マイスタートゥルンク

1631年10月31日

 三十年戦争(1618年〜1648年)の最中、ローテンブルクは新教側にたち、カトリック側のティリー将軍の軍隊に包囲される。激しい攻防の末、ティリー将軍はローテンブルクを占領し、街を破壊して四人の市参議員を処刑するように命令した。
 降伏調印の場にティリー将軍の前に運ばれてきたのは、来賓客用の3.25リットルのワイングラスに、並々と注がれたフランケンワインだった。「これも我々の血でございます」ティリー将軍は、「もしもこのジョッキのワインを一気に飲み干す者がいれば、処刑と街の破壊を許してやろう」と約束した。
 これに挑戦したのが、元市長ゲオルク・ヌッシュだった。彼はこのジョッキのワインを10分かけて飲み干し、ローテンブルクを守った。これが1631年10月31日に起こった「マイスタートゥルンク」という事件。
 このおとぎばなしみたいな事件は本当にあったようで、「マイスタートゥルンク」はマルクト広場にある市議酒宴館の仕掛け時計になっている。なんと実物のワイングラスは、「郷土博物館」に展示されている。
 「郷土博物館」にある実物のワイングラス。ペインティングが美しいが、ワイングラスというより大きなビアジョッキーみたい。博物館は写真禁止のため、絵葉書から

 市議酒宴館にある仕掛け時計。右側が大きなワイングラスを飲み干すヌッシュ市長。左側がティリー将軍。時間になると二人の人形が現れるが、動きはこれだけ。とても地味!
 

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ローテンブルク1

滞独日記「ドイツワインについて」