朝鮮戦争BAR射手、バージョン2です。
装備を前回発表した後に発売された製品のパーツと入れ替え、仕上げを全面的にやり直しました。
製作コンセプトは「レジンやメタルのミリタリーフィギュアのテイストを盛り込む」です。
汚し(ウェザリング)を施したフィギュアは、今までにも何度か製作しているわけですが、
今回はさらに陰影の表現(ハイライトとシャドー)と服の裾に動きを付けるなどの演出を行っています。
作者の技量的な問題と、締め切りという時間的な問題もあり
必ずしも成功しているとは言い難い部分もありますが、
方向性の一端は掴めたような気がします。

前回(バージョン1)からの変更点は、グローブ、ブーツを防寒用に交換、
ヘルメット、BARの再塗装とスリング交換、マガジンポーチ付きベルトの交換、
サスペンダーのディテールアップ、ヘッドの再塗装、ウエザリングの見直し、
ベース追加等、結局ほぼ全てにてを加えてしまいました。

フィギュアは前回と同じ21st、前回のメイクを落とした後、再塗装を行いました。
成型色に近い肌色を基本色として、焦げ茶でシャドーを、
基本色より1段明るい色でハイライトを入れ、境界を溶剤でぼかして(ブレンディング、といいます)
仕上げました。塗料はのびの良いアクリル系を使用しています。

防寒キャップも前回と同じもの、軽く汚しを追加したのみです。
この帽子、2000年(1999年かも?)に発売されたGIジョーのカードアクセサリーに付いていた物ですですが、
他のパーツ(BARやボディーアーマーが付いてました)はとっくに処分してしまいましたが、
これだけは“いつか絶対使う”と思って残して置いた物です。

パーカのファスナーやサスペンダー(ドラゴン製)のバックルは、銀色が非常に目立ったので、
完成後に急遽、模型用塗料(ラッカー系)のつや消し黒で塗装しました。
本来ならメタル用のプライマー等で下地処理を行うべきなんでしょうが
剥げたらまた塗ればいいや…ってことで、何もしてません。

パーカのフードの縁と裾の紐通しに針金を仕込み、表情が付けられるようにしてあります。
CGのコート等で既に行われている方法なので、特に目新しいものではないですが、
実際にやってみると、想像以上に簡単で効果的でした。

サスペンダーはドラゴン製をベースに、ゴム紐部分を畳の縁補修用テープの細切りに交換。
BARポーチもドラゴン製、布用染料でグリーンに染め、フタの留め金を自作して取り付けました。
留め金はレジン製のダミーなので機能しませんが(フタ自体を本体に接着してあります)
今回のコンセプトから、見た目優先で処理しました。

パーカの裾等の泥汚れは、粉末にしたパステル(茶色)を薄く溶いたアクリル塗料(黒)に混ぜて
布に染みこませるような感じで塗装して表現しました。アクリル塗料がパステル粉を固定してくれるので
簡単には落ちません(強く擦るとか揉むとかしなければ大丈夫です)
パーカの裾に付着した泥は下方の色を濃く、上に行くに従って明るくすることで
生乾きの状態を表現してあります。

服のシワの奥は、パステルの焦げ茶を粉末にして擦り込み、シャドー付けを行いました。
完成後もポーズを変えて楽しめるのがアクションフィギュアの良いところ、なので
あまり細かなシワにまでシャドーを入れてしまうと、後で不自然になりかねません。
肩や肘を多少動かしても消えてしまわないシワだけを選んで作業してありますが…
肘関節あたりは撮影中にシワの位置が変化してしまい、
結果的にかなり不自然な状態になってしまいました。
いっそのことアイロンをかけるとかして、シワ自体を固定してしまった方が
逆にある程度の自由度を確保できるかもしれません。
シワの凸部にも、やはりパステルでハイライトを入れてありますが、
布表面の毛羽立ちにはじかれて、ほとんど落ちてしまいました、
濃く塗ればそれなりに定着させることは出来ますが
それではハイライトとして不自然になってしまうし…
ということで、こちらはまだまだ改善の余地あり、って感じです。

ブーツもドラゴン製を塗り直して使用。
踝から上(革)と下(ゴム)で質感を変えるように注意しましたが…
汚しをかけたらほとんど判らなくなってしまいました。
つま先〜靴底の水濡れは、クリアーのエポキシ樹脂を塗って表現してあります。

ヘルメットも前回と同じくコッツ製。表面にモーターツールの先端を軽く当てて
傷やへこみを作り、ラッカー系塗料で塗装しました。
ちなみに、今回の塗装はベースの仕上げに使ったクリアースプレー以外はすべて筆塗りです。
このヘルメットの場合だと、下地に薄めた黒を塗り(このときにパステルの粉末を混ぜて梨地を再現)
その後、焦げ茶>オリーブドラブ>緑>ライトカーキ、と塗り重ねてグラデーションを付けています。
徐々に明度を上げながら下地を残すように塗り重ねる、というイメージ…です。
このあたりの技法に関しては、1/35の戦車と全く同じノウハウが使えるので
ほとんど悩むことなく作業できました。
今回もライナーを外してパイルキャップの上に直接外帽(シェル)だけを被っている、と設定したので
ライナーのストラップ(前端のつば部分の革ベルト)は取り付けてありません。
その他には顎ひもをリボン(BBIのライフルスリングを流用)で作り直し、
針金細工のバックルを取り付けてあります。

BARポーチは第二次大戦仕様のカーキの物を、モスグリーンの染料で染め、留め金を取り付けた程度。
エイドポーチとキャンティーンカバーはコッツ製です。
サスペンダーはドラゴン製をベースに、背中の交差部分等にも多少手を加えてあります。
ドラゴンのサスペンダーは何故か黄緑色で、染め直しても目的の色になりそうもなかったので
アクリル塗料で“塗装”してしまいました。


BARもドラゴン製。フィギュアの雰囲気に合わせてウエザリングを行った程度。
スリングは毎度おなじみの4コールゴム紐だったので、コッツのM1用スリングに交換しました。
このスリング、革製でイイ感じなんですが、そのままでは“新品”状態なので
アクリル塗料の黒を極薄く溶いた物を全体に染みこませて、使い込まれた感じにしてあります。
ベースは造形用粘土(ラドール)を薄く延ばして製作。
(何故ラドールかというと…単に家にあったから、です)
粘土が固まる前に凹凸を付け、フィギュアの立ち位置を決めて足跡を付けておきます。
固まったら地面の塗装を済ませ、粉末にした白のパステルを振りかけて雪を積もらせます。
今回は薄く積もった雪が溶けかけた状態にしたかったので
窪みにはあまりパステルをかけないようにしました。
後は、溶けかけた部分を塗装し、窪みに光沢クリアー塗料を厚めに塗って水たまりを製作、
全体にクリアースプレーをかけてパステルを固定して出来上がりです。

Figure/21st Century Toys (Repainted)
M51 Parka/Miracle House
Jacket & Trousers/21st Century Toys
Helmet, Canteen, First Aid Pouch and Rifle Sling/Cotswold Collectibles
Pile Cap/HASBRO
Boots, Glove, Harness, BAR Pouch and BAR/DRAGON

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