から出ている万葉線の路面電車に乗って30分程度のところ。少し足を伸ばすことにはなるが確実にそれだけの価値はある町並みで、路面電車に乗るのも楽しいので、ぜひセットで訪れることをおすすめしたい。
→重伝建地区一覧
→町並み写真館「高岡」