欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
22. ナノテクノロジー 早期の警告からの早期の教訓 (概要編)
Steffen Foss Hansen, Andrew Maynard, Anders Baun, Joel A. Tickner and Diana M. Bowman

情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part C Summary
Nanotechnology - early lessons from early warnings
Steffen Foss Hansen, Andrew Maynard, Anders Baun, Joel A. Tickner and Diana M. Bowman
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-22

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月11日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/22_Nanotechnology_summary.html

 ナノテクノロジーは、繁栄をもたらす技術の新時代の到来を告げるものとして喧伝された長い一連の技術の中で最新のものである。ナノテクノロジーの、現在のそして将来の応用は、経済的発展と雇用を増大し、より低い環境コストでより良い材料を生成し、医学疾患を診断し治療するために新たな方法を提供しつつ、実体のある社会的及び環境的な便益をもたらすと期待されている。それにもかかわらず、ナノスケール・エンジニアリング(工学)に基づく新たな材料は実験室から職場に移行している時に、我々は、過去の”驚異の技術(wonder technologies)”の教訓を学んでいるのだろうか、あるいは、過去の過ちを繰り返す道を運命付けられているのであろうか?

 この章は、最初にナノテクノロジーを紹介し、ナノマテリアルの術語を明確にし、これらの独特の材料現在の使用を記述する。いくつかのナノマテリアルの可能性ある有害影響の初期の警告の兆候のいくつかは、いくつかの政府の規制的対応と共に概要が示されている。欧州環境庁(EEA)の最初の「早期警告からの遅ればせの教訓」により触発されて、ナノテクノロジーが未完成であるにもかかわらず、本章においては、どのような教訓を既に学ぶことができるのかという点が重要であるように見える。

 ナノテクノロジーの開発は、健康、安全、及び環境の懸念をどのように設計に織り込むかに関して、化学者と材料開発者のための設計ルールを明確にせずに、行なわれてきた。”環境に適切な(グリーン)ナノテクノロジー”時代の出現は、予防的設計に焦点を当てた将来の約束をする。しかしそれを推進するために材料の持続可能性に関する研究が、早期の警告を特定するのに十分なレベルで資金が裏付けられることが重要であり、規制システムは、より安全で持続可能な材料のための動機を与えることが重要である。

 政策決定者は、法律、研究及び開発の中にある欠陥、及び、ナノテクノロジーとその他の新規出現テクノロジーのリスク評価、管理、及びガバナンスの限界、に目を向けなくてはならない。その結果、ナノテクノロジーの分野で予防的な、さらには社会的にも経済的にも責任ある戦略の採用をじゃまする開発環境がまだある。もし、このまま解決されなければ、ナノテクノロジーの責任ある発展を確実にするための社会の能力を阻害することになるであろう。



化学物質問題市民研究会
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