インサイド・べイエリア (オークランド・トリビューン) の報告
人体汚染 第2部 「大いなる実験」
ダグラス・フィッシャー


情報源:The Inside Bay Area
The Body's Burden Part twoThe Great Experiment
by Douglas Fischer - STAFF WRITER
http://www.insidebayarea.com/bodyburden/ci_2600903

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2005年3月19日

訳注: インサイド・ベイ・エリア(The Inside Bay Area (Oakland Tribune online) )が最近ウェブ上で発表した人体汚染(A Body's Burden)というレポートの第2部の紹介である。どのような化学物質が体を汚染しているかを調べるために血液と尿のサンプルを提供したバークレイの一家の話であり、ウェブ上では下記構成となっている。ここでは第2部:大いなる実験を紹介する。
■人体汚染 化学物質の遺産 A Body's Burden - Our Chemikal Legacy
■第1部:何が体の中にあるのか? What's in you?
第2部:大いなる実験 The Great Experiment
■第3部:体内の化学物質 The Body Chemical
■何ができるか? What can I do?
書評: Impact Analysis  http://impact_analysis.blogspot.com/2005/03/bodys-burden.html


第2部:大いなる実験

 1997年後半のある時、3M社医療担当重役ラリー・ゾーベルは、彼の会社の看板製品に問題があることを知った。:

 アメリカ人の誰の血液も、彼の会社の有名な看板商品”スコッチガード”(防汚スプレイー)に用いられる化学物質のわずかな量によって明らかに汚染されていた。

 ゾーベルは、彼の研究室が作業者の血液中のパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)−”スコッチガード”製造のための重要な化学物質−をチェックしていて、この事実を発見した。

 この化合物が作業者の血液を汚染していたこと自体は何も驚くべきことではなかった。しかし、この化学物質は、このテスト結果を正当化するために用いられるクリーンであるべきはずの参照用サンプル血液の中に存在していたのである。

 そこで、3M社は、生物製剤を供給する2社とコンタクトして、アメリカにおける献血の中から任意に選んだ760サンプルを購入し、同じテストを実施した。

 どのサンプル血液にもPFOSが見つかった。

 そこで、ゾーべルは赤十字に行き、600の異なる献血からのサンプルをもらった。結果は同じであった。彼はヨーロッパに行き、ベルギーの、オランダの、そしてドイツの血液銀行からサンプルを入手した。

結果は同じであった。

Chemical reform hampered by opposition
 ゾーベルの研究室は、シアトル周辺の238人の高齢者、645人の赤十字献血者、そして598人のアメリカの子どもたちの血液サンプルについてさらにテストを行った。

 どのサンプルからもこの化合物が見出されたが、そのうち2つの子どものサンプルは、3M社がその作業者に見出した値と同レベルかそれ以上であった。

 1998年に、驚いた3M社はアメリカ環境保護庁(EPA)にこの発見を報告した。2年後の2000年5月に、3M社は、PFOS及び関連化学物質パーフルオロオクタン酸(PFOA)の製造を中止すると発表した。

 ともにこの2つの化学物質は、ゴアテックスとテフロンから消火用泡剤、発電所配管ライニング、ジェット・エンジン用ガスケットに至るまで、他の消費者用や産業用の製品に重要な化学物質である。

 50年間、世界中にこの化学物質を供給してきたが、3M社はこの化学物質のビジネスから足を洗った。

 世界中の大学研究者たちは、PFOSとPFOAを、カナダ北極圏のホッキョククマ、日本海のウ(鵜)、アラスカのイヌイットの血液中ーといたるところで発見し始めて、この問題に驚いた。

 毒物学者の警告ベルを鳴らす4つの特質は下記のものである。
 ・その化合物は食物連鎖中に蓄積するか?
 ・それは人間の体内に長期間残留するか?
 ・それは広く拡散しているか?
 ・それは発がん性があるか?

 PFOAとPFOSは残留性がある。今年、EPAはPFOAは発がんの可能性があると宣言した。どこにでも見出されることに疑いはない。

 ”私は、このようなことは予測もしていなかった。私はびっくりした。”とゾーベルはインタービューで述べた。

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 合成化学物質の進歩は、一世代前よりも我々の生活を快適で確かなものにした。ゴアテックス、ナイロン、そしてポリスチレンは我々の生活の屋台骨である。香水は石油から作られ、ビニル・サイディングは我々の家を保護する。他のものはともかく、プラスチック製品を買わない、あるいは触らない日はない。

 要するに、合成化学物質は我々の社会の基礎物質である。
 一世代の間に、我々は実際上、地球上の全ての生態系を汚染してしまった。

 毎日、我々は数百万人の人々を毒性の分からない化学物質やその混合物に曝露させているーとカリフォルニア大学バークレー校、労働環境健康センターの研究科学者ミカエル・ウィルソンは述べた。

 ”人間の健康を損ねる外乱パターンは、・・・合成化学物質に関連しているように見えてきた。”規制当局は、3M社が警告するまで、PFOAやPFOS曝露がいかに広がっているか認識していなかった”。彼らは、3M社が提供するまで、その化合物のテスト方法を知らなかった。彼らは、3M社の科学者がその見積りを提供するまで、それらが我々の体内にどのくらい長く留まるのかについても知らなかった。体がその化合物の半分を体外に出すのに、PFOAは4年、PFOSは8年かかる。

 科学者たちは、PFOSはサルの甲状腺代謝を変え、マウスに発達系毒素として作用すると言うが、規制当局は何もデータをもっていなかった。3M社は、数年間の医療調査の結果、作業者の中にこの化学物質に起因するどのような問題も発見していないと言っている。

 社会がPFOAとPFOSについて何も知らないということは問題である。

 EPAは、各社から市場への新規化学物質の導入の申請を毎月平均108件受けており、1979年以来、総計32,559件の申請を受け付けた。申請には、製造量、用途、及び環境への排出に関する”全ての入手可能なデータ”は記載されているが、製造者がたまたまデータを持ち合わせていない限り、有毒性に関する記載はない。

 EPAがほしいに違いない他の情報−その化学物質の影響、物理的特性、健康への影響−等は、EPAの手持ちのデータか、公開されているデータベースが用いられる。そして、問題ある化学物質が制限されるべきことはEPAが立証しなくてはならない。

 したがって、1979年以来、EPAが制限した申請は、たったの9件であったと聞いても驚くにはあたらない。

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 3M社と、その最大顧客のひとつデュポン社は、PFOAやPFOSのようなフッ素化合物が、それらが保護する衣類やカーペットから離れてはるか遠くに出現することを疑うあらゆる理由を持っていた。

 1970年代の初めに、エンバイロンメンタル・ワーキング・グループによって入手された会社の文書は、産業側研究者はその化合物が実質的には分解されないということを知っていたことを示している。
訳注:
地球を汚染する過フッ素化合物類 PFCs (Environmental Working Group のレポート)日本語抄訳(当研究会)

 科学者が、どのくらい早くバクrテリアが分子を分解するかについて知りたいと思うときには、活性下水汚泥に目を向ける。土壌中で乱されずにいると、PCB類の半減期−分子の半分が分解する期間−は25年である。下水汚泥中では半減期は28年。DDTの下水汚泥中の半減期は7時間。3M社からEPAに提出あれたデータによれば、PFOAとPFOSは変化しない。

 それらの弾力性が最大のセールスポイントである。

 ”それらはまさに、本質的である。それらは、高温においても、非常に、非常に安定性がある。・・・それらは安価ではなく、加工も容易ではない。我々は、たとえそれらが高価であっても、それらは並外れて有用なので、今でもこれらの物質を販売している”とデュポン社の表面保護対策部門の主席科学者ロバート・C バックは述べた。

 PFOAはたった一つの目的−油と水の混合−のために用いられる。技術的には”プロセス助剤”であり、成分ではない。PFOAは、水と料理用油を入れたひとつのビンに数滴の石鹸水を加えた時に起きるような作用を起こす。

 ”それは、通常では一緒にならないものを、一緒にする働きがある”とバックは述べた。

 PFOAなしには、テフロンも、ステインマスターもゴアテックスもあり得ない。オイルとエンジンの高熱に耐えるPFOA製ポリマーがなければ、車のエンジンはもっと大きくなり、効率も悪くなる。シリコンバレーは、エッチング溶液に不純物が溶け出さないようにするための高性能プラスチック管ライナーなしには、そのように小さなチップを作ることが難しくなる。

 電力会社は、環境からの汚染物質を防ぐために、フッ化製品に依存している。消防士は炎を窒息させるために、こぼれた燃料にフッ化テロマ(短鎖重合体)の消火液を撒く。ジェット機が滑走路に墜落した時に、いち早く消火するものは他にない。

 安定性もまた、なぜ、実質的に検査した人、全ての血液中に現われたのかを説明している。3M社及びその他の科学者の見積りに基づけば、アメリカの半分の人々は30ppb以上のPFOSを体内に持っている。PFOAについては曝露中央値は5ppbである。
 マッシュド・ポテトの味付けは、ジャガイモ110ポンド(50キログラム)につき塩5グレイン(0.3グラム)である。

 疑問は直ぐに出てくる。曝露すると我々の健康に問題を起こすのか?我々は戻れないのだから。

 人間はさておき、ラットは長期影響が出始める前に、どのくらい耐えることができるのか我々は分からない。我々は多分、長期間曝露をしており、長期間曝露の結果がどのようなものか分からない−とアルバータ大学の準教授でフッ素化合物の研究をしているジョナサン・マーティンは述べた。

 デュポンは同意しない。今年の初めに発表された1,024人のPFOA作業者に関する研究の中で、最も曝露を受けた人々の中でコレストロールのレベルが10ポイントを越える健康への悪影響はなかったと報告している。

 いずれにしても産業側はPFOAの代替を持っていない。

 ”我々はそれを持たなくてはならない。我々は30〜40年間、探し続けてきたが、受け入れることのできる代替を見つけ出していない”。

 したがって、3M社がPFOAを止めた時、産業側は緊張した。誰かがそれをやらなければならない。

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 今日、デュポン社のノースカロライナにあるファイアットビル工場製造設備で、こぎれいなプラントがアメリカ国内唯一のPFOA供給基地として製造を行っている。

 デュポンは3M社の発表の後、2000年にこのプラントを建設した。3M社の古い工場よりもPFOAの排出は99%少ない。

 デュポン社は、消費者製品の製造の過程で、この化学物質の痕跡をなくそうとしている。わずかな量がいくつかの製品中に存在するかもしれないが、人間の体に見出されるレベルではないと同社は言っている。

 それなら、どのようにして地球上のいたるところに広まったのであろうか?科学者はいろいろな説を出すが、ほとんど確かなひとつのことがある。この化合物は、産業側の主張にもかかわらず、日々の消費者製品−ポット、コート、カーペット、衣類など−に起因するのではないか?

 ”地球中に広まったことを考えれば、それは製品である。”とニューヨーク州立大学アルバーニ校公衆健康の準教授クランチャカラム・カンナンは述べた。

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 このようにして、PFOAは、PCB類、DDT、ヘキサン、そしてアスベストと同じ轍を踏み出した。

 これらの全ては、健康への影響について不十分な理解のまま市場に出された。全ては問題が顕在化するまでほとんど調査されなかった。最終的に全ては禁止され、あるいは厳しく制限された。

 しかし、化学物質政策は製品に対する我々の要求によって支配される。規制当局と活動家は制限が行われる前にそれらが有害であることを立証しなくてはならない。

 PFOAは、今日、アメリカで製造される、あるいは輸入される81,600種の化学物質の単なる一つであり、批評家は3M社のPFOSとPFOAについての発見という事実の後、他の物質についてもどのくらい、このようなことがあることかと言及している。

 1979年に施行された連邦法は規制当局が商用の化学物質の危険性を評価し、懸念が特に高いものは管理するよう指示している。 しかし、過去20年間、4つの機関−米国科学アカデミー、一般会計検査院、米国議会技術評価院、米国EPA−は、どこも、ほとんど進捗がないと述べている。有害物質規制法 (The Toxic Substances Control Act) はその目的達成に及んでいないと、全てが結論付けている。

”危険があることを我々は知っているのか? 我々はそれについて考えるためのデータを持っていない”とカリフォルニア大学バークレイ校の研究者ウィルソンは述べた。

 ウィルソンは産業側はもしそのように選択すれば、より安全な化学物質を製造することができる−しかし危険をおかしてまでそれをやろうとしない。

 鉛ハンダを例にとろう。

 1990年代の初めに、アメリカの電子産業は、脳神経毒素である鉛をハンダからなくそうとする規制に抵抗した。ヨーロッパと日本の製造者は鉛を使わない技術に移行したとウィルソンは述べた。そして今日、アメリカ国内の電子産業は海外の競争相手に遅れを取っている。

 しかし、産業界だけを責めることはできない。これらの化学物質に対する我々の欲求が市場を、そしてある程度、規制当局を動かしている。

 過去25年間、アメリカの合成化学物質の消費量は8,200%増大しているとウィルソンは述べた。上位100の高生産量化合物だけでも、アメリカは2002年に我々の製品と環境に9,750億ポンド(約4億4,270万トン)を投入・排出しており、1992年に比べて16%の増加である。

 法律は、化学物質の定常的なテストを要求しておらず、批評家は要求されるテストは新規の化学物質についての限られた情報だけであると抗議している。EPAはそれ以上のテストを命令したり、あるいは、多くの場合、法律が企業秘密として保護しているので彼らの情報を公開する権限はない。

 新規化学物質を市場に出すことを承認するために、EPAの化学者はその構造を似たような化合物のリストと比較する。もし赤旗が立たなければ(危険性がなさそうなら)、それは市場に出ていく。EPAがひとつの化学物質を検証する期間は90日となっているが、実際にはもっと早くやる。EPAは早く処理しなくてはならない化合物の膨大なデータを抱えているからである。

 EPAの汚染防止毒物事務所の政策アナリストであるケン・モスは、新規化学物質は”非常に確固とした積極的な”検証を受けると述べている。EPAは製造者にもっと多くのテストを要求する力は持っていないのかもしれないが、それはできるし、産業側にもっと多くのデータの提出を強制していると彼は述べた。

 ”我々は、組織の力とハンドブックの力を持っている。それは完全ではないが、産業界に対し我々は更なるテストを検証する必要があることを指摘できるものである”と彼は述べた。

 しかし、ギャップがある。

 1979年に法律が施行された時に、PFOA、PFOS、そして58,000種のその他の化学物質はすでに使用されており、なんら疑問もさしはさまれずに適用を除外された。それ以来、新規化学物質の申請を32,550件受けたが、そのうち1,662件はEPAが変更又は制限を示唆した後に撤回され、300強が更なるテストを要求され、一握りのものが拒否された。

 数千の化学物質が毎日の消費者製品中に見出される。EPAが完全な毒性データを持っているのは約25%だけである。

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代替がある。

 2006年、ヨーロッパでは、化学物質は市場に出される前に安全性を評価することを求める化学物質政策に切り替わろうとしている。REACH−化学物質の登録、評価、及び認可(Registration, Evaluation and Authorization of Chemicals)と呼ばれるもので、ヨーロッパの規制当局が化学物質を見る目を根本的に変えさせる可能性のある政策である。

 ”基本的にはデータがなければ市場に出せない”ということだと科学と環境健康ネットワークのディレクター、テッド・シェトラーは述べた。”もちろん、それは、広く呼びかけが行われたが、産業界はそれに大反対している”。  シェトラーや現行の政策に対する批判家は、必要なことは予防を第一とするルールである−と述べている。

 ヨーロッパの動きを他の政府も見ている。例えば、カリフォルニア議会はカリフォルニア大学に同州の化学物質政策の評価を依頼した。その報告書は今年の春の広範囲は議会に提出されることになっている。

 2年前に、同州はよく使われる難燃剤、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の禁止を立法化した最初の州となった。2008年から施行されるこの法律は、欧州連合(EU)の難燃剤化合物の禁止をモデルにしており、ハワイ、メーン、ミシガンの各州が続いている。

 しかし、ブッシュ政権は反対の方向に動いている。下院の政府構造改革委員会に提出された報告書によれば、産業界と通じている商務省と国務省はREACHを後退させようとしている。一つの例:2002年にアメリカ通商代表部から産業界団体に送られたE-メールは、産業界に対して、”誰かをスウェーデンとフィンランドに派遣して、彼らの環境についての主張を和らげさせろ”−と督促している。両国は環境汚染物質研究で世界をリードしている。
訳注: EU 化学物質政策の探索ガイド REACH 何が起きたのか、なぜ? 第2部 政策 (当研究会訳)

 このことは、アメリカ人の母乳と血液中のPBDEのレベルは世界一であり、スウェーデンの研究者たちが彼らの国民を調べた値の10〜100倍高い値であった−とする調査が原因である。
訳注: アメリカ女性の母乳中のポリ臭化ジフェニールエーテル/米シェクターらの報告書概要(当研究会訳)

 そのレベルは非常に高く急激に上がっており、人口の5%、500万人のアメリカ人が実験ラットに甲状腺障害を引き起こすレベル近くのPBDEで汚染されていると考えられる−と環境健康危険評価カリフォルニア事務所の毒物学者トム・マクドナルドは述べた。

 オークランド・トリビューンのバークレイの一家の調査で、彼らの血液の分析結果は驚くべき高いPBDE濃度を示し、特に子どもたちが高かった。
 訳注:本レポートの第一部:人体汚染 化学物質の遺産 A Body's Burden - Our Chemikal Legacy

 トリビューンのバークレイ家調査に協力した研究者、産業側化学者、そして医師も、なぜそのような高い曝露値になるのか理由が分からない。

 リスクについても疑問がある。産業側担当官は、人の血液中のわずか数ppbの汚染では、その脅威は分からないと繰り返し述べている。  ”そのことは少しイライラする。”と臭素科学環境フォーラムのアメリカ計画ディレクターのピーター・オットーは述べた。”なぜ、難燃剤を製品から取り除いた時のリスクを議論しないのか?”

 ”火災安全リスクが無視されており、人々の危険も無視されがちである。・・・あなた方は真の予防を理論的予防で置き換えようとしている”。

 多分、このことが問題である。意思決定を行うための情報がそこにはない。PFOAやPBDEのように重要な、あるいは、目に見えない化合物の禁止を正当化するために十分耐えうるようにするものは何か?

 例えば、もしEPAが、産業界はもはやPFOAを製造することはできないと言えば、我々の健康はよりよくなるであろうか?

 ”我々は分からない。”アルバータ大学の研究者マーチンは述べた。”それが整理されるまで、どのような措置もとることは難しい。それは製造者に対して公平ではなく、何にもならないであろう”。

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デュポン社に話を戻すと、同社の主席毒物学者ロバート・リッカードはまさにこの問題について考えるために多くの時間を費やした。

 彼はPFOAの残留性と地球規模の拡散について。そのことを軽視せずに見ており、もう一つの統計を引用している。

 この化学物質は、50年間、よいものとして市場に出ている。それから作られた製品は我々の生活の隅々まで行き渡っている。血液アンプルのテストは、曝露がごく微量に、10年で1ppb、増加していることを示している。

 タバコの使用が毎年440,000人を殺し、肥満が蔓延している社会において、ファーストフードハンバーガーのラップやあなたのステインマスター処理されたカーペットの中にある顕微鏡的量の汚染物質PFOAを問題とすることが、いかに重要なのであろうか?

 ”我々が、全ての人々の体内に生体蓄積する物質を特定し時には、そのことを問題にすることは適切である。我々はそれが、この化学物質であることを理解している”とリッカードは述べた。

 ”しかし、この化学物質はそこに存在しているのだから、過剰に反応しないようにしたい”。

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この報告書−人体汚染(The Body's Burden)をさらに読みたい方は:
http://www.insidebayarea.com/bodyburden


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