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No.61 北八ヶ岳
ピラタス蓼科ロープウェイを使って標高2237mの山頂駅まで登り、ここから縞枯山〜西天狗岳の北八の稜線上を歩き、唐沢鉱泉を経由して渋の湯まで、一泊二日の山旅を楽しみました。昨年もほぼ同時期に八ヶ岳へ登りましたが、昨年と比べ今年は残雪が多く、北斜面の樹林の中の登山道は雪の上を長く歩くことになりました。

日時 2005年(平成17年)5月31日(火)〜6月1日(水)
天候 5月31日 曇一時晴
    6月1日  晴
同行 なし

所要時間
5月31日
山頂駅(10.55) ←15分→ (11.10)雨池峠で昼食(11.35) ←30分→ (12.05)縞枯山(12.10) ←55分→ (13.05)茶臼山(13.20) ←35分→ (13.55)大石峠(14.00) ←15分→ (14.15)麦草峠(14.50) ←1時間10分→ (16.00)丸山(16.05) ←20分→ (16.25)高見石小屋
6月1日
高見石小屋(6.20) ←1時間25分→ (7.45)中山展望台(7.50) ←30分→ (8.20)中山峠(8.30) ←55分→ (9.25)坪庭分岐(9.25) ←15分→ (9.40)東天狗岳(9.50) ←20分→ (10.10)西天狗岳(10.20) ←40分→ (11.00)第二展望台(11.00) ←20分→ (11.20)第一展望台で昼食(11.55) ←30分→ (12.25)唐沢鉱泉分岐(12.30) ←45分→ (13.15)唐沢鉱泉(13.25) ←1時間→ (14.25)渋の湯

山行概要
西天狗岳から見た南八ヶ岳
西天狗岳から見た南八ヶ岳
箕冠山の崩落面とその上にへばりつくような根石山荘が印象的
5月31日
茅野駅発9時20分のバスに乗りましたが、茅野駅で乗車した乗客は私一人で、ピラタスロープウェイの山麓駅まで、私以外のお客の乗降はありませんでした。バスのお客の状態から、ロープウェイもガラガラかと思ったらそうでもなく、十数人のお客がゴンドラに乗り込みました。私のような中高年者と子供連れの若い夫婦が目に付きました。しかし、登山者は私一人です。ロープウェイのガイドは、山頂駅付近の気温は3℃ぐらいと言っていましたが、降りてみるとさほど寒さを感じません。身支度も早々に少し強い風の吹く中を歩き始めました。出かける前は、ロープウェイの山頂駅付近か途中にある縞枯山荘付近で昼食を取ろうと考えていたのですが、適当な場所がなく、雨池峠まで来てしまい、ここの空き地にザックを置いて昼食にしました。
ここで、これから向かう縞枯山へ続く登山道を見てみると、登山道には水が流れていて小川のようになっています。スパッツをつけましたが、足元が泥んこになることを覚悟して歩き出しました。歩き始めるとすぐ登山道に雪が現れ、徐々に量が増して行きます。足元に神経を注いでトレッキングポールでバランスを取りながら歩き、縞枯山の頂上には思ったより早く着きました。頂上で一息入れ、歩き始めるとすぐ、中学生の団体が道いっぱいに広がって昼食を取っている場に出くわし、びっくりしました。ここで茶臼山方向を示す道標を確認して先へ進みましたが、この少し先でハプニングが待っていました。
中学生の集団を追い越し、縞枯山の頂上から歩いて10分足らずの所で道標に出会いました。しかし、なんとこの道標には、これから向かう麦草峠は今歩いてきた方向、これから向かおうとしている方向は展望台で行止まり、左方向にある道が縞枯山、雨池峠となっています。手にしているGPSは、このまま先へ進めと指示していますが、どうにも腑に落ちないので、道標の示す雨池峠の方向に少し進んで様子を見ることにしました。行ってみると大きな岩が露出した見晴らしの良い場所で、行き止まりです。せっかくですから写真を何枚か写して、道標のある場所へ戻りました。一応念には念を入れてと思い、先ほど追い越した中学生の団体の引率者に確認しようと、少し後戻りをしたところで、この中学生の一団と出会いました。引率者に道を聞くと、この道をまっすぐ進めば間違いないとのことでしたが、一応道標のところまで来て、確認をしました。この引率者も首をかしげ、ひょいと道標を触ると、なんとこの道標は、簡単にぐるぐる回ります。結局この道標は正しい位置から90度ずれていることがわかりましたが、それにしても人騒がせな道標です。

ルートマップここで20分ほど時間をロスしてしまい、縞枯山から茶臼山までは1時間ほどかかってしまいました。茶臼山の頂上近くまで来ると、また集団の人声が聞こえてくるようになり、頂上の先にある展望台へ行ってみると、先ほどの中学生の集団より更に大きい中学生の集団が昼食を取っていました。とても落ち着いて景色を眺める雰囲気ではなく、集団の端のほうで写真を数枚ばたばた写して、ここを後にしました。
茶臼山から麦草峠への下りは、最初少し急ですが、すぐ緩やかになり、中木場と記された標識の立つ露岩地帯に着きます。ここから大石峠まではわずかで、大石峠からは道がほとんど平坦になり、やがて木道が現れ左に茶水池が見えると、その先が麦草ヒュッテのある麦草峠でした。麦草峠には予定より早く着いたので、ここで大休止をすることにし、麦草ヒュッテの売店でアイスクリームを買い、その後、魔法瓶に残ったお湯でレモネードを作り、行動食を食べて、しばし時を過ごしました。
おなかも十分になり、疲れも少し癒された気分になったので、今日の最後の登りの丸山に向かいました。ここも歩き出すとすぐ雪が現れ、丸山の頂上近くでは、この雪が氷のように硬くなっていて、雪の上に足を置くとつるつる滑ります。今回は登りですから、トレッキングポールを使って何とかなりましたが、もし下りだったら簡易アイゼンが着用したくなるところです。
やがて、登りきったと思われる所に道標が立っており、ここが丸山の頂上かと思ったら、頂上はここから左に直角に折れた先にあり、丸山神社と記された小さな祠が祭られていました。ここまで来ると今日の目的地の高見石小屋までは、僅かです。下り始めると白駒池から登ってくる道が現れ、次いで渋の湯への分岐を過ぎると、その先が高見石小屋でした。思ったより大きくて立派な小屋です。
ここの小屋番は昨年泊まった根石山荘の小屋番と同じような若い小屋番でした。受付をすると今日の泊り客は、今のところ私一人なので、2階の大部屋の好きなところで寝て良いと言われました。一人ということは、いびきを気にしなくて済みますので、思わず心の中でにっこりしました。夕食は午後6時からで、少し時間があるため、小屋の脇の高見石に登り、白駒池の写真を写してきました。食後この小屋番と少し雑談をして、午後8時少し前に床につきました。この小屋の売り物の羽毛の布団が気持ちよく、普段余り寝つきは良くないほうなのですが、この日はすぐ眠ってしまいました。


6月1日
明け方まだ暗いときに一時目が覚めましたが、すぐにまた眠ってしまい、完全に目が覚めた時、あたりはすっかり明るくなっていました。5時になるのを待って起床し、階下の食堂で湯を沸かし、昼食用のアルファ米と魔法瓶に沸かした湯をつめました。朝食は6時からで、パン食でした。朝食が終わるとすぐ、くつろぐ間もなく小屋番に礼を言って、小屋を後にしました。
小屋から道は少し下り、その後中山までの緩やかな長い登りが始まります。昨日の縞枯山や丸山の登りと同じように、道はぬかるんでおり、すぐに雪が現れました。歩き始めてしばらくしてから、持参したGPSが作動していないのに気がつきました。一瞬壊れたのかなと思いましたが、セット状態を調べみると、GPS機能をオフにしていました。昨夜バッテリを交換した際、セットミスをしたようです。その後もしばらくGPSの指示がおかしかったのですが、これは国土地理院の地形図に表示されている道と実際の道がだいぶずれていたためということが、帰宅してからわかりました。

この中山の登りは予定より、少々余計に時間がかかりました。いい加減じれてきた頃、登りが終り、更に少し歩くと中山展望台に着きました。確かに眺めはすばらしく、360度ぐるっと見渡せます。この日は北、中央、南の各アルプスがくっきりと見えていました。ここで写真を写し、道標に従って中山峠へ向かいましたが、樹林の中へ足を踏み入れた途端、ドキッとしました。樹林の中は雪が厚く残っており、この雪の上に踏み跡が見当たりません。テープがあるかと探しましたが、これも見当たりません。つまり道が消えているのです。仕方がないので樹林帯の入り口から扇の縁上に数回歩いて、雪の中に顔を出している夏道を見つけました。やれやれです。
中山展望台から中山峠までは、比較的歩き易い道が続きます。視界も時折開けますので楽しい道です。途中、石楠花の木が多く生えていますが、丸い花芽が目に付きました。今年、このあたりの石楠花は花が多そうです。そんなことを考えているうちに中山峠に着き、中山峠で一休みしていると、稲子湯の方から私と同年輩の登山者が登ってきました。この日初めて会う登山者です。奥さんと二人連れですが、奥さんがへばっているので、黒百合ヒュッテまで行って戻るとのことでした。この登山者と雑談交じりの挨拶を終えたところで、天狗岳に向かいました。昨年は天狗の奥庭の方から天狗岳に登りましたが、途中で完全にバテてしまいましたので、少々不安がよぎります。
最初は比較的緩やかな道が続き、やがて天狗の奥庭が眺められるようになり、しばらくすると急坂が始まります。急坂の一部に雪が残っていて、緊張する場所もありましたが、今回は東天狗岳の頂上まで、一息で登ることができました。東天狗岳の登りで数組のパーティーとすれ違い、東天狗岳の頂上に着いてみると、20台から30台と思われる4〜5人組のグループが頂上を占拠していて、声高に話をしていました。こちらが挨拶しても、答えが返ってこないので、長居する気にならず、10分ほど休んで西天狗岳に向かいました。
ルートマップ2西天狗岳の登りで3人組の中年女性のパーティーとすれ違いましたが、西天狗岳の頂上は無人でした。当たり前ですがこちらの頂上からも東天狗岳と似たような景色が眺められます。強いて違いはと言えば、東天狗岳からは、根石山荘が見えませんが西天狗岳から根石山荘がよく見えます。西天狗岳ではもう少し長居をしたかったのですが、バスの時間があるので、10分ほど休んで、西尾根へ向かいました。頂上を出ると大きな岩の中の急坂を下ります。最初のうちは見晴らしもあり爽快感に浸れますが、きつい下りにすぐ嫌になります。私は20分ほどかかって、この急坂を下りきり、樹林の中に入りました。

樹林の中に入り小さなピークを越えると左側の視界が開け、南八ヶ岳が一望できる場所に出ました。第二展望台と記された標識が立っています。ここを過ぎるとまた樹林の中を歩くようになり、しばらくするとまたぽっかり視界が開けます。ここが第一展望台で、予定通りここで昼食にしました。魔法瓶のお湯でインスタントスープを作り、これも朝方お湯を注いでおいたアルファ米の五目飯を食べました。明るい日差しと心地よい風の中で、目の前に広がる景色を楽しみながらの昼食で、山へ来たとき最も楽しく感じる時間のひとつです。
昼食を終えると、後は渋の湯のバス停まで歩くだけですが、まだだいぶ距離があります。昼食はほどほどで切り上げました。昼食後、唐沢鉱泉への分岐までは予定時間通りでしたが、ここから唐沢鉱泉までは予定よりだいぶ時間がかかりました。ここは地図ではわかりませんが九十九折の道が長く続き、結構長い距離を歩きます。唐沢鉱泉に着いた時は、さすがにヤレヤレという気持ちになりました。唐沢鉱泉はひなびた温泉宿を想像していたのですが、瀟洒なデザインの大きな建屋が立っており、びっくりしました。宿の前には石楠花が多数植えられていて、花時を迎えようとしていました。なお、唐沢鉱泉の少し手前で2人組の男性パーティーとすれ違いました。
宿の前にある自販機で冷えたお茶を買い、一息入れました。一息入れた後、渋の湯へ向かいました。ここから渋の湯へは、峰を一つ越えなければなりません。ところが、この峰の稜線までは、緩やかですが、意外に長い登りが続きます。ほぼ予定時間通りに稜線へ着いた時は、時間の上でバスに間に合うことが確信できたので、ホッとしました。稜線を越えると渋の湯までは走りたくなるような歩き易い緩やかな下りになります。どんどん下ってバス道に出て、バス停の少し手前にあった公衆トイレで汗にまみれた顔を洗い、バスを待ちました。渋の湯からバスに乗った乗客は私を含め4人でした。



麦草峠でショウジョウバカマを見つけました。
今年は季節の訪れが遅いようで、他には唐沢鉱泉付近でコミヤマカタバミとスミレが咲いていた程度です。

5月31日 ピラタスロープウェイ山頂駅〜高見石小屋
ロープウェイ山頂駅 ピラタス蓼科ロープウェイ山頂駅
あたりはまだ黄色が目立ち、草木の芽吹きはこれから
この日は気温が約3℃で、割合強い風が吹いていた
ここから雨池峠まで木道が続いている
縞枯山荘 縞枯山荘
草原の中に建っている
新緑や雪の季節には良い眺めになりそうな小屋である

雨池峠 雨池峠
今の季節だけかもしれないが、峠には珍しく、小川のような流れがある
峠というより、湿原のイメージが強い

縞枯山の登り 縞枯山の登り
歩き出すとすぐ雪が目立つようになった
残雪が予想より多く、1週間か10日前だったら、アイゼンを使用したくなったと思われた
縞枯山頂上 縞枯山山頂
道標が立っているだけで見晴らしはない
道標がなければ、気がつかずに通り過ぎてしまいそう
展望台の道標 展望台
標高2387mピーク近くの道標
いたずらか、風によるものか、正規の位置から90度ずれていた
向こうの山は茶臼山
展望台からの眺め 展望台からの眺め
大きな岩が積み重なっており、展望台と言うだけあって、眺めは素晴らしい
これから向かう天狗岳が遠くに見える
茶臼岳 茶臼山頂上
縞枯山同様、見晴らしはない
ここから展望台を示す道標にしたがって歩くと数分で展望台に出る
中木場 中木場
茶臼山からここまで下ってくると、道は緩やかになる
視界が開け、気持ちの良い場所である
茶水池 茶水池
麦草峠の手前にあり、池の周りには木道が設置されている
シーズンともなれば、観光客が群がっているのだろう
麦草ヒュッテ 麦草ヒュッテ
麦草ヒュッテの前には、舗装されたメルヘン街道が通っている
麦草ヒュッテの駐車場には、車が数台止まっていた
丸山神社 丸山頂上にある祠
丸山神社と記された小さな祠で、その前には鳥居を思わせる廃木の柱が立てられていた

高見石小屋 高見石小屋
小屋は思っていたより大きくて立派
新しさは感じないが、小屋の中は清潔感があり、気持ちが良い
20台と思われる若い小屋番が一人で切り盛りをしていた
白駒池 高見石から見た白駒池
思ったよりずっと遠く、また小さく見えた


6月1日 高見石小屋〜渋の湯
中山の登り 中山の登り
道の中を水が流れていて、泥田状態
この少し先から、雪が現れ、これが頂上まで続いた

中山展望台 中山展望台
360度、ぐるっと見渡せる
昨日の茶臼山の展望台以降、眺望が得られなかったので、思わず歓声をあげた
中山展望台の眺め 中山展望台から見た北アルプス
この日は、この他南や、中央アルプス、浅間山等の山々が良く見た
アルプスの手前は霧が峰から美ヶ原にかけての高原

東西天狗岳 中山〜中山峠間から見た東西天狗岳
この辺りから見る天狗岳の頂上は、まだだいぶ上の方である
中山峠 中山峠
写真向こう側が中山、手前側が天狗岳、左が黒百合平で、右が稲子湯方向
東天狗からの眺め 東天狗岳からの眺め
昨年は残雪がまったく見られなかったが、今年はまだ随所に残っている
西天狗岳頂上 西天狗岳頂上
頂上は、阿弥陀岳の頂上と感じが良く似ている(ただし、お地蔵さんはない)
東天狗岳 西天狗岳から見た東天狗岳
ここから見る東天狗岳は少々いびつである
第二展望台 天狗岳西尾根の第二展望台と西天狗岳
この展望台は南八ヶ岳が目の前に広がっている
第一展望台 天狗岳西尾根の第一展望台
ここは、上記の第二展望台より更に視界が開けている
ここで昼食にした

唐沢鉱泉分岐 天狗岳西尾根の唐沢鉱泉分岐
立派な道標が立っていて、まず見過ごすことはない
唐沢鉱泉 唐沢鉱泉
渋の湯の温泉宿よりずっと瀟洒なデザインの宿で、びっくりした
宿の前には石楠花が多数植えられている
渋の湯分岐 渋の湯分岐
黒百合平から延びている稜線上にあり、写真右の方へ進むと、渋の湯から黒百合平へ向かう道と合流する
唐沢鉱泉からここまではゆるい登りがずっと続く
ここから渋の湯までの道は、歩き易い緩やかな下り
口笛でも吹きたくなるような快適な道である

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