グロートが来た |
主人が一番苦労したのは、公開レッスンの実験献体を何にするか?ということだった。細々と金沢でのオーケストラ活動を再開していた自分に、取り纏めの依頼が来たことは先に述べた。そして、他の目ぼしい金大フィルOBにも話を持っていったが、体よく断られたということだ。今から考えれば、恩知らずな話である。グロート教授は、遠路はるばる極東のそのまたその裏と呼ばれる金沢の地にやって来る。世界最高のオーケストラの主席奏者のレッスンを、中・高生相手にお願いするのは、教授に申し訳ないと思われたようで、その選択肢はなかった。いろいろと、思案された結果、金大フィルのKUABE8名と京大オケの近衛金管アンサンブル5名の2団体に落ち着いた。 正直言って、公開レッスン本番の両大学の演奏は、レッスンの材料とは言え、お世辞にも上手いとはいえないものだった。20数年前に観光会館で火花を散らした両大学の昔日の面影はあまり無く、時間の経過を感じた。 コンサート開催に至るまでの準備には、多方面で主人も尽力をされた様だ。当初はコンサート自身のディレクターも依頼されたという。ノウハウが必要な領域であるから、コンサートの当日シナリオ等は、アートホール側に依頼をした。様々な方々のお手伝いもあって実現にこぎつけた。 ![]() 当日の司会には、京大オケOBの山崎氏が駆けつけた。氏と御主人は、78年の第1回の京大・金大の合演時代からの長いお付き合いで、若いころは様々な演奏家への追っかけ(ストーカー)で有名だといわれている。主人によれば、今は、京都大学交響楽団ブラスセクションの有能なトレーナーとして御活躍中とのこと。山崎氏の分かりやすい進行は、このイヴェントの成功に大きな役割を果たしていた。 ←山崎氏と主人 戻る 次へ |