ウイーク私の主張 2009

2009年
12月
●12月31日「ああ疲れました・・・どうしてこんなに今年は忙しかったのだろうか?」
●12月13日「貧困が要因です!マンガに啓発されて子どもの虐待を考えました」
●12月2日「バリアフリー新法の適合基準の努力を甲府市の施設に求めています」

11月
●11月9日「岩手県の教育研究集会に参加し、元気と課題をもらいました」
●11月4日護憲大会の分科会で「エーと山田厚だと思います‥」と言ってしまった。

10月
●10月21日『子ども手当』は『子どもへの直接払い』でやるべきです
●10月1日「自治体における政権交代はこれからの頑張りにかかっています」


9月
●9月25日「甲府市議会の決算委員会が終わりホッとしました」

8月

●8月22日「負担区分」どうなっているか?自治体政策に不十分では困ります〜マニフェスト比較検討そのD
●8月21日所得税の配偶者控除と扶養控除廃止はより生活苦を招きます〜マニフェスト比較検討そのC
●8月20日よりましな政党でも「民主党の一人勝ち」は不安です〜マニフェスト比較検討そのB
●8月19日自民党はここに来てより危険な政党になっています〜マニフェスト比較検討そのA
●8月4日「私もこれから各政党のマニフェストを比較検討していきます」比較検討その@

7月

●7月27日「医療と福祉を考える社民党講演会」が成功しました。
●7月22日「政権交代」選挙ですが民主党一人勝ちは不安!社民党の前進を!
●7月14日母の介護から、改めて公的介護の大切さがわかりました
●7月7日甲府市職員の着服による懲戒免職問題から考えました
6月
●6月30日生活保護母子加算の制度復活を実現させるべきです

●6月24日激増している様々な生活苦の相談を受けとめられる体制を
●6月18日これはいけません!国保保険料の重さC甲府市の責任
●6月5日点検しました。甲府市立保育所の施設はあまりにボロボロです。
5月
●5月29日 日本の「国民の命は守られている」とは言えなくなっています。
●5月21日「私たちのときより今の赤ちゃんのほうがかなり小さくなっています」
●5月13日「今の政治は古代の政治より無慈悲か?そんなことありません!」
●5月10日「私たちの時とは比較できない今の青年の失業と労働の苦しさ」

●5月7日「ストーカー事件でいつも思い出すプーシキンの小さな詩」

4月
●4月22日「ご用心を、子育て応援特別手当の一方で母子加算廃止ですから」
●4月14日「トコトコ1人で通った幼稚園時代。それは時代が良かったから」
●4月6日「『救急車がいつになっても来ない!』になりかねない消防の広域化」
●4月2日「輝いていた私の学生時代の思い出、それに時代も良かった」

3月
●3月31日「救急車・消防車が遅い山梨で消防本部の統合は極めて不安」

1月
●1月29日「私たちはすでに多くを学んでいます!だから変えたいのです」

2009年12月31日(木)


 ああ疲れました・・・どうしてこんなに今年は忙しかったのだろうか? 

●今年はどうしてこんなにいそがしいのだろうかと思いました。しばらくここで、私の忙しいという愚痴を聞いてください。

●議会も忙しいものでした。同じ会派の中込議員さんが監査委員と議長を2年間就任したので、議会では毎回代表質問、予算と決算委員会などなど全て出席していました。私の場合、代表質問はもとより全ての委員会で意見と質問をすることにしているので、その調査と資料作りにも追われました。特に、この一年間は政権交代もあるほどの政治的な大きな変動期のために、今まで以上に体力と速度が求められました。

●衆議院の選挙も、そしてそれ以降も忙しいものでした。衆議院選挙ではビラ配りやポスター張りの数では、NO1の真面目な労働力でした。

その後の8月以降も毎が日追われに追われて動き回っていました。とくに10月から12月は、自分の体が持つのだろうかと、自分自身でも心配なくらいでした。10月では、東京に5回、茨城に1回、長野に2回、新潟と富山に1回、千葉に2回、岩手に1回、香川に1回、大分に1回、北海道に1回、泊まりは計14泊でした。

これは、議会の視察だけではなく、自主的な自治体問題の研修会やそれに労働安全衛生の学習会の講師、最近は自治体問題の報告者や講師も多くなっています。今年は、福島みずほさんとの対談や社民党の国会議員さんが中心の政策審議会や護憲大会分科会で一時間ほどの報告者なったり・・・。そもそも私などを呼んでくれるのですから本当に感謝すべきですが、そのための準備も含めて時間に追われることになります。その合間に、毎月の『まなぶ』(働くものの月刊誌)連載の原稿書き・・・。

●それに地区の活動や自分の後援会もおろそかにはできません。地区の自治会の秋と冬のイベントでは、清掃と焼き芋会、史跡部研修、史跡講座、歳末援助もちつき大会などなど。自分の後援会でも、芋煮会、グラウンドゴルフ大会、国会見学ツアーなどなど。大切な人のお葬式もすくなくありませんでした。

●『家庭内民主主義者』で『男女平等』である私は、我が家でも、いつも「まじめ」に家事や93歳の母の介護もします。12月になって、これからようやっと一息つけるかという矢先に今度は、つれ合いの体調(自律神経失調症か更年期障害か?)が悪くなって、「家事の手伝い」ではなくほぼ「専業主夫」となっています。高校二年息子は転がってばかり。頼りの娘は中学校三年の受験生です。

●頑丈な体力と生命力だけが自慢だった私も、その自信が揺らぎはじめました。5年ぶりに健康診断(国保の簡単な人間ドック)を受けました。案の定、検査では×がいくつもつきました。血圧も高い、ガンの疑いもできてきたなどなど・・・。再検査となっています。そして総合病院では検査、検査ばかりで治療になかなか入りません。やれやれ・・・。

●こうして私は働きすぎの過労死で死んでいくのでしょうか? いやはやとんでもないことです。ところで今の日本の働くものの健康診断結果は、51%以上が「有所見」(「健康ではなく」で再検査などが求められる)となっています。戦後統計史上で初めて「2人に1人以上が健康といえなくなっている」のです。つまり、私と同じようなお仲間がたくさんいるのです。

●こうなったら、あくまで自慢の体力と生命力を信じつつ、仕事はやめないでゆっくりと休み休み働いていくことにします。お医者さんに言われて買った血圧計を図りながらそう考えています。

今朝は最高血圧173、最低は112、「やっぱり高いかもしれない」と、すこしビクビクしながら・・・。
2009年12月13日(日)


 貧困が要因です!マンガに啓発されて子どもの虐待を考えました

●取材にもとづいた「子どもの虐待ドキュメンタリー」のマンガ『凍りついた瞳』読んで啓発されました。ホームページで子どもの虐待について調べると、厚生労働省の『子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について』20097月がかなり参考になりました。

●やはり、若い家庭の貧困状態が大きなリスクとなっています。資料によると保護者の「家庭のリスク要因」として

   ・妊娠の届出がされていない

   ・母子健康手帳が未発行

   ・自宅で出産した

   ・妊産婦健診・乳児健診の未受診が多い

−などとされています。貧困の中でその家庭が荒れていることが分かります

●もっと分かりやすいのは「家族の経済状態」の統計です。

心中以外で有効割合を見ると

   ・生活保護世帯 17.4

   ・市町村民税非課税世帯 13.0%   (心中は21.4%)

   ・市町村民税均等割りのみ課税 4..3% (心中は14.3%)

   ・年収500万円以上   13.0% (心中は28.6%)


 この統計からも家庭の貧困が大きなリスクだといえます。「貧すれば鈍する」という言葉があります。確かに実の親としての感覚や感情が貧困の中で「鈍する」「おかしくなる」ことがあると思います。

●虐待死は、厚生労働省の把握(実際はもっと多いはず)によると、2007年は126人・2008年は113人。驚いたことにそのうちの
半数が家族心中(未遂も含む)ということでした。その『主たる加害者』をみると心中以外での有効割合は

   ―実母 50.9

   −実父 8.8

   −母の交際相手 8.8

   −実母と実父  15.8

   −実母と交際相手 5.3

 これをみると「実母の交際相手」が加害者の場合が少なくないことです。ところで甲府市や多くの自治体では、学校給食などの公的な援助を行う「就学援助の認定」や「保育料の設定」では、この10年ほどの間で『同居の人』(年金生活の祖父母だけでなく同居中の交際相手も含む)の収入を合算するとしています。しかし、これは負担を重くして家計に悪影響をもたらすとともに、経済的に虐待の条件作りにもなりかねないと思います。そんな負担金を増すことより、母子家庭などの一人親家庭への援助を優先すべきです。

●ちなみに、山梨県がまとめた児童虐待の相談件数の2008年度は、644件です。過去10年間で最高でした。その51.4%がネグレクト(養育放棄)でした。甲府市の相談件数は2009年度4月〜11月までで74件。ネグレクトは28件で37.8%でした。私達の地域でも児童虐待は増加しています。

●虐待の対策としては、やはり貧困化問題が基本となってきます。それには雇用と労働条件の安定です。リストラなどの権利破壊が子どもの虐待にもつながっています。そして医療や社会保障の充実です。医療も福祉行政の側も、そこの人手を厚くしないと連携した対応(ケア)ができません。

●新政権の「子ども手当」だけでは、このような状態を改善することは困難です。保育所の改善や義務教育保護者負担金の軽減就学援助制度の充実などなども必要です。私は、この手当をだすなら学校給食の無償化をすべきと主張しています。それに、税金の扶養控除の廃止は避けるべきです。これは子育てと逆行するものです。

●また、虐待は子どもだけではありません。今の社会では高齢者・障害者(子どもの場合障害児が虐待にあうことが多いようです)・女性や、さらには職場では労働者の間でのいじめなども広がっています。
 そのためにも、この虐待の問題をさまざまな方向から取組みとともに、やはり貧困の問題こそを考え真剣に取り組むべきだと思います。
2009年12月2日(水)


 バリアフリー新法の適合基準の努力を甲府市の施設に求めています

●障害者だけではなく、高齢化社会だけにバリアフリーは誰にでも必要となっています。特に甲府市は全国よりも4年から5年も高齢化が早くおとずれています。来年には65歳以上の甲府市民が4人に1人にもなります。そこで甲府市は特に、このバリアフリーに力を入れなければなりません。

2006年に、バリアフリー新法ができました。この法律はそれまでの交通バリアフリー法とハートビルを一つにして適合基準を強めたものです。そして甲府市などの公共施設では新設の建物は義務として適合基準に従うことと、また既存の建物も適合基準に向けての努力が義務とされています。

●私は、4年前にもバリアフリーの関係で市の施設を調査しましたが、今回も障害者の方と調査してみました。結論を言いますと、残念ながらまだまだで改善はこれからです。

例えば、障害者用の駐車場です。

・基準では駐車場は最低でも1つ以上とされていますが、障害者の駐車場がそもそもない市の公共施設があります。南西公民館、社会教育センター、大里総合窓口センター、動物園には障害者用の駐車場がありません。

・障害者用の駐車場があっても、数が足りないところがあります。基準では全体の2%としていますが、総合市民会館は、全体の駐車場は300台です6台は必要ですが、障害者用はわずか3台です。緑が丘のスポーツ公園はわずか2台でした。

・駐車場ではその幅が足りません。車椅子の乗り降りのためには幅が必要です。基準では350センチ以上とされていますが、甲府市の施設では市立甲府病院を除いてほとんど基準以下です。

●他にもたくさんあるのですが、とにかく具体例を上げて124日の代表質問で改善を写真パネルも使って要請します。内容はこのホームページにすぐ乗せます。「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」という甲府市の施設にすることは、あと少しで高齢者の仲間入りをする私自身のためでもあります。

 そういえばこのところ、疲れているからか慌てているからか、分かりませんが、よく体をぶつけたり、よくつまずきます。気持ちはいつまでも青年ですが・・・。

2009年11月9日(月)


 岩手県の教育研究集会に参加し、元気と課題をもらいました

●11月6日と7日に岩手県教職職員組合が主催する教育研究集会の職場の民主化分科会に共同研究者(助言者)として参加しました。この分科会には今回で7回ほど参加させていただいています。2回か3回こちらの都合でいけなかったことも含めると10年間ほど毎年呼びかけをしてもらっていることになります。

●共同研究者にしてもらって感謝しているのは、私自身です。とにかく2日間、学校現場の人たちのレポート報告や意見交換を具体的に聞けるますし、自分自身もその議論の中に参加できるからです。集会の講演だと質疑応答の時間はあるものの、こちら側が話すだけなので、やっぱり放電系です。しかしこの分科会では充電系です。カゼ気味で体調は良くなかったのですか、気持ち的にはかなりの元気をもらいました。


●岩手の教職員の仲間は、職場に労働安全衛生委員会をつくり、特に長時間労働を問題にして学校の多忙化と取り組んでいます。また乱暴な校長などのパワハラ問題やメンタルヘルス問題なども地道に先進的に取り組んでいます。この取組みをもっともっと全国に広げる必要があると思います。

●この分科会で、その様子や姿勢と顔つき、話の内容で「そうではないか」と思われる、過労性腰痛の女性と頸肩腕障害の男性がいました。私は、休憩中にその人たちのところに話を聞きにいきましたが、やはり腰痛と頸肩腕障害のり病者でした。この先進的な岩手でも、過労性の職業病についての学習と交流がまだまだ十分ではないし、そして過労性の職業病は本当に多発していると思いました。

●もっともっと、どこでも「どのような症状がケイワンか、腰痛か」「どのような職場の予防が必要か」「当面、どのようなことで自己防衛すべきか」などの経験的な交流も必要です。長時間労働・多忙化などは結局、はたらくものの心身の健康を破壊するものです。古くて新しい課題である頸肩腕障害や腰痛対策もメンタルヘルス対策とともに強調しなければなりません。


●岩手の教研集会では、私自身への元気と改めてやるべき課題を教えてもらいました。やはり充電系です。

2009年11月4日(水)


 護憲大会の分科会で『エーと山田厚だと思います・・』と言ってしまった

●長野県開催の第46回護憲大会に参加しました。参加したといっても、全体像はまったく分かりません。私は、全部で6つの分科会の一つである『地方主権・市民政治』の分科会だけに参加しただけのことで何も分かりません。同時の6つの分科会が開催され、私の参加した分科会だけで150名の参加者がいたと思います。

●ありがたいことに、主催者から私をこの分科会での問題提起・助言者として呼んでくれたのです。頑張って作った38ページの『自治体病院問題』のレジュメも印刷してもらい50分間ほど報告させてもらいました。質疑応答や意見交換の時間もあり自分自身にとっても勉強になりました。いままで私は、労働安全衛生の講師としてはかなり講演などをしてきましたが、自治体議員として自治体問題で話すことは、あまりありませんでした。今年になって少しずつ増えていることに、素直に「ありがたい」と感じています。

●ところで、私は護憲を大切に考えている1人ですが、いままでに護憲大会には過去3回しか参加していません。しかも今回に限らず、開会式だけとか青年集会だけとかの・・・部分的な参加で、全体像は何も分からない参加者なのです。分科会の舞台の席から「どのような質問がくるのかなあ」「知っている人はどこかにいるか」「いた、いた、埼玉の人だ」「エーと山梨の人はいるのかな」などと思いながら会場を見ていると、自己紹介のためのマイクが、自分としてはいきなり(実際はいきなりではないのですが)回ってきました。そこで
「エーと山田厚だと思います・・」などといってしまいました。分科会の主催者はこの瞬間で、「助言者の選択を失敗した」と思ったことでしょう。会場にいる知人の人たち顔をサーッと見たら、「アラアラ山田さんは」といった感じで周りの人より余分にニコニコしていました。

●報告は真面目にやりました。会場からの質疑応答や意見交換もかなり真剣でした。しかしもっともっと時間がほしいと思いました。また、6つの分科会も『非核・平和・安全保障』『教育と子どもの権利』『歴史認識と戦後補償』『人権確立』『地域環境』とどれも大切ですが、これにプラスして『社会保障と貧困などの生存権の問題』や『雇用と失業や労働基本権の問題』など、いくつもの分科会が必要だと思いました。

●もっとも私は部分的な参加者ですから生意気なことはいえません。それでも、『生活が第一』『生活再建』で政権交代したのですから、護憲大会に限らずどこでも、今の貧困と向き合い、生活と労働をもっともっと取り上げ、具体的な交流をはかるべきだと思っています。


 護憲の活動はすべてに結びついています。それがよくみえる情勢になってきたのではないでしょうか。

2009年10月21日(水)


 『子ども手当』は『子どもへの直接払い』でやるべきです。

新政権の26000円の「子ども手当」の問題が議論されています。この問題での赤字国債か否かという財源問題はここでは触れませんが、義務教育の子どもさんへの支給方法について、簡単に私の意見を述べます。

私は、その支給方法は、保護者にではなく「子どもへの直接払い」がいいと考えています。
 直接払いとは、義務教育でかかる学校給食費や教材費・修学旅行積み立て金を、国が直接、学校(自治体の教育委員会)に支払う方法です。
 これらの負担額は自治体において異なりますが、小学校では、約1万円ほど、中学校では約2万円ほどの負担額になります。

『子どもへの直接払い』がいいと思える、いくつかの理由があります。

@ 憲法や教育基本法の大原則は『義務教育は無償』です。この大原則を活かさなければなりません。

A 
修学旅行や副教材は、そして学校給食は、教育です。
 
特に、学校給食費の原則は、意外と忘れられていますが、使用料と利用料ではなく『教科書代と同じ』とされており、行政は無償化を目指すべきなのです。

B 今、この間の不況の中で、子育て家庭の生活は大変です。リストラ・失業・給与引き下げなどで保護者の貧困化が進んでいます。そして今までになく学校への給食費などの学校納付金の滞納が多くなっています。この滞納防止には、そもそも負担金をなくせばいいのです。

C 学校側の教職員にこの滞納問題での負担が重くなっています。教育現場では、さまざまな混乱があり、『給食費確認書』『差し押さえ』などの問題も起きています。この負担をなくすためにも「こどもへの直接払い」です。

D 
この混乱には、一部の保護者の状態からも生じています。「払えるのに払わない」などの問題は、必ず子どもの教育にも悪影響をもたらしますが、これを防止することができると思います。

E 
このことは、子どもに対する責任は、その親だけではなく、社会にもあり国と自治体にもあることを明記した児童福祉法の精神にも適合するものです。

特に、Dの問題が大きいので簡単にのべます。貧困化とは、生活の貧困だけではなく、人にとっては生活の貧困に伴って、精神状態も貧困化するものです。「払えるのに払えない」という「問題ある保護者」もいると思います。でもそれらの保護者は、生活も豊かではなく、人と人との絆も弱く、ゆとりある富裕層では絶対ありません。

 前政権が、人気取り政策といわれる『36000円の子育て応援特別手当』を出しました。平成2008年度では、甲府市は2.378世帯が対象世帯ですが、そのうち3世帯が申請をしないで給付されていません。去年の7月と9月に個別通知を出し、広報やホームページにも掲載してありますが、この3世帯は申請をしてくれないので、36000円が未払いとのことです。
 最悪の保護者も増えています。子どもを虐待する親たちも激増しています。厚生労働省の調査によると1997年から2007年までの虐待の増加率は、身体的虐待は5.9倍・心理的虐待は16.6倍にもなっています。
 これらの状態の中では、毎月、毎月26000円を保護者に支給しても、給食費などの滞納問題は解決しないと思います。むしろ混乱を大きくしてしまいます。その犠牲者はなんの罪もない子どもだと思います。

● そうさせないためにも、保護者ではなく、また申請も必要としない「子どもへの直接払い」(学校・教育委員会)が支払い方法としてはいいと思います。

2009年10月1日(木)


 自治体における政権交代はこれからの頑張りにかかっています

●政権交代によって国の政治は変わろうとしていますが、自治体の政治はまだまだ旧態依然のままです。

自治体では小泉改革路線がそのまま続いています

例えば、甲府市では今までの直営自校方式の小学校給食を廃止し全て民間委託する方針をこの9月に決定しました。当局のその主な理由は「(小泉改革から)学校給食に対する国の算定が民間委託料で計算され地方交付税が減額されたから」という。4年後には26名の正規の給食調理員の職場が奪われ乱暴な異系統配転=自己都合退職化もこのままでは進んでしまいます。給食室は(親子)共同調理方式でいくつかの小学校では給食室がなくなってしまう。つまり「官から民」という小泉改革路線がそのまま自治体では続いているのです。

これについては私は、雇用問題からも子どもの食育推進からも望ましくないと考えています。

 中央の官僚指導もそのまま続こうとしています

例えば厚生労働省は「保険料の上限額は現在年59万円(介護保険料を除く)で、700万〜800万円世帯で上限に達し、それ以上の所得でも保険料は変わらない。上限額を年82万までに引き上げ、上限額に達する年間所得は一千万円程度。負担の重い中所得者層の保険料の引き下げに充てる」(『共同通信』8月20日)という見解をだしています。

知らない人が聞いたら「政権交代後にむけた格差是正か」と思うかもしれません。しかし実際は違います。ここでは詳しくは述べられませんが、保険者は市町村であり、甲府市の国保の場合は、すでに所得430万円程度の4人家族で上限額に達し介護保険分10万円をいれると年間69万円にもなります。それが年間92万円になりかねないのです。

国の公費を削減したいだけの官僚指導が続いているが、実情が分からなければ誰でも引き込まれてしまう。こんなことはみとられません。

 国が社会保障の改善をはかっても自治体では後退することがあります

例えば、自公政権は選挙前に障害者自立支援の利用者負担の軽減と新規事業をはじめました。それ自体では悪いことではありませんが、社会保障はそれだけでは完結しません。その経費のほとんどが国の10/10の負担ではなく、国1/2・県1/4・市町村1/4の負担とされたからです。

甲府市はその1/4で約3400万円の負担増となった。福祉部では、その対応をどうしたのでしょうか? 甲府市独自の事業である重度心身障害者医療費助成を低所得者に限定するという『改正」を行い、年間3000万円を支出削減したのです。

つまり国の福祉事業による支出増を、甲府市独自の福祉事業の後退で穴埋めをしているのです。自治体には、この間の国の政策の影響と不況の中で収入が削減となり厳しい財政状態が続いています。それだけに、連立政権になってさまざまな国による社会保障政策が実行されても、国の10/10の経費負担か、または充分な財源補償がなければ、自治体独自の社会保障が崩されてしまいます。


政権交代の裾野として自治体段階までのしっかりした「生活が第一」の取組みをすべきだと思います。その意味で甲府市議会の満場一致で採択されたこの意見書は良かったと思います。


 新たな政権による事務事業の見直しと新たな事業に伴う

自治体の負担軽減などを求める意見書

 「生活重視」の争点による平成21年8月の衆議院選挙によって新たな政権が発足した。今後、新たな政権による事務事業の見直しと新事業が開始されることとなるが、この場合、地方自治体にあたえる影響は極めて大きいものとなる。
 社会保障をはじめとする新たな事業の開始とそれに伴う今後の継続的な経費については、国・都道府県・市町村における負担割合が大きな課題となる。十分な財源補償と税源移譲がない中での新事業の開始は、地方自治体の財政をさらに圧迫し、自治体の担ってきた独自の社会保障事業の維持継続をきわめて困難にしていく。地方自治体を取り巻く実情は、三位一体改革以降、地方一般財源の大幅な削減が続き、さらにはこの不況下によって収入の大宗をなす住民税も厳しい減収状態となっている。このことを考慮するなら、法令にもとづく新事業については自治体の負担を軽減し、事業を継承していくために、原則的に国が必要額を確保し10/10の国の負担が図られるべきである。

 国による事業の大幅な見直し、事業の廃止及び新たな事業の開始は、地方自治体に多額な財政支出を伴わせる。特に現在の地方自治体は、電子自治体としてIT化された中で業務を遂行しているため、制度改正や新たな事業開始には、システムの構築や改修などにより多額な経費が伴うことになる。こうしたことから国は、交付金等を削減することなく上記の財政支援を遂行すべきである。

 また、大幅な事務事業の見直しと新事業の開始時は、現場の地方公務員に過重な負担をもたらし、多忙化のため心身の健康不全傾向が強まっている現状に拍車をかけるものとなる。国においては国家公務員の総人件費削減をさらに図るものと思われるが、地方自治体における人事管理は地方自治体の当事者の自律性と自主性にゆだねるべきである。その地方自治体の自律性と自主性をもって地方分権と社会保障の充実を進め、ILO勧告に基づく労働基本権の回復を図るべきである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年9月29日

                          甲 府 市 議 会

2009年9月25日(金)


 甲府市議会の決算委員会が終わりホッとしました。

914日から24日までの甲府市議会の決算委員会が終わりました。私は、いくつかある市議会の会議・委員会の中で決算委員会を最も重視してきました。本会議の代表質問より重視してきました。それは、自分自身がこの「場」を通じてかなり勉強できるからです。
 決算委員会とは。決算上の数字だけを問題にするのではなく一年間の行政の総括の場です。また、この決算委員会のために『決算書』だけではなく、各部や各課では『年報』や『概要』を出し、そのほかに全体の『実績報告書』『実績書』が出されます。これらの資料を、一通り目を通し、必要があれば前年度や前々年度の資料も再び見返し考えるのです。このことによって自分としての見解や質問が作られてきます。資料をみることは、私はたぶん好きな方で、見ていると何かしら改善すべき課題に気がつく場合もあります。それでも決算委員会という「場」がなければ、できないと思います。

●それは、かなりの集中力と体力がいるからです。私は、決算委員会の期間中は頭の回転が悪くしないように原則的に「晩酌はなし」です。夜は9時頃には寝るようにします。朝は5時には起きて質問用のメモ作りをするのです。午前10時の開会の15分前までギリギリこの作業をして出かけます。

●昼間の休憩時間は、地下の売店でおにぎりとサンドイッチを買って会派室で食べながら資料を見ています。委員会の最中でも当局の答弁や他の議員の質問で気がつくことや疑問に感じることもあるので、その都度、その場で資料を調べなおします。その日の決算委員会が午後5時ごろに終わると、かなり疲れてしまい、後は早めに寝て、また次の日の決算委員会に備えます。
 決算委員会の期間が終わるホッとします。そんなにかよわくはないのですが、普段より集中して働きますので心身がかなり疲れるのです。体重が1キロから2キロは減り、すこしだけ頬がとがります。それでも決算委員会から学ぶことはかなりあります。

●私の質問の特徴は、毎年同じ課題を繰り返し質問し、点検し、要望することです。改善しなければならない甲府市の課題があるとすると、それを改善されるまで毎年繰り返しています。

例えば、

 ・軽自動車税が甲府市は標準より高かったので毎年要求し、中道・上九一色の合併時に引き下げられる  までいい続けました。いまではこの質問はしていません。

 ・水道のアスベスト管・石綿管の交換は毎年主張し、毎年管の残りのメートルを確認して早期の取替えを  主張します。
・義務教育の保護者負担が困難な家庭への就学援助制度の認定率と周知の徹底
市税や各種保険料負担などの減免・相談体制の充実
市職員のゆとりと健康の確保、定期健康診断結果も繰り返し確認しています。
 小口資金などの融資制度の改善
 労働相談の充実、権利パンフの活用
 一番のムダである地方債の金利払い対策

●これら定番の調査と質問、要望を繰り返しています。そして情勢にあわせて、新たに付け加えます。今回は、さまざまな行政の部と課に対して、「インフルエンザ対策」と特に「不況下における市民生活に対する支援」を強く調査し質問し、そして要望しました。

●この間の決算委員会の特徴は、小泉改革の悪影響が自治体の財政と自治体の社会保障に傷跡を大きく残していることです。2004年(平成16年)からの2008年(平成20年)までで小泉改革によって本来、国から甲府市に入る財政は社会保障を中心に98億円も削られています。国では政権交代しましたが、痛手を受けた自治体段階では小泉改革のままになっています。

しっかり頑張って足元の政治から『生活が第一』にしていかねばなりません。

2009年8月22日(土)


 「負担区分」はどうなっているか?自治体政策に不十分では困ります

                   マニフェスト比較検討 そのD

●「生活重視が争点」となる選挙によって、新たに国の正しい社会保障政策の向上が法の施行によってはじまっても事態はそれだけでは完結しません
 国における徹底した財政的な裏づけ保証がないと自治体段階で必ず後退することになるからです。

●正しい政策を正しく完結させるには「負担区分」の問題がかなり重要となります。「負担区分」とは、それぞれの事業における国と自治体との経費を負担する割合のことです。

社会保障制度をはじめ継続的にかかる事業では、100%国の経費でまかなわれるものはほとんどなく、必要な経費の 国・県・市町村の「負担区分」がありそれによる「負担割合」があります

 例えば、いくつかの「負担割合」をみると

・母子家庭自立支援給付金事業

       国3/4        市町村1/4

     ・生活保護費

       国3/4        市町村1/4 

     ・放課後子どもプラン

       国1/3   県1/3  市町村1/3

     ・まちづくり交付金

       国4/10以内     市町村6/10以上

●正しい政策が決められてもその国と自治体の「負担割合」までも問題にしなければなりません。この「負担割合」において市町村の負担をなくさないと、きわめて市町村の財政を圧迫することになります。いくつかの例をあげてみます。
@ 高校の授業料無償化

例えば、甲府商業高校 授業料・入学金・試験料 を無償化した場合年間の授業料などの負担額は総額で9126万円です。これをどうするのか

「負担割合」を

  国1/2なら 市町村は4.563万円の支出となります

      国1/4なら 市町村は6846万円の支出となります

A 子ども手当の支給額

甲府市の子ども手当の該当者である1歳から15歳は約2万8000人です。

約2万8000人×31万2000円=経費は87億3600万円

 例えば、生活保護の「負担割合」と同じく、また現行の児童手当の「負担割合」を近似させて想定すると国が3/4 で 市町村が1/4となります
 そうなると甲府市の毎年支出は21億8400万円となります。
 これは、いまの甲府市の財政では極めて困難な福祉予算の増大とされます。

※甲府市の現行の児童手当の支給額 13億770万円うち甲府市独自財源は35000円です。約1/4
 しかし、児童手当は
企業負担がありました。このことも継続させ自治体の負担をなくさないと、どこの自治体もきわめて財政難になります。

この子ども手当の問題では、民主党は全額国庫つまり10/10でおこなうことを明らかにしてくれたとのことです。これは大歓迎です。

●しかし、「負担割合」でみると生活保護などの国の事業においても当初は国が10/10でした。それが現在では3/4にされています。小泉改革のときには「2/3にしたい」とも国はいっていました。当初だけではなく今後の確認も必要です。

B保育所保育料無料化

幼児教育や保育料の無料化も正しい政策ですが、自治体への影響を検討すべきです。

市の基準の保育料の総額86000万円で計算するなら 

追加の甲府市の支出は「負担割合」が

  ・国が3/4なら 市町村は1/4となり

         甲府市の支出額は21500万円

  ・国が1/2なら 市町村は1/2となり

         甲府市の支出額は43000万円となる

  「負担割合」によって自治体の持ち出し額が大きく異なるのです。

「負担区分」「負担割合」では国の10/10を目指す取り組みを

「負担区分」による「負担割合」をしっかりしないと、正しい政策であっても自治体段階の社会保障・教育において全体の改善と向上とはなりません。

 自治体は小泉改革以降、地方交付税の削減などによって財政的に疲弊しています。

 先ほどの「子ども手当」が(もし1/4の負担割合)でも各自治体における追加の支出はきわめて困難(不可能に近い)予算額です。

 そうなると、国の政策ではない自治体独自(単独事業)の社会保障政策が廃止とならざるを得ません。自治体での社会保障・教育の全体が混乱し後退することとなります。また、この事態となると、実質的に自治体は単なる国の下請け機関になってしまいます。

●また小泉改革以降の激しい公務員の人減らし、非正規化、民間委託化なども終わることなく、更に激しく続くことになります。

●法をつくるときに、必ず「負担区分」「負担割合」まで具体的に明確にしておかなければなりません。原則として今から国の10/10で対応すべきです。また児童手当などにあった企業負担も忘れてはなりません。


中小企業法人税率の軽減はもちろんいいことですが、自治体予算への補填は

●民主党のマニフェストによると中小企業対策として「18%の法人税額を11%にする」ことがあります。これも正しい政策です。しかしこれだけ決めても完結はしません。

例えば、甲府市の場合で検討します。

中小企業とは、資本金1億円以下の会社で甲府市では約2080社です。

●甲府市の場合 対20年度比で 法人市民税は約1億円の収入の減額となります。

この費用を国で補償するか、財源移譲をはからないと、自治体は他の予算を削るようになります。

法改正は、ITなどの自治体負担と公務員の労働強化を招くことも忘れないで

●この間の政府の強力な指導でIT自治体化(電子自治体化)が進められてきています。全ての自治体はIT抜きで仕事は出来なくなっています。そこで、法改正や新法律ができると自治体では大きな支出となります。

●いままで国はこの支出をほとんど自治体に押しつけてきました。

 例えば、甲府市の国保会計の「後期高齢者医療制度導入に係るIT関係の委託料」をみてみましょう。

総額9200万円ほど支出となっていますが、国庫補助金などでは537万円しか入らず、

9200万円−537万円=8660万円

相殺して8660万円ほどが国保会計からの支出額となっています。結果として、厳しい甲府市の国保会計をさらに圧迫して、「赤字」と保険料の値上げの要因ともなっています。

●「生活重視の争点」であるために、政権交代がなく自公政権のままであっても、大きな法改正、いくつもの新法の制定となることは確実です。IT関係などの経費も国の具体的な対応が求められています。

●また、大きな法改正、いくつもの新法律とは、必ず公務員労働者の大変な労働強化を招くことを忘れてはなりません。このことも、当然、配慮すべきです。ましてや公務員の削減などこの時期には絶対に避けるべきことは言うまでもありません。

●国の正しい政策であっても、それだけでは完結しません。自治体段階でどうなるのかを想定して、国の具体的な対応と自治体からの具体的な要請が必要です。

民主党は自治体政策にあまり強くないようです。そして、私の知る限りでは、全国の民主党の自治体議員も自治体における社会保障に精通していない方も多いと思います。もちろん、まじめな自治体議員もかなりいると思いますが、「生活第一」の国政を地域からささえる民主党の自治体議員としては決して多くも強くもないと感じます。

●せっかく「政権交代」しても肝心な「生活第一」が、リバウンドしては困ります。しっかり基本政策を求め続けるにはブームに隠れていても社民党の国政の力をすこしでも強めるしかありません。
 そして自治体段階でも民主党系議員と協力し合い「生活第一」を地域から具体的なものにしていかねばなりません。ここでは社民党の自治体議員が要となり牽引者となるべきです。

   (不十分ですが今回の『自治体の立場からの 自民党と民主党のマニフェストを比較検討』をこのホームページに掲載しました。ぜひご覧ください)

2009年8月21日(金)


 所得税の配偶者控除と扶養控除廃止はより生活苦を招きます

                   マニフェスト比較検討 そのC
民主党は、マニフェストの中で「子ども手当」(中学生まで1人月2万6,000円の支給)を掲げています。しかしその財源として所得税の「扶養控除」「配偶者控除」をも廃止するとしています。当初、住民税については言及されていませんでしたが、今では、所得税だけの控除廃止とされています。そこで、民主党の所得税の控除廃止と「子ども手当」との関係で、その軽減される金額の試算を行ってみました。なお、小泉改革にで増税とされる以前の旧税額とも比較しておきました。

細かい試算の内容は、このホームページに掲載していますで、ご覧ください。

試算@ 児童手当が所得制限されていた

800万円以上の世帯も 増税で大きな軽減とはならない

世帯年収950万円

  夫 950万円  妻 主婦   子ども 長男7歳   長女2歳 

   社会保険 33万     生命保険10

共同通信の報道(815日付)では、いままで児童手当が所得制限で該当されていなかった高所得世帯も恩恵があるとしています。「現在は児童手当を受けていない年収800万円を超えた世帯を境に、子ども手当の効果がより大きく現れる」「年収800万円超で効果大」としています。そこで950万円の世帯で試算をしてみました。

 

増税額

・新税制による増税額= 228.000円(A

・旧税制からの増税額 =  420.000円(B)

 

増税と子ども手当(C)の相殺額

  現在より軽減額     (A)―(C)=396.000円軽減

  平成17年度よりの軽減額(B)―(C)=204.000円軽減

結果は、効果はあるものの、増税額も大きく共同通信のいうほどの『効果大』とはなっていませんでした。

試算A 子どもが中学生までは軽減されるが、すぐ増税になる

世帯年収735万円

  夫 600万円   妻135万円(パート) 

子ども 長男19歳(学生) 長女14歳   

社会保険30万円   生命保険5万円

 ●子どもが2人で児童手当が該当しない中学生以上の家庭で試算してみました。

増税額

・これからの所得税の控除による増税額=44.000円(A)

・平成16年度所得税・住民税からの増税額=119.600円(B)

                             

増税と実質の子ども手当(C)の相殺額

  現在より軽減額      (A)−(C)= 266.000円軽減

  平成16年度よりの軽減額(B)―(C)= 192.400円軽減

●結果は、中学生以上の家庭では子ども手当で家庭負担が軽減されます。しかしまもなく年齢で軽減から負担増に転換してしまいます。   

試算B 子ども手当で児童手当も廃止で、思ったほど軽減されない

世帯収入400万円

   夫 400万円    妻 主婦   子ども長男2歳   

   社会保険20万円     生命保険5

現に児童手当(3歳未満児)を受けている若い家庭での子ども手当の効果を試算しました。

増税額

所得税の控除廃止によるこれからの増税額=42.000円増税(A)

平成17年度と比較して        =79.000円増税(B)

増税額と実質の子ども手当(C)の相殺額は

  現在からの軽減額   (A)−(C)=150.000円軽減

  平成16年度からの軽減額 (B)―(C)=113.000円軽減 

結果は、家計は助かるものの思ったほどではありません。やはり増税による相殺もあります.

 

試算C 家計は助かるが2人の子ども手当は、ほぼ1人分の手当となる

世帯収入(500万 母の年金も入る)

   夫   330万   妻100万(パート) 母75歳(年金70万)

   子ども  長女2歳   長男1

   社会保険25万   生命保険5万円

●小さい子どもが二人いる家庭では、児童手当てとの関係でどのように家計が助かるか試算してみました。

  増税額

所得税控除廃止によるこれからの増税額  =43.500円増税(A)

平成17年度と比較しての増税額     =44.100円増税(B)

増税額と実質の子ども手当(C)を相殺すると

  現在と比べると  (A)−(C)= 340.500円軽減

  平成17年と比べると(B)―(C)=339.900円軽減

結果は、子ども手当で家庭は助かるものの実質的には1人分ほどの軽減でした。

試算D 母子家庭の子が実家に戻ってきた場合、年金生活者は厳しい

世帯収入(480 年金生活+パート)

   夫  400万(66歳年金) 妻(主婦58歳)

子(22歳パート80万)  孫  長男1歳児

社会保険25万    生命保険5

●母子家庭の親子が、年金生活者の実家に戻ってきた場合を試算してみました。

増税額

新税制による増税額    B−A=38.000 円増税(A)

旧税制と比較して税額の増 B−@=137.450 円増税(B)

  実質の子ども手当額 (C)

増税額と実質の子ども手当を相殺して

 現在と比べると(A)−(C)= 154.000円軽減

 平成17年度と比べると (B)―(C)=54.500円軽減

ここでも増税額が大きく、子ども手当がかなり機能していません。特に年金生活者の場合は、前回の年金控除額の改定(増税)がかなり影響しています。

試算E 子どもが義務教育を越えれば、とにかく増税だけです

世帯収入 503万円

   夫   400万円    妻103万円 (臨時)

子ども長男21(学生)  次男19歳(学生)

   社会保険30万   生命保険5

中学校を卒業した家庭ではどうなるのか試算してみました

増税額

現在からの増税額 =19.000 円増税 

  平成17年度と比較して=31.400 円増税

●結果は、当然増税だけとなります。このような家庭に対しての対応が強く求まれています。

試算F 就職できない子を扶養する年金生活の家庭は特に苦しい

世帯収入(300万円 年金生活)

   夫   300万(66歳) 妻(主婦59歳)

子  (23歳 無職・就職活動中) 

社会保険20万  生命保険5

●退職したが子どもが大きくなり大学を卒業しても就職できていない家庭の状態を試算してみました。

増税額

現在からの増税額   B−A=38.000 円増税

平成17年度と比較してB−@=108.500 円増税

●子どもが大きくなっても就職できない家庭、リストラされて親のうちにいる家庭はこの不況下でかなり多くなっています。また年金生活者への配慮は特に重要です。

試算G 配偶者特別控除は旧税制に戻すべきである

世帯収入 450万円

   夫   400万円    妻50万円 (臨時)  

子ども長男21(学生)  次男19歳(学生)

   社会保険30万   生命保険5

●ここでは配偶者特別控除が有利だった旧税制を振り返るために試算しました。

増税額

現在からの増税額   =19.000 円増税

平成16年度と比較して= 68.600円増税

●配偶者特別控除の合算がなくなり定率減税を配した小泉改革以降の税制が増税を招いていることは明らかです。その上にさらに所得控除の廃止ではたまりません。

試算H 障害者などの控除加算の廃止は絶対にストップを

世帯収入 503万円

   夫   400万円    妻103万円 (臨時)

子ども長男19(学生)  次男12歳(障害1級)

   社会保険30万   生命保険5

現行税制には障害者控除および同居特別障害控除が加算がありますが、扶養控除、配偶者控除でこれらの加算も通常では廃止されてしまいます。これが廃止された場合を試算しました

増税額

現在からの増税額   B−A=65.000円増税(A)

平成17年度と比較してB−@= 67.000円増税(B)

増税と実質の子ども手当(C)の相殺額

  現在より軽減額      (A)−(C)=187.000円軽減

  平成16年度よりの軽減額(B)―(C)=185.000円軽減

結果は、子ども手当で家庭負担が軽減されますが、障害児者の扶養控除加算は今後とも続くものであり、この廃止は絶対にやめるべきです。また特定扶養親族、老人扶養親族における控除額加算も廃止してはいけません。

配偶者控除廃止と子ども手当支給における 結論 

所得税の扶養控除・配偶者控除は、子ども手当が支給される家庭をのぞけば、著しい増税となります。
子ども手当も児童手当と増税で相殺される場合は、予想される金額は思ったよりもより少ないものとなります。
ここでの試算は民主党のマニフェストで計算していますが、所得税にとどまらず住民税の「控除」廃止にまでいくと庶民への大増税になります。
また「同居特別障害者」「特定扶養親族」「老人扶養親族」などの控除額の加算を廃止すべきではありません。このまま手をこまねいていると控除廃止に伴って加算も廃止されかねません。これは特に特にストップすべきです。
子ども手当の財源は、扶養控除、配偶者控除の廃止から財源確保すべきではありません。社民党のマニフェストにあるように自公政権、特に小泉改革で甘やかされてきた富裕層、大企業などから応分の負担=ここでの増税からもとめるべきです。
また現行の児童手当は企業負担もあります。子ども手当では企業負担も継続すべきです。
小泉改革で増税となった税制度改悪をいったん元に戻してから新制度を構築すべきです。
子育て援助対策としては、子ども手当だけで全てOKとはなりません。小泉改革で切り捨てられた義務教育の国庫支出金を就学援助や公立保育所への国庫支出金の復活も忘れてはなりません。問題とされている学校給食の未納問題などの解決は、「義務教育は無償」の原則からも学校給食費の無料化なども検討すべきです。現に無料化している自治体もあります。

特に、今の社会情勢においては控除廃止の政策は生活をさらに圧迫

●特に、今の大不況の社会状況では、家族の就職難、リストラなどで家族内に失業者を抱えている世帯が多くなっています。100万円以下の激しい低賃金化や、離婚によって母子家庭の子どもが実家にもどるなどによって扶養家族が増える世帯もさらに多くなっています。大不況の今だからこそ扶養者がいる世帯への扶養控除の廃止は避けるべきです。

●また配偶者控除の廃止も富裕層の専業主婦の問題ではなく、今の社会状況では、夫がリストラされ妻の配偶者控除の対象になっている家庭も少なくありません。現に世帯主の離職はいままでになく増大しています。

 これらの厳しい世帯での控除廃止は、必ず生活破壊となって行きます。

●さらに心配すべきは大企業の「家族手当」「扶養手当」「住宅手当」廃止の傾向です。大企業では小泉改革当時から成果主事給与として「扶養手当」「家族手当」は属人的な弊害としてこの間、削減と廃止化をすすめてきました。国の所得税制度で、扶養控除・配偶者控除は廃止されるとなると―必ず大企業から給与の「扶養手当」「家族手当」を廃止する傾向がかなり強まると思われます。

 また、民間の手当廃止の傾向が強まるのなら、これもまた公務員給与にも「扶養手当」「住宅手当」を廃止するという影響が強まるとみるべきです。すでに人事院勧告では「住宅手当」を問題にしています。

国の控除廃止の政策は、様々に連動して官民の労働者の実質賃金の引き下げにもつながりかねません。

●私は、これらの理由から「生活第一」を守るためにも、子ども手当の財源を所得税の廃止に求めてはならないと主張します。

             (つづく)

2009年8月20日(木)


 よりましな政党でも、「民主党の一人勝ち」は不安です

                   マニフェスト比較検討 そのB

    民主党の政策は、社民党とも共通性があり「民主党政権」の誕生は望まれる現状改善の第一歩です。
 しかし、「民主党の一人勝ち」は不安です。なぜなら民主党はリベラル政党としての一貫性が不十分だからです。憲法・防衛問題がしっかりしてないことや大企業や富裕層への対応(優遇減税をやめて応分の負担を求めるべきです)などが出来ていないことはもとより、「生活第一」の政策においても、今の不況期に所得税の控除の廃止を掲げるのですから実に不安であり、任せきれません。 ●民主党がブレる可能性には、いくつかの要因があります。最大の支持団体である労働組合の力と主張の後退、大企業・富裕層への遠慮、地域での様々な市民や特に弱者とのつながりができていないこと、民主党の党員と自治体議員が「生活第一」の日常の取り組みと見解が不十分なことなどです。

 つまり、社会的な支持基盤が弱く、リベラル政党として確立していないなかで、今後ともマスコミと追い風を重視せざるを得ないからです。「民主党の一人勝ち」による「政権交代」は、「政権交代チルドレン」的な国会議員の資質も含めて「生活第一」が様々にリバウンドすることも考えられます。

●リバウンドとはどういうことでしょうか? 

例えば「『生活第一』それだけでは実質の政権運営はやっていけないでしょう」「年金を確立するためには消費税の大幅引き上げもやもうえない」「国と国民の安全のためには防衛力の充実は当然だでしょう」「憲法9条は変えないが、環境権については補強しよう。25条(生存権)は分権のなかで自治体に重き追いて検討すべきだ」「これからは、分権をすすめ自治体が生活対策の主役になって、国は外交や防衛でいいじゃないか」などなどです。なんか既にありそうな感じですよね。

民主党は、自治体政策が弱いだけに「生活第一」が揺らぐのではないかと心配です。私は「民主党の一人勝ち」ではなく、そこに社会民主党の存在が、「生活第一」をしっかり固めるために、ぜひとも必要と考えています。        (つづく)

2009年8月19日(水)


 自民党はここに来てより危険な政党になっています

                   マニフェスト比較検討 そのA 

●私自身の考えをまとめて『自治体の立場からの 自民党と民主党のマニフェストを比較検討』という自分用のリーフ(資料とメモです)を作成しています。選挙の様々な業務にも追われて、なかなか時間が取れませんでしたが、あと2日ほどで完成です。もたもたしていると選挙も終わってしまいます。でも、私は選挙後の政治こそが最重要だと考えていますから、これからの自分の自治体における心構えのつもりでまとめています。

その自分用のリーフは、このホームページに掲載するつもりですが、ここでは作成しながらの感想を述べていきます。

●政党のマニフェストの中では、最も危険な感じがするのが自民党です。今回の自民党のマニュフェストの特徴は大きく分けると2つです。

1つ目は自民党政治の基本的な「党是」である改憲・大企業奉仕の政策路線については、今回も、まったく国民に譲歩していないことです。むしろ、自公政権の危機の乗り越えのために、1つの戦術として「頑固に改憲と軍事同盟と国家主義の強調」「公務員バッシング(日本の労働者の権利破壊)の徹底」「大企業奉仕の景気対策=(大企業へのバラマキ景気対策)の強調」を掲げ、国民の頑迷な改憲層・保守層の支持と大企業からの支援の再結集を求めています。それは、この間麻生氏の遊説でもタカ派的な論調が目立ってきたことからもわかります。

社民党の「頑固に護憲」の反対に、自民党は「頑固に改憲」を掲げているのです。


●また、タカ派論調だけでは、国民からの票にはならないので、今回の2つ目の特徴として当面の戦術として「見かけが良くて目立つ社会保障・教育の改善」も今までなく掲げています。

しかしこの掲げ方も小泉改革による悪政の反省や総括もないだけに、全く信用できません。そもそも小泉改革以降この間の税制や社会保障の制度破壊をそのままにしておいて、新たな社会保障政策をちりばめても実質的な改善にはつながりません。土台を崩しておきながら、その上に何か目立つものを乗せてもダメなのです。それは公明党のマニフェストも同じです。

●その一方で小泉改革でもなしえなかった、道州制や広域常備消防化などをさらに進めるとしています。そして消費税の大幅引き上げもあきらかにしています。そして国会の比例区削減など議会制民主主義の形骸化をも含めて、より頑迷に保守的なった自民党は、より危険な政党となってきているようです。

●そして「政権交代」によって自民党が政権からすべり落ちたあと、その反動で「揺りもどし」がおき、日本の極端な改憲保守勢力・核武装論が戦闘性を強めることも考えられます。選挙後こそ、しっかり、「生活第一」と平和・護憲を結びつけて頑張らねばなりません。(つづく)

2009年8月4日(火)


 私も、これから各政党のマニフェストを比較検討していきます

                   マニフェスト比較検討 その@ 

●今回の衆議院選挙では、いままでになくマスコミによるマニフェストの議論が活発です。これについて私も、これから大急ぎで勉強して、自分なりの見解を見出したいと思います。まず、今日は第1回目として全体のイメージから見てみます。

マスコミの2つの政党だけのマニフェスト論議では不安だ

●私に言わせると、今回のマニフェストのマスコミの議論の仕方はおかしいと思います。

 まず、焦点が「政権交代」ということからでしょうが、自民党と民主党の二大政党の相違だけが強調され、社民党をはじめ他の政党は全く埋没させられています。「二大政党の問題だけに絞られてしまう」と小選挙区制が基本となっている現行の選挙制度(極めて民意を反映しづらい小選挙区を基本とする選挙制度)では、きわめて危惧すべき状態となりかねません。

マニフェストを掲げるなら自公政党はいままでの政治の反省が必要だ

●また、マニフェストとは「選挙における公約」です。つまり「これからの政策方針」であり、「これからの主な約束事」です。しかし、これからのことを判断するには、「いままで行ってきたこと」を点検することが大切です。

 例えば、その人の、これからの人間性を判断するには、その人が「いままでに実際行ってきた行為」から、今後のその人の人間性を判断することが基本です。その人が、「私はこれからこんな良いことを約束します」と言ってくれても、それだけでは信用することはできません。

 政治においても、同じことです。いままで行ってきたその政党の政策活動の総括が前提になければなりません。いままでの政治の総括があって、これからの方針も検討すべきであり、マニフェストも、まず今までの総括から判断すべきと考えます。

●今なぜ、全ての政党のマニフェストで「生活が選挙争点」になっているかというと、圧倒的に多くの国民が、「この生活苦をなんとかしてもらい」と感じていることの反映だからです。確かに小泉改革以降の国政のやってきたことは、国民生活を破壊した悪政の典型でした。

 私はその意味で、政権政党である自民党と公明党が「安心な国民生活」「生活第一」をかかげるのなら、自らが行ってきた、いままでの悪政の反省・総括がなければならないと思います。それがなければ、どのように立派なマニフェストであっても自民党と公明党のものは信用することなどは、とてもできないと思います。

●この10年間の国民生活の状態を示す、どのような統計、どのような事実も、今までにない混乱と貧困化を表しています。

 ―賃金の低下、雇用・失業状態の著しい悪化、国民生活の所得の低下、大企業と富裕層の優遇と普通の国民への増税・保険料負担の過重化、貧富の格差の拡大、中小経営・農林水産業の激しい経営難、社会保障・教育の後退、国民の心身の健康破壊、自殺者の増大、家庭崩壊・虐待・凶悪犯罪の多発などなど。これは、この10年間の悪政による結果です。

●大事なこれからの人生の伴侶である配偶者を決めるとき、「一目ぼれ」で結婚するより、その人と「すこし付き合ってみて、どのような人か?その人間性を見るべき」といわれます。「付き合ってみて、私はもう本当にこりごりだ」というその人から「あなたを、これからは必ず幸せにします」と「結婚の公約」をしてくれも信じることはできないでしょう。しかも、いままでの「私への仕打ち」に全く反省がない−その人の言葉を信じては絶対にいけません。

●それに、大切な配偶者を決めるときに、「Aさんは付き合ってみてひどい人だと分かった」となった時に、今度は「あなたにはBさんだけです。Bさんだけにしぼりなさい」という、「AがダメだからBしかない」という二者択一のアドバイスも危ないものです。もっと広く見て「地味だけどCさんもDさんもいるよ」とすべきです。

●言いたいことは・・・つまり「自公の政党は、とにかくダメ」だけど「これからは、すべて民主党だけに」ということも−不安ということです・・・。

 山梨では「比例区は社民党」このことです。

2009年7月27日(月)


『医療と福祉を考える社民党講演会』が成功しました

●7月26日、社民党の阿部知子政策審議会会長を招いての「医療と福祉を考える社民党講演会」が開催されました。会場には、私たち主催者の目標数を大きくこえて、実数で200名の参加者がきてくれました。満員のためイスには座れず、立ち見の人、ゴザを引いて通路に座る人、中には子どもを抱いてきてくれた人は会場に入れず帰らざるを得ないといった極めて残念な状態もありました。

●主催者の、中込孝文社民党山梨の代表は冒頭「政治は、金持ちや大企業、世襲政治家のためにあるのではない。支えあいの社会に向けて政治のかじを大きくきる時だ」と訴えました。

●阿部さんの講演は、山梨では初めて『対談』方式でやりました。私が「聞き手」で、質問して、阿部さんが「話し手」として応えていただくやり方です。これは「手前味噌」?かもしれませんが、参加者から「わかりやすかった」と好評でした。

 『対話』のその主なながれは

@    阿部さんが小児科の医師から国政にかかるまでの思い状況

A    阿部さんが社民党の政審会長をして、医療と福祉政策で強調したいこと

B    社民党として、今回の選挙で訴えたいこと。民主党だけに任せられない社民党の主張の大切さーでした。

●阿部さんは「現実の状態を知らない自民党の議員が官僚からの資料だけを基にして悪法をつくっている」「自民党が勝てば、さらに医療制度が改悪される」「憲法9条と25条の生存権、13条の幸福追求権など、どれも大切ないのちの問題」としました。会場は、身近な問題だけに、阿部さんの話に真剣に聞き入っていました。私も、自治体の立場から今の国の間違った政治の状態を簡単に紹介し『対談』に参加しました。

●また民主党との選挙協力も必要ですが、民主党だけでは不安「社民党が前進しないと本当に政治を変える中身にはならない」との内容になり、山梨では「比例区は社民党!」への気運が盛り上がりました。皆さんからは、「いい講演会だったよ」との感想が多く寄せられ、帰りには阿部さんの著作コーナーが人気となり、売り切れや取り寄せの注文の書籍もありました。とにかく実りが多い講演会となりました。

●阿部さんには感謝したいと思います。ご自分の神奈川の選挙区で忙しい最中で、「山梨の比例区社民党」のためにわざわざ来てくれたのですから。例えば、私が自分自身の立場に置き換えて考えてみても、自分の甲府市の選挙の最中に、県外の選挙の応援には行かないでしょう・・・。しかも、「山梨に講演にいきたいから、いい?」と、この6月に私に直接ご自分で言ってくれたのです。「社民党が全国一弱い山梨」としては、これには本当にありがたいと感じました。

●そして、感謝したいのは、この講演会に参加していただいた200名の皆さんです。日程が定まらない急なお願いにも係わらず、猛暑の中、駆けつけてくれました。そして真剣に聞き、熱心な意見や質問も寄せてくれました。ところで阿部さんが、山梨に来てくれたのは、今回だけではありません。『5.3護憲の集い』で過去3回も来てくれて今回で4回目です。でも、今回が一番参加者も多く盛り上がりました。

●私は、これからしっかり頑張れば、願望ではなく社民党は必ず前進すると感じました。なによりも、こんなに真剣で熱意ある国会議員(候補者)と支持者の方々がいるのですから。この気運、この夏に、ぜひとも広げなければなりません。

2009年7月22日(水)


 『政権交代』選挙ですが民主党一人勝ちは不安!社民党の前進を!

●ようやく、自公政権が嫌がる解散総選挙となりました。830日の投票日まで「争点・政策」が闘われます。今回の選挙の最大の攻防は「政権交代」です。マスコミの報道の流れでは、民主党の勝利!とされています。現に、その前哨戦といわれていた都議選では自民党大敗、民主党「一人勝ち!圧勝!」(社民党無議席、共産党と生活ネットは後退でした)。あたかも2005年の「郵政選挙」での自民党の圧勝の裏返しの状態とされています。

●私は、とにかく今の自公政権を変えなければ、国民の生活といのちは守られない!と思っていますので「政権交代」の必要を訴えます。山梨の各選挙区でも民主党候補が、ぜひとも自民党候補に打ち勝ってもらいたいと考えています。

●しかし、私は、民主党の「一人勝ち!圧勝!」では不安です。社民党の前進が必要と主張します。もとより小選挙区制の選挙では11の選挙となるだけに、「一人勝ち!圧勝!」はつきものです。そのためにも政党名の比例区の選挙あるのですが、ブーム的な勢いがつくと、この前の2005年の「郵政選挙」のように、比例区でも勝利政党が圧勝する場合があります。こうなると社民党などは埋没しかねないと思います。

●マスコミの報道の仕方にも問題がありましたが、一時、小泉政権は大変な人気でした。「自民党をぶっ壊す!」「痛みの分かち合い」「聖域なき構造改革」「規制緩和!官から民!」の小泉改革として世論から80%もの支持を受けました。
 甲府駅に小泉首相が街頭演説に来た時は、たくさんの聴衆が詰めかけました。若い女子高校生なども群がり、「(携帯のカメラで)生小泉を取っちゃたさ!」などとはしゃいでいました。地域の知り合いからは「小泉さんが、せっかく改革を本気になってはじめようとする時に、なんで野党は足を引っ張るような反対をするのだ!」とも面と向かって言われたこともありました。

●しかし、2001年からの小泉改革とは、結果として「大企業にうまみを与え」「国民生活をぶっ壊す!」だけのことで、今の日本社会の格差と貧困をもたらした政治的な原因となりました。あれから4年たちましたが、私たちの生活をみてこの小泉改革の政治が極めて悪政だったことは明らかです。そのツケが、内閣の不支持率の増大となって安部、福田、麻生政権に押し寄せたのです。

●さて私が、民主党の「一人勝ち!圧勝!」に不安をいだくのは、マスコミの報道の傾向で、その勢いが上り「国民的な民主党ブーム」となっても、実際の民主党の国民的な足腰、地域の組織がどうなのか?と思うからです。議員でみると国会議員は多くなっても、県会議員はそれほど多くなく、市町村議員はかなりすくなく、地域の党員もよくみえません。下に行けばいくほど弱くなっています。これから政権党になると寄ってくる人々も多いとは思いますが・・・、それは、それで力がつくというより様々な混乱もはじまるものです

●問題は、「政権交代」を支える社会的な勢力、勤労者の力がどうなのかです。特に平和と暮らしを守る社会勢力である労働運動は、どうなのかです。大不況といわれる中で労働組合も正規も非正規労働者も激しい雇用不安に、おびえきっています。職場ではさらに、下請けいじめや大企業支配が強まっているのです。そうなると自民党と同じく「大企業にものが言えない政権党」に、さらには「大企業にこびる政権党」に、なりかねません。

●また、マスコミ報道では「政権交代」だけを焦点にして、
「政権交代の政策上の中身」がほとんど報道されていません。政策上の争点は生活ですが、これに腰をすえて頑張らねばなりません。民主党の政策は社民党と共通している部分が多くありますが、私がみても不安な政策もいくつかあります。

例えば、民主党は「無駄づかいの削減で財源を得る」としていますが、その中には公務員労働者の給与の削減が大きな方針となっています。中央官僚政治の弊害を是正することと、末端の公務員労働者の生活を抑制することは別です。地域では民間の未組織労働者の賃金にも悪影響を与え、賃金削減の口実となってしまいます。これでは「最低賃金時給1000円」も実現不可能となってしまいます。
 また民主党は、増収策として「配偶者控除・扶養控除の廃止」という庶民増税も掲げています。これでは、「子ども手当」の支給もすぐ取られてしまうことになります。しかも、4年後の消費税大増税を否定していません。

●やはり「富裕なところから取り」「本当にムダなところから削減」しなければダメです。大企業や大金持ちの優遇税制に手をつけることや平和外交を優先して防衛費・在日アメリカ軍への思いやり予算などの削減なども具体化すべきです。

●憲法問題も今回の選挙では棚上げとなっていますが、やはり平和と生活は結びついています。あいまいにはできません。いままで民主党の言ってきた「創憲論」は第
9条をはじめとする改憲論となります。私は、憲法9条だけではなく25条の生存権も含めて、いまこそ憲法全体をしっかり守るべきだと思います。また、非核三原則は、単なる政権の意向や当面の外交問題からの判断ではなく、国是として尊重されるべきものです。

●それに、いままで参議院の野党共闘のがんばりで、衆議院自民党多数政権を揺るがしてきたのに、なぜか民主党は、今後の国会制度では参議院を廃止しての一院制化を掲げています。また、衆議院比例区では定数削減なども方針にしています。これでは国民の民主的な意思の反映に逆行してしまいます。議会制民主主義の原則を議員削減のコスト論で忘れてしまうのなら大きな誤りとなってしまいます。

●「政権交代」の中身に、しっかりと生活と平和を入れなければなりません。それにはやはり
社民党の存在が重要だと思います。いままでの国会をみても、野党共闘として「あくまで勤労者の立場に立った政策」を厳しく主張し注文しつづけてきた社民党が前進しないと不安です。
 自治体の政治をみても、少数であっても全国800人の社民党自治体議員の努力は、国の悪政と闘い、自治体の市民生活を支える重要な役割になってきました。甲府市議会における私たちの努力も、ささやかであり不十分でありながらも、市民生活派の議員としてのその存在感はあったと思います。

●今回の選挙で、自公政権から「政権交代」させるべきです。そして!その交代した政権(民主党)に、しっかり主張し注文をつけ、必要とあればブレーキをかける社民党の存在が、ぜひとも必要です。
 それはマスコミにあおられた「小泉改革」ブームと同じく「政権交代」もブームに終わってしまっては困るからです。

 さあ!暑い夏がはじまっています。この夏から、私たちの生活を守るための、平和を守るための第一歩としていきましょう!

2009年7月14日(火)


 母の介護から、改めて公的介護の大切さが分かりました

●今日、母が病院から退院しました。2週間ほどの入院でした。今年93歳になる母は、随分健康な人でした。その人生で入院したことは90歳代になってからのわずか2回だけです。2年前の前回は心臓で今回は胆石の関係でした。大変なのは、そのつど認知症が深くなることです。身体の状態が悪くなるとともに認知症が進みました。

3年ほど前には「認知症だけにはなりたくない」といっていた母ですが、今ではそのことも、良く分からないようです。このごろでは毎日顔を合わせている私の名前もよく分からなくなっています。妻はヘルパーさんとなっています。今回の入院前は、当然体調が悪く激しい腹痛もあったはずですが、でも家族にはよく分からなかったのです。毎日、廊下や畳の拭き掃除や洗濯物が多くなり大変になりました。食事も取れなくなりました。そして寝たきりの状態になってきたのです。そこで「これはおかしい」と思い、何回か診察してもらい、入院しなればならない身体の状態が分かったのです。

●気丈で良妻賢母型の母は、以前からも身近な家族の手助けや介護はかなり嫌がります。汚れ物があっても隠してしまうし、服の着替えや入浴の介助も嫌がります。そこで、お風呂も入らない日や着替えもしない日が続いたこともありました。それに、私達がルスをする昼間が「火の不始末」も含めて心配でした。

3年前に亡くなった父は一度も介護保険を使うこともなく他界しました。我が家では初めて介護保険を母から使ってみました。ケアマネさんのご指導で、ペルパーさんだけでなくデイサービスも恐る恐る使い始めました。当初、母はかなり嫌がっていましたが、いまでは慣れてくれました。

 そこで大発見をしたのですが、服の着替えも、洗髪や入浴の介助なども、私たち家族がするより、母は素直に言うことを聞いてくれているようです。介護のプロ・専門職としての力量だと思いました。それに本人も意識もあるようで、「他人」に介護してもらう方が気を使わないですむようです。最近は妻も「ヘルパーさんと間違えているようなのでかえってやりやすくなった」とのことです。

●薬も朝・昼・晩と3回飲ませますが、スムーズに飲ませることも結構手間がかかります。昼間の薬はヘルパーさんにお願いして、朝と、日によってですが夜、私が薬の担当です。特に朝の薬は6錠、いまでは8錠もあり、手に渡してもなかなか飲んでくれません。口にこちらが入れても出してしまいます。そのことを母の「サービス担当者会議」でいうと、ヘルパーさんから「そういう時は、ウインダリーゼリーに薬をうめてさじで飲んでもらういいです」とのアドバイスをいただきました。依頼、家ではゼリーは欠かせなくなっています。

●そもそも、この家族を入れて開催してくれる「サービス担当者会議」はありがたいです。うちでお願いしているケアマネさんも含めてみなさんが、誠実な方々で、失礼な言い方ですが、「あたり」だったのかもしれません。専門の方からのさまざまなアドバイスは、その家族にとっては実に参考になります。今回の入退院の前後にもこの「サービス担当者会議」を開催していただきました。「介護認定の区分変更をされた方がいいです」「食事が十分に取れないのでお薬に栄養剤のエンシュアもお願いしたほうがいい」「夏場は、水分をいかにとるべきかです」などなど、本人にも家族にも助かる助言です。

●父が亡くなってから、私は、母がよく転ぶので母のそばの部屋で寝ています。最近はこれが結構負担になってきています。母は、「幻視・幻聴」も多くなって「〇〇さんが来るので、迎えに行く」といきなり夜中に起きて、外に出ることもあります。私は、「これからは、夜中も熟睡できないかな…大変だな…」と考えていました。現に入院する前の1週間ぐらいは、母の状態が夜もおかしかったので、かなりの寝不足が続きました。こんなことをモンモンと少し考えているときに、ケアマネさんから「これからはショートステイも使ったらどうですか」とアドバイスされました。「ああそうか…!」と気がつきました。「担当者会議」では、この計画もいれてもらい7月から初めて行います。それも使用料は「自費にまでならないようにギリギリのところで計画を立ててください」とお願いしました。

●介護保険は、介護が必要な人とその家族が共倒れしないですむ公的な制度です。しかしさまざまな制度的な矛盾があります。例えば、母で問題となる「火の不始末」「幻視幻聴」「不潔行動」もこの4月から認定の項目から削除されています。どうやって認定するのでしょうか? これでは認定の区分が軽くなるばかりです。

 また、私自身が大変感謝している「サービス担当者会議」も介護保険制度に位置づけられていますが、実にあいまいです。この担当者会議のために専門の方々が忙しい中で集まっても、一切、介護保険からの収入があるわけではありません。そうなると「まじめな方々」は懸命に努力される一方で、「まじめでない方々」?「普通の方々」?は当然、「担当者会議」を行わないで手抜きをするしかありません。同じ介護保険でも丁寧さの格差も生じます。そして「まじめな方々」も収入にもならないなかで…疲れきって「燃え尽き症候群」になってしまうのでは…。

●なんせ、介護保険関係の専門職は、ケアマネさんも含めて資格があっても就業をしていない人が多いそうです。我が家のためにも、懸命に努力されている介護の専門職の皆さんのためにも、そして社会全体のためにも、介護保険の抜本的な充実が求められています。

 今回の入院の前後も含めて、改めて公的な介護の大切さが分かりました

2009年7月7日(火)


 甲府市職員の着服による懲戒免職問題から考えました

●6月22日、甲府市の職員が3年前のケースワーカーだった時の生活保護費の返還金132万円を着服したことが明らかとなり懲戒免職されました。甲府市では2007年にも信玄公祭りの運営費280円の着服で懲戒免職が出たばかりです。大変遺憾なことです。特に甲府市の福祉行政への信頼を損ねるものであり、二度と起こしてはいけない問題です。

●さて、再発防止というと、行政は「一罰百戒」「綱紀粛正」主義で、厳正な処分を繰り返すばかりです。これから、市長をはじめ当時の関連上司にいたるまで減俸などの処分が行われ、業務上の手続きの見直しが行われるでしょう。私は、そろそろこのような再発防止策は見直すべきだと思っています。なぜなら根本的な再発防止にはならないのではないからです。

●甲府市の職場は、外から見ているより、実際はかなりの人手不足で多忙な状態です。個々の職員給与は他市と比べて低いとは思いませんが、予算に占める総合的な人件費でみると甲府市はかなり低い状態です。つまり甲府市は、正規職員の人手が足りない、忙しい職場なのです

 しかも、今の自治体の業務は、国の様々な法「改正」の連続、通達のよる目まぐるしい変更などによって、全国どこでも多忙化に拍車をかけています。それによって甲府市の職員の健康診断結果によると
66%の職員が有所見(健康とはいえない健診結果)となっています。民間も含めた全国平均は49%ですから、甲府市の職員の健康状態はかなりよくありません。そして心身の健康を維持できないで60名ほどの傷病休職もあり、2007年度では39名(病院職22名)の自己都合退職者もでています。

●また、甲府市は職員の人事管理においては成果主義・評価主義が他市よりもはやく導入されている自治体です。この個々人への成果主義・評価主義の人事管理は民間大企業で導入されたものです。しかし必ずしも成果が上がっているとはされないばかりか、「公平性・透明性・客観性が保てない」「結局、恣意的な優劣をつけるだけでモチベーションが低下している」として、かなり評判も良くないものです。自治体の地味な公的な業務は、これになじまないのが普通でしょう。でもこの制度の導入のために甲府市は2005年度から2007年度までに2800万円ほどの費用をかけています。今年度も含めると5000万円ほどは使っていることになるでしょう。この金額の分ぐらいは、職員の福利厚生や健康管理にまわすか、市民の福祉にまわせばいいと思うのですが…。

●職員の状態はどうかです。心身の健康が不全となり、さらに、人手が足りないで忙しい中で、個々人が仕事の個人責任を強くもたされています。しかもより競争が強いられています。こうなると仕事における「共助共援」はできなくなり、業務は個々人に任され、管理監督者も「全体の業務の状態が良く分からない」となります

●私に言わせると、これが、
着服などの温床となり、事態の発見や究明が出来ない仕組みとなってしまうのです。また、まじめに業務をやっていても、多忙な状態ではミスや失敗もあるかと思いますが、それすらも、助け合うのではなく、個々人が隠しあって事態を大きくしてしまうことにもなります。

●どうしたらいいのか? 私は「一罰百戒」「綱紀粛正」主義ではなく、職場の業務上の仕組みを抜本的に改めて、複数で業務にあたること、「共助共援」の職場にしていくことです。それには、今の人事評価制度のデメリットを明らかにし根本的に改め、職員の人手を厚くすることを基本にすべきです。

●さらには、金銭を取り扱う場合には、必ず複数対応の手続きとするか、さもなくば、個々の職員が個別に金銭に触らない仕組みとすべきです。特に、問題を起こした生活保護行政におけるケースワーカーの場合は、今の大不況の中で、相談などの件数が膨大になっています。ケースワーカーの仕事をしっかりしてもらうためにも金銭までの取扱をしないシステムとすべきです。

 それにしても、基本は人でのゆとりであり、ともに「個人の責任」ではなく共に助け合う職場にしない限り、厳正な処分や小手先の事務の見直しでは再発防止にはなりません

●ところで、今回の問題は「確信犯」といわれている着服ですから、懲戒免職は当然ですが、安易な「厳正処分」は、今後は、止めるべきだと思います。公務員には雇用保険がありません。退職金もフイにして雇用保険もありません。首を切られたら直ちに明日の生活に困ります。雇用保険法では、懲戒免職などの理由があっても雇用保険の失業給付はあります。この間、公務員の酒気帯び運転での懲戒免職を受けた事例の取り消しを求める裁判の判決も出ています。あの公務員の味方ではない人事院もこの4月には、「酒酔い運転は一律免職」ではなく、「停職、減給」と幅を持たせたそうです。

●また、市民にとってはどうかです。年度途中で免職があっても別にいいことはありません。今回、懲戒免職された職員は、ほぼ
1400万円ほどの退職金をフイにしましたが、それだからといって市民に、何らかの還元があるわけではありません。むしろ人手が足りなくなって、サービスが低下するばかりです。もちろん今の情勢では「綱紀粛正」で職員全体のモチベーションは上がるはずはなく下がるばかりです。これも市民へのサービスを低下させるでしょう。

 もうそろそろ、「厳正処分」主義は見直すべきだと私は思います。

2009年6月30日(木)

 
 生活保護母子加算の制度復活を実現させるべきです

●未来の社会を担うのは子ども達です。でも、今の社会で子どもを育てることは大変な努力がいります。ましてや、母子家庭での子育ては経済的にも困難を極めています。公的な援助は必要です。

先日この場で、「定額給付金」に合わせての「子育て応援特別手当」の話をしました。これは政府の一時的な特別対策で多子世帯の幼児期の第2子以降の子に対して、1人3万6千円支給されます。子育て家庭にとっては、大変ありがたい手当ですが、単純に喜んでばかりはいられません。これは、選挙直前だけの「人気取りのばら撒き一時金」です。恒常的な生活支援でないばかりか、この後には消費税の大増税などが待ち構えているからです。しかも恒常的な生活支援制度は、さらに切り捨てられています。その典型は、この4月には生活保護のひとり親家庭への母子加算が全廃されたことです―と言ってきました。

●ありがたいことに、この母子加算復活が参議院の野党提案で採択されました。参議院・衆議院制度という2院制度の良さですが、衆議院の早期に解散して、衆議院でも可決して、このささやかな生活保護加算制度を復活させるべきです。

 例えば、「子育て応援特別手当」は甲府市が国の交付金で支出する金額は

     2009年度のみ    9,000万円です

 ところで、廃止された 母子加算の甲府市の支給額は、毎年支給額が縮小され

     2006年度 39母子世帯 対象者60人 総支給額895万円 
                                年ひとり当たり平均円149.183

     2007年度 38母子世帯 対象者64人 総支給額571万円
                                年ひとり当たり平均89.188

     2008年度 31母子世帯 対象者55人 総支給額236万円
                                年ひとり当たり平均42.891

     2009年度 制度廃止


●これは、母子加算で計算すると

   2008年度では 甲府市の総額は236万円ですから、9000万円あれば

      9000万円÷236万円=38年間も制度維持できます。

   2006年度の水準でも 甲府市の総額は895万年ですから、9000万円あれば

      9000万円÷895万円=10年間も制度維持できます。

●医療も防災そうでしょうが、福祉も、もっとも困難な人から手を差し伸べないと、支援する意味がありません。本気になって子育て援助をするのなら、保育料・幼稚園費の引き下げ、減免制度の確立、義務教育における就学援助制度の確立、高校への授業料などの援助を行うべきです。また子育て家庭への医療保険料の軽減も必要でしょう。そもそも、パートやアルバイトで働いているお母さんも多いはずです。安易なリストラを止めさせ、社会保障の加入、最低賃金引き上げも当然だと思います。

●これらのことを何もしないで、いやむしろ、制度改悪しながら、子育て援助もないものです。つけが回される、バラマキではなく、従来の制度の改善が必要です。今回の参議院での母子加算制度復活の採択は、その一歩であるべきです。

2009年6月24日(水)


 激増している様々な生活苦の相談を受けとめられる体制を

●この大不況の中で、ギリギリのセーフティネットである生活保護への期待が強まっています。「甲府市の生活福祉課への相談件数」も激増しています。

  2006年度  361件     月平均30件   100%とすると

  2007年度  391件     月平均33件   110

  2008年度  501件     月平均42件   140

  2009年度 45170   月平均85件   283

 各月の平均件数では2006年度を100%とすると2009年度では283%にもなっています。かなりの激増です。

●でもその割には「甲府市の生活保護が支給されている世帯数」は、あまり増えていません。

  2006年度  14192件     月平均1183件  100%とすると

  2007年度  14883件     月平均1240件  104

  2008年度  14973件     月平均1248件  105

  2009年度 452578件     月平均1287件  109

 各月の平均件数では2006年度を100%とすると2009年度では109%です。相談件数と比較すると微増といった状態でしょうか?

●これは、そもそも生活保護の基準が厳しいことの結果です。特に母子家庭への援助が足りないのではないと思われます。「甲府市の生活保護の母子世帯数」

  2006年度  461件     月平均38件   100%とすると

  2007年度  498件     月平均42件   111

  2008年度  480件     月平均40件   105

  2009年度 4568      月平均34件    89

 担当者に聞いてもこの間、別に制度改悪もないとのことですが、4月から『母子加算』も廃止されています。しかも母子家庭は、社会状態を反映して増えることはあっても減ることはありません。「甲府市の母子世帯数と父子世帯数」

  2004年度  1754母子世帯     122父子世帯

  2008年度  1810母子世帯     200父子世帯

‥何かと母子家庭への援助が不十分になってきているのではないでしょうか。また父子家庭も激増しています。ひとり親家庭への援助が必要になっています。

●生活保護とは、憲法25条の生存権の理念にもとづき、「国家責任による最低限生活保障の原理」(生活保護法第1条)のもとに「この制度の実施に対する究極的責任は国が持つ」

ものです。しかし、国はこの生活保護の予算を自治体になるべく押し付けるか、母子加算などの給付を削減してきました。「国と自治体の生活保護費における支給割合」

 1951年度  国が8/10(80%) 県と市など2/10(20%)

 1985年度  国が7/10(70%) 県と市など3/10(30%)

 1989年度  国が 3/4(75%) 県と市など1/4 (25%)

 2006-7年頃 国は 1/2(50%)  県と市など1/2 (50)を計画し断念。

 この国の悪い傾向はいまだに続いています。

●生活を何とか支えるために生活保護だけでなく、最低限の保育料・国保料・市税・介護保険料などの減額免除制度の充実が求められています。

甲府市では、この間の私達の要請(2008年12月議会12/15など)によって、この4月から「甲府市市民生活支援等推進庁内連絡会議」を設置しました。窓口は生活福祉課に置かれ市民からの生活相談内容を聞き取り各部と連携していこうというものです。これは、私が知る限り他の自治体にはない先進的な取り組みです。評価したいと思います。例えば、生活の問題で相談にこられた方に、「この内容では国保の保険料の減免の対象にもなりますね」とか「生活保護は資産もあってムリですが、この場合いくつかの減免が適用できますのでご紹介します」などとやれることがいくつもあるはずです。


●しかし、この場合、「相談体制がしっかり機能すれば」−の話しです。相談対応の担当者が生活保護の内容や様々な減免制度の内容を理解して、丁寧な対応が出来ないと、必ず「開店休業」となってしまいます。私自身も「開店休業」とさせないように、この機能をしっかりチェックしていくつもりです。

2009年6月18日(金)

 
 これはいけません!国保保険料の重さ C甲府市の責任

 6月18日甲府市の国保運営協議会が開催されました。私も委員なので出席しました。この日の議論は、平成20年度の決算案と21年度保険料ついて、そして保険料の減免要綱の改正でした。以下は、私の見解です。


 平成20年度の決算について

 実質的な破綻傾向が強まっていても甲府市は抜本的な対策をしていません

・前年度の繰上充用(翌年度20年度の前借5億1000万円)のために2億8128万円が赤字でまた繰上充用(翌年度21年度の前借2億3128万円)となりました。

 これは、基金という貯金を食いつぶし19年度、20年度と連続しての値上げをしてもまだ赤字となってしまい前借を続けている状態です。

・保険料の収納率は、滞納が多くなるなかで19年度87.1%が、20年度は83.4%となりさらに低下しています。これは20年度に出した「甲府市国民健康保険赤字解消計画」(これ自体でも平成24年度で1600万円ほどが赤字となる計画?)では、毎年0.8%ずつ収納率を引き上げ収納額を2000万円ほど上乗せしていく計画ですが、それが既に初年度で計画が破綻しています。

・これは高すぎる国保保険料に対して抜本的な対策が必要なのにそれが出来ていないことの結果です。私は、「収納を上げるには、せめて職員数を厚くして、分納・減免などの相談体制もしっかりおこなうなどの丁寧なチーム対応が必要」と主張してきましたが、総務費そのものも1700万円も減額しているなど、これでは収納率も上げることもできません。

・市民は高い医療費患者負担におびえて受診抑制もはじまっています。また滞納による500世帯もの保険証の取り上げによって実質上受診したくても出来ない人が増加しています。これによって予算額にして3億円ほど国保会計の支出≪医療費などの保険給付費≫が減額となり「国保会計は助かって」います??。しかしこれは、健全な医療保険の状態では全くありません。

・また、私は「当面の対策としては一般会計からの法定外繰入金が不可欠」としてきましたがひとり親、重度医療などの県からの繰入金9250万の増額にとどまっており甲府市としての一般会計の繰入金は1億5000万円で据え置かれています。

――これでは、会計上の再建にはなりません。

 平成21年度保険料ついて

 諮問案は据え置きですが、事態は保険料の引き下げが必要となっています

・諮問案は現行の保険料を据え置くとし、参考に値上げ案も示していました。私は、据え置き案には反対しませんでしたが、意見として「現状の保険料が高すぎるので滞納も多くなり収納率も低下しています。本来は保険料引き下げも検討すべきではないか」としました。


・例えば、
保険料の滞納が極めて多くなっています

平成21年度当初で滞納となり保険証が取り上げられた「資格証」となった家庭は

   平成18年度 203世帯

   平成19年度 350世帯

   平成20年度 443世帯

   平成21年度 552世帯

   となっています。滞納している世帯は現在8910世帯で被保険者全体の26%にもなっています。

・「資格証」となった人は、ほとんど医療機関にいけないでいます

   平成19年度 350世帯のうち受診した人は、わずかに8人 件数で13件

  平成20年度 443世帯のうち受診した人は、わずかに9人 件数で12件

  医療も受けられないで亡くなった人もいるはずです。

 ・国保の被保険者の市民はさらに貧しくなっています。

   平成19年度では 世帯あたりの平均所得額は 116万円

   平成20年度では 世帯あたりの平均所得額は 111万円

   平成21年度では 世帯あたりの平均所得額は 107万円

・甲府市の保険料≪医療費分プラス介護分プラス後期高齢者医療支援分≫は、

   4人世帯で介護被保険者2名として年間の保険料はいくらで世帯所得の何%か?

   100万円の世帯では 18万6千円  18.6%

   200万円の世帯では 38万6千円  19.3%

   300万円の世帯では 52万5千円  17.5%

   400万円の世帯では 66万3千円  16.6%

 これを事務効率のために12回から9回の保険料納付回数にされたので 納付月は

   100万円の世帯では 月20.640円

   200万円の世帯では 月42.911円

   300万円の世帯では 月58.289円

   400万円の世帯では 月73.997円

 こんなに過酷な負担は、税金・上下水道料金・年金をみても一番過酷ということがわかります。しかも2年連続の保険料引き上げで、全国的にも高い甲府市の保険料です。これでは「払いたくてもはらえない」状態となってしまいます。私は、これからも保険料の引き下げを強く求めていきます。


減免制度「改正」は一歩前進ですが

 より実情に合わせた改善をはかり、今の情勢では減免件数が増えるべき

・私は、国保の運営協議会のたびに、また議会の決算・予算の委員会があるたびに減免制度の改善を要請してきました。5年前にリストラ対象者にも減免の枠を広げたのもこちらからの要請によるものです。

・今回の減免制度の改善は「倒産などにより失業・休廃業した場合、前年度所得からの所得額の減額見込みが5/10から対象であったものが7/10となりより対象者が広がった」というものです。これ自体は改善といえます。

 ・しかし減免件数は平成19年度は 7件

         平成20年度は19件

         平成21年度5月段階では11件

 大不況といわれるなかでは極めて少ない件数です。他都市と比べて桁が1つも2つも少ない状況です。

・甲府市の減免は保険料の全体ではなく、保険料の「所得割」部分のみにとどまっています。低所得者には「応益割」部分も含めての保険料全体が減額の対象とすべきです。今後この改善が必要です。

・私は、減免制度を丁寧に市民に周知するためにも、国保年金課に人的な相談体制の充実が必要なことを重ねて要請しました。例えば、「疾病または負傷により失業・休廃業したことによって生活保護基準の1.2倍の所得額以下に減額した場合」の減免ですが、生活保護基準額(子ども加算、冬季加算、妊婦・障害者加算などがある)を知らなければこの申請もできません。保険料が払えない家庭にこれらの内容を伝え減免の申請を多くの職員が促すことが出来なければ減免制度の適用は具体的になりません。

・私は今後とも、国保保険料の減免制度の改善を繰返し要請し続けていきます。

●とにかく、全国、そして特に甲府市の国保制度は実質的に破綻傾向がはじまっています。

 
 全力で、当面の甲府市での対策(人的な相談と収納体制の改善、減免制度の改善、一般会計からの繰り出し金の充実、保険証の取り上げ抑制)と保険料の引き下げを求めていきます。

 そして、国の医療制度の抜本的な是正が必要なことを訴えていきます。所得が年間300万円ほどの4人家族で納付月額6万円などという保険料は福祉ではありません。生活破壊を強いるものです。甲府市の行政当局はあまりにもこの事態に対する感度が低すぎます!甲府市民の6万人の国保被保険者だけではなく、社会の全体の安全のためにも、ぜひとも是正すべきです!

2009年6月5日(金)


 点検しました!甲府市立保育所の施設は、あまりにもボロボロです

●6月4日、私が顧問をさせていただいている甲府市保育所保護者協議会では、毎年会長さんたちと私で各保育所の視察点検をしています。

 甲府市立の保育所は、中道保育所はまだいいのですが、他の保育所は老朽化が進み改修も十分ではないために、かなりボロボロで問題がありました。以下は、甲府市立保育所5園の主な施設状態と改善課題です。

@ 中道保育所

 温水シャワーが必要です

 施設はまだ老朽化していないため、ほかの保育所と比べて状態は良い方と思いますが、見晴らしのいい高台で風もあたるプールには温水シャワーがないため、7月にプールがはじまる等の状態です。



A 玉諸保育所 

 2階の雨漏りをすぐ直すべきです

施設・園庭スペースが狭い状態でした。2階のプールはプールの排水を手作業でくみ出しています。特に、安全上からも問題なのは、園舎の2階の雨漏り箇所がいくつもありました電気の漏電との関係もありますので、早急な改善が必要です。


B 甲運第一保育所

 狭すぎるので部屋の増設を

 ここでは、部屋が足りないことが明らかでした。子ども達が狭い箇所に群がっていて、とてもゆとりある状態ではありませんでした。保育士の先生方も余分な労力を強いられているはずです。部屋の増設と大人用のトイレなどの改修が必要でした。



C 中央保育所

 耐震対策と駐車場対策を

 全体に老朽化が進んでいます。トイレも古く園舎は耐震診断の結果は罰で改築が必要でした。当面の対策としてガラス窓には全て耐震用のシートが必要です。特に駐車場が狭く大きな問題となっています。


D 北新保育所

 階段や床にラバーを、またヘイの基礎のクラックの改修を

 廊下が全て外にさらされているため、滑って危ない状態があります。安全のために階段には手すり、床にラバーをつける必要があります。また、園の南側のヘイの基礎にクラックが何箇所もあり危険な状態ではないかと思います。この点検をして早急に改修する必要を感じました。



●以上の施設改善の要求を児童保育課にしましたが,甲府市保育所保護者協議会では7月に改めて『要求書』を提出することにしています。私もしっかり保護者会の皆さんと頑張って施設の改善につくすつもりです。

2009年5月29日(金)


  日本の「国民のいのちは守られている」とは言えなくなっています

●自衛隊は、『国民の生命を守る使命』といって毎年5〜4兆円の予算を使っています。また、在日アメリカ軍への「思いやり予算」は、毎年2000億円も法令にもない余分な金を使っています。これらの部門は、赤字とも言われたことがない不況知らず大業界です。

●しかし、肝心な毎日の身近な地域・生活における国民の安全・安心についてはどうでしょうか? 国の宣伝とは異なり、かなり危なくなっています。
 ここでは簡単に、国によって安心・安全な政治が後退し、いのちが危なくなっていることを、簡単に拾ってみます。

@新型インフルエンザ対策の発熱相談センター

保健所の削減は、感染症対策としては極めて問題です

●新型インフルエンザで問題では、発熱相談センターが地域の核となっています。発熱相談センターは全国の保健所でおこなっていますが、大阪や兵庫では忙しくテンテコ舞いといわれています。それもそのはずです、肝心な保健所が激しく統廃合され、地域における機能がなくなってきているからです。

全国の保健所数は
1993年848でした。それが、
            ↓
             2009年510となり 40%も削減されています。
 小泉改革前には全国保健所数 576か所(2003年4 月1 日現在)でしたから、乾いた雑巾をさらに絞るように保健所が削減されました。

●保健所の機能は、新型肺炎やインフルエンザ対策だけではなく、O157や食品衛生なども含まれ、街のお祭りの自治会がつくる焼きそばまで指導しています。
 医師、保健師などの専門職も含めて職員数も著しく削減され、立ち入り検査も以前より手抜きの状態になっています。

●ささやかな例ですが、私が10年ほと前に自治会のお祭りの焼きそば担当だった時です、保健所の指導をもらいにいった時には、2日かかり丁寧な助言をいただきました。最近では、窓口ですぐ書類をみて「ハイいいです」となります。「なんか証明のハンコかなんかいただけませんか?」というと「そうですか?ハイハイ」といってハンコをぽんと押してくれます。そこで、それからはお祭りの焼きそばなんかでは保健所にはいかないことにしました。

 自 治 体 別 保 健 所 設 置 数 の 推 移2009年4月1日現在)

設置主体

20004

20014

20024

20034

20044

20054

20064

20074

20084

20094

都道府県

460

459

448

438

433

411

396

394

389

380

指定都市

70

70

70

71

71

72

73

58

58

59


27

28

30

34

34

35

36

35

39

41


11

11

11

10

10

8

7

8

8

7


26

24

23

23

23

23

23

23

23

23

合 計

594

592

582

576

571

549

535

518

517

510

●市町村自治体の保健師などの保健衛生の専門職もこの間の職員数の抑制・削減と非正規職員化で通常でもかなりゆとりがなくなっています。
 保健所も市町村自治体の保健衛生も弱体化しています。この状態では、毒性の強いインフルエンザなどがまん延したら、その対応は極めて困難となります。

A感染症指定医療機関も削減している
 
 自治体病院や国立病院の経営形態の見直しや病床削減はおかしい

●感染症の医療機関も弱体化しています。感染症患者の入院は感染症指定医療機関が対応します。この感染症指定医療機関は、ほとんどがそのうちの約60%占める自治体病院をはじめ、公立病院がほとんどでが、この肝心な、感染症指定医療機関と感染病床が最近かなり減り始めています。
 
それも、そのはずです、国立病院や国立大学病院は法人化によって採算の合わない、感染病床を減らしはじめてきているからです。また、基本となる自治体病院も極端な「赤字」宣伝の中で、経営形態を見直しと病床の削減がはじまっているからです。

●自治体病院の経営形態の見直しは、必ずこの感染症指定医療機関をなくし感染病床を削減させていきます。

独立行政法人(独自の採算性を強める・議会の監視・意見も弱くなる)
      ↓ 

民間譲渡したら不採算な医療はなくなっていくしかない(民意も議会も関係ない)

●その典型的な実例は、国の国立病院の独立法人化です。

国立病院の感染症指定医療機関(結核を含む)の後退

     病院数  感染症(結核含む)病床   陰圧病床数

  2006年  62    4.591病床         1.453病床
        ↓     ↓             ↓
  
2009年  61    3.489病床         1.264病床

●実際、儲け優先なら、感染症指定などは辞退したほうが病院にとっては『得』なのです。
 
感染症指定医療機関とは、その「開設者の同意を得て行う」ものであり、また辞退するには一年前までに「都道府県知事にその旨を届け出なければならない」というものです。つまり届出で辞退することもできるのです。(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)

●感染症病床は、実に採算が合いません。通常でも病床は陰圧病室で、空きベッドにしておかなければなりません。自治体病院への地方交付税も削減され一般会計からの繰り入れ金も削減されていますから、自治体とっては感染症病床は「お荷物」です。また、財政健全化法によってよっても自治体病院自体が「お荷物」にされているのですから、感染症病床などは特に!特に!採算上の「邪魔者」とされるのです。

●そこで、感染症指定医療機関の削減が感染症対策のすそのである第二種と結核病棟で進んでいます。

    第二種感染症

           2001年         2009

      医療機関 286    →      314

      病床数  1655    →     1.618

    結核指定医療機関

           2005年         2009

      医療機関 307    →      256

      病床数 12.279    →      8558

    感染症指定医療機関病床数

     2003年   2004年   2005年   2006年   2007

    
1721病床  1.761病床  1685病床  1700病床  1692病床

●国は、第二種感染症医療機関に結核医療機関まで含めて、「指定医療機関はこんなにある」としています。また県は「感染症病床は000床準備した」といいますが、陰圧病室(気圧を低くして感染を妨げる)の機能・環境のない病床では、そろえただけのことです。

●つまり感染症患者を入院させるにしても、感染症病床がなくなっているのです。そのうせさらに自治体病院の経営形態の見直しを進めている国の政治は国民のいのちを危険にさらす悪政です。
 今回の新型インフルエンザ問題では自治体病院の感染症指定医療機関としての公的な重要性をしっかり主張すべきです。

B救急車が来ない、消防車がまにあわない!

 常備消防の広域化計画は住民の安全を守れない

●全国の常備消防本部が、広域化される計画(2012年)が総務省の指導で進んでいます。山梨県では10ある消防本部を一本部としようとしています。関東でも三県で一消防本部です。これは、消防行政費用の後退の中で、「さらにコストダウンをさせようという」計画だけに市民生活にとっては大変不安です。

●消防の国庫補助金はほとんどカットされ地方交付税はかなりの削減になっています。地方交付税ではこの2年ほどあまりにヒドイ状態なので小手先の見直しをしましたが、消防行政費用はさらに削減がつづいています。どの消防本部でも採算が苦しく、普通の消防本部では職員数の抑制が著しくなっています。

●消防には、持っている職員数、機械力(救急車・消防車など)の基準(消防力基準)があり充足率が問われますが、たいていの消防本部では機械力も足りなければ、特に職員数が足りません。その充足率は極めて貧困です。山梨の甲府を除く消防本部では、50%程度の充足率です。つまり、必要数の半分しか職員がいない状態なのです。

●その一方で、高齢化社会で新たな感染症です。消防行政の需要はますます高く重要になっていますが、常備消防の広域化は、逆にこれをさらに弱体化させることになります。
 今回目指されている広域常備消防本部の計画では、消防本部の合併によって対象住民の人口を増やし、不十分な消防力を「充分」とさせてしまいかねません

「消防力整備指針」では

基本は人口割合で 職員数 ポンプ者数 救急車数の必要数を決めています
     そこで単純に市街地として人口割合計算にしたら大変です。
        ↓
  救急車 人口3万ごとに1台
      ・30万  10倍の10台ではなく
                ↓

         1本部となると8台となる

      ・88万  29倍で29台ではなく
                ↓  
         1本部となると20台ですむ

 ※ 山梨
 
2007年現在で救急車は63台。それでも山梨の救急車は到着時間が全国ワーストワンで、時間がかかりすぎです。

 消防ポンプ車 人口3万人 3台


    ・30万     10倍の30台ではなく
     
          ↓
             1本部となると14台となる

          88万    29倍で87台となるのではなく
                ↓
        1本部となると41台ですむ

 ※ 山梨
 
2007年現在で消防ポンプ車は52台であり、6つの消防本部で消防ポンプ車が12台足りない。しかし1本部となり、市街地として単純計算されると11台余ることになります。

●これでは消防車も救急車も間に合わないことになりかねません。もちろんこんなひどい単純計算にはならなくても、とにかく人口合算して消防コストを削減しようという狙いを持つ計画です。こんな計画が今進んでいること自体が極めて問題です。しかも、市民がこの計画を知らされていないことも大変な事態だといえます。

C「火の不始末」や「幻視幻聴」も放置する

介護保険の認定切り下げも、地域にとって危ない状態にします

介護保険制度の「改正」もこのままでは、国民の安全を大切にしないで、いのちを粗末に扱うことになります。
 この4月に介護認定の一次判定の調査項目が「改正」されました。従来82項目から14項目削除されました。「拘縮(関節)」「じょくそう」「飲水」「電話の利用」「指示への反応」「幻視幻聴」「暴言暴行」「不潔行為」「異食行動」「火の不始末」「日中の生活」などです。よくもまあ!こんなに重要な項目を削除したものです。これでは認知症に苦しむ要介護者を切り捨てることになっていきます。

●新たに6項目追加されていますが、「独り言・独り笑い」「自分勝手に行動する」「話がまとまらない」「簡単な調理」などですが、これもよく判りません。私自身もそうですが、こんな項目なら健常者にも当てはまってしまいます。こんな一般的な項目が追加されるより、今回削除された身体的項目の方がはるかに重要です。

●特に、
「火の不始末」「幻視幻聴」「不潔行為」「暴言暴行」などは個々人や個々の家庭の問題ではなく、社会的な問題ともなります。公的な介護・支援がなくてもいいということで済まされません。地域社会の防火防災や安全衛生上からも放置してはいけない課題です。

●私の93歳の母も、時々「幻視幻聴」があります。「幻視幻聴」があると夜中でも「〇〇さんをお迎えにいく」と道路の真ん中を歩き回ってしまいます。「火の不始末」もあります。「ガスコンロを一切使わせない」ということはできないので、安全性の高いガスコンロに買え換えたり(IHは高額でもありあきらめています)、火災報知機をつけたりや消火器を台所に置いているのですが・・・不安は残ります。それでも、同居している家族がいる場合はまだマシです。独り暮らしの場合はどうなるのでしょうか? 

●国民のいのちを守る行政は今、弱体化しています。いのちを粗末にする政治から、いのちを守る政治になんとしても転換させなければなりませんね。それには軍事力ではなく、社会保障であり医療・救急・消防などの充実です。

2009年5月21日(木)

 
 私たちの時より、今の赤ちゃんの方がかなり小さくなっています

●私は自分の容姿とかオシャレにはたぶん関心がない方だと思います。若い時からもからヘアリキッドなどの整髪料を1本買っても4年から5年ももってしまい、しまいには蒸発して古くなりすぎで捨ててしまうのがほとんどでした。今のほうが、白髪隠しのために使っていますが、家族のもの(ヘアオイルか?)を適当に使うので、自分ではこの15年間ほど何も買っていません。

●自分の顔写真もあまり好きではなく、顔写真にこだわる時は選挙時のポスターぐらいです。若いときの写真は人から何枚かいただいたものだけで、学生時代の写真は、一枚もない状態です。その後、歳をとっても自分のアルバムも作らず、あちらこちらの封筒や箱に散らばっている状態です。これについては、「大切な仲間との思いでも乱暴に投げているのと同じだ」とようやく反省して、この春から少しずつ整理を始めましたが・・・。整理をしても、ない写真はないのです。

●家では子ども達に、「お父さんは、若いころは結構イケメンだったんだョ」といっても証拠写真がなく、まったく信用されていません。わが配偶者も証人になってくれません。


 でも、自分の顔でも自慢できる写真が一枚だけあるのです。この赤ちゃんの時の写真です。かなり若すぎてイケメンの証拠にならないのですが、われながら「いいお顔」として自慢できる唯一の写真です。


●さて先日、母の『母子手帳』を発見しました。それでみたところ19515月に三男として生まれた私は3300でした。戦争末期の食糧難の時期である1944年に生まれた長兄はさすがに小さく2850gでした。1948年に生まれた次兄は3225gでした。

 今の赤ちゃんを2007年の統計で見ると3050gで女2960でした。私達の時代よりかなり小さな赤ちゃんです。長期統計をみるとこれは戦後最低の数字で、傾向的に日本の赤ちゃんは小さくなり続けています。特に問題とすべきは、2500g未満の低体重児が戦後最高に増えていることです。2007年でその低体重児の割合をみると男児は8.5%女児は10.7%にもなっています。甲府市の場合では、男児は8.6%、女児は11.9%と全国平均よりさらに低下しています。

●戦後の混乱期を除いて赤ちゃんの平均体重は今が戦後最低、低体重児も今が戦後最高と言う事態に対してあまり危機感がない社会も困ったものです。私は甲府市の保健衛生課にもこの問題への関心を促していますが・・・行政としての方針は従来のままです。

●ところで、この状態の「原因はどこにあるのか」も考えるべきです。今のところあまり真剣に研究されたり議論されていません。一般的には若い女性のダイエットのやりすぎ」「不規則でバランスの悪い食生活の問題」「高学歴社会による晩婚化傾向」などといわれます。間違ってはいませんが充分な説明とはいえません。

 私は、さまざまな要因があるにしても主な原因は、母体の疲労と心身の不健康状態であり、その背景としては働く女性の無権利(若い女性に対する乱暴な働かせ方)と勤労者家庭の貧困化の実態にあると考えています。

●なかでも「権利としての男女平等」は当然にしても、性差を無視した危険物・重量物作業や残業や深夜労働という「有害過重労働の男女平等」は誤りであり女性の身体にかなりのリスクをあたえていると思います。労働安全衛生法令にも様々な決まりがあるのですがほとんど守られていません。未来の社会を担う私達の丈夫な赤ちゃんを産み育てるためにも、またその女性自身の健康のためにも、女性の子ども時代から日ごろの母性保護が大切です。

30年ほど前には「女の人は腰を冷やさないほうがいい」「重い仕事は男にやらせろ」という常識がありましたが・・・今ではそんな常識はありません。冬でもチェアガールのようなスカートの女子高生や夏でもないのにお腹を出して歩いている若い女性、運動会の後片づけでは重い物を1人で懸命に運んでいるPTAのお母さん達をみると・・・私はいつも心配してしまいます。

 でも、口に出して当事者に言ったことはありません・・・。おじさんですから何か気後れしているのでしょうか・・・。やはり、労働・教育・保健衛生の行政が真剣に取り組まないと物事は進みません。私はもっぱらこの行政に口を出すことにします。

2009年5月13日(水)


 今の政治は古代の政治より無慈悲か?そんなことはありません!

●小学生時代に母とみた映画の忘れられない場面を最近になって思い出しました。ほとんどストーリーの前後を忘れてしまったのですが、不思議なことにその場面だけは覚えているのです。

●その場面は、東洋のある皇帝
(私は中国だと思っていた)が、宮殿のテラスに立って、下の下々の暮らしを見ると「かまどから煙が立ち昇らない。民は煮炊きするものもないほど貧しいのか?!」「それなら税金を取ることを辞めよう」と税金をやめてしまったのです。それから、何年かたって再び、宮殿のテラスにたって眺めると、今度は、下々のかまどから煙が立ち昇っていた。皇帝が「良かった民は豊かになっている」というと、そばにいたお妃?が「おかげで宮殿はボロボロで、屋根の隙間から星の光も見えるほどです」という。でも皇帝は「民が富むことが最も大切です」というようなことをいったシーンでした。

●この時、子どもだった私は「税金って大変なんだな」「この皇帝はいい人だけど、税金とられる人は大変だなあ。ご飯も炊けないんだ」「でも税金がないと宮殿も建てられないのか」などと思ってこのシーンの記憶がいつまでもあったのです。

●この話を地域の歴史家の先輩に先日お聞きすると「それは、日本の仁徳天皇の話だよ」とすぐいわれました。そこでインターネットで調べてみると無税の期間は3年間、さらに延長して計6年間、その後やっとボロボロの宮殿を修理したとのことと『日本書紀』にあるそうです。
 どこまで、本当のことかまったくわかりません。この当時のことは、歴史的事実とは大きくかけ離れているようです。仁徳天皇というと、あの世界最大級の全長
500mにもなる大土木工事の「仁徳天皇稜」という古墳を作った人のようですから「同一人物なのだろうか?」という疑問もあります。

●でも、民のかまどの煙の話は1700年も前の昔々の古代の逸話ですが、下々に語り接がれ民衆から尊重されてきたことは事実です。

●なぜ、こんな昔の映画のシーンを思い出したかというと、最近の政治との関係からです。小泉改革という政治は、「財政健全化」に名を借りて、下々の庶民から−暮らしが貧しくてかまどで炊くものもなく煙もたてられないとなると、「それならナベや釜も、差押えて取り立てろ」という政治でした。

●労働基準法・雇用保険法・生活保護・介護保険・障害者自立支援・教育・年金・医療・医療保険・庶民増税などなどすべてが改悪され負担増とされました。自治体への国からの交付金も激しく減額され自治体段階での社会保障もかなりの切捨てです。
その一方で防衛費は増額されました。法律にもない在日米軍への「思いやり予算」は毎年2000億円以上です。富裕層や大企業へは大サービスで減税が進み、10年前の税額と比べると4兆円も負担軽減されたというのですから呆れてしまいます。

●例えば国の政治は、国保保険料などの負担が重くなりすぎて「払いたくても払えない」家庭へは、保険証の取り上げを法制化し、差し押さえをしっかりやれと、自治体を指導してきました。つまり「ナベや釜も取り上げろ」としているのです。

●現代の政治制度は、主権在民で基本的人権・生存権が保障されています。それが、1700年も前の古代専制時代の逸話のイメージより無慈悲な政治では、情けないかぎり・・・。
 いや!いや!そんなことはありません。現代の政治は民主主義です。必ずや普通の国民の生活からの多くの声を高め、ひろげ、それを力にして換えることができます。失ってはいけない私達の自信と誇りを持ってすすんでいきましょう!

2009年5月10日(日)


 私達の時とは比較できない今の青年の失業と労働の苦しさ


●今年の1月に古い寮生名簿で旧友への電話ができました。「自分の思い出も大切にしなければ」と反省したり、またなんか暖かい気持ちにもなりました。その後、昔の学生時代の友人達を探して年賀状くらいのやり取りをしたいと、一念発起して県外に散らばっている友人達を探して電話をしました。

 友人達はそれぞれお互いに昔から連絡を取り合っていて「年賀状を出しても返ってこないのは山田だけだ」と方々からヒンシュクをかってしまいました。私も心を入れ替えて、「ごめん。今年から年賀状がぐらい出すよ」と約束しました。ほとんど25年から30年ぶりぐらいの友人達でした。話も弾み「3年後には還暦祝いの交流会を東京でやろう!」とのまじめな企画も成立しました。

●今の若者より、私の時代の若者のほうが幸せだと改めて感じました。なぜならみんな、それぞれ仕事と家庭を持ち、それなりに暮らしていたからです。私の学生時代では、そんなに必死な就職活動をしていませんでした。私は特にレベルがひどかったと思いますが、みんなもそれほど必死には見えませんでした。しかも学生運動がまだ活発な時期で授業の態度もおろそかが普通でした。それでも、みんな正規社員や正規職員として就職し、あと3年ほどで退職となっていました。

●これは、偶然ではありません。日本の政治経済の大きな変化があったからです。例えば、昔の雇用は正規があたりまえでした。当時は、「派遣労働」などの言葉もありませんでした。労働基準法「改正」で
1985年に部分的・例外的にようやっとはじまったばかりでした。もちろん「ニート」も「フリーター」も言葉としてもありませんでした。

 労働組合も活発で、私たちが就職した頃の1970年代中期は、毎年春闘のストライキも当たり前でした。賃金は下がるものではなく、「闘いによって上がるものだ」という常識的な雰囲気がありました。それに低賃金といえば民間が高く公務員が典型という時代でした。雇用は生涯雇用が当然で、「不当解雇は三池炭鉱の時代の1960年代の昔にあったが、今はない」といった感じでした。組合の活動家では「すぐ家に変えるばかりで集会や学習会に参加したがらない『マイホーム主義』は良くない、これでは誰かにお任せで団結の強化につながらない」との話すらあったのです。今では仕事で家庭が押しつぶされ「マイホーム主義」という言葉も使われていません。

 もちろん、この時代でもインフレもあり、様々な庶民泣かせや生活苦もありました。しかし今と比較すると、この時代のほうが良かったと誰しもが思うでしょう。

●現在の統計数字はまだありませんが、2年前の2007年の厚生労働省の数字をみてみました。

  ・フリーター(15歳〜34歳)181万人

  若年無職者(15歳〜34歳)62万人

  新規学卒者在職期間別離職率 就職後3年以内に離職

          高校卒 49.5%

 大学卒 36.6%

  ・非正規社員  労働者の1737万人 全体の34%


●これは2年ほど前の統計で大企業は史上最高の利益を更新し続けていた頃です。現在は激しい不況となり失業が激増しさらに若者を苦しめています。

  例えば、2007年3月の完全失業者数は 268万人

      2009年4月の完全失業者数は 342万人

  ちなみに、私達の就職時期の

1975年4月の完全失業者数は  99万人でした

 労働力調査速報でみると今のリストラはすさまじく非自発的失業者の数が115万人といいます。その多くは青年層の解雇です。

●しかも、3月の新聞報道では、
ILOの報告書によると日本の失業者の77%(210万人)失業保険の給付を受けていない状態で、「先進国の中で最悪の水準にある」(共同通信3.26)といいます。


 これも、国が雇用保険法・労働基準法を「改正」しセーフティネットを破壊したことによります。

●しかもです。このズタズタなったセーフティネットですらこの間、企業は義務を果たしてきませんでした。

例えば、雇用保険です

・事業所に雇用されている労働者がいるなら加入
・パートでも、週20時間以上で1年以上雇用されることが見込まれる労働者も被保険者になります
・受給資格は離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上。3月31日以降は、「雇い止め」などでは1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば受給されることになっています。


 雇用保険の加入は会社の義務・強制保険です。国は監督指導しなけばならないものです。しかし、ほとんどの大企業がこの義務を果たしていなかったと思います。でなければ、失業保険をもらっていない失業者が8割近くにもなり「先進国の中で最悪の水準にある」ということはありえないからです。

 他にも指摘できます。

例えば、健康保険です。

 ・1人でも常時雇用している事業所は健康保険に加入

 ・保険料は労使で半額ずつ


高すぎる国保保険料が払えない若い家庭が激増しています。滞納して医療保険証が取り上げられている世帯も34万世帯以上にもなっています。そもそも労働者なら、国保の加入ではなく、もっと保険料負担の軽い労使折半の健康保険に加入されているべきなのです。これは企業の義務ですが果たされていません。企業を監督指導しなければならない国が野放しにしてきたからです。

●国は、法「改正」を続けて極めて不十分となった社会保障ですら、それを企業に、特に大企業に守らせることをしませんでした。

 私は今の政治は、大企業に極めて甘く、普通の働く国民には冷酷な政治だと思います。日本の失業者への「最悪の水準」は、日本の政治が「最悪の水準」だからです。


●中高年の私達の青年時代は、まだまだ、良かったと思います。しかし、その私達の不安や悩みは、これからの老後の不安だけではなく、今現在の私達の子どもたちの雇用や健康についての不安が強くなっています。昔話をして「あの時は良かった」ではすまされません。この冷酷な政治を換え、「これからの社会と政治を少しでも良くして」いかなければなりません。

 中高年となった私は、こども達の未来を守るためにも、「いままでの思い出」も、そして「これからも歩みも」大切にしていきたいと考えています。

2009年5月7日(木)


  ストーカー事件でいつも思い出すプーシキンの小さな詩

●ストーカー規正法が2000年にできましたが、ストーカーの犯罪はなくなっていません。
「つきまとい行為」どころか「暴力」や「殺人」まであります。警視庁の統計による2008年の検挙状況は187件であり、氷山の一角でしょうが毎年増加しています。
 私は、ストーカーの事件や裁判を耳にするたびに、「加害者は、自己本位で本当の愛情とは何かを知らない人だ」「相手を大切にしていないばかりか、自分自身の誇りもないのか・・・」「社会が荒れている中で、人格が破壊されているような犯罪が増えていくよな」などといつも同じいやな感想となってしまいます。そしていつも思い出すプーシキンの詩があります。

●私には、詩に対する教養も見解も残念ながら何もありません。しかし、そんな私でも、眺めてみているとその時々で「これはいいなあー」という気持ちを持てる詩もあるのです。

次の詩もそうでした。プーシキンの詩で、かなり心に響きました。



 わたしはあなたを愛していました。その愛はおそらくいまも
 わたしの心の中で すっかり消え去ってはいないでしょう。

 けれどもそれも もう あなたの心をさわがせはしますまい。
 わたしは けっしてあなたを 悲しませたくないのです。

 わたしはあなたを愛していました ひそかにのぞみなく、
 あるいは気おくれに あるいは羞恥になやみながら。


 わたしはあなたを愛していました あまりにもやさしく 心から
 どうかあなたが 他のひとに愛されてほしいとねがうほどに。
                (プーシキン  1829年)


●この詩に初めて触れたのは、私の青春時代で、この詩のもつ深い人間性や恋愛に対する生き方や考え方に強く感動しました。
 当時の私は「好きな人を愛するって、こういうことなんだ」「とても自分には、こんなに立派には生きられないけど・・・せめて目標にしたい」と思いました。それ以降、「のぞみのない片想い」とか「好きな人からふられる」ときには、「つきまとったりして相手の心を悲しませないこと」を自分自身の『原則』にしようと決めました。もとよりそんなに立派な人間ではないことを知っていましたから、この場合、「精一杯の背伸び」や「やせ我慢」もしていこうと決めたのです。

●この詩は『プーシキン全集』の中にある小さな詩ですが、この詩は結構、有名な詩のようです。青少年用の『ロシア詩集』にもありました。ぜひ、今の若い人たちにも触れてもらいたい詩です。

 今の社会では、一人ひとりがバラバラにされ、孤立して、受験と就職、そして仕事上の競争が強いられています。それだけに個々人が『自己中心的』にならざるを得ません。そして『自己中心的な愛情』にもなりかねません。しかも深刻な貧困化は、身も心も貧困な状態に一人一人を置くと思われますから。

●さて、私がこの詩に初めて触れたときから長い年月がたちましたが、この詩を忘れたことはありません。その考え方は今でも私なりにしっかり共感しています。それに、悲しいことに・・・この当時、自分自身が決めた『原則』を実行せざるを得ない時が、すぐに訪れたのです。もちろん、「精一杯の背伸び」と「やせ我慢」の思い出が残りましたから、忘れるわけがないのです。

●実は・・・中年となった私は、青春時代の私の「精一杯の背伸び」には、批判的なのです。「自分がいい加減な気持ちでないなら、少しは『追っかける』べきではないのか?−でないと相手に自分の気持ちが伝わらないのでは?」「もともとは、日々のやさしさなのに、それはどうだったのだろうか?」「プーシキンの詩の受け止め方は、もっと自然でいいはず。少しズレていたのでは?」と疑問を持っています。

●しかしまあ、あまり当時の私をいじめないことにします。「精一杯の背伸び」を原則にした青年がちょっぴり可哀そうになってきたからです。この青年はストーカーにはならなかったことだけは確実のようですから・・・。

●それに,気をつけるべきは、むしろこれからの私自身かもしれません。ストーカー行為者は、若者だけではなく60歳や70歳以上の高齢者にも増えていています。とにかくこんな社会ですから、プーシキンの詩をズーと大切にすることにします。

2009年4月22日(水)


 ご用心を、子育て応援特別手当の一方で母子加算廃止ですから

●この4月には大宣伝されている「定額給付金」に合わせて「子育て応援特別手当」が、生活支援のために支給がされはじめています。

●「子育て応援特別手当」とは政府の特別対策で多子世帯の幼児期の第2子以降の子に対して、1人3万6千円支給されます。この第2子以降の子には「定額給付金」と「子育て応援特別手当」をあわせると5万6千円になります。山梨県では1万3400人、甲府市では約2500人が支給対象となります。

 子育て家庭にとっては、大変ありがたい手当ですが、単純に喜んでばかりはいられないようです。これは、選挙直前だけの「人気取りのばら撒き一時金」だからです。恒常的な生活支援でないばかりか、この後には消費税の大増税などが待ち構えているからです。

●恒常的な生活支援は、さらに切り捨てられています。その典型は、この4月には生活保護のひとり親家庭への母子加算が全廃されたことです。 この母子加算は、それまで月2万円以上ひとり親家庭に加算されてきましたが、小泉改革によって2005年度から段階的に加算額と対象世帯が削減されてきました。そしてこの4月には全廃となり、この間、全国で10500世帯が削減の対象になったといいます。甲府市では、27世帯への支給が全廃となりました。子ども1人世帯月72102人世帯月7780円。20083月の甲府市全体の母子加算支給額は、わずか203530円にすぎません。

●国は、わずかな金額であっても最も生活困難な子育て家庭への恒常的な支援制度を廃止しています。ほかにも例えば、低所得家庭の保育料引き上げ方針(政府の規制改革推進3カ年計画)も掲げられていますし、就学援助制度(生活困窮家庭への修学旅行費や給食費などに必要な公費の支給)も小泉改革で国庫は削減されたままです。

●つまり、いまの政府の生活支援策は、本気ではなく
「選挙目当ての−まき餌」に等しいものです。「子育て応援特別手当」は、子育て家庭とってはとにかくありがたいものですが、これで心まで釣られては、私たちの生活が食われてしまいますね。ご用心を。

2009年4月14日(月)


 トコトコ1人で通った幼稚園時代、それは時代が良かったから

私の幼稚園は、富士川幼稚園でした。今は廃園になってしまいましたが、伝統ある古い幼稚園でした。私は兄2人の3人兄弟ですが、みんな富士川幼稚園でした。母は気に入っていましたが幼い私は、この富士川幼稚園に行くのが結構つらかったようです。理由は簡単です。近所の友達が誰もこの幼稚園にはいなかったことです。近所には兄たちの時期にはなかった甲府幼稚園ができていたからです。そして富士川幼稚園はかなり遠かったのです。

   ・甲府幼稚園までは、    片道100

   ・富士川幼稚園までは    片道1km

   ・母校の新紺屋小学校までは 片道400m

 小学校区も異なる富士川小学校には、知っているお友達は誰もいないし、保育幼稚園バスはないし(この富士川幼稚園の園長さんは、ポリシーでその後も幼稚園バスを使いませんでした)、クループ通園からも私だけ外れていました。ですから毎日1人でトコトコ通園です。しかも、1年保育のみですから、みんなは友達同士でも、私は、まず1人からで、なかなか馴染まなかったという遠い記憶があります。

●冬のある日、雪がかなり積もった朝の通園でした。幼児の1人歩きの雪道ですから時間がかかってしまい遅刻してしまいました。幼稚園の入り口に着くと、もうお歌がはじまっていました。みんなのお歌に幼い私は気後れしてしまい、もとの道をトコトコ戻って家に帰ってしまいました。玄関で母にそのことを言うと、しかられて、その足で、また玄関からトコトコ1人で雪の道を戻って幼稚園に行きました。今度は、入り口では歌声が聞こえず幼稚園に入ることができました。50年以上の前の記憶はそこで終わっています。

●これは、いまでも残っている記憶ですから、辛かったのでしょう。この朝の雪道を3キロm幼児が1人で歩いたのですから・・・。当時の母は結構、子育てに厳しかったのでしょうか? 

●しかし、これもよく考えると、「時代が違うなー」と思います。まず、
交通事情が違います。調べてみました。自動車の保有台数ですが、正確な数字が手に入りませんでしたが、

ほぼ、今日と私の幼稚園時代とは30〜40倍ほどにも激増しています。

   ・1959年 山梨県で   2万1.393台

   ・1995年 山梨県で 62万9.499台

       ・2006年 甲府市で 15万2.011台

 そういえば、近所には、自動車や駐車場などは、まったくありませんでした。道路は子どもの遊び場のようなものでした。四つ角では、どきどき紙芝居もやっていて、子どもが道路に群がっていました。

●それに、どう思い起こしても
「不審者」問題は、ありませんでした。小学生時代でも、山やお城で行き会った知らないおじさんやお兄さんに遊んでもらったり、お菓子ももらったりした記憶はありますが、今でいう「不審者」にはあった事も聞いたこともありませんでした。この時代は、社会全体の人の心がすさんでいないで、のんびりしていたと思います。

●私の幼児時代でも、悲しいことも辛いことも、ほとんどなかったのでしょう。この雪道の通園のことがたぶんもっとも辛い思い出のようですから・・・。

●初めは戸惑った富士川幼稚園も、次第に慣れてきたようです。仲のいいお友達も出来ました。とくに、いまでも女の子の「れいこちゃん」のことは、いまだに覚えています。

 それが!昨年この「れいこちゃん」と再会したのです。50年以上たっていましたが「れいこちゃん」も「あっちゃん」のこと覚えていてくれました。まあ、再会といってもあまりにも幼い頃ですし、思い出もそんなにありませんから、そんなに話が弾むこともありません。でもお互いに幼友達として覚えていること自体がすごいことだと思います。

●やはり、私の幼稚園時代も、今と比べて良かったと思います。でも懐かしい昔にもどすことはできません。これからの今の社会をどうしていくのかです。今の子どもを守ることは、今の大人となった私たちの責任ですから。

2009年4月6日(月)


『救急車がいつになってもこない!』になりかねない消防の広域化


「消防力」という言葉をご存知でしょうか? ほとんどの方が、知らないと思いますが、私も議員になってから、初めて知りました。この消防力とは、警防・救急・救助・予防における消防活動を遂行する施設そして人員の力です。この力が不十分だと、その地域の安全性は保てません。
 そのため各自治体消防が本来持つべき消防力の目標勧告(取り組むべき整備要請)が『消防力の整備指針』(消防庁長官「勧告」)として示されています。


※もともとこれは『消防力の基準』とされていて取り組むべき「必要な最小限度の設備及び人員について定めるもの」とされていました。つまり「必要最小限度の基準」だったのです。それが、
2000年の「全部改正」で基準数を少なめに押し下げ、つづいて2005年の「改正」では『消防力の整備指針』として「必要な目標・指針」へと規制緩和されました。しかも消防と救急の兼務などが認められています。それでも、まだこの消防力にも充足していない自治体消防がほとんどなのです。


●この消防力が、山梨県はずいぶん低いのです。山梨県には10地区の消防本部がありますが、施設(署所・ポンプ車・はしご車・化学消防車・救急車・救助工作車など)でほぼ100%の充足率は甲府地区(甲府市・甲斐市・中央市・昭和町で構成)だけです。

 特に消防力で問題なのは、その職員数の不足です。甲府地区でも職員数の2008年度の消防力は72.7%でした。しかし県内ではこの職員数の充足率をみると、甲府地区はまだ良い方なのです。30%台の消防本部が県内では3本部もあるからです。

 常備消防力の人員の消防力充足率

        充足率    基準定数不足数

甲府地区     72.7%     122

東山梨      63.4%      60

峡南       56.8%      80

峡北       39.7%     167

富士五湖     46.5%     152

笛吹市      32.1%     167

南アルプス市   47.7%      90

都留市      43.8%      68

大月市      41.1%      86

上野原市     38.2%      84

  (2007年度 甲府のみ2008年度)

●この原因は、市町村自治体が自らの消防に予算をかけていないことです。そして、なんでもかんでも、行政コスト削減と人件費削減ばかりを目指してきた国の政治に問題があります。

 例えば、甲府地区消防本部では、2007年度の消防職員の数は、消防力基準だけでなく条例定数すら満たしていません。

・消防職員数    321

・消防力基準定数  447 (基準より122名減)

・条例定数職員   335人(条例より14名減)

 例えば、消防費の「基準財政需要額」(合理的かつ妥当な行政水準の財政需要を計算したもの)も各自治体ではみたしていません。

  ・甲府地区では、甲府市は「基準財政需要額」の86% その他の市は73

     (昭和48年からは甲府73%、他自治体は60%)

  ・峡北地区では、60

  ・富士五湖では、60

●これは、いままで自治体と自治体との広域消防行政で行っていますから、『基準財政需要額』を100%出さなくてもすんできたと思われます。
 しかし「基準財政需要額」の算定に用いられる「単位費用」そのものが減額になっており、地区内の人口減もありますから、「基準財政需要額」そのものも減額されています。

●特に、消防行政の財政難は、小泉改革で一挙に国庫支出金が削減されたことも大きいのです。

 甲府地区では、国からの地方交付税につながっている「基準財政需要額」に応じての

消防費の削減額は

  ・2004年度が1862万円削減

  ・2005年度が1751万円削減

  ・2006年度が7572万円削減 ※ 合併の影響で大きくなっています

     3年間で合計11185万円の削減額

 国庫補助金では

  例えば いままで補助金が出ていた消防車両更新3台分も

   2005年度と2006年度において3600万円が補助金対象外とされました。

●なおかつ団塊世代の消防職員の退職金を支出する退職年齢層ともぶつかりはじめました。したがって消防財政はどこも今までになく苦しくなっています。
 甲府地区では
2006年度より「赤字」になり、2007年度以降は各自治体へ臨時負担金で対応になりました。

●この消防力も低下させている消防行政の「財政上の逃げ道」が、常備消防本部の広域化です。

この広域化のもとは、2006年の総務省消防庁の告示『市町村の消防の広域化に関する基本指針』によるものです。明らかに小泉改革路線の消防版といえるものです。2008年には、これにもとづいて、さらに悪い計画を山梨県で出しました。『山梨県消防広域化推進計画』です。これは山梨では10の消防本部を1つにまとめる案ですから、かなり乱暴です。消防庁の告示では「管轄人口の観点から言えばおおむね30万人以上の規模を一つの目標とすることが適当である」としているものを、山梨県の計画では2012年までに『1消防本部を構築すべき」としていますから88万人規模の消防本部を考えていることになります。

●広域化によって「消防力」の充足率と「財政」の困難さを「解決」しても、実質的な消防力は低下するばかりとなります。特に山梨県の地形は、山あり谷あり、川ありです。道路の実情や消防用の水利も様々です。ひとり暮らしの高齢者も多い県です。簡単な数あわせで済まないことは確実です。

●「救急車はいつになってもこない!」「消防車が遅くて結局、何軒も燃え移ってしまった」「いつのまにか分署がなくなってしまった」−このようなことにならないように、しっかり声をあげていかなければなりません。

2009年4月2日(木)


 輝いていた私の学生時代の思い出、それに時代も良かった

●去年の夏に、20年以上も手をつけていないウチの物置を片付けていたら私の学生時代の寮生名簿が出てきました。その中に、卒業してから、一度もあっていないが親しかった友達の郷里の住所と電話番号が載っていました。38年も前の名簿ですから懐かしくて事務所の机にしまって置きました。今年の1月に「ここにいるわけないよな」と思いながらも、その友人の電話番号に電話をしました。そうしたらなんと本人が電話にでてくれたのです。
 こっちもびっくりしましたがその友達はもっとびっくりしたようでした。そこで少し長電話となりました。親や子どものこと、今やっていること、そして学生時代の昔話もして「あのころはよかった」「若かったから」などなど。電話の向こうからあのころと同じような笑い声が、何回も聞こえてきました。

●電話を終わってからも、なおしばらく昔の学生時代のことを懸命に考えつづけていました。しかも、それは4月になった今でもつづいてしまっています。
 あの頃は 自分の人生でもっとも輝いていた時代でした。多くの仲間と車座で飲んだり、雑魚寝をしたり、サークルの合宿や学生集会やデモに出たことも思い出しました。冬の暖房は、電気コタツだけ、暖かくなると素足にサンダルで学校にいきました。インスタントラーメンが主食の貧乏学生でしたが、あまりその貧乏に気がつきませんでした。それに今ではない、月15000円も特別奨学金制度の恩恵も私は受けていました。
 特に、この友達とは、気があいました。街中を、薄汚いジーパンとボサボサの長い髪で、自転車に乗って、一緒に走り回っていました。「おぬしのそばにいるとこっちも薄汚い格好になじんでしまった」とよく嘆いていました。読んだばかりの本の内容をお互いに知ったかぶりをして話しこんだことも何回もありました。

●そして、この友達に「借金をしているのではないか?」と思い出し始めました。ある時、私は自分の本棚の本に7000円を挟んでいたはずなのに、それがどこかにいってしまいました。私は貧乏学生でしたが本の数は当時もかなりありました。そして、その頃の7000円は大金です。私がものすごく困っていたら、この友達は「一緒に探してやる」と探してくれ「ほら、ここにあるじゃないか」と言って7000円を見つけてくれたのです。
 後になって聞いたら、「あれは、おぬしがかなり困っていたから、見つけたフリして貸してやったんだ」といいます。「エーほんとか?」と驚きましたが、根は優しいヤツだからそんなことやるかもしれないとも感じていました。しかし、その後、どうなったかよく覚えていないのです。つまり7000円を返した記憶がないのです。どうも・・・悪気もなく借りたままで卒業してしまったようです。

●実は7年ほど前、本の間にしまい忘れたその当時の7000円が出てきました。古い5000円札1枚と古い1000円札が2枚。あの話は本当でした。懐かしくて、うれしくて、記念として父(物故)や母、家族にこのお金を分配しました。でも私は当時借りた7000円を返していないのではないか? との思いも残りました。

●あの頃はよかったと思います。こんなやさしい友達がいたのですから。若いころの自分自身を思い出すといろいろな間違いや反省はたくさんあります。当時の大切な友達はいっぱいいたのに、今もって年賀状のやりとりすらしていません。今の年齢になってみると、大切な友達やその思い出も粗末にしていた自分自身の乱暴な心に強い痛みすら感じてしまいます。社会人になって毎日毎日の仕事に追われて、目の前しか見ることができない自分が20年も、30年も続いてきたのです。


  私の若い頃の時代のほうが、今の若者より恵まれていた

●あの頃の私は、幸せでした。私だけでなくあのころは、友達のみんなが輝いていました。もちろん若かったということもあります。でも、それだけではないと思います。あのころの時代もよかったのです。

●私の母や父の時代は長い戦争の時代でした。93歳の母の昔話は、いつも看護婦時代の苦しかった時のことと、恐ろしかった甲府空襲の話です。−楽しい青春時代の話などは聞いたことがありません。それでも亡くなった親友との話はよく出てきます。

今の若者はどうでしょうか? 「ニート」、「フリーター」、「ネットカフェ難民」、「派遣切り」などの言葉はこの社会にしっかり定着しています。非正規労働者は3人に1人となり、その中心が今の若者です。若者の自殺もおおくなっています。日本人の20歳代の死因の半分は自殺です。
 人生でもっとも輝いている時期に、私たちと同じように輝いているのでしょうか? 心やさしい友達はいるのでしょうか? 困ったときに、遠慮させないように助けてくれる人はいるのでしょうか? 

●今、私は人の思い出は何十年たっても少しも色あせないことを実感しました。緑がきれいだったキャンパスや寒くて汚いサークルボックス、夜遅くまでかかって作ったガリ版の研究会誌の匂い、仲間の話し声や笑い声、看板づくりの音など。この思い出はささやかであっても幸せだったし大切だったことを知りました。
 父や母の時のような戦争の時代や、今の若者を苦しめている生活苦と雇用不安で人と人が傷つけあうような社会的な状況ではなく、私の若いときは恵まれていたことがわかりました。

●時代と時代は、違うかもしれません。でも共通しているのは人間の社会です。変えることのできない運命ではありません。今が苦しい時代なら、それは今の政治と経済が悪いからです。私たち人間が今の政治経済を是正することで、必ず、その時代を改善できるはずです。
 私は、これからは若い頃の思い出を大切にして、これからも自分の持ち場でやれることは、やっていこうと改めて思っています。

●そして、あの当時の仲間たちの住所をさがし、せめて年賀状ぐらいは、やり取りしたいと思っています。
また7000円を貸してくれた友達には電話をかけるつもりです。「7000円は返していないよね? 良かったら利息も含めて、いつかあった時の飲み代にしようか?」というつもりです。どんな返事が返ってくるのでしょうか? あのころの笑い声がまた電話から聞こえてくるようです。

2009年3月31日(火)


 救急車・消防車が遅い山梨で消防本部の統合は極めて不安


●報道によると「山梨県内の消防本部(署)の救急車が、通報から医療機関に患者を収容するまでにかかった2007年の平均時間は32.9分で、過去10年間で最も遅かった」(『山梨日日新聞』3月30日付け)ことが総務省消防庁のまとめで分かったといいます。
 これは、「医師不足の影響で救急患者を受け入れる医療機関が減少、管轄外に搬送せざるを得ないことが背景にあるとみられ、搬送時間は10年前に比べ5.1分も延びた」のことです。また「通報から現場到着までの時間も全国ワースト4位の8分で、救急体制の拡充を求める声が強まりそうだ」とのことです。

●山梨県の救急車は、つまり時間がかかるということです。それは、報道にもあるように、医療機関が少なくなっていることと、県内に10ある各消防本部の機能が、充実していないことが上げられます。

●実は、救急車の遅い県内の10の消防本部が、2012年度までに
「県内1消防本部」にする構想(『山梨消防広域化推進計画』)が進められています。これは行政コストの削減を狙う小泉改革の消防版です。

 この消防本部の広域化が進むと消防と救急のコスト削減がいきなり進むことになります。『消防力の整備指針』という基準が定められていますが、この指針の基本は人口数に応じて、それぞれの消防職員数や消防ポンプ車の数や救急車の数の最低数がきめられています。県内の消防本部はその充足率が極めて後れている状態で改善が強く求められています。しかし広域消防本部となると、その充足はしなくてもいいばかりか、場合によっては、整備水準の削減すらできてしまうのです。

例えば、消防署の管理する消防ポンプ自動車数は
    人口3万人なら   3台ですが
       その10倍の人口は30台とはならず
    人口30万人なら  14台ですみます

例えば、救急自動車は、
    人口3万人なら  1台ですが
       その10倍の人口は10台ではなく
    人口30万人なら 7台ですみます


●こういった広域消防本部では、消防行政のコストダウンはできても、整備水準が必ず低下します。県内の時間のかかる救急車や消防自動車は、さらに時間がかかるでしょう。市民の安全と安心を守るためにも、私は消防本部の広域化には、NO!で議論をはじめています。

2009年1月29日(木)

 私たちは既に多くを学んでいます!だから変えたいのです

●1月28日の麻生首相の施政方針演説は、批判も多いものの今の情勢において、今までの首相以上にその演説は注目されたことは事実です。それは、金融危機、物価高騰、失業者の激増の情勢だけに「国の政治はどう対応するのか?」と切実な関心が寄せられたからです。

●しかし、報道も含めてその評判は良くありませんでした。私は、特に今の日本社会の混乱と低迷、格差と貧困の状態を、
自らの政治が強く招いたことに対しての責任や反省が「見えないことがおかしい」と思いました。私には、麻生首相の演説が『100年に一度』『今回の世界的な金融危機』等と繰り返すたびに、どこかのよそのおかげで「日本も大変なことになった」「トバッチリを受けた』的な主張に聞こえてならないのです。確かに「サブプライム問題と世界不況」の問題もありますが、日本社会は、その前から小泉改革の5年間半のなかでフラフラになっていました。このフラフラの状態にさらに追い打ちがかかったのですから事態は深刻です。

3月末までに製造業で働く派遣や請負労働者の失業は40万人をこえると予測されています。大変な社会情勢です。これに対する「真剣な取り組みをはじめた」とは言いがたいものです。自慢されている雇用対策も1600億円ですから、自衛隊のイージス艦一隻分でしかありません。雇用対策の基本は、派遣切りや解雇の乱用などの大企業の横暴を許さない労働法制の確立

 もし本気で景気対策をするなら定額給付金ではなく消費税を期間限定でもいいから停止した方が、効果があると思います。

●でも、
共感した言葉もありました。「政府は何をなさなければならないか。私たちは、この点についても既に多くのことを学んでいます。それは、『官から民へ』といったスローガンや、『大きな政府か小さな政府か』といった発想だけでは、あるべき姿は見えないということです」という部分です。

 この間「官から民!」「官から民!」と国を挙げての大合唱が繰り返されていただけに、これは是正方針と受け止めたいものです。「かんぽの宿」問題もそうですが郵政民営化も含めて、自治体の公的責任を放棄するさまざまな下請け業者任せも、さまざまな弊害を明らかにしています。また、この「官から民!」「官から民!」で国民生活はかなり押しつぶされ、セーフテイネットもズタズタになったことも事実です。

●でも、是正方針とは残念ながらならないと思います。なぜなら、その責任ある
反省=総括がないからです。
 自治体段階の公立病院でも、いまだに根拠もない「官から民!」が行われているからです。山梨の県立病院は、職員は公務員身分であっても独立行政法人という民間病院になることが決定されました。甲府市立病院も医師不足のなかで経営が厳しくなっているだけに「官から民!」を主張する人もでてくるでしょう。

 具体的な是正を行うには、これからの私たち国民のとりくみいかんです。私たち国民は「何をなさなければならないか。私たちは、この点についても既に多くのことを学んでいます。」それは、今の政治の流れを変えることだと思います。