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   時候編・冬大田南畝(四方赤良・蜀山人)の詩・狂歌〔時候編〕 大田南畝関係
  【歳暮】(せいぼ)
詞書・詩歌出典巻・頁年月日
「歳に別る【東坡集別歳詩の序に曰く、蜀の俗、歳晩相邀ふるを、よびて別歳と為す
 盈虚消息更茫然 開宴殷勤別旧年 縦使青春催気色 何堪白日忽推遷 陽関曲裏歌三畳 北海樽中酒十千
 相遭良時須尽酔 一朝衰病有誰憐」
南畝集1
漢詩番号0021
③9明和8年
1771/12/
「歳暮
 行蔵何索莫 歳月忽崢嶸 佩剣生塵挂 窓書映雪明 聊依金馬隠 猶代石田耕 遠媿東方朔 三冬業自成」
南畝集1
漢詩番号0158
③9安永1年
1772/12/
「歳暮独酌
 独酌清樽一酔歌 玉山頽処正嵯峨 胸中磊隗応須澆 身後功名豈足多 日月能開青眼少 風塵転逐白駒過
 人生幸有忘憂物 遮莫年光送逝波」
南畝集2
漢詩番号0259
杏園詩集
③90
⑥33
安永2年
1773/12/
「別歳
 日月去悠々 推遷不暫留 寧知離別涙 寄入歳年流 自有千錘酒 聊忘万古憂 但令鶏黍熟 何必范張儔」
〈『蒙求』「范張鶏黍」〉
南畝集3
漢詩番号0511
③177安永5年
1776/12/
「歳暮 借銭をもちについたる年の尾や庭にこねとり門にかけとり」をみなへし②6安永?
「歳暮 ねがはくはとふり手形をうちわすれ跡へかへらん年のお関所」万載狂歌集①11天明3年
1783/01/
「歳暮、酒家の壁に題す 富貴功名不可求 楚雲湘水望悠々 今年三百六十日 半在胡姫一酒楼」南畝集6
漢詩番号1165
杏園詩集二
③402
⑥68
天明3年
1783/12/
「武家歳暮 もののふも臆病風やたちぬらん大つごもりのかけとりの声
        長刀にあひしらへど年のくれ弓矢八まんひかぬかけとり」

「歳暮 つごもりに利あげもならずながれゆく年より質のおしくこそあれ
     すす掃ははやすぎの戸のあけたてにはしり加減もとしのくれ椽」
巴人集
徳和歌後万載
②423
①28
天明3年
1783/12/
「いかなりけるとしのくれにか 金はありかけもはらふて置巨燧とろ/\ねいりつかんとしの夜」徳和歌後万載①28天明4年序
1784/05/
「歳暮 もういくつねて正月とゆく年を惜める親の心子しらず」狂歌才蔵集①40天明6年刊
1786/01/
「歳暮 したたかにかけをおふたるむまのとし地道にかへす春をまたばや」
〈この「むまのとし」は天明6年〉
狂歌千里同風①65天明6年
1786/12/
「歳暮、懐ひを書す
 華髪蹉跎四十年 窮陰短景共推選 久停濁酒憂難散 為避浮名賦未伝 雪裏偏憐萱草色 秋来一廃蓼莪篇
 縦逢明日陽和動 忍向朱門酔綺筵」
南畝集7
漢詩番号1491
③512天明5年
1785/11/24
「歳暮、夜飲 晨光無日不熹微 今是寧知定昨非 但願燈前一樽酒 年々歳々莫相違」
「辛亥歳暮
 荏苒風霜四十三 鬢毛如雪半毿々 少年詞賦従才尽 故態清狂任酒酣 蓂莢葉将分晦朔 梅花枝欲発東南
 陽和縦散窮陰気 奔走囂塵総不堪」
南畝集9
漢詩番号1779
④103寛政3年
1791/12/30
「壬子歳暮
 愛此青陽逼 嗟吾自髪生 事兼時代謝 歳共雪崢嶸 宿好書千巻 高歌酒一盛 羞将衰朽質 科第漫伝名」
南畝集9
漢詩番号1823
④103寛政4年
1792/12/
「崎陽の歳暮 除残何処欲迎春 別歳誰人会所親 客舎梅花閉且落 紛々散作簿書塵」南畝集14
漢詩番号2613
④361文化1年
1804/12/
「歳暮 東海奔流瀉漏巵 晨光過午乍崦嵫 人生六十看将至 莫以無涯労有涯」南畝集16
漢詩番号3115
⑤87文化4年
1807/12/
「としのくれに 金ありてつかはれもせずはした銭なきにはおとる年のくれ哉」
「客中歳暮
 旧年窮暦日 新節入春暉 六十寧知化 乗除未見幾 書伝灯下信 寒襲客中衣 可歎栖々者 生涯昧是非」
玉川余波②113文化5年
1808/12/22
「としのくれ 衣食住もち酒油炭薪なに不足なかとしの暮かな
此うたよみし師走廿五日、大久保といふ所にて宅地を給はりて住居を得たり。折からもちゐねる日にあたりしも、衣食住もちとつゞけしさとしにや。名家のとくもあればあるもの哉
 年の尾のしるしをみせて大まくり大小にこそ暮て行らめ
 今さらに何かおしまん神武より二千年来暮て行くとし」

〈『蜀山百首』①311『清好帖』⑳375の所収は「今さらに~」の詠〉
あやめ草②56文化6年
1809/12/25
「庚午歳暮 駆馳残臈逼三旬 雨後軽柔暖似春 婦子児孫何喜々 浮名不救一生貧」南畝集17
漢詩番号3444
⑤184文化7年
1810/12/
「歳暮 雪片無飛日月闌 千家塵垢事除残 可知畢竟吾身老 今歳寒於去歳寒」南畝集18
漢詩番号3575
⑤225文化8年
1811/12/
「壬申歳暮 観世水瀬川もかれてよし原もやけ野が原に年ぞくれゆく」
〈観世水は沢村宗十郎の紋様、12月8日没。瀬川路考は11月29日没。吉原11月21日焼失〉
千紅万紫①252文化9年
1812/12/
「壬申歳暮。二首 梨園連壁九重泉 柳巷層楼一炬煙 索莫江都殺風景 唯論折閲送残年」
「亦 泰嶽諸峰列子孫 螟蛉亦受乳哺恩 新居酒債多々辨 六十四年傾幾樽」
南畝集18
漢詩番号3723-4
⑤268文化9年
1812/12/
「歳暮、懐ひを書す 窮陰積雪逼青陽 七歳将加六十霜 老去府中無事事 濫竿看尽外人忙」
南畝集18
漢詩番号3740
⑤329文化11年
1814/12/
「乙亥歳暮 坐有諸孫真至楽 家無宿債是清貧 抄書飲酒年将暮 閑看忙中奔走頻」南畝集19
漢詩番号4119
⑤379文化12年
1815/12/
「歳暮
 ゆくとしをしめゆううちにくる春をまつや/\の声ぞ聞ゆる
 とめた/\くれゆくとしをおつとめん草摺引のたぐひなりせば」
七々集
万紫千紅
②287
①296
文化12年
1815/12/
「歳暮 雪ふらず天気もよくて火事もなしひまさへあればよいとしのくれ」七々集②290文化12年
1815/12/
「歳暮
 窮陰余二日 長至隔三旬 拙者家為政 陽春徳有隣 階前列芝玉 門外挿松筠 老楽抄書事 甘心刺草臣」
南畝集19
漢詩番号4120
⑤380文化12年
1815/12/28
「歳暮、懐ひを書す 緇帷林下杏壇前 偶見漁翁独刺船 将至宣尼六十九 何人為説南華篇」
「又 已有梅花発節前 還無雪片下籬辺 余寒日々何料峭 不信江春入旧年」〈この年の立春は12月22日〉
南畝集19
漢詩番号4237-8
⑤411文化13年
1816/12/
「年波の今やこえんと門々にたてし師走の末のまつやま」蜀山百首
清好帖
①311
⑳374
文化15年刊
1818/01/
「庚辰歳暮
 残年甘伏櫪 往時附亡羊 尽我生涯智 看他世上忙」
〈「老驥伏櫪」伏櫪は馬小屋。「多岐亡羊」〉
南畝集20
漢詩番号4579
⑤513文政3年
1820/12/
「歳暮 七十にあまれるとしのくれ竹のよたびも松の下くぐるべき」あやめ草②95文政4年
1821/12/
「歳暮 金銀のなくてつまらぬ年の暮なと将棋のあたまかく飛車」
「同じく 雪もなし又雨もなく火事もなし銭さへあればよし年の暮」
巴人集拾遺②479未詳