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新しい視点で○○○を活動する Handemade canoe making club

製作の手法とヒント(製作マニュアルから一部抜粋)

4mmベニア板にマス目を描く

原寸型紙は、A4用紙35枚(よこ7枚たて5枚)でベニア板1枚分になるようにして提供しています。

まず、ベニア板に、よこ280mm間隔、たて190mm間隔でマス目を引いておきます。
木取りの枚数分、ベニア板に線で引いておきます。

Q1 原寸型紙をつなぎ合わせて貼り付けておくと便利だと思うのですが。
A1 貼り付けの誤差が、蓄積してずれてしまいます。そのため、基準線を引きます。
この作業が、仕上がりの精度にひびきます。


ベニア板へのけがき作業


1枚の原寸型紙には、3色または4色で色別に各ベニア板のけがきが描かれています。3色の場合は3枚のベニア板にけがくことになります。
基準線の交点に、A4原寸型紙の十字(トンボ)を合わせて、セロテープでとめ、間にカーボン紙をはさんで、ベニア板に写し取ります。
フレーム線(20cmごとの線)も引いておきます。組み立て時必要になってきます。
原寸型紙は4隅をカットしておきます。こうすると基準線に十字線があわせやすくなります。

Q1 フレーム線は平行ではないように見えますがどうなのですか?
A1 はい、その通りです。微妙にずれてます。船体板がねじれて組み立てたとき、フレーム線でつくる平面がそれぞれ平行になります。

Q2 原寸型紙を糊でベニア板に貼り付けて、切り出すのはどうですか?
A1 原寸型紙が糊の水分で伸びることが考えられますのでおすすめできません。

Q3 けがきは、ベニア板の表裏どちらにしますか?
A3 裏側です。フレーム線が内側になり、隔壁の取り付け位置が示されます。

Q4 けがきの道具は?
A4 アクリル製の透明の定規とボールペンがいいです。曲線部も直線で描いていきます。写した線がわかるように、ボールペンで重ね書きしていきます。


切り出し

左右対称で2枚必要なもの(船体板など)、1枚だけでいいもの(隔壁など)、(一部4枚必要なもの)を確認し、対象な部材になるように、ベニア板の表面同士を合わせて、ダブルクリップで留めておきます。

Q1 切断の道具は何で行いますか
A1 手引きののこぎりがよろしいです。合板用の縦横両用のものがおすすめです。けがきは、曲線部も直線であらわされていますので、その頂点を結ぶようになめらかな曲線で切断します。手引きののこぎりは、この曲線を切り出すのに威力を発揮します。電動ジグソーはジグザグになって不向きです。

組み立て

まず、船体板の長手方向の接合を行います。船体板の合い印に水糸を張り、3カ所が一直線になるように船体板を突合させ、内側から、接合板で接着します。
このとき、隔壁位置に「位置ぎめ桟」を貼り付けておきます。

接合された船体板の中央部を養生テープで仮止めして、PPバンドで締めていきます。このとき、隔壁を位置決め桟に合わせます。全体にねじれがないことを確認して隔壁部に接着剤をいれ、さらに内側から「ファイバーテープ」と「床職人」で接着します。
内側がしっかり固まったら、PPバンドをはずして外側のつなぎ目を、ファイバーテープと床職人で接着します。




Q1 ステッチ(針金などで船体を仮止め)はしないのですか?
A1 しません。ステッチによる仮止めは、船体板を引っ張って隙間を埋める方法ですが、一部に力が加わり、穴が割れることがあります。横棒とPPバンドによる締め付けは板が押し合うことにより密着していきます。ただしフレーム線がずれていないか確かめることが大切です。養生テープでの仮止めと合わせて行います。

Q2 スカーフ接合はしないのですか?
A2 スカーフ接合は、けがき前の板をつなぎ合わせて長い材料を作ることになりますが、けがき時に合い印を入れることにより正確な接合ができますので、その必要性を感じません。また、あて板をしても曲げ強度にそれほど影響しないと考えています。一定の厚さにこだわる必要はないと考え、より強度があり、正確な接合ができる「突合あて板方式」をとっています。

Q3 ファイバーテープ床職人とはどのようなものですか?
A3 ファイバーテープは石膏ボードの継ぎ目の下地に使うもののようです。20mm幅ぐらいがよろしいです。上の写真は50mm幅でしたので、半分に切って使用しました。メッシュ状で少し粘着性があります。
こすれにも強いです。補修にも使えます。
床職人は床材用の接着剤です。手に付いたら3日はとれません。強力で弾力性もあります。この接着剤は、硬化時、体積を増します。ファイバーテープの編み目からふくらんできます。ステンレス製のへらでなでるようにして延ばします。隙間にしっかりと入ります。しかりとめておかないと、ふくらんでしまいます。コーキングの効果もあります。

デッキの取り付け

カヤックのデッキは、内側に小さな部材のコマをつけておいて、このコマを側板の内側にはめ込むようにして接着します。外に出たデッキ版は、後で削って調整します。



Q1 シアー材 として側板の内側に角材をつける必要はないのですか?
A1 はい、側板のカーブを所定の形にするために、デッキの幅は大切です。その位置決めにコマをつけています。接着すれば、十分な強度は得られると考えています。

仕上げ


安くあげるのなら、水性ペンキで十分です。少々の傷は重ね塗りして補修しましょう。

強度を上げるのなら、ガラスクロスとエポキシ接着剤ですね。木目を生かした舟もいいですね。ただし、最終処分のとき処理場で受け入れしてくれないことがありそうです。

カヌー製作友の会22

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TEL 代表 井瀬敦司