項番     内容    履歴
第1弾  ばちつくり(すりがね)  2006.05(初版)
第2弾  篠笛自作  2006.07(初版)


1 バチつくり!

すり鉦、太鼓、篠笛・・まつりに使う道具です。今回の自作講座はすり鉦に使う
バチの作り方を紹介します。(*下記内容は私個人が試行錯誤の上にオリジナル
で考えたもので有って正式とか伝統品など一切考えての工法ではありません
あくまでも私個人の考えです・・・)


1.バチに求めるもの
・握り易さ!(手の大きさ握り方に個人差が有ります)
・しなり加減!(竹材の利点でもある 腰を削ることによって調整します)
・長さ!(個人個人好みの長さがあり
 ます)

・外観!(どうせ作るなら美しく作りましょ う)


          長さ32cm

2.材料、道具
竿には孟宗竹(もうそうちく)、ヘッドには鹿の角を使用、グリップには
たこ糸とか綿糸などを使用します。
加工作業にはのこぎり、小刀、ヤスリ、瞬間接着剤を使用します。
*竹について
竹の採取は生後3年〜4年で直径20cm以上を選び水を上げ出す前の10月〜11月頃
に切りに行きます。
節のねじれ、肌の色、反り・・を基本に地面から50cm上を元にして約5mまでを
使います。(残りの部分は肉厚が薄いので私は使用しません!・・)
*鹿の角
地元の楽器屋さんでも3cmほどにカットされた物を1500円〜2500円(高価)
で販売しています。私は猟友会などから譲ってもらい のこぎり、ヤスリで仕上げて
使います。(余ったものは装飾品に流用)

作業工程

@.竹を切る
採取してきた竹は丁度いい長さに切り落として日陰で1ヶ月寝かせます。
(水分がある為いきなり割るとササクレたり乾燥した時にねじれたりしますので円筒状のままで保存します。)
センターに節を入れて切り落とします。
(節からは最低でも26cm上下の長さが必要です。)

ps:1節で12〜15本作れます・・写真の本数で140本
  バチが取れました。(竹1本分です)

A.竹を煮る1(油分を抜く)
竹を適当な幅に割って棒状にしてからお湯(グラグラ沸騰)を沸かして一握り糠を入れて煮込みます(*煮込み時間でしなり加減が変わります・・1時間で60%2時間で90%私は1時間です・・目安は竹の表面が緑色から黒緑色になるくらいです。)*油分を煮る事によって抜き、竹の硬さ、段発力(バネ)を調整します・・ 抜きすぎると硬くなりすぎて しなりが無くなり折れやすくなります

ナタで割ってササクレも削っておきます。

 

竹を煮る2
煮込み時間が短いと段発力が無く
腰の無いバチが出来上がります・・いろいろ試ししたが1時間がBESTだと思います。

強火でお湯が煮こぼれするくらいで丁度いいと思います。

出来上がったら、日陰で保管します。

B.荒削り
カンナで大体の幅を作り、小刀で削って行きます
この時に削り過ぎないように注意して下さい。しなり具合、グリップ形状も作りますが、ここでは荒削りにしておきます。

上から、作製用の素材、完成バチ、小刀、棒やすり


 @削り位置をマーキングする。

 A荒削りをする。

 Bヤスリを使いだいたいの外形を作る。

C.鹿の角を付ける
角のセンターにドリルで6mmの穴を開けます、そして棒やすりで穴を左右に楕円に変形させます(ずれ防止と取り付け部の補強のためです)位置が決まったら瞬間接着剤で固定します。

D.バランス調整
刀、ヤスリを使ってバランスを見ながら削ります。(小刀でしなり具合を最終調整すると
削りすぎてしまうので棒やすりなどで様子を見ながら調整しましょう。
鹿の角は重さが まちまちなのでバランスを考えながら調整してください

バチがしなる事によって鐘の淵に当たらなくなりバチを
壊さなくなる。

  負荷をかける前

竹をしならせて曲がっているpointとしなりの堅さを見る

E.仕上げ
削った面にはラッカーニスを塗りグリップには綿糸を好みで巻き出来上がりです。

カシュー:削ったところに塗る(ニスでも良いが粘度が低いので光沢が出ない)

グリップに巻く麻糸です(手芸屋さんに行くといろいろ色が
揃ってます)

篠笛つくり!

篠笛を削る!
1.材料について
 女竹(めだけ)を使用します、図鑑では九州地方から関東エリアの比較的温暖
 な場所に生育しているそうです、私は河川敷(狩野川)、山(達磨山)で採取しています。
 経験から竹が密集している場所で日当たりが良い方が笛に向いている竹が見つかりやすい
ようです、真っ直ぐで、ねじれが無く、節が綺麗に揃い、傷が無く、肉厚が厚く
なっています(なかなか見つかりません・・)時期は竹が水分を上げなくなり、
成長が止まった10月〜12月に取ります。大体3年〜4年生育した物です
(市販品の竹は中国竹と言われる物がポピュラーな様です、肉厚も厚く筋もしっかり整って
います。)
肉厚:これで笛の音の大きさ、透明感が決まります・・・薄い物はパワーが無く
      透明感のない感じです、厚めの物を探しましょう。

  (古典調7孔の篠笛です)   表1

調子

   使用用途

  長さ

外形(太さ)

内径サイズ

6本調子

子供会用

42cm

Max20.5mm

10mm

  11.5mm

5本調子

お囃子用

45cm

Max22mm

11mm

  13.5mm

4本調子

しゃぎり全般

47.5m

Max22.5mm

13mm

14.5mm

・音階の調整は下記方法(運指チューナーソフト)で行います、音律は竹の太さで
 決まってしまうので吟味して採取することをお薦めします。
・基本形状、音階は“獅子田”製の篠笛をサンプルにしています。

@.切り出して日陰乾燥2年
A.上から6本、4本、4本、4本調子
チューニング作業
マイク、USBsound_box

加工工程


・切り出した竹(4本調子)
・曲尺凹は笛の太さ(外形)Maxにけが居てあります、この尺を持って竹採取に行けばメジャーもノギスもいらない。

竹の切り出し(探し方、サイズ、良品の見分け方)
採取時期:
10 12月に行います(竹の生長が止まり水を上げだす前の時期です(夏場の採取は竹が柔らかくて乾燥させるとヒビが入ったり加工中に割れが入りやすい
虫食いを見分ける:竹の表面に茶色のシミが有るものは避ける。
曲がっているもの:多少の反りは修正可能です、綺麗に円形している物を選ぶ。楕円をしたものは修正できない。
太さ、長さは上記(表1)完成サイズとなるため見合ったものを探す。(4本調子を基準に探す、5本調子、6本調子は4本調子が見つかると上の節が使える場合が多いい)*4本調子に合う太さ、長さの竹はなかなか見つかりません、経験上、竹が群生していて、斜めの土地で、北斜面によく発見出来ました。

家の中で保管する。

竹の下処理(乾燥、曲がりの修正)
採取した竹は一節に切り2年間
日陰で寝かせます・・・あるいは採取して1カ月後に熱湯で1時間ゆでて半年寝かせます。(ゆでて油抜きをした方が竹の曲がりが少ないように思います。(参考文献では燻製にしておられる方もいらっしゃいます)
布団乾燥機を使い、採取してから3ヶ月後に10時間ぐらい
掛けておくと防虫、殺虫効果もあります、最近は行ってます。

竹の掃除(内壁、外側を紙ヤスリで掃除をする。内壁:園芸用の棒の先端に荒目紙やすり、もう一方に細目を付けて掃除をします、内壁はボコボコしているよりつるっとした方が音の歪みも減ります。
外壁:した処理段階なので、ざっと汚れを取るだけです。

けがいてキリで穴を開ける(マスキングテープ)サンプル(獅子田製)の笛にマスキングテープを貼り鉛筆で穴の位置をコピーする竹にコピーしたマスキングテープを貼り付ける。1孔〜7孔、歌口のセンターに四詰目きりで穴を開ける。

彫刻刀は使わず初めから
棒ヤスリで穴を整形する(歌口は特に注意してください、小さめの楕円穴
にしておき、“試し調律”で大きさを変えます。1孔〜7孔に於いても調律の時に穴位置、広げ方向を変えます。竹の表皮がめくれ易いので紙やすりでバリを取る。

竹にはマスキングテープを貼ってあります。
・荒削りが終わってマスキングテープを剥がし、紙ヤスリで仕上げます。(テープを剥がすときにも竹の表皮がむけないように注意する。
・外面の皮を剥ぐ・・塗膜が剥がれにくい。
・外面の皮を残す・・作ってから3年経過すると中には割れが出  る物が有りますが皮を残すと入りにくい気がします。
・歌口止めを付けるコルク(雑貨店販売)を管頭の内径+1mmの大きさで幅5mmのものを2個作り1個は片面に和紙を木工用ボンドで貼り付ける(*瞬間接着剤は不可!硬化しすぎる)管頭から押し込み丁度いいところで止めてボンドで固定する。
(コルクは歌口から3.5mm笛頭よりで止める)
笛、コルク、笛頭(黒檀材)
・内壁を塗装(仕上げでは無いので2度塗りで良い)カシュー(紅色)を2倍に薄めて使用(1度塗ると2日は乾かない!)園芸用の棒の先端に布を巻いて塗る、歌口、孔仔は綿棒を使用する。
(塗料は漆でも良いがカシュ-をタップリ薄めた方が竹に染みこんで硬化してくれる)・・・私は両方を使用してますが、どちらが良いか決めてない)
・試し調律を行う(塗装工程が完了ではないので約5%〜10%音が小さかったり、ノイズも有る)ここでは音階の調整の為なのでザックリ行います)音律調整用ソフト(表1参照)を使用する
歌口径の調整:吹きやすさは個人差が有ります、横長に削ると音量が変わります(広げすぎると
         大甲音(だいかんおん)が出にくくなる気がします。
         縦方向を広げると唇が厚い方に向いていて、薄い唇や女性はあまり広げない方が
         良いと思います。(個人差有ります)

音の透明感・・・・内径を再度塗りなおす(竹が乾燥してなかったり、歌口の形状変え。竹の肉厚が薄いと こもった音になり、パワーの無い笛が出来上がります、しかし低い音階は味がある柔らかい音質が取れます。一方肉厚が有る竹は高音域で切れのある力強い音が出ます、その反面低音域では こもった音になってしまいます。
孔仔径の調整:キーを上げたい時は管頭よりに広げるキーを下げたい時は管尻側に広げる。音量を上げる時は穴を大きくする。(穴の形成は最後なので竹の皮がささくれないようにヤスリを掛ける。)
(極端に穴を大きくすると音が高く(シャープ)なってしまうので注意してください)

フタ飾り付け材料は黒炭が理想ですが、入手に難しく、加工するには堅すぎるので、私はケヤキ、檜、を使います。(バルサは不可:乾燥すると収縮したりぶつけたりすると弱い)手順はふた飾りを管頭外形より少し大きめに作りボンドで貼り付ける、乾燥したら笛の外形と段差がなくなるまでヤスリで削る。
2008年からは黒檀(輸入材)を使ったます(ホームセンターで安いし、金やすりを使えば生成出来ます)

塗装1
・内径の塗装を行う:1度行う。(1倍に薄める)
(再度 音律調整用ソフトを使用する) ほぼ期待値の値になります。
・外形塗装を行う
(漆を使う)
漆を2度塗る(倍に薄める)または黒などの色を入れる。
カシュ-でも良いが漆の方が硬化が遅く素人でもそこそこ上手に
塗れます・・・笑

飾り(籐巻、絹糸を巻く)
巻いても巻かなくても音質に影響は無いように感じますが飾りとか数年後の割れ防止としてやります・・・籐は釣具屋さんで売ってます、幅
3mm 0,7mmが有りますが細いほど値段が高くなります、見栄えを考えると一番細い物が理想ですから購入!(1本の笛に2000円(2m)くらい必要です)巻きたい場所に印をして籐の厚みの分を笛にナイフで溝を入れます。または絹糸(シルバー)を巻く(150円)


・外側の塗装仕上げ工程を含めて2度塗ります。塗料は漆です 色は好みで選んでください(上手に塗るには、倍くらい薄めて使用した方が綺麗に仕上がります)1回塗ると乾燥に夏場で1日、冬で2日・・・これを2回繰り返します。(一度塗ったところで水ペーパーを使い軽くヤスリがけをしてから再度塗る方が綺麗に仕上がります)

最終確認(音律、音色)
   音律調整用ソフト(運指チューナー)をお借りして行います。
http://www1.ocn.ne.jp/~tuner/tuner.html    管理人:尺八と遊ぼパソコン(windos)にインストール
して笛の種類を選び音を出すと
周波数数値(H)と音量(dB)が表示されます。(表1参照)
(注:私は獅子田(篠笛4本調子、5本調子、6本調子についてdataを取ってみましたが笛の太さに
よって周波数にバラツキが出ます。
内径が太いと低めで細くなると高い音が出ます。)
ソフトについての詳細はURLから確認してください。尺八(琴古、都山、七孔)、オカリナ、篠笛、能管、
フルート、クラリネット、ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、トランペット、トロンボーン、
ホルン、リコーダー、オーボエの運指を見ることが出来ます。

(ソフト作者殿:連絡先が解らず、お礼をしておりません・・・先行使用で申し訳ありません)

  続きは後日更新します・・・・
  予告内容について
  ・自作の笛のレポート
  
☆2006.10.04更新!
 笛の装飾について
 今年度、まつりで使用した笛に、龍と鶴の金箔シールを入れてみました。

上:4本調子
鶴の銀箔シール
を装飾。

下:5本調子
龍の金箔シール
を装飾。
下:ラメを入れてあります。
(見にくいですが)

黒のカシューを3度塗り龍を貼ります、そして銀色の絹糸を巻く、そしてクリアーを塗り乾く前に
ラメ(釣り道具屋にて購入)を掛けます。☆今回は失敗しました・・ラメのザラ付きを
ペーパーヤスリで取ってからシルバーの絹糸を巻く予定でしたが工程を間違えてしまったため、
仕上がったとき笛がザラザラしてしまいました。(今からペーパーを掛けると絹糸まで巻き直しに
なってしまう・・・めんどくさがりの私は今回諦めました・・・・次回に乞うご期待!

2007.02.20 新作の発表!

2007に入って3本作ってみました。
・上から4本調子(獅子田調子7穴ドレミ調)
・5本調子(獅子田7穴ドレミ調)
・6本調子(獅子田7穴ドレミ調)
チューナーで音律をしたけど全体的に高めです、夏に作った篠笛も
冬に調律するとキーが上がるようです(官の中に水を入れて
若干乾燥を考慮してからの音律が正解のようです。

☆2008.04.03更新!

市販品では見かけない?塗装(デザイン)を披露します・・・藁!


作成手順は変わりません、塗装でひと手間かけました。
(全て漆使用)
外観塗装順番
1.黒
2.黒
3.柄(金、緑、赤、ラメ)を塗る
4.黒(乾いてから1500番紙ヤスリで下の色柄をだす)
5.本透明
6.本透明

    疲れました〜・・・トホホ!

予告!
昨年から柄物に填っていてセッセと作りました。今年は
竹を薫製・・煤だけ風にして作る予定です!次回UPするときは公開できると思います・・予定2008.08!
全て”獅子田”で調子を合わせているので次回は別の作者の調子を研究します
(蘭情、月山、郎童、丸山・・・)

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