欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
26. 予防的意思決定のための科学 (概要編)
Philippe Grandjean
情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part D Summary
26 Science for precautionary decision.making
Philippe Grandjean
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-26

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月26日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/26_Science_summary.html


 学究的研究者らの目標は、環境保護に責任をもつ規制機関の目標とは異なるかもしれない。したがって、研究は実行可能性、長所、機関の課題のような問題を考慮しなくてはならないが、それらは硬直性と惰性をもたらすかもしれない。

 環境的ハザードに関する学究的研究の多くの部分は、したがって、金属のような、少数のよく研究されている環境化学物質に焦点を合わせているように見える。したがって、環境的ハザードに関する研究は、よく知られていない問題、特に新たな情報が特に必要とされる潜在的なハザードを大いに検討すべきである。

 科学ジャーナルに発表された結果が曖昧に(in hedged language)表現されているときに、誤解が生じる。例えば、統計的有意性をもってハザードの存在を証明しない研究は、しばしば、否定的(negative)であると言われ、その結果はハザードは存在しないという証拠であると誤解されるかもしれない。そのような誤った結論は科学的伝統により触発されるが、それは仮説は実証されたと言うことができるまで非常に注意深い繰り返しの検証を求めるものである。

 そうではなくて、研究は、行動の必要を優先づけるために、潜在的ハザードの可能性ある程度を特定することに焦点を合わせるべきである。研究は常に不確実性により影響を受け、それらの多くは、環境的ハザードとその有害影響との間の真の関連を不明瞭にすることができ、それによって過小評価されたリスクという結果をもたらす。したがって、環境健康研究は、次の疑問に目を向ける必要がある。潜在的なハザードへのこの曝露は、適切な介入を決定するための透明で民主的な手続きを開始するのに、十分に深刻な有害影響をもたらすということに、我々は十分に自信があるか?

 研究課題の選択は、よく知られておらず潜在的に危険なリスクに関する情報の社会の必要性を検討しなくてはならない。研究は、伝統的な科学のパラダイムによって求められるような確認目的のために繰り返されるものではなく、補完的であり、現在の知識を拡張するようなものであるべきである。研究成果は、公的に利用可能であり、疑いのある環境的ハザードの可能性ある程度に関する判断を伝えるよう報告されるべきであり、それにより予防的で時宜を得た意思決定が促進されるであろう。



化学物質問題市民研究会
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