「伊藤若冲 アナザーワールド」篇

   

  

伏島 静岡市は、同じ静岡県内でも、熱海市とはまた雰囲気が違い、のんびりとした感じがありました。

 食事をした後、再び車に乗って、静岡県立美術館の方へ移動。
 場所は、中心部から車で15分ほど行ったところの駿河区谷田。坂を上った丘の上、森の中にある美術館でした。

    

  

   

伏島 美術館と駐車場は、少し離れていますが、木が沢山あり、何とも言えない木の香りと新緑とを楽しみながら歩いて行きました。

  

  

   

  

     

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「伊藤若冲 アナザーワールド」を観覧。展覧会の終了日が近いせいか、平日のわりには人も多めでしたが、混み合うほどではなく、のんびりと観覧できました。

       

「伊藤若冲 アナザーワールド」パンフレット 裏面より

    

伏島 今回、若冲の描いたものの中で印象に残っているのは、「対象物に対する細やかな観察」と「水墨画」です。

 これまでの若冲の印象は、鮮やかな色を使って描かれている動物、植物でしたが、若冲の描いた多くの水墨画に触れたのは初めてでした。実際にはまだ、正当な評価を受けてはいないという解説もあり、その理由はよくわかりませんが、他の水墨画に比べると独創的なものでした。

 墨の濃淡のみで鶴や亀などの動物、人物の表情、野菜、草木が本当に活き活きとダイナミックに描かれており、かつ繊細な部分もあり、その調和はとても印象的でした。

 その後、ロダン館を拝観しました。かの有名な「考える人」「地獄の門」などの作品を鑑賞し、改めて、いつも勉強している東洋、西洋の違いをはっきりと感じさせられました。

       

        

五輪 静岡県立美術館・伊藤若冲展、もの凄い緻密な絵、絵から抜け出して飛び出してきそうでした。水墨画の勢いのある筆使い、濃淡だけで硬くも軟らかくもなる。

 雪の降った山を見て「水墨画みたい」といっていた自分が情けなくなりました。

           

「伊藤若冲 アナザーワールド」パンフレット 裏面より

        

近藤 その日の午後はあいにくの空でしたが、駐車場から美術館へのプロムナードは新緑が美しく、葉っぱの緑が溶けて、流れ出しそうなほどでした。

 若冲の画く鶏や、鹿などの動物、昆虫、海老、鯉。それから野菜やいろんな植物は、本ものよりもなまめかしく、若冲に新しいいのちを与えられ、時を越え、いきいきと絵の中に生きていました。

 緻密な写実と大胆な線が組み合わさっていて、その余白までもが生き生きとした空気に充ちています。遠目に見ても、絵の中の生きものたちは、ひとつひとつが浮き立つようでした。

 それにしても、四十代から絵師として本格的に活動を始め、七十位から真骨頂とも言える画風を確立するとは。しあわせな人だったのだなあと思いました。当時としては、とても長生きをした人のようです。

 このごろとみに、東洋の美術にひかれます。前は西洋の美術も好きだったのですが、やっぱり東洋がいいようです。見ていると息が深くなり、落ちついてきます。

 また機会があったら、自然、美術、いろんなものを観に行きたいと思いました。

      

       

勝俣 どの作品も息の長さを感じさせる。特に水墨画は大胆なデフォルメと、鳥の羽や木の枝のように非常に細かい手の込んだ作業とが融合しており、画と言うより書を見ているような感じがした。

 陰影のある作品も通常とは違う感性で描かれており、目が離せなくなった。

 また色彩画も大きい作品ではわざわざ升目を書いて描いており、紙とは違うタイル画のような風合いで、手の込みようといい発想といい感性の違いを感じた。

 個人的には「波」の描き方が好きだ。

 若冲展の後にロダン館を見ると、とても重い。

              

 

「伊藤若冲 アナザーワールド」観覧チケット より 

          

権上 伊藤若冲さんの水墨画を見て白黒だけでここまで表現できるんだ驚きました。本物の水墨画自体を見たのも初めてに近かったので、まずそう思いました。

 若冲さんの絵は、すごく繊細な細かな部分と大胆で大きく自由な部分があわさっている感じがすばらしかった。

 時代順に見ていってさまざまな技法というか、いつもいろんなものを素直に取り入れていく、柔軟な感性はすごいなあと思いました。

 固定観念にとらわれない構図や余白をうまく使った絵、が多くその中に遊び心というか楽しさ、が感じられた。

 こういう何ものにもとらわれない絵をみていると、自分は型にはまった捉え方をしていることが多いなあと感じ、自分も体を緩めて弾力のある身体になり、自由な観方ができるようになりたいと思いました。

 そのあとロダン館の方もみました。若冲さんの絵を見た後だということもあったと思いますが、ロダンの像からは険しい感じがして、すごい迫力でした。こういうところにも西洋と東洋の違いがあるのかと思いました。

   

       

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* 静岡県立美術館は、世界で屈指のロダンコレクションを納めた「ロダン館」で有名です。

  

「ロダン館」パンフレット より

   

* 光量を落とした若冲の展覧会場とは一転、ガラス屋根のもたらす明るく広い空間に、「地獄の門」「考える人」「カレーの市民」など、ロダン彫刻32点が常設されている光景に、不思議な感覚を味わいました。

     

「ロダン館」パンフレット より

  

「和」のものから「洋」のものへ、あまりの違いに、全身の感覚が戸惑っているような・・・感じでしょうか。

     

「ロダン館」パンフレット より

    

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 若冲とロダンを満喫して、最後は恒例の、全員で記念撮影!!

  

      

  

☆ 「静岡県立美術館」のホームページ 
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/

  

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* 午後3時過ぎ、美術館を出発。また国道一号を、熱海に向けてひた走ります。

   

     

* 行きよりも道は空いていて、道中はスムースでしたが、静岡を離れるにつれ、また雨が降り出し、函南あたりは土砂降りでした。

     

   

* 午後6時半頃、道場到着。あっと言う間の、食と美の芸術な一日でした。

     

      

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