インド舞踊の歴史 3

「Cosmic Shiva 108 Bharatha Poses」

 その「ナーティヤ・ヴェーダ」の中には実に108種類のシヴァの舞踊のポーズがおさめられ、今日のインドに伝わる舞踊の知識と技法が体系化されています。
 そのポーズの石のレリーフが、シヴァの寺院で有名な南インドのチダムバラムにあり、有名な「踊るシヴァ神(ナタラージャ)」もそのひとつとして刻まれています。

 またインド舞踊はアジア諸国に伝わる民族芸能の原型ともなり、ビルマ・カンボジア・タイ・インドネシアに伝わり、中でもバリ島に伝承された祭儀としてのガムラン、レゴン、ダンス等にその影響が顕著に現れています。

「Bali Dance」

 さらに、インド舞踊全般に共通した最も重要な題材である二大叙事詩「ラーマヤーナ」と「マハーバーラタ」のエピソードや身のこなし、手指の使い方もアジア諸国の芸能に強く影響を与えています。インド舞踊の歴史の古さと舞踊の水準の高さには圧倒されるばかりです。

 舞踊は神々への賛歌であり、宇宙のリズム、永遠に続く生と死、天体の運行などを賛歌と悠久の律動−ヴェーダ−に乗せて表現します。「マハーバ・ラータ」「ラーマヤーナ」をはじめとし、各地に伝わる神話や伝説に題材をとり、インドの大地に根ざした神々への信仰、愛、人生観が鮮やかに織り込まれ、精神と物質、理性と官能が巧みに共存した恒久的な人間真理と本質を見事に表現しています。

 優れた踊り手が舞う時、神々もそれに応えて舞い始めます。

 こうして人と神が、人と人とが交感する場。これこそがインド舞踊なのです。

 

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「Shiva & Parvati」


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