私の履歴書 (前篇)

2001.03.31

 って別に日本経済新聞の連載記事ではなく。
 半年振りの新ネタです。
 新ネタとはいえ、内容は過去を振り返ってるだけなんだが。
 「Queer Japan vol.4」の「異世代 釜 コミュニケーション」を読んで、今の 20歳くらいのゲイの考えを知ったり、バスの中でゲイの大学生どうしの会話を聞いたりして、自分は昔どうだったかなぁと考えたりして。
 で、そのことを書いておこうかな、と。まあそんな感じで。

はじまりはそもそも

 いつ頃からオトコが好きだったかと考えてみれば、小学生の頃には既に自覚はあったわね。合宿の風呂とか楽しみだったもの。同級生の裸を見るのが。
 後にその光景を思い出しつつオナニーしたりして。
 誰かに聞いたか何かで読んだ話なんだけど、男の場合、オナニーの対象で性指向が判別できるんだと。

 これが正しいとすると、私の場合は完全なホモセクシャルなんだわ。女の裸じゃ使えないんだもの、ネタとして。

恋愛以前

 そんなわけで中学生の頃は、男の裸、っていうか露骨に言ってしまえばちんぽを想像しながらオナニーする日々が続いたのね。
 で、この頃って誰かを好きになってたわけじゃないのよ。
 ガタイ良さげな先輩とか、体育の教師 (お約束) の裸を想像して興奮してた記憶はあるんだけど、なんつーの、つきあいたい、とか抱かれたいとかキスしたいなんてことは考えてなかったと思う。
 何考えてたかと言えば、他人のちんぽ触りたいとか、握りたいとか、咥えたいとか、射精するのが見たいとか。かなり即物的な性欲で満ち溢れてたような気がする。
 まあ、ヤリたい盛りの中学生だものね。
 「さぶ」の存在を知ったのはこの頃なんだけど、自分で買おうって発想はなかったな。
 だいたい中学生の小遣いで買うには負担が大きいし、どこで売ってるかも知らないし、仮に近所の本屋で売ってたとしても、買う勇気なんてなかったでしょう。
 欲しかったけどね。
 だからこの頃には既に、自分はホモだって自覚はあったわけよ。
 それが「いけないことだ」という思いもあって、大人になったら女と結婚するんだろうな、などと真面目に考えてたわ。

 そして高校 2年くらいからかな。
 隣のクラスに気になる子がいて、体育の授業 (共学だったので、 2クラス一緒に男女に分かれてやってた) で一緒になったりするとドキドキしてたわ。
 下校中に見かけて、後をつけてみたりとか。ストーカーじゃん。
 ただそれも、「好き」って感情とはちょっと違ったんだろうな。正確には、「お気に入りのズリネタ」って存在だったと思う。
 彼女なんてものが出来たりしたけど、別に彼女が好きだったわけじゃなくて、「彼女持ち」って状態になって優越感に浸りたかっただけだったわね。オナニーするときに想像するのは彼の裸だったし。

ノンケ惚れ

 大学に入ってしばらくは、とにかく彼女作ってセックスしちゃおうと思ってました。
 入ったサークルには、カップルもいっぱいいたし。親元を離れて一人暮しを始めたから、部屋に連れこんじゃえば出来る状態だし。
 ただね、ほんとに女とセックスしたかったわけじゃなくて、女と経験しちゃえば、男に対する興味もなくなるんじゃないかというバカな考えがあったのね。
 あと、童貞でいることへの焦りとか劣等感とか。今考えればバカみたい、っていうかバカなんだけど。
 まあ、そうやって女の子に目を向けようと努力してたわけよ。
 その割には、銭湯で男ウォッチングするために、眼鏡をやめてコンタクト作ったりしてたんだが。見たいものは見たいのよっ。

 そして20歳の誕生日にも書いたように、彼女ができて、半年くらいで別れて、自分はホモとして生きていく覚悟を決めざるを得なくなって。
 そして気がつくと、サークルの後輩を好きになってました。
 会えないときには彼の顔を見たくて、会えば彼と話したくて、彼のことをもっと知りたいと思うようになって。今までの「お気に入りのズリネタ」としての執着とは、全く別次元の思いを抱えていたわね。
 いや勿論、ズリネタにも使ってたけどさ。
 でも、好きだと伝えることも出来ず、ただサークルで会って、他愛のない話をするだけで自分を満足させてました。だって相手はノンケだもの。
 不毛だとは思っていたけど、だからといって何もできなかったわね。
 まあ、そこで何かしちゃってたら、ホモと罵られてサークルから追い出されて・・・と、悪い想像ならいくらでも可能。
 実は相手も自分のことが好きで、なんて出来の悪いヤオイみたいな妄想が許されるほど、現実は甘くありません。

「さぶ」購入、そして初体験

 はっきりとは覚えてないけど、たぶん大学 3年の頃。
 外出先からバイクで帰る途中で、たまたま立ち寄った古本屋で発見したわ。
 山のように積まれた「さぶ」、「薔薇族」、「アドン」のバックナンバー。(サムソンもあったと思うんだけど視界から除外)
 爺さんが店番やってるような小さな古本屋だったけど、買うまでは 1時間くらい迷ったわね。やっとの思いで「さぶ」を一冊買って、逃げるように帰宅。ここで事故ったらシャレにならないと安全運転を心がけつつ、早く読みたくて大急ぎで。

 「さぶ」を選んだ理由は、やっぱり名前だけは知ってたからね。
 「薔薇族」は、なんか表紙が気にいらなくて。「アドン」に至っては、表紙じゃ何の雑誌かわからなかったのよ。

 そして帰ってから抜きました。
 ええもうサルのように。覚えたてのガキのように。
 この一冊だけにしておこうかと思ったんだけど、やっぱり最初の興奮なんてのは徐々に薄れるもので、その後も、その古本屋には何度もお世話になったわね。

 「さぶ」を読むようになって、ハッテン場なるものの存在も知ったけど、まだ足を踏み入れる勇気は出なかったわ。
 そもそも、そういうところに行ってどうすればいいかもわからなかったし。
 二丁目にも出る気は全くなかったわね。酒飲めないし、くねくねしたおねぇさんがオネェ言葉で騒いでる街ってイメージしかなかったの。すごい偏見。
 でも、なまじ雑誌でいろいろ知ってしまったために男とやりたいという思いは日々強くなる一方。

 ちょうどそんな、欲望が臨界点に達してたようなタイミングで。
 近所の銭湯で、まあ、何ていうの、いわゆる短髪ヒゲガッチリ系の兄貴に誘われて、めでたく初体験を迎えたのよ。
 それにしてもあのオッサン、普通の銭湯でよくもまあ、ノンケかもしれない学生を誘う気になったと思うわ。
 それとも、見抜かれてたのかしら。

 ああ、書いてるとどんどん長くなる。
 中編に続く。


極楽通りに戻る | ホームページに戻る

ご意見、ご感想はけーたまで