6月2日 曇りときどき晴れ
小田急線の車窓から見る丹沢は雲の中だった。しかし今日は花を見にきたので、あまり気にならない。7:22 大倉発(高度計:330m, 温度計:27.4℃)
バスターミナルのトイレで短パン+タイツに着替え、ポカリスエットのペットボトルを2本買ってから出発。前日までの雨で道は湿っており(前々日は豪雨だった)、石畳になっている所はずるずるとよく滑った。下りが思いやられる。
登り始めのあたりではウツギの花が目立ったが、途中ではところどころにオレンジ色のヤマツツジが咲いていた。
8:39 駒止茶屋(900m, 22.9℃)
この先に富士山のよく見えるポイントがあるが、今日は雲の中。辛うじて、山腹の雪の付いているところが雲の間にちらりと見えた。しかし雲も白いので、よぅく見なければそれと気づかない。9:37 花立(1295m, 20.9℃)
堀山の家からガレた急登になり、それが終わるとなだらかになる。晴れていれば花立に向かう地獄の階段が見えてくるところだが、上の方はガスの中で皆目見当がつかない。あの長い階段を目にしたときのうんざり感を味わわずに済んだのは良かったが、逆に、階段にさしかかってからは目標となるはずのかき氷の幟が見えなくて辛かった。ちょっとシャリばて気味のため、花立で軽食をとる。寒いのでかき氷はパス。
10:02 金冷しの分岐(1360m, 20.4℃)
花立からさらに登る。登りきる直前はシャクナゲが芽を出し始めていた。新芽は赤みがかっているので、その一帯だけ秋のような色合いだった。そして登りきったところでいよいよミツバツツジが出現。そのへんの人たちと口々に「きれいですねえ」などと言い合う。
10:16 塔ノ岳着(1475m, 22.3℃)
到着したときは山頂は濃いガスに包まれていた。しかしそうかと思うとすぐに日が差したりして、なんだかへんな天気だ。本日の目標は丹沢山なので、軽食をとってすぐに出発することにする。
10:26 塔ノ岳発(1485m, 27.2℃)
塔ノ岳から丹沢山方面の道に入ると、ぐっと人が減って静かになった。塔ノ岳山頂のすぐ下の看板のところのシロヤシオは6年前はとても見事で今回も期待していたのだが、そのイメージからするとちょっとびっくりするくらい花が少なかった。紅白のツツジを楽しみながらどんどん下る。道は激しい段差の階段で、とにかく歩きにくい。
すると道の真ん中にザックがひとつぽつんと落ちていた。誰か滑落したのか? と、ビビりながら近づくと、崖に下りてツツジを撮っている男性が見えた。なんだ、驚かせやがるぜ。自分だったら下りるのに躊躇するくらいの急な斜面だったが、悠々と三脚を構えて撮影に余念がない。
ところで、今回はこのような人を3人も見かけた。花がきれいだからついちょっと登山道をはずれちゃった、とかいうレベルじゃなくて、いいポジションを探して、登山道脇の草地や斜面を三脚をかついだまま、まるで鹿のように縦横無尽に歩き回っていた(相棒は彼らをシカ男と名づけた)。朝の通勤時間、禁煙タイムの駅のホームの「あなたは満足、他人は迷惑」という看板の前でタバコを吸ってる哀れなニコチン中毒患者さながらの狂態には呆れるばかりであった。そうまでして撮った写真にいったいどれほどの価値があるのだろうか。なんだか妙なやりきれなさを覚えた。
崩壊したヤセ尾根
下りきった最低鞍部の周辺はツツジが美しい。ここは崩壊が激しく迂回路ができているのだが、今ではその迂回路も崩壊しつつあった。木製の桟道の上には木の枝が張り出していて、下ばかり見ていると頭をぶつけてしまう。注意してすばやく通過する。ここから階段の登りに転じるが、中がえぐれた階段はまるでハードルのようで、足の上げ下げが大きいため疲れる。これを嫌った登山者が階段脇を歩くので、そこがまたえぐれるという悪循環。えぐれたところは雨でドロドロのズルズルになっている。いったいどこを歩けばいいのやら。
11:13 竜ヶ馬場(1475m, 23.9℃)
日高を過ぎてから開けた斜面を登る。ここには以前来たときにはなかった木の階段ができていた。丸太をただ地面に寝かせただけの階段とともに、塔ノ岳の山頂直下にもあるような宙に浮いている非常階段式のものもあった。この階段を過ぎてから竜ヶ馬場の広場だ。丹沢でよく見かけるテーブルのようなベンチが5つもあって休憩適地。ここでちょっと座って休憩した。
11:33 丹沢山着(1550m, 23.3℃)
竜ヶ馬場からは15分程度で丹沢山に登頂。陽射しがあって暑く感じた割には、雲で展望はなかった。広い窪地状の山頂は思いのほか人が多く、4つある丹沢タイプのテーブル型ベンチは満席。空き地で車座になって宴会に突入しているグループもいた。草むらにはマイヅルソウが咲いていた。丹沢三峰方面へちょっと行ったところにツツジがたくさん咲いていたような記憶があったので、昼食休憩のあとにちょっと偵察に行ってみた。ほんの数分行っただけだが、ごっそりと咲いたシロヤシオを見ることができた。もっと下るともっときれいかもしれない。さらにそのまま宮が瀬に下るという、6年前と同じコースをとろうかちょっと迷ったが、三峰は悪路のイメージが強く、帰りのバスも不便なので、当初の予定どおり大倉へ戻ることにした。
12:22 丹沢山発(1560m, 26.6℃)
帰りは写真を撮りながらのんびりと行く。途中で見えた塔ノ岳はガスっていた。南風が吹いていて、塔ノ岳にぶつかって雲ができているようだ。だから北側は晴れているのだろうと思った。崩壊鞍部直前のハードルは、下りになるので厳しかった。階段脇は案の定よく滑った。
13:27 塔ノ岳着(1475m, 23.3℃)
鞍部を過ぎて塔ノ岳への登りになると、徐々にガスが濃くなってきた。霧の中に浮かぶツツジは、霧の流れとともに味わいが変化していくのが面白い。また斜面の下のほうは、散ったシロヤシオの花が地面に散らばって花畑のように見えて、趣のある風景だった。奥の方までツツジが続いているのがよい。というわけで、戻ってきた塔ノ岳山頂はまたまたガスだった。
13:38 塔ノ岳発(1480m, 24.4℃)
16時までに下ることを目標にして霧の中を出発。標準タイムは2時間だが、道が滑るので、スリップ恐怖症のわれわれではおそらくもっとかかるだろう。