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   名物編 【お】大田南畝(四方赤良・蜀山人)の詩・狂歌 〔名物編〕大田南畝関係
  【酒】(さけ)◯は欠字、◎は表示不能文字
詞書・漢詩・狂歌出典巻・頁年月日
「対酒吟
 路傍有荒塚 断碑荊棘間 緑字無人掃 白楊不可攀 人生宛忽皆如此 一任酔生与夢死
 四美難得百憂多 何不飲酒徒自爾 甕頭醸得鬱金香 携来但須進一觴 短歌一曲誰能知
 眼中之人有杜康」
南畝集4
漢詩番号0684
③237安永8年
1779/07/
「雨中、酒に対す。灰韻を得たり 涼雨催詩急 清風勧酒来 縦令詩不就 莫負手中杯」南畝集5
漢詩番号0813
③280安永9年
1780/06/
「有花満枝 有酒満壺 花神如在 酒徳不孤」巴人集②448不明
「夏日竹飲
 欲倒氷壺酒 相携就竹叢 千竿留宿露 六月足清風 燻灼人間遠 塵埃酔裏空
 似逢嵆阮侶 把臂入林中」
南畝集6
漢詩番号1220
③420天明4年
1784/06/
「樽酒を硯の海とたくはへて筆の命毛ながくのまばや」巴人集②443文化1年
1804/06/
「夏晩小酌 雨晴新竹早涼回 燈火可親書可開 酒伴歌鬟来款戸 還抛余業附銜杯」南畝集14
漢詩番号2466
④320文化1年
1804/06/
「酒辺 莫道玉山猶未頽 玉山頽処豈遅回 一声歌曲凝眸発 百罰深盃入手来」南畝集16
漢詩番号2912
⑤24文化3年
1806/07/
「夜帰 傍人扶酔上肩輿 道路何知疾与徐 夜半叩門声自急 眠醒始識是吾廬」南畝集14
漢詩番号2466
④320
「酒あれど肴無し。つまりの肴の三のものヽの名によまばかくもあらんかし。からすみ、うるか、たらこ
 金銀がないからすみぬ利をうるかまうけたらこのさかなもとめん」
をみなへし②20文化4年?
1807/?
「酒一樽を沽ふ。花園と名づく 沽得花園一酒樽  春将酔杏花園 一団親戚多情話 彭沢妻孥且子孫」南畝集17
漢詩番号3300
⑤142文化6年
1809/12/
「菊の花かきたる盃に 酒のめばいつも慈童の心にて七百歳もいきんとぞおもふ」
「酒 酒のめばいつも慈童の心にて七百歳も生れ(きん)とぞおもふ
   酒も又のまねば須磨の浦淋し過ぐればあかし声は高砂」
放歌集
千紅万紫
巴人集拾遺
②164
①246
②473
文化8年
1811/09/
「梅と酒を好む人の酒壺に歌かきつけん事をこふに
 なには津にさくやこの花寒づくり今をはるべと匂ふ一壷」
七々集②298文化13年
1816/02/
「飲酒法令 酒はのむべし、さけはのむべからず。
 一、節供祝儀にはのむ  一、珍客あればのむ  一、肴あればのむ  一、月雪花の興あればのむ
 一、二日酔の酲をとくにはひとりのむ
 この外群飲、佚遊、長夜の宴、終日の飲を禁ず。童謡にいはく、おまへその様にのんで猩々にならんす下心。猩々よくのめども禽獣をはなれず。人として禽にだも鹿猿(シカザル)べけんや」
万紫千紅
紅梅集
①300
②321
文化13年
1816/06/
文化15年
1819/01/
「雑二十首 世をすてゝ山にいるとも味噌醤油さけの通ひぢなくてかなはじ
        世の中はさてもせはしき酒のかんちろりはかまきたりぬいだり」
蜀山百首
清好帖
①313
⑳383
文化15年
1818/01/
「去年より米のあたえひくければ、くれにつくべき餅米のあたえ例よりいやし。 新酒の来るは長月神無月、遅くて霜月には下るべきを、古酒の価のひきくならん事をおそるゝ故にや、ことし年明けてむつき二日に入船あるべきと人のいふをきゝて【後聞正月九日入船也】
 米屋より酒屋はとりの空ねにて二百五十の関はゆるさじ」
紅梅集②359文政2年
1819/01/
「新酒 霜月廿四日 むさしのゝはらに味ふつの国のいけだ伊丹の新しぼり酒」紅梅集②379文政2年
1819/11/24
「酒 当年杜仲寧 造酒満銀缾 能使塵中客 千秋酔不醒」南畝集20
漢詩番号4566
⑤509文政3年
1820/09/
「夢想のうた 屠蘇の酒曲水花見月見菊年わすれまでのみつゞけばや」あやめ草②96文政5年
1822/01/
「七拳式酒令(酒宴式目七箇条)
 第一 酒伴
 第一に友をゑらぶべし。ゑらぶとはよきをこちへと手をとりて、あしきをあつちへ八分するなるべし。
 もし下戸たりとも御酒好と称する輩はこれをゆるす。もし上戸たりとも糟くらひの輩はこれを禁ず。

 第二 酒品
 酒は伊丹・池田・角田川もよし。四方のあかは勿論、のみかけ山の燗ざまし、火いり濁醪の類はいや。
 第三 酒肴
 肴は筍を最上とす。雪中に孟宗竹のしゆんかん(笋羹)もつとも佳とす。
 されども不時にもとめがたし。やむことなくば竹輪を以て是に易ふ。其余の料理は見合次第。

 第四 酒器
 澗鍋は油つぎの形に類し。さかづきは物いはずコツプたるべし。硯蓋はするが細工歟竹の模様。
 第五 酒筵
 掛幅は七賢の図歟竹の画たるべし。筵は竹むしろを本式とす。畳の上は略式なり。
 もと竹林にて興行すべき事なれども酔後に豹脚(やぶか)の患ありとて、
 ついに席上の遊びとはなれり。

 第六 好物
 此段酒好と書ては香煎のごとし。故に変じて好物とす。是席上にありたきものをいふ。
 席上にありたき物、よくなる三絃、料紙硯。

 第七 禁物
 これ席上きらふものなり。謡 声色 空斟酌 卑下味噌 年たけたる孌童 兄さんある歌妓
 味噌塩のはなし 唐本表紙の本 木枕【但手まくらは制外の事】
 此外見え坊、塩商(しほや)、侠(きやん)、いざこざ、いやみからみなどいふもの世上にあるよし、
 此たと(ママ「ぐ」カ)ひはゆめ/\参会にのる事をゆるさず。音曲は女は戯腔(めりやす)にかぎり、
 男は河東もつとも少(よ)し」
巴人集拾遺②483未詳