シンハラ語Q and A / かしゃぐら通信index

「かどわす」と良く似たシンハラ単語の正体は?

Q17 『熱帯語』の中で、著者はシンハラ語の新聞記事を引用して『日本語の”かどわかす”とよく似たシンハラ語の単語があると言っていますが,その記事を詳しく紹介してもらえませんか。『日本人がシンハラ女性を買う』といったセンセーショナルな記事を引用していましたので。

  『われらが花嫁,迷いたり』(p.245)の部分ですね。確かにショッキングな記事でした。シンハラ語の日刊紙ディワイナのトップを飾った記事でした。

 「
かどわ-かす(古語で「かどわ-す」」に対応する「カンダワ-ナワ」はシンハラ文字でカンダ-ワ-ナワ 呼ぶ 誘うと書きます(シンハラ文字の読みはその文字の上をマウスでポイントして確かめてください)。『熱帯語』の中でお話しましたが、カンダワ-ナワは本来は「声を出して呼ぶ」という意味,それが「誘う」となって、「カンダワ-ゲナ-エナワ」という複合語の形で「誘って-連れて-くる」となります。
 シンハラ語も日本語のように、動詞の語幹と活用部分の間に「わ」の音節を入れて使役を表しますから,「かどふ」の「かど」、「カンダワナワ」の「カンダ」までが活用しない部分ー語幹/語根と考えてかまいません。
この単語は記事の後半に出てきます。ディワイナの記事はバック・ナンバーを検索できませんから、インターネットで記事を呼び出しパソコンで確認するという作業が今のところできません。左の写真はその記事です。

 始めから記事をたどってみると『熱帯語』の中で指摘した『日本語の古文まがい』の単語が記事の中に幾つも登場するのが発見できます。「なれど」とか、意思を表す「〜む」の用法だとか,その他,「言う」につながる「キウ-」であるとか……。シンハラ語の中の文化語の類いにはパーリ語やサンスクリット語から入ってきていますから日本語とかけ離れた感がありますが、そうした「高尚な」単語たちを結んで言葉の意味付けをする「普段着の」単語群は、日本語で普段使っているものとよく似ています。 


『われらが花嫁,迷いたり』は日本のマスコミも国際結婚にまつわる事件として取り扱いました。詳細はこちらへ