今日は整体指導についての、ごく初歩の問題を説明したいと思います。まず、整体とはどういうことかという問題から入るべきでしょうね。
1 整体は無病ということではない
普通、体が整っているということを健康ということと結びつけて考えています。確かにこれは間違いないのですが、では健康とはどういうことかというと、それを無病ということと結びつけている人がいる。その為に、「病気になったら、もう健康でなくなった」と思う人が沢山いるのです。
ところが整体という観点からすれば、病気があるということは整体であることと矛盾しない。たとえ病気になっても整体は整体なのです。というのは何故かというと、悪い物を食べて吐いたとか、下痢をしたとか云っても、それは胃袋に、そういう悪い物に対して正当防衛をする力があったということであり、胃袋は丈夫だった、腸は正常だったと云うべきですから……。それを吐いたから病気になったとか、お腹を毀したとか言って騒いでいる。ちょっとおかしいですね。バイ菌が入ってくれば熱が出、喉にゴミがひっかかれば咳が出るが、それらも皆、体の機能が正常に発揮されたからであって、体がまともだったらそうなるべきなのです。細菌類は三十六度五分だと急速に繁殖する、しかし熱が四十度も出ると、それっきり繁殖できなくて消滅してしまうのだから、体はバイ菌が繁殖しにくい状態を素早く作ろうとして熱を出すのです。
また太陽光線は長い間、万物を育てる力があると考えられてきましたが、六十年位前から、太陽光線の中でも紫外線は、過剰に与えると害があることが判ってきて、紫外線を防ぐにはどうしたらいいかということが問題になった。黒い物質で被えば紫外線が入ってこないということが発見されたのはそれからのことですが、人間はこの世に生れた頃から、強い日光を浴びれば色が黒くなってきたのです。