BBI・DRAGON・HOT TOYS 
三大飛行士 網上最大の決戦! 

続いて各社の装備をパーツごとに比較してみることにしよう。
同一パーツは3点とも同じ比率で掲載しているので、
(そのため一部非常に横長なページとなっているがご容赦いただきたい)
メーカーによってサイズやディテール等が微妙に異なっているのがお判りいただけると思う。
これらの“違い”が各メーカーの製品に対する考え方をそのまま表しているように思えて興味深い。
なお、各パーツのサイズやフィッティングに関する記述は、他社の同一パーツとの比較ではなく
各製品に付属するフィギュアに対しての評価であることをあらかじめお断りしておく。

HELMET & OXYGEN MASK
左からBBI、ドラゴン、HOT TOYS(以下同じ)のヘルメットと酸素マスク。
BBIとドラゴンがHGU-55/P(ヘルメット)とMBU-12/P(酸素マスク)の組み合わせ、
HOT TOYSのみ最新のHGU-68/PとMBU-20/Pとなっている。
BBIは3社中最もサイズが小さく、フィギュア全体のシルエットに大きく貢献しているのだが
やや左右に扁平な形状にディフォルメされている。
ドラゴンはサイズがやや大きめだがフォルムは正確、ただし酸素マスクが明らかにオーバーサイズ。
HOT TOYSは現時点では唯一のコンバットエッジ対応装備。
バイザー下端のカーブが酸素マスクの形状に合っていないのが残念。
ヘッドへのフィット感はBBIが最も良く、形状をディフォルメした効果が現れていると考えて良いだろう。
ドラゴンは気になるほどではないが、顔との間に隙間ができる。
HOT TOYSは今回は製品版と異なるヘッドが付属していたためか、フィット感は今ひとつだった。
(製品版にはこのヘッドが付属する)
ヘルメット側面。シェル(ヘルメット本体)の形状は、ドラゴンが最も実物に忠実。
HOT TOYSも健闘している(HGU-68は55の改良型でシェルは同型)
BBIはこの方向からヘルメット単体で見てしまうと少々辛い。
各部のストラップはBBIは樹脂製、HOT TOYSはリボン、ドラゴンは平ゴムとリボンを併用している。
ネイプ・ストラップ(ヘルメット後頭部のベルト)を再現しているのはBBIのみ。
酸素ホースのディテールはドラゴンが最も再現性が高いが、少々細めでフェイスピース基部との段差が気になる。
無線コードの取り回しはHOT TOYSが正解。
BBIとドラゴンは酸素ホース上の無線コード分岐点の固定を省略している
また、BBIは分岐点から上が不必要に長いので詰めてやると良いだろう。
BBIのヘルメットに取り付けられた軽量型レシーバー(酸素マスクのバヨネットを受けるパーツ)、
ブームマイク取り付け基部、ゴーグル取り付け用スナップボタン等は
個別にはパイロット用ヘルメットに付いていてもおかしくないディテールなのだが、
(F-15パイロットに限定してしまうと苦しいが…)全部揃ってしまうと、これはもはや
HGU-55/PベースのHALO(特殊部隊などが行う高々度パラシュート降下)ヘルメット=GENTEX HALOである、
と断定せざるを得ない。少々もったいない気もするが削り落とすことをお勧めする。
酸素マスクのフェイスピース(マスク本体)の形状もドラゴンが一歩リード。
ただしサイズが大きすぎる、何といってもヘルメットの開口部よりもマスクの方が幅が広いのはいただけない。
BBIのマスクはヘルメット同様ややディフォルメされた形状だが、正面から見たフォルムはなかなか良い。

COVERALL
CWU-27/Pフライトスーツは布の質感、色、フォルム等、BBIがかなり優秀。
裾のファスナーは再現されていないが実用上問題なし、Gパンツを装着してしまえばどちらにしろ見えなくなってしまう。
ドラゴンは湾岸戦争時に支給されたデザートイエローのスーツとなっているが、布目が粗いのが気になる。
襟の形状も実物とはイメージが異なる。袖口のストラップが固定されているのはグローブを着用するときに非常に不便。
HOT TOYSのスーツは可もなし不可もなし、といった印象。
使用している布にやや光沢がありすぎるのが気になると言えば気になる程度。
ANTI-G SUIT

BBIはCSU-15/P、ドラゴンとHOT TOYSはCSU-13/Pをモデルにしているようだ。
この2種は併用されているので、どちらかが間違いということはない。
こうして並べてみるとドラゴンのシルエットが明らかに他社と異なっているのが判ると思うが、
ディテールに関しては最も再現性が高いので、カスタムのベースとして使用するには良いかもしれない。
また、ドラゴンのみ脚部ファスナーの開閉方向が他社と逆になっているが、
どうやら空軍は上から下へ、海軍は下から上へ閉じるようなので、空軍型としてはこちらが正しいと思われる。

PARACHUTE HAENESS
PCU-15パラシュートハーネス。HOT TOYSのみ両肩の金具の形状が異なるのは
F-16のAces IIイジェクションシート用バックル(フロスト・フィッティング)を再現しているため。
右胸の酸素レギュレーター・ブロックを装着するブラケットもHOT TOYSのみ再現している
(実際にレギュレーターを装着することはできない)。ベルトのラインはミシンによる縫い目で処理。
ベルトも厚みがあり(スケール的にはややオーバーか?)イメージは良い。
ドラゴンはベルト部に市販のリボンをそのまま使用しており、やや実感にかける印象。
金具類は非常にシャープに成形されており、さすがは模型メーカーと思わせる。
BBIはベルトの厚みも適度で過不足のない出来。金具類の雰囲気は一番実物に近いかもしれない。
SURVIVAL VEST
SRU-21/Pサバイバル・ベスト。各社でポケットの配置がまちまちだが、これは実物もそうなので問題ない。
(実物は新品状態ではポケットが別になっており、各自が自分の好みに合わせて取り付けるようになっている)
BBIが最もサイズが小さく丈も短め(少々短すぎるか?)、ポケットに使用している布の質感は非常に実物に近い。
ドラゴンは身ごろがやや余り気味なのが気になるが、背面のレースアップまで再現している。
HOT TOYSはやや肩幅が広く、丈も長いように感じたが、
フロントのファスナー下端より裾が長くなった形状をキチンと再現している。
LIFE PRESERVER

いわゆる救命胴衣。BBIはLPU-10/P、他はLPU-9/Pをモデルとしている。
両脇に浮き袋が展開するタイプのプリザーバーは“ベトナム戦争”のイメージが強いが
決して“旧式”というわけではない(最近はLPU-9の様に肩に掛けるタイプが主流のようだが…)。
BBIとHOT TOYSは二酸化炭素ボンベのバルブ作動用引き手を木綿糸とビーズで再現しているが
(ビーズ部分は実際は蓋のような形状なのだが)ドラゴンは省略してしまっている。
かなり目立つ部分なので残念、というよりも、他のパーツではディテールに対して
あれだけこだわっていながら、なぜここだけあっさりと省略してしまったのか疑問ですらある。
HOT TOYSはステンシルまでぬかりなく再現。先端部を別素材にするなど
(少々表現がオーバーな気もするが)ディテール感は非常に良い。
少々中身が詰まりすぎているように感じられるので、
側面のファスナーを開いて詰め物(綿が入っている)を抜いてやると良いかもしれない
SURVIVAL RADIO

左からHOT TOYS、ドラゴン、BBIのPRC-90サバイバルラジオ。
小物一つにもこれだけの違いがある(^^;
アンテナをとめるゴムバンドをパーツ化しているのはBBIのみだが、
これがないとポケットに入れたときにアンテナを収納できない。
何ということのないパーツだが、この配慮が嬉しかったりする。
さて、いかがだっただろう?
今回の比較はあくまでも他社との優劣を付けるのが目的ではなく、
各製品の特徴を的確に解説するためのものであることを再度申し上げておきたいと思う。
パーツ一つ一つをスケールモデル的に再現したドラゴン、
トータルバランスを重視して、各パーツ形状を巧みにディフォルメしたBBI、
コストを度外視したとしか思えないほど、他社が省略したディテールを追求したHOT TOYS。
あなたはどのメーカーの“作品”がお気に召しただろうか?

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