AFH-5フライトヘルメットのディテールアップ

ここではU.S. ARMY HELICOPTER CREWで使用した
ヘリクルー用ヘルメットのディテールアップ法を解説します。

全ての1/6フィギュア用フライトヘルメットに共通する問題は
ヘルメットの縁とヘッドとの間にできる“隙間”だと思います。
着脱を容易にするため、ある程度は仕方ないとも言えるのですが、
本来ピッタリと密着しているべき部分なので、非常に気になります。
今回のようにシェル(ヘルメット本体)の形状が比較的良好な場合には、
この部分を手直しするだけでも格段に見栄えが良くなります。
非常に簡単な工作で大きな効果がありますので、ぜひ一度実試してみてください。

1〜3:改造前の21st社製AFH-5ヘルメット(U.S. ARMY AIR CAVALRY PILOTに付属)。
気になる点を上げると、●ヘルメットの縁(エッジロール)と顔の間に隙間ができる●バイザーが不透明
●バイザーカバーが膨らみすぎていて側面のシルエットを崩している●あご紐(チンストラップ)が省略されている
●後頭部の無線コードが途中で切れている●ブームマイク基部の形状が実物と異なる
●シェル両サイドのイヤーカップ(ヘッドフォン)位置調節用紐がモールドで処理されている
●パーティングライン(成型時の型の跡)が目立つ といったところだろう
なにやら問題だらけのようにも思えるが(^^; シェルの形状自体は悪くない(やや下端が広がり気味か?)ので
細部に少々手を加えてやるだけで、かなり良くなりそうだ

4:まずはヘルメットを分解する。接着されているバイザーカバーは
隙間にカッターの先等を潜り込ませて、傷を付けないように慎重に剥がしてやる

5:シェル中央のパーティングラインは紙ヤスリで整えておく

6:モールドされたエッジロールを削り落とすとともに、後で軟質素材を張り付けるための溝を彫り込む。
バイザーカバーの固定ピン跡やブームマイク取り付け用の穴は位置を変更するためパテで埋めておく

7:表面処理が終わったら模型用塗料のオリーブドラブで塗装する。
実物のAFH-5ヘルメットも白塗装の上にオーバーペイントされているので少々ムラがあってもOK(^^;
なお、ネジやパッキン等の細部モールドは甘さが気になったので全て削り落とし、
イヤーカップ調節紐を掛けるためのフックは2ミリハトメに交換してある

8:エッジロール部分に使用するのは“ソルボセイン”という素材。
本来はオーディオ機器の振動対策やスポーツ用プロテクターなどに使われる衝撃吸収材だが、
ゴムよりも軽く遙かに柔らかいので、柔軟さが要求される場所には非常に都合がよい

9:断面形状や太さ違いが数種類販売されている。今回は5ミリ径の丸形(中央)を使用した

10:エッジロール交換完了。接着には難接着物用の瞬間接着剤を使用

11:バイザーを作り直す。まずは製品のバイザーを適当な半球(プライズのカプセルを使用)
に固定し、バキュームフォーム用の原型を作る。
バイザーの左右が短いのでパテ(アルテコSSP HG)で延長しておく。
周囲に開いている穴は原型と成型材の間の空気の抜けを良くするためのもの

12:0.5ミリ厚の塩ビ板をバキュームフォーム成型する。
バキュームフォームの詳細については模型雑誌などを参照していただきたい

13:不要部分をカット、成形して完成

14:バイザーカバーは取り付け位置を変更して膨らみを押さえるため、裏面を削り込んで薄くしておく。
穴を開けてしまわないように注意!

15:自作バイザーをカバーに取り付ける。1.2ミリの精密ビスを使って裏面からバイザーノブに固定した

16:手を加える前のブームマイク。アームが太く、基部は形状、アームの固定法ともに実物とは異なっている

17:マイク本体のみを使用し、他のパーツは自作することにした。
アーム部分は0.7ミリの針金、基部は0.1ミリの洋白板と3ミリ径にポンチで打ち抜いたゴム板を使用。

18:ブームマイク完成。コードはリード線に交換、コード両端のプラグ基部は熱収縮チュ−ブをつぶしたもの。
リアルとは言えないが何もしないよりは良いだろう

19・20:チンストラップはナイロンリボンと革で製作。
左側のフック(実物ではスナップボタンによる固定)は0.1ミリの洋白板、バックルは0.5ミリの針金を曲げたもの

21・22:ネイプストラップ(後頭部のベルト)もチンストラップと同様に製作。
調節紐は刺し子刺繍用の木綿糸

23〜26:完成。バイザーカバーの取り付け位置を両サイド各1ミリずつ奥に移動して膨らみを押さえている。
各所のネジは1.2〜1.4ミリの精密ビスを埋め込み、イヤーカップ調節紐は刺し子刺繍糸で再現、
無線コードはリード線に交換。コード先端のプラグはアルミパイプと熱収縮チューブで製作。
後頭部のコード出口のパッキンはゴムシートをポンチで丸く打ち抜いたものを接着してある。

こちらもストラップを“白”とした以外、改造箇所は全く同じ。
ストラップの色は(汚れや変色の可能性も否定できないが…)
白、緑以外に茶と黒(に見えるもの)があるようだ。

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