三浦半島の歴史 P3  

ファミリ−版 三浦半島の歴史 P3

参考文献;郷土出版社「図説・三浦半島の歴史 ーその歴史と文化」 文芸社「三浦半島通史」 三浦市「目で見る三浦市史」 司馬遼太郎「三浦半島記」 神奈川新聞社「三浦半島再発見」 郷土出版社「セピア色の三浦半島」 ほか
関連サイト;かねさはの歴史(縄文時代) ;横浜の歴史(縄文時代)

(U)縄文時代 土器や弓矢の発明により新たな時代を迎えましたが生活の基本は引き続き狩猟、採集で栽培したり家畜を 飼育することがなく、人口の増加による資源の枯渇によりやがて行き詰まりました。 三浦半島でも人類の活動を示すBC300年頃の遺跡は極端に少なくなります。

 寒冷な氷河期が過ぎ、地球は次第に温暖化していき、針葉樹林や草原から照葉樹林
(常緑広葉樹林)や広葉樹林が広がっていき、様々な木の実が豊富になり、動物は大型
哺乳動物に代わってイノシシ、シカなどが繁殖するようになりました。

 <土器の発明>
 今から1万2千年ほど前になると人々は土器を作り出し、煮炊きをしなければ食べる
ことの出来ない堅い物や、生では体に毒となる食べ物を食料とすることが出来るよ
うになり、食料を保存し四季を通しての食料の安定化を図るようになりました。
 縄文時代は使用された土器形式の変化によって次の様に六期に分けられています。
                                                  

【三浦半島の縄文時代実年代区分(BC)】
         草創期   10000〜7000年
         早 期    7000〜4500年
         前  期    4500〜3000年
         中  期    3000〜2000年
         後  期    2000〜1000年
         晩  期    1000〜  0 年

【縄文土器の変遷】

吉井貝塚で発見された縄文式土器
(横須賀市立博物館蔵)
  <縄文文化> 強力な勢いと飛距離が得られる弓矢や銛の発明により、動物の捕獲が槍から弓矢へ と変わっていきましたが、生産活動の基本は前時代から引き続き狩猟、採集にあって、 まだ自らの周囲での栽培など食料を育てるといったことはありませんでした。 この生活の仕方を縄文文化といい、三浦半島では今から約2千年前の西暦紀元前後の 弥生文化がもたらされる迄約1万年にわたり続きました。 <縄文人の暮らし> 野山ではけもの道への落とし穴を掘りイノシシ、シカなどの中小型哺乳動物を生け 捕りにする方法や弓矢で射る方法で捕獲しました。 植物も食料として重要で、野生のクリ、クルミ、ドングリ、トチ等の実が採集されてい ました。 横須賀市久里浜伝福寺裏遺跡ではムクノキで作られ独木舟がは発見され、この時代 の人と海とのかかわりを伝えています。海では魚やイルカ、クジラなどが捕獲され、 半島の人にとっては海は大切な食料庫だったと考えられています。 <貝 塚>
 縄文人の生活を知る貴重なものに貝
塚があります。
 三浦半島では夏島貝塚と平坂貝塚が
よく知られています。
 夏島周辺は太平洋戦争終了までは海
軍航空隊の基地でしたが、太平洋戦争
終了後、アメリカに接収中の1950年と
1955年に貝塚の発掘調査が行なわれ、
釣針などの動物の角や骨で作った道
具やそれまであまり例がなかった縄
文時代早期の土器が見つかり、今から
9500年ほど前の日本で最も古い貝塚
の一つであることが分かりました。
 平坂貝塚は1948年、当時小学校5年生
だった藤井泰造君が横須賀の平坂坂
上で発見したもので、土器のかけら、
石器や骨角器(動物の骨で作った釣

  針)などにまじって「平坂人骨」と呼ば
  れる人の骨が今からおよそ7千年前の
  ものと分かりました。 
夏島貝塚(横須賀市・夏島町)
<採集文化の限界>
 温暖化と人口の増加により自然の資
源の採集のみに頼っていた縄文時代も
資源の枯渇により、行き詰まります。
 三浦半島ではBC3百年頃になると、
殆ど人の生活の跡が見られなくなり、
山裾の低地から土器片を僅かに散見で
きる程度です。
 採集文化の限界は、縄文文化圏のいず
れの地域でも見られますが、特に三浦
半島ではこの現象が他のどの地域より
も早く、より鮮明に現れています。縄文
時代の終わり近づくと遺跡の減小と土
偶、石棒など神頼み用祭祀具の増加か
らこれを窺うことが出来ます。

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三浦半島の遺跡推移
略 年 表
縄文時代 草創期 BC10000 夏島貝塚 〜7000 早 期 BC7000 平坂人骨 〜4500 前 期 BC4500 〜3000 中 期 BC3000 〜2000 後 期 BC2000 〜1000 晩期 BC1000 〜0