ここは、修道僧が外部の俗世界からラ・トゥーレットへ入り、見習僧のゾーンから 共用領域へ下り、教会堂へ入り、最後に正式に任命された修道僧がミサをあげる礼拝堂へと到達する、聖職者になる道筋と同じ意味あいをもって計画されました。
ラ・トゥーレット修道院に込められた精神を理解するには、感触、特質を肌で感じるだけでなく、ル・コルビュジエの最初のひらめきの建物であるシトー派修道院とのかかわりを重要視しなければいけません。なぜなら、彼は過去こそが「唯一の真の師」と明言しているからです。過去の歴史をただそのままではなく、注意深く置き換え、抽象化し再現していく彼の作風は、伝統を再認識し、現代と融合することであり、21世紀にも通じる手法と思われます。
私が訪ねたル・コルビュジエ作品は、歴史をふまえ、それらを抽象し、独創的に表現していました。 |
H教会堂にある礼拝堂
(天井・光の大地からの間接光) |
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