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kenharu流
燻製の作り方
レシピというよりは、「こんな風に作った」という記録です
自作の燻製器を使っていますが、
温度条件が近ければ、どんな燻製器でも構いません

サバの燻製
シシャモの燻製
牡蠣の燻製
スペアリブの燻製
鶏モモ肉の生ハム風
スモークサーモンの作り方
筋子の燻製
チーズの燻製
ビーフジャーキーの作り方
ポークジャーキーの作り方
ベビーホタテの燻製


基本的なこと

塩加減について
漬け込み液の塩加減は、後で塩抜きをしなくても済むように、薄めにすること。
塩辛すぎると水で塩抜きすることになるから、せっかく入れた調味料や素材の旨みが一緒に抜け出てしまう。
特に旨味の逃げやすい牛肉などは、塩抜きはしない方が美味しい。
冷蔵庫が無かった時代は、保存性が最優先だったから、いったん食材の中心部までしっかり塩分をしみこませる必要があったのだろうが、現代の燻製では、保存性よりも美味しさを優先すべきだろうと思う。
また漬け液は、塩とハーブを中心にした伝統的なものよりも、醤油・酒・塩麹・味醂などの発酵調味料をベースにした方が日本人の味覚に合う。
  
風乾前には、必ず味見をして塩加減を調節をする。
薄すぎたら、後で軽く振り塩するか醤油を上塗りすれば間に合うし、それを燻煙後に寝かせれば塩分は均一に馴染んでくれる。
だから、一般に言われる「塩抜きで塩分を調整する」という方法より、下味つけは塩分を薄めにしておいて、最後に塩分を加えることで調節するのが良い。
塩加減は、濃くても薄くても不味く感じるから、大切である。



燻製の温度について
燻製には熱燻(100度前後)、温燻(50〜70度付近)、冷燻(およそ25度以下)がある。
熱燻というのは「燻製の香りがついた焼きもの」というイメージで、食感は焼き魚や焼肉に似ている。
冷燻というのは、塩漬けした食材に燻煙をかけて生食するものだから、これもイメージしやすい。
ところが温燻というのは、普段経験することの少ない、特殊な温度帯での調理方法なので、かなり様子が違う。
例えば、ニワトリやサバを温燻にすると、肉部分は独特な食感に仕上がり、皮は硬くて噛み切れなくなる。



燻製器について

簡易燻製鍋2階建て式燻製鍋据え置き型のスモークハウスを使っている。

鍋は、火力が強くて燻煙も良くつくので、熱燻に向く。
一握りのチップしか使わないので安上がりでもある。

鍋の欠点は、素材から落ちた汁が焦げ付いて、その臭いが燻煙と一緒に燻製につくこと。
なので、お薦めはチップ補充も簡単な2階建て式燻製鍋である。

据え置き型のスモークハウスは、温燻と冷燻に使用している。
冷燻温度は25度以下だが、大きなハウスだと、冬場はスモークウッドで冷燻が可能だ。
なおスモークウッドは立ち消えしにくい物を選ぶことをお薦めする。




サバの燻製の作り方熱燻と温燻)

ボクはいつも、脂の多いノルウェー鯖を使う。
買ったままの薄塩サバをそのまま燻製しても構わないが、下味をつけないと、「香りのついた焼き魚」にしかならない。
醤油・酒・塩麹・味醂などの発酵調味料をベースに一晩漬け込む。

風乾か扇風機で乾かす。表面が乾けばオーケー。
オイルを塗って、二階建て燻製鍋で15分、90度前後で熱燻。
皮を下向きに置くと、肉汁が溜まって汚れになるので、皮面を上に向けて置く。
煙がとまったら、チップをつぎ足す。

100度以上にすると皮が縮んで剥がれてくるので注意。
90度以下だと皮が縮まないし、肉質もしっとりと仕上がる。

一日以上寝かせてから、温めて食べる。
普通の焼魚より美味しい。




写真は70度で2時間燻した「温燻」もの。

70度まで下げると、出来上がりも別物になる。
熱燻よりも肉質はしっとりとして、特に血合いの部分には独特な旨さがある。
ただし、皮は固くて食べられなくなる。




シシャモ燻製の作り方(熱燻)



買ったままのシシャモを燻製鍋に入れて、中火で10分燻煙をかければ、黄金色に変身する。
すぐに食べるのが一番美味しいが、冷めたら軽くチンすれば良い。
なお、きちんと漬け汁で味付けしたものは、もっと美味しい。




牡蠣の燻製の作り方(熱燻)

作り方は簡単なのに、牡蠣の燻製は旨い。
そのまま温めて食べるのも旨いし、チャウダーに入れるのもいい。

生食用牡蠣は味が落ちるので、必ず加熱用を使う。
最初に牡蠣を茹でるが、冷凍牡蠣の場合は完全に溶けてからにする。
牡蠣を軽く水洗いしてから、3分間ほど茹でる。
茹で汁は濃厚なだし汁として、いろいろ使える。

茹でた牡蠣を漬け汁(醤油、酒、味醂、塩麹、ニンニク、ハーブ、スパイス)に漬け込む。
牡蠣には醤油味が合う。
加熱したものを漬け込むので、手軽に塩加減の味見が出来る。


一晩漬けたら塩加減を味見して、薄味過ぎるなら、醤油か塩をふりかけてから風乾する。

表面が乾けば準備OK。

燻製鍋に入れて、中火で燻煙をかける。

牡蠣の作り方は冷燻、温燻、熱燻と、人によって違うようだ。
熱燻は短時間で燻煙がよくつくが、高温のために牡蠣が水分を吐き出して、小さく縮む懸念がある。
冷燻や温燻だと縮む心配はないが、燻煙のつきが悪く、白っぽい仕上がりになる。

ボクは短時間の熱燻にしている。
温度を90度以下に抑えて、短時間で仕上げる。

まず弱火にして、牡蠣本体を温める。
牡蠣が温まったら、チップを入れて中火にし、燻煙が出始めたら細火にする。
7分ほどでチップが燃え尽き、煙が止まれば終了。
色づきが少なかったら、もう一度燻煙をかける。
牡蠣は黄金色に変身。
 
温燻では、なかなかこんな色にはならない。

オリーブ油に潜らせれば出来上がり。

出来たての熱い一粒をほおばると、あまりの旨さに言葉も出ない。
「・・・・!」←絶句
悪魔が宿るような美味しさとは、まさにこのことだ。
冷蔵庫で数日寝かせて、内部まで燻製風味を浸透させる。
オリーブ油漬けにして保存するのも良い。





スペアリブの燻製の作り方(熱燻)



スペアリブは後で食べやすいように、包丁を入れておく。味も沁みやすいし、火の通り具合が分かりやすい。
手抜きをしたければ、塩コショウをして一晩寝かせたものでも間に合うが、やはり発酵調味料にハーブなどを入れた漬け液を使ったほうが美味しく出来上がる。
醤油・酒・塩麹・味醂などの発酵調味料をベースにした液に、1日以上漬け込む。

漬け終わったら、切り取って味をみて、必ず塩加減を確認する。
塩加減をちょうどよくしたら、香辛料を振りかけてから、風乾か扇風機でお好み程度に乾かす。
急ぐなら表面が乾けばオーケー。

温度管理の出来るスモーカーなら熱燻温度で1時間ほど。簡易な燻製鍋なら中火で20分以上、燻煙をかける。
スペアリブは、骨に断熱性があるので、火が通るまで時間がかかる。
火が通ったかどうかは、包丁の切れ目を箸で拡げて見れば分かる。
骨ぎわまで火が通った時に終わりにすれば、表面は熱燻だが、中心部分は温燻仕上がりになり、食感が良い。
ラップして冷蔵庫で1日以上寝かせて、燻煙をなじませれば完成である。




鶏モモ肉の燻製・生ハム風(熱燻)

鶏モモを漬け汁(塩、醤油、酒、味醂、ニンニク、ハーブ、スパイス)に1〜2日ほど漬け込む。
漬け上がったら塩加減を確認して風乾。
ボクは二階建て鍋で燻煙をかけている。この燻製器は中火にすると、鍋内の温度を90〜100度程度にコントロール出来る。
開いたモモ肉を90度で燻せば、肉の内部温度は75度ぐらいになるようだ。
約20分燻煙をかければ、独特な生肉風味の燻製が出来る。
なお、調理温度が低いので、鶏の皮は硬い仕上がりになる。

冷蔵庫で寝かせてから、薄切りにして酒の肴に。


冷凍保存する場合は、数日寝かせて馴染ませてから冷凍庫へ。






スモークサーモンの作り方(冷燻)

ハーブ類(ローズマリー、ローリエなど)を少量の水で煮て、漬け汁を作る。
ポリ袋に、生サーモン(刺身で食べられる新鮮なもの)と漬け汁を入れて、総重量比4〜5%の塩を入れる。こうすればやや薄味に仕上がる筈だ。
さらに日本酒、砂糖、醤油、味醂、塩麹。それにハーブ類、オールスパイス等をお好みで加える。
ポリ袋の空気を抜いて寝かせる。
タッパーなどの容器を使わずに、ポリ袋を使っているのは、漬け込み液を節約するためである。



一晩漬けたら、必ず塩加減を味見して、しょっぱすぎたら洗うか、水に数分漬けるなどして調節する。薄すぎた場合は、燻製する前に軽く振り塩をすれば間に合う。
水分を拭きとったら風乾する。
ボクは風乾に扇風機を使うことが多い。
天気が悪ければ、冷蔵庫で干すという方法もある。

干せば干すほど肉質が締まって硬めに仕上がる。
ボクは水分の多いのが好みなので、扇風機を短時間当てて、ごく表面だけを手早く乾かす。

表面が乾いたらオリーブオイルを塗り、燻煙をかける。
オイルを塗れば乾きにくいし、燻煙のつきも良くなる。
25度以下で4〜6時間程度冷燻し、ラップをかけて冷蔵庫で1〜2日寝かせる。



スモークウッドを使って、25度以下で燻煙をかけられるのは、外気温が低い時期に限られる。
また、スモークウッドは、すぐに消えてしまう銘柄があるので注意。





筋子の燻製の作り方(冷燻)

これはマス子の燻製

マス子の醤油漬けには、たまに塩辛くないものが売られていることがある。
これを使うと、美味しいのが簡単に出来上がる。
マス子に、オールスパイスを振りかけ、6時間ほど冷燻する。
あとはラップに包んで、冷蔵庫でなじませれば完成。

ボクは毎年サケ釣りをしているので、自分で釣った鮭の卵を薄味の筋子にして冷凍保存し、冬季に冷燻している。
これは鮭子の燻製

カラスミやキャビアより美味しいかもしれない。
濃厚なので酒の肴向き。
薄塩の筋子が手にが入るのなら、是非作ってみたい逸品である。





チーズの燻製の作り方(熱燻または温燻)

写真は熱燻したもの。温燻だともっと薄い色になる。

割安で手軽な、6Pチーズの燻製。
鍋などの簡易燻製器で簡単に作れる。
いつも雪印のを使っているが、銘柄によっては熱で溶け落ちてしまうのがあるので要注意だ。
雪印の場合は、短時間なら100度近くまで熱しても溶け落ちない。

作り方は「シシャモの燻製」と同じで良い。
少々振り塩をしてから網に載せ、燻煙をかけるだけ。
チーズがとろけて、焼き網に食い込むので、必ず油を塗った割り箸の上に載せる。

作りたての熱いうちか、電子レンジで軽く温めて食べれば、面白い味が楽しめる。
レンジはごく短時間にして、破裂しないよう注意。
冷めたものは、もとのチーズよりも不味いかもしれない。

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