高峰・湯の丸スキーツアー 2002年3月21日 - 24日 一般旅館利用

3月21日 曇

新幹線あさまは東京駅ではがらがらだったが大宮でほぼ満席となった。車窓からはそこここで満開の桜が見られた。この頃は、気象観測史上、記録的に桜の開花が早いという報道でもちきりであった。
佐久平で降りる人は少なかった。駅から浅間山を見上げるとまっくろだ。昨年と比較して、明らかに雪が少ない。
アサマ2000パークスキー場で例によって高峰温泉の送迎雪上車で宿に向かう。宿で軽く荷造りをしたあと、いよいよ出発だ。

10:47 高峰温泉発(高度計:1940m, 温度計:10.2℃)

がりがり道
がりがり道
池の平湿原に向かう。まずは軽く足慣らしということで、今日は林道を歩くことにした。
まずは最初の下り。去年いきなりすっ転んだ苦い記憶の残るところだが、難なくクリア。エッジの威力をあらためて思い知った。
しかし雪がない。山肌は草がむき出しである。ところどころ落石があり、土に染まった雪が茶色くなっている。
しかもガチガチである。どうにも歩きづらい。展望はまあまあで、雲の中に八ヶ岳がぼーっとかすんで見えた。

12:06 兎平(2045m, 6.8℃)

池の平への斜面
池の平への斜面
相棒Kの板はウロコが上手く効かせられないようだ。つるつる滑りながらそれでもなんとか兎平に到着した。
池の平湿原への下り斜面にはちゃんと雪が残っていた。昨年はクロカンで曲がれず、斜滑降 - キックターンの連続で45分もかかった斜面だ。この板ではどうだろう。軽くお茶をしたあと、いざ、滑降だ。

12:47 池の平湿原(2000m, 6.0℃)

草の見える池の平湿原
草の見える池の平湿原
斜面はわずか数分でクリアできた。しかも一度も転ばなかった。テクニックではなく板のおかげなのだが、とても嬉しい。テレマークスキーにしてよかったー。
肝心の湿原は、驚いたことに木道が見えており、一部で草が頭を出していた。

13:16 出発(2055m, 5.3℃)

徐々に風が強く、雲が多くなってきたので宿に帰ることにした。

14:04 高峰温泉に帰着(1950m, 5.3℃)

帰り道も転ばずに滑ってこられた。
まだ14時。宿の目の前のスキー場は強風でリフトが止まっており誰もいないので、貸切のゲレンデでスキーの練習をしていたら、なにやらぽつぽつと降ってきた。夜には猛烈な風が吹き荒れた。

再び高峰温泉

高峰温泉はすばらしい宿だ。スタッフの応対も風呂も相変わらず気持ちよい。
楽しみにしていた夕食は、食前酒が花梨。鯉のたたき、蕗の白酢和え、鯉の洗い、川鱒の蕎麦禺羅丹(グラタン)焼、凍り豆腐の煮物、朴葉焼、そば団子の田舎鍋。中でも出色は鱒の蕎麦禺羅丹焼。グラタンなのだが、蕎麦粉が入っていて、香りがよい。こんなの初めて。
何度訪れても(と言っても2度目だが)期待を裏切らない。よい宿は、よい。

3月22日 曇ときどき雪

依然として風はおさまらない。七千尺ツアーコースを行くつもりでいたが断念。風が弱まったら、林道を湯の丸まで抜けることにした。
またもや強風でリフトが止まったおかげで高峰温泉宿泊のXCスキーヤー数名しかいないゲレンデで、出発までの間スキーの練習をすることにした。で、ついでに七千尺コースの入り口でも確認しようとスキー場を横切ろうとした。しかし、ゲレンデはもんのすごいアイスバーン。誰も滑っていないので、ガチガチの氷のままだ。昨晩の雨のせいもあるだろう。全く歯が立たず、ついに最上部でコケてしまい、そのまま数十メートル滑落してしまった。それを見てヤバいと思い戻ろうとした相棒Kも滑落。やれやれ、これじゃ風がなくてもツアーコースなんて無理じゃん。

10:39 出発(高度計:1970m, 温度計:13.0℃)

前夜の雨で道はひどい状況
前夜の雨で道はひどい状況
というわけで、練習はそこそこにしてすぐに出発。幸い風は少しおさまったようだ。昨日も通った道であるが、明らかに雪質が違い、今日はがちがちのつるっつるだ。神経を使いながら最低地点まではスキーで下ったが、登りはあきらめてスキーを担ぐことにした。
というのも前日歩いた際に、短いが氷の急斜面の難所があったことを覚えていたからだ。前日の時点ですでに登りはたいへんだった。その難所を過ぎてから板を履いた。

12:28 兎平発(2075m, 3.7℃)

湯の丸へ滑降開始
湯の丸へ滑降開始
ゆっくりとお茶を飲んでから林道を湯の丸方面に下る。こちらは高峰 - 兎平間と比べてまだ雪の状態はよかった。特に、兎平のすぐ下は森が広がっており、林の中を気ままに滑れる楽しみもある。
林道を15から20分ほど滑ると、やがてスキー場のリフトの建物が見えてくる。すると道は突如圧雪されたコースとなる。林道はそのままスキー場の林間コースとなるのだ。コースは適当に雪がえぐれていて、なかなか滑りやすかった。

13:26 湯の丸高原スキー場着(1775m, 6.6℃)

ずいぶん早く着いてしまった。宿に荷物を置かせてもらい、スキー場の初級者コースでひたすら練習に励んだ。 今日の宿は地蔵峠のシティオス地蔵。部屋や建物はイマイチだったが、風呂が広くて気持ちよく、また、食事の量が尋常でなく、この点では満足できた。

3月23日 雪ときどき晴れたり曇ったり激しく降ったり

宿の前から湯の丸山を見るとガスの中。少し迷ったが予定通り登ることにした。山スキールート図集では登頂後稜線伝いに北上し、旧鹿沢に下ることになっている。

9:54 出発(高度計:1865m, 温度計:-0.3℃)

お決まりのがりがり道
お決まりのがりがり道
相棒Kがザックを持ってリフトに乗るのが苦手なので、ウォーミングアップのつもりで歩いて登ることにする。宿のすぐ裏から湯の丸キャンプ場への道が始まる。
昨日までの高峰湯の丸林道と同じく道はがりがりだ。

斜面

林間を登ってくる相棒K
林間を登ってくる相棒K
湯の丸キャンプ場から右(北)に進路を変え、斜面にとりつく。夏道はよくわからない。木の切り開きがそこかと思わせる程度だ。雪面に小枝が散乱してスキーでは歩きづらく、また、斜度も増してきたので、相棒Kはいったん板を脱いだ。かつりんも斜登高を交えながら今度は進路を北西にとり、トラバース気味に尾根をめざす。
尾根に出てみると広く切り開かれた道で、いくつものシュプールが残っていた。正面には目指す湯の丸山が・・・ガスの中にあった。

10:21 ツツジ平(1920m, 6.1℃)

分岐点
分岐点
ツツジ平の分岐点についた。ここから急坂になる。天気が回復しそうにないので、途中でスキーをデポして、山頂まで往復することにした。そのままスキーで登るのはむずかしいので、シールを貼って滑り降りられそうなところまで登ることにした。
しかし曇りかと思うと晴れ間も出たりして、ヘンな天気だ。

10:49 撤退

撤退地点
撤退地点
スキーを適当なところにデポして、ツボ足で登り始めると、ついに雪が降ってきた。風も強い。木の枝に、みるみるえびの尻尾が伸びてゆく。山頂から景色を見るなんてもってのほか。これ以上登ってもおもしろいのか。いや、つまらない。
というわけで、この地点で撤退。

11:14 ふたたびツツジ平(1945m, -2.5℃)

篭の登山方面の眺めとシュプール
篭の登山方面の眺めとシュプール
我々にはよくあることなのだが、下りると天気が回復する。東は晴れてきて、湯の丸高原スキー場や、篭の登山も見えてきた。青空は見えてはいるものの、まだ雪は激しく降っているし、もう登り返す気力はない。
しかしこのまま下りても12時過ぎには峠に着いてしまう。それならばここで遊んで帰ろう。ということで、ザックを登山道脇の東屋の下に置いて、ツツジ平のなだらかな斜面でスキーの練習がてら、歩き、滑り、コケまくった。たった今積もったばかりの雪にシュプールをつけられるのが非常に気持ちよい。

14:55 下山開始(1910m, -0.8℃)

湯の丸山
湯の丸山
途中でお茶を飲んだりしながらたっぷりと2時間以上も遊んでから下山開始。
気が付けば天気はかなり回復し、湯の丸山も姿を見せていた。見上げると山頂の方から4人の山スキーヤーが滑り降りてきた。かっこいー。今日は結局山中ではその山スキーパーティの他にスノーシューと2組会っただけであった。

15:26 キャンプ場(1830m, 1.2℃)

林道はおいしい斜面になっていた
林道はおいしい斜面になっていた
帰りは夏道をスキー場のリフト上まで行った。ゲレンデは中上級の斜面、とてもじゃないけど滑れない。リフトのところからキャンプ場方面への道にはロープが張ってあったが、くぐって下る。
すると、往きは木の枝が散乱していた斜面が、先ほどまでの雪できれいな斜面に生まれ変わっていた。大喜びしながら滑るがあっという間に終了。キャンプ場に出る。
キャンプ場のすぐ脇には湿原がある。しばし雪原を眺めてから帰る。

15:39 地蔵峠帰着(1780m, 1.2℃)

キャンプ場から峠までの道もまたきれいに雪がつもっていた。適度な斜度で、直滑降ノンストップで一気に峠に帰着。

3月24日 晴れのち雪

これもよくあることなのだが、最終日、遊ばずに帰るつもりでいると天気がよくなったりする。今朝もきれいに晴れた。というわけで、どこに行こうかと考えた末、またもや池の平に行くことに決めた。予報は午後から山沿いで雪ということだ。

9:16 スキー場最高地点を出発(高度計:1925m, 温度計:-3.3℃)

湯の丸高原スキー場の高速リフトで一気にスキー場最高地点へ。相棒Kはリフトを降りるときザックが振られ怖かったらしい。
さて、ここから歩き出す。林道は遠回りになることがわかっていたので、いきなり林の中に入り込む。昨日つもった雪が美しい。林の中を適当に上を目指して歩いていたらいつの間にか林道に出てしまった。相棒Kはここでシールをつける。

10:23 兎平着(2035m, -0.5℃)

今日は見えた四阿・根子
今日は見えた四阿・根子
兎平の直下でまた新雪の美しい林の中に入ったが、これはワナであった。雪面はガッチガチのアイスバーンに数cmだけ新雪がつもった状態。直登できずずるずると後退してしまう。シールをつけた相棒Kはすいすいと登っていってしまった。
兎平からは四阿山・根子岳がきれいに見えたが、どうやら雲が多くなってきた。

10:46 兎平発(2035m, -0.1℃)

雲上の丘直下
雲上の丘直下
兎平で休憩していると、とうとう雪が降ってきた。
かつりんもシールをつけ、雲上の丘を目指す。スノーシューのトレースがあったので、それをたどりながら、北斜面をトラバース気味に進む。

11:24 雲上の丘登頂(2080m, -4.2℃)

雲上の丘より池の平湿原
雲上の丘より池の平湿原
遠くの景色はもう見えないが、丘から池の平湿原を見下ろすことができた。頂上付近は雪が飛んで岩が露出していた。風が強く、寒い。
さて問題は下りなのだが、直下の斜面はアイスバーンでちょっと怖いので、外輪山の尾根を最低鞍部まで夏道沿いに下ることにした。様子見のつもりでシールをつけたまま歩き出す。

12:15 池の平湿原到着(1985m, 1.1℃)

池の平湿原に降り立つ
池の平湿原に降り立つ
しかし夏道は木がうるさく、段差もあったりするのでスキーにはちょっと不向きに思えた。相棒Kはすぐにスキーを脱ぐ。また、植生保護のフェンス沿いは雪が飛んでいたりなど、条件もかなり悪かった。フェンスを過ぎると木のない尾根になり、雪がないうえに下が見えない斜面となったため、かつりんもスキーを脱いだ。案の定斜面は凍りついていたが、そのような難所は短かく、スキー技術のある人なら難なく滑り降りられただろう、という程度。もうちょっと雪があったらかつりんもスキーで降りていただろう。
難所を過ぎてすぐにまたスキーを履き、すぐ下に見える湿原に斜滑降で滑り降りる。これで外輪山を半周した格好である。

12:39 兎平(2055m, 3.6℃)

実は池の平までずっとシールをつけたまま降りていたので、兎平への登りもラクだった。兎平に着いた頃には雪がかなり激しくなってきた。
兎平からどちらに下るか迷った。バスの便のある高峰方面と、バスはないが高峰より下りがおもしろい湯の丸方面。で、高峰(アサマ2000スキー場)からのバスは15:50と遅いことから、湯の丸に下りてタクシーを使うことにした。
しばし休憩の後、13時ちょうどに出発。

14:00 地蔵峠着(1725m, 0.4℃)

道を知っていることもあり、わずか15分ほどでリフト上に着いた。ここから一昨日滑った林道コースを行くのだが、なんとこの日の雪面の悪いことか! これほどひどいアイスバーンは初めてだ。スキーを履いているのに横に滑ってしまう。エッジもへったくれもない。スケートリンクに普通の靴で入ってしまった気分だ。峠に着くまでの40分あまり、ほとんど効かないボーゲンでずーっと滑っていたせいか、途中から向う脛がぷるぷる震えていた。
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