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Handemade canoe making club

内容
 
カヌーの設計と製作に関する考察
 
 
シーカヤックとカナディアンカヌー

 
 
 
 
井  瀬  敦  司
   
1 設計についての概要
 
 小型船の製作としてよくとられる方法は、船体の形状から骨組み(フレーム)をつくり、そのフレームに合わせながら船体の外壁板(ハル)を張り合わせていくという方法がとられる。
 また、台になる骨組み(モールド)に船体板を接着せず張り合わせていき、船体が完成してから、骨組みを船体板からはずして船体をつくるという方法などがある。
 これらの方法では、船体板は一定の狭い幅の板をつなぎ合わせて貼っていったり、フレームやモールドにあわせて外壁板をねじりながら貼り付け、余分なところを切り取っていくという方法がとられる。平面である外壁板をねじることにより船体の形状を構成するわけであるが船体の形状は設計図に基づいてつくった骨組みにあわせて少し大きめの船体板を調整しながら現物あわせで張り合わせていくものである。
 設計した形状を得るためには、たわみやねじれのない骨組みが基準となるため、軽量でしかも適度な強度のある骨組みを正確に作ることが求められることになり、船体長が4~5mとなってきたとき、これらの要求に応える骨組み製作は容易ではない。
 ここでは発想を変え、外壁板の形状を計算により求め、仕上がり寸法に裁断した外壁板を張り合わせることにより、当初設計した船体の形状を構成するという方法を考えた。フレームや骨組みから形状をつくるのでなく、外壁板であるベニア板にひねりを加えながら張り合わせることにより船体形状をつくっていき、骨組みにより強度をもたすのではなく、外壁板により船体の強度を持たせようという考えである。
 この方法は、骨組みを必要としないため、部材が少なくなり、その分簡単に、また安価にしかも軽量化できるというメリットがある。
 また、船体形状の基準を骨組みにおいていないため、船体板を寸法どおり正確に切り出し、隙間なく接合すれば設計した形状になるため、製作場所も選ばない。
 当初、強度について不安を持っていたが、乗り降りに配慮すれば、カヌーとしての通常の使用では経験上全く問題がない。これは、船体を支える浮力は、水中に沈んでいる船体全体から均質に受けているため、通常では一部に強い力がかかることは考えにくい。布張りのフォールディングカヤックが存在するゆえんである。
 この考えに立ち船体の設計を行っていく際の中心的な課題は「どのような形状にベニア板を裁断すれば、張り合わせたとき設計した船体の形状になるか」いいかえれば、「外壁板を構成する曲面を、平面上にのばすと、どのような形状になるか」を求めていくことである。
 設計の手順を段階で示すと次のようにあらわすことができる。それぞれの過程について以下で順次述べてみる。
 
カヌーの設計に関する考察3より抜粋

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TEL 代表 井瀬敦司