前穂高岳 2011年9月23 - 24日 テント定着

9月23日 曇りときどき晴れ、一時雨

松本へ

始発列車を乗り継いで松本へ向かう。八王子あたりでは今にも降りそうな空模様。大月の手前からはほんとうに降ってきて、勝沼ぶどう郷ではとうとう山の中のようなガスガス状態になってしまった。しかし韮崎を過ぎてから徐々に回復してきて、甲斐駒と八ツは相変わらず雲の中だったが、地蔵のオベリスクは雲間から見えてきた。諏訪・塩尻と進むにつれて青空の面積が大きくなってきた。甲信国境で天気が変わる体験を何度かしているが、実におもしろい。
松本には9:17着。アルピコ電車は9:21発なので急いで乗り換え。アルピコはあまり混んではいなくて、余裕で座れた。登山客が半分、残り半分は観光客かなあという感じだったが、電車が新村駅に着くと、観光客と思われた人々は一斉に降りてしまった。この日は新村駅で鉄道イベントがあり、人々は実は鉄ヲタだったのだった。車内は見事に半分が空になった。

上高地へ

焼岳
釜トンネルを抜けると焼岳が見えた(11:07)
新島々からのバスは、席がほとんど埋まる程度だった。乗車時に荷物を預ける際、ストック・三脚の類はザックから外すように言われた。上高地は3年ぶりだが、前はそんなこと言ってなかったような。
バスは順調に進み、上高地にはほぼ予定通りの11:20に着いた。大正池からの穂高は、焼岳がよく見えていたのとは対照的に、我々が上高地入りするときいつもそうであるように、半分から上がきれいに雲に隠れていた。

12:01 上高地バスターミナル発(高度計:1555m)

穂高
河童橋からの穂高は相変わらず雲の中(12:07)
流れ
上高地らしい清冽な流れを眺めながらの道(12:21)
広いトイレで着替えてからちょっとだけ腹ごしらえ。相棒はおやき、かつりんは半熟卵カレーパンを買って食べてから出発した。河童橋を渡ってすぐの白樺荘で帽子止めを買ってから(行きの車中で壊してしまったのだ)、右側の道を進んでいく。
この先は初めて歩く道だ。観光客に混じって木道を行くと、山々や木々が映る清らかで緩やかな渕があって、上高地らしい眺めを堪能する。とは言うものの、目指す穂高はまったくの雲の中なのだけど。

12:25 登山口(1570m)

登山口
岳沢登山口(12:24)
登山口の標識で、観光客通りから分かれて山道に入る。深い森と苔が美しい道だった。人もいなくて快適な歩きだ。

12:37 標識9「岳沢原生林」(1620m)

花
ミヤマアキノキリンソウの咲く道(12:47)
このコース中には、カウントダウン方式の標識がある。なんでも、岳沢小屋までの道を10等分して設置してあるらしい。で、登山口がNo.10なのだろう(標識は見当たらなかった)、最初に出くわすのがNo.9のこの「岳沢原生林」だ。ご丁寧に標高まで書いてある。ここは1590mとなっていた。当方のプロトレックに少し誤差が生じているようだ。ちなみに、標識は7より下が青く四角い標識で、6より上は白い丸いものだった。上の方の白いのには遭対協の名前が入っているが、青い方は岳沢ヒュッテの名前だけだった。設置の経緯にいろいろあったのだろうが、とにかくありがたい。
標識を過ぎて5分ほどすると、道が大量の倒木で遮られていて、新たに巻き道が造られているところがあった。

12:48 標識8(1675m)

道
標識8の曲がり角(12:49)
No.8は名前が分からなかった。ここで鋭角に曲がる。

13:00 標識7「風穴(天然クーラー)」(1745m)

風穴
風穴(13:06)
実
ゴゼンタチバナの実(13:09)
No.7は風穴と名づけられてはいるが、風穴そのものは標識から50mほど進んだ所にある。我々は標識のところで休んだ。ここまでちょうど1時間だ。
風穴を過ぎたところに、ゴゼンタチバナと思しき赤い丸い実がたくさんなっていてきれいだった。

13:18 標識6「見晴らし台」(1810m)

道
標識6(13:18)
道
標識6から上を見上げる(13:18)
道が突然二手に分かれるが、すぐ先の枯れ沢で合流し、そこがNo.6の見晴らし台だ。標高は1760mとなっている。ここからは名前のとおり、上高地が見渡せた。まだ標高差は200mほどで、あまり上がった印象はない。休憩適地だが、先ほどNo.7で休んだばかりなので通過した。道はがらがらで非常に歩きにくい。

13:30 標識5「中間地点」(1880m)

ここは標高1880mとなっていて、プロトレックの高度計がきれいに50mずれていることがわかった。

13:47 標識4「西穂高展望所」(1970m)

西穂
標識4「西穂高展望所」(13:47)
名前とは裏腹に、穂高は雲の中で見えなかった。標高の標示は1900mだった。

13:56 標識3「石階段」(2015m)

道
石階段(13:56)
花
トリカブトの花と実(13:59)
ここに限らず、北アルプスの人気ルートはこのテの石階段が多いように思う。歩きやすいのは歓迎だけど、なんか味気ない気もする。標高の標示は1960mだった。

14:11 標識2「胸突八丁」(2090m)

道
胸突八丁(14:13)
標高標示は2030m。名前の割には今までとさほど変わらないような・・・

14:27 標識1「小屋見峠」(2175m)

小屋
小屋が見えた(14:27)
ここで小屋が間近に見えた。看板の標高標示は2130m。「峠」というがそれはちょっと大げさで、実際はほんのちょっとしたアップダウンだ。もし自分が名づけるとしたら「小屋見坂」にしてると思う。
峠を越えたあと岳沢を右岸に渡るが、巨岩がガラガラで歩きにくかった。つい先日直撃した台風のせいかもしれない。

14:34 岳沢小屋着(2205m)

小屋に着いたのは上高地から約2時間半で、ほぼコースタイムどおりの歩きだった。道中のNo.9~1までの標識には小屋までのタイムも書いてあったが、それらはいずれも小屋に14時半に着くことを示しており、あまりに一致しているので気味悪いほどだった。
テント場は小屋から前穂方面へ数分行ったところ。もう一度岳沢を渡りかえす。テント場に近づくにつれ、なんだか胸騒ぎがしてきた。・・・やはり、テント場は超満員のぎっちぎちだった。もうどこにも張れるスペースがない。受付では、どうしても張る場所がない場合には小屋の近くに張ってもよい、ただし翌朝7時までに撤収すること、との説明あり。見ていると、次々とキャンパーがやってくる。さっき通った時はまだ小屋の近くに張っているテントはなかったが、早く決めないと小屋のそばも埋まってしまいそうだ。というわけで、小屋に戻ってそばに張らせてもらうことにした。きれいに馴らされているかに見えた小屋前広場は意外にも石でゴツゴツしていたが、小屋に近いのは便利でよかった。結果オーライだ。最終的には、ヘリポートにまで5張りくらい張っていた。
この日の最大高度は2250m、最低高度は1555m、積算上昇は695m、積算下降は35m。最大高度は岳沢小屋到着時の記録よりも高いので、テント場をさまよっているときに記録されたのだろう。

寒い夜

空
雨上がりの空(16:32)
テントを張っている最中から小雨が降りだした。正面の乗鞍の上空には青空も見えていたので、通り雨なのだろう。まあ予報通りだ。設営を終えてテントの中に入ると、一時的に本降りになったが長くは続かず、16時ごろに雨はあがった。後で知ったのだが、この雨は稜線では雪になっていたようだ。
夕食を済ませた頃にはテント内の気温は8℃ほどになっていた。今回、初めて象足を持ってきていた。こいつはイイ。寝る頃にはテント内は4℃程度まで下がっていたが、下は薄手のズボン2枚、上はTシャツ・夏用長袖シャツ・フリースセーターだけで寝られた。頭寒足熱理論は正しいのだ。小屋の近くだったので夜はうるさいかと思ったが、あまりに寒いせいか外で宴会をするような好き者はおらず、静かに過ごせたのは幸いだった。
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