天狗岳(北八ツ縦走) 2009年10月11日-12日 テント縦走

10月11日 超快晴


小淵沢へ

いつもの八王子始発松本行き各停に乗る。小海線の接続を考えるともっとあとの電車でもよいのだが、ゲロ混みになることを考えて早めに小淵沢に行って座席を確保しようという魂胆だ。甲府盆地からの南アルプスと八ヶ岳の素晴らしい眺めを楽しみつつ小淵沢に到着。土日のみ運行の野辺山行きはハイブリッドディーゼルの2両編成でかなりの立ち客もいたが、我々の目指す松原湖駅はそのさらに先の駅なのでこれは見送る。発車後、あまり間を置かずに2両編成ワンマンの小諸行きが入線してきた。これを待っていたのは数人で、座席は選び放題だった。そのうち新宿からあずさが3つもやって来て、車内はかなりの混雑になった。

松原湖駅から稲子湯へ

清里で観光客を降ろし、信濃川上で金峰山など奥秩父方面の登山客をごっそり降ろしたところでようやく立ち客がまばらになった。信濃川上駅ではワンマン列車のため料金精算に時間がかかり、列車はかなり遅れた。松原湖駅で降りたのは20人ほどだろうか。タクシーを手配している人たちもいたが、登山客・観光客ともに大方はバスに乗るようだ。
松原湖駅は谷地形の下にあり、バスに乗るには坂を上って5分ほど歩いた松原湖駅入口バス停まで行く。遅れてやって来た小海町営バスは始発が小海駅なので(列車が遅れたから待ち合わせてバスも遅れたのだろう)、座れなかったら辛いなあと思っていたら、先客は数人だけで全員が楽々座れた。バスはおんぼろだった。整理券の発券装置がなく、料金表もない(もしかしたら最前席のあたりに貼りだしてあったかもしれないが)。違和感ありまくりだったのは停留所の到着案内が一切ないこと。車内テープはおろか、運転手が声をかけることもなかった。地元の人は勝手を知ってるから目的地で停車ボタンを押してさっさと降りていくが、我々一見には辛いシステムだ。本沢温泉の入り口など、途中で降りるにはあらかじめ運転手に頼んでおくしかないように思った。

12:28 出発(高度計:1450m, 温度計:17.4℃)

稲子湯
稲子湯の紅葉(12:25)
というわけで、稲子湯に着いたのは定刻を20分ほども過ぎたころだった。ちょうど昼だったのでパンを食べ、身支度を調えてから出発した。道はかなりぬかるんでいて、スパッツを着けたのは正解だった。

12:42 ゲート通過(1530m, 16.1℃)

林
池のある明るいカンバの林(12:52)
林
すっと伸びるカラマツと青空のコントラスト(12:58)
間もなくゲートを通過。すぐに橋を渡る。その先も林道が続く。くねくねとカーブを描く林道をショートカットして行くような感じ。ほとんど人が来ない。静かでいい道だ。
途中、池とも水溜りともつかないような水辺が広がり、それまでのシラビソ林からその周りだけダケカンバ林になっていた。葉が黄葉しはじめていて、樹肌ともあいまってその一帯だけ明るい雰囲気だった。そのあとはカラマツ林も出現。すっとまっすぐに伸びた木々を見ると清々しい気分になる。こちらはまだまだ黄葉には早いようだった。

13:26 レール跡(1735m, 15.3℃)

道
レール跡の道に陽光が差し込む(13:40)
ふたたび立派な橋を左岸に渡り、流れに沿って進むと突然急登になる。登りきったところは尾根の突端のようになっていて、そこに森林軌道のレールがちらばっていた。いったんザックを下ろして休憩。地図を見るともう半分くらいまで来ているようだが、あまりにも早すぎてちょっと疑わしく思う。
この先は基本的にレールの上を進み、時折ショートカットするのは林道のときと同じ。過ぎ去ったばかりの台風のこともあって紅葉は期待していなかったのだが、このあたりはなかなかきれいだった。

13:50 こまどり沢(1840m, 15.3℃)

こまどり沢
こまどり沢の看板(13:48)
倒木
見事に苔むした倒木(14:08)
広場に到着すると、大木にくくりつけてあるこまどり沢を示す看板に丸ゴシックでみどり池まで「はっても30分」とあった。かなり予定より早い。
あいかわらずぬかるんだ道を行く。周りに倒木があって、それが見事に苔に覆われている。が、苔の道は自分の頭の中で勝手にイメージができあがっていて、それとはちょっと違っているのが残念。というのも、苔に覆われた倒木や石が道から離れすぎているのだ。もっと周りが緑に覆いつくされているのが理想なのだけど。

14:14 しらびそ小屋(1970m, 13.6℃)

しらびそ小屋
しらびそ小屋(14:53)
またまた急斜面を登ると、今度はしらびそ小屋まで2分の看板が。それから2分ちょっとで着いた。
テント場にはすでに3張りのテントがあって、4張り目が張られようとしていた。時間があったら本沢温泉まで行こうと思っていたが、ここは思案のしどころだ。今日は連休の中日。見たところ、10張りいけるかどうかという狭いテント場で、混雑とは縁がなさそうなのに、この時間にこれだけテントがあるということは、本沢温泉が激混みなのでは、という不安がよぎる。ここなら、今ならまだ良いサイトが選べる。というわけで、本日の行程は終了。

みどり池

みどり池
静謐なみどり池(15:26)
しらびそ小屋はみどり池のすぐほとりに建っている。この池がいい雰囲気なのだった。小屋でコーヒーを注文して、小屋前のベンチでゆったりと過ごす。陽だまりで気持ちいい。するとカモシカが登場。のんびりと水を飲んだり、草を食んだり。小屋の人の話では、このあたりが彼らの楽園となっていて、昼夜問わずに現れるのだとか。

テント場

テント場
みどり池テント場の全景(15:33)
テントに戻って夕食。寒い季節は鍋がいい。この日は鶏肉団子と水ギョウザの鍋にして、最後は卵でとじておじやにした。さすがにフライの内側が少し結露した。
18時ころにはあたりはもう真っ暗。寝る前にトイレを済ませようと出かけると、トイレのすぐ近くでカモシカに遭遇。暗闇なのでぎょっとしたが、すぐ近くを通り過ぎるときに睨んだら睨み返された。ヘッドライトの灯りを反射して眼が青く光るのが、動物ドキュメンタリー番組で見たまんまだった。用を済ませてテントに帰り、写真を撮ろうとカメラを持ってふたたびでかけると、今度は子カモシカがいて、親は見当たらなかった。どこかにいるはずの親を刺激するとよくないし、動物撮影では目を傷めるからフラッシュは厳禁という話を思い出して、撮るのは止めた。
星がものすごくきれいな夜だった。19時前には眠りについた。そんな時間にやってきてテントを張る人がいた。テントは全部で8張りになった。テント内の気温は7.5℃にまで下がっていた。
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