イーシャの舟

妖怪が封じられているとされ、「入らずの山」となっている山に産業廃棄物処理場が作られようといていた。工事は順調だったが、「異変」が起こった。
妖怪が現れ、重機をなぎ倒し車を放り投げ、大暴れを始めたのである。工事関係者は我先に逃げ出した。
工事の責任者、加賀山和美は逃げる際に重要なファイルが入ったパソコンを現場に忘れてしまい、通りかかった宮脇年輝に回収を依頼する。
翌日、年輝の家に妖怪が現れたのだが……。

「星虫」「鵺姫真話」と合わせて三部作となっている。
劇中の時間軸は「イーシャの舟」→「星虫」→「鵺姫真話」の順に進んでいるが、できれば発表順に「星虫」→「イーシャの舟」→「鵺姫真話」で読んだ方がいいと思う。
「星虫」と同じく加筆修正が入っている、とのことだが、新潮社版は未読なので不明。
いい話なのだけれど、キャラクタがベタベタ過ぎて私は十分には楽しめなかった。悪く言えばキャラクタに厚みがないのだ。「おとぎ話」なのでこれでいい、という考えもあるか。また、ストーリー展開が他の2作に比べて、どうしても弱い気がする。

書名:イーシャの舟
著者:岩本隆雄(あとがき)
カバーイラスト/本文イラスト:草薙(正しくは弓偏に上が前下が刀)琢仁
カバーデザイン:渡辺恭子
発行所:株式会社朝日ソノラマ
印刷製本:図書印刷株式会社
初版発行:2000年11月30日(新潮社版:1991年)
ISBN4-257-76919-X C0193
形態:文庫(ソノラマ文庫919 い-7-3)
定価:本体619円+税