詞書・漢詩・狂歌 | 出典 | 巻・頁 | 年月日 |
「筑摩祭りの女にほとゝぎす 十二月画 四月 はつねより聞ふるすまで郭公てつぺんかけしなべの数々」 「西瓜 十二月画 六月 いつはりのなき世なりせば本なれの西瓜の皮に穴はあけまじ」 「閻魔 十二月画 七月 かりるとき地蔵なす時ゑんま顔うつてかはりしおもてうら盆」 「白無垢きたる傾城 十二月画 八月 北国のしるしをみせて八朔の雪白妙にみゆるしろむく」 「菊の花いけを持来たる女 十二月画 九月 おやしきのやの字にむすぶ帯のたけ長々月の菊の口上」 「夷講、生酔が鯛を落したるかた 十二月画 十月 あしたゝぬ神にあやかる夷講大なまゑひに落す生鯛」 | 六々集 | ②230 | 文化12/02/ |
「十二月の画賛 正月 若水 湯の盤の銘々くめる若水はまことに日々にあら玉のとし」 二月 燕 かりがねの交代なればつばくらも野羽織きてやきさらぎの比」 三月 鶏合 もゝ敷の桃の節句ににはとりの二羽あはせてやみそなはすらん」 七月 二星に月 天河ふたつほしの仲人はよひのものとや月のいるらん」 八月 稲穂に雀 むらむらと雀のさがすたなつもの落穂ひろふにあまの八束穂」 九月 菊に琴に酒壷 淵明がつくらぬ菊に糸のなきことたるものは一盃の酒」 十月 柿栗 神無月神のお留守にうみ柿のいつみつ栗とゑみさけてまつ」 | 七々集 | ②263 | 文化12年 1815/10/ |
「十二月の景物に女の風俗ゑがけるに 正月 羽子板に娘 ねがはくは手がひの狆となりてみんやあらよい子や千代のこざのこ若水 二月 摘草の囲者 籠の鳥かこはれもののつみ草はいつか広野のすみれたんぽゝ 三月 汐干の浜女 つまとれど汐干にみえぬ貝と貝あはせてうつせはまのせゝなぎ 欄外 ちのみ子のやるせ渚にをりたちて汐干の玉もひらふ浜ぐり 四月 黒木売の女房 一声を人に忍の黒木うりやせや小原の山ほとゝぎす 五月 菖蒲湯 娘 湯上りにみしをあやめのねざしにて下女のさつきが文の取次 六月 三線 藝者 さみせんの駒がたさして二上りの舟は夕べにさん下りかも 七月 七夕 官女 黒かみもいつか素麺としどしの七夕のうたよむとせしまに 八月 白無垢 けいせい 北国のしるしの雪のしろむくはたれをたのみのけふの約束 九月 生花 後家 此花の後にはいける甲斐なしとたけなる髪をきりかぶろ菊 十月 ゑびす講 下女 神代より赤女といへる魚の名に若えびすとてこしをぬかしつ 十一月 酉の市 屋敷者 後やしきの外面似ぼさつ内心は慾のくま手にかきとりの市 十二月 市帰り女房 浅草の市に女のたつ事は三十年も前方はなし」 | 七々集 | ②285 | 文化12年 1815/12/ |