欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
20. 侵入外来種:
増大しているが無視されている脅威? (概要編)

Sarah Brunel, Eladio Fernandez.Galiano, Piero Genovesi,
Vernon H. Heywood, Christoph Kueffer and David M. Richardson

情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part C Summary
20 Invasive alien species: a growing but neglected threat?
Sarah Brunel, Eladio Fernandez.Galiano, Piero Genovesi,
Vernon H. Heywood, Christoph Kueffer and David M. Richardson
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-20

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/20_Invasive_alien_species_summary.html


 生物学的侵入は、地球規模の人間の移動と貿易が今までに数千の種を大陸間及び大陸を横断して運び、さらに現在も運び続けているので、生物多様性喪失の5つの主要な原因のうちのひとつである。外来種のあるものは、制御されずに増加する見込みが高く、最終的には環境破壊をもたらす可能性がある。

 動物でも、植物でも、あるいは微生物でも、外来種というものは、人間の活動の結果、それ自身ではたどり着くことができない場所に、偶然に又は意図的に持ち込まれたものである。”侵入”という用語のひとつのよくある定義は、その(否定的な)影響を指し、一方、その他の定義は広がりの速さだけを考慮の対象とし、影響は考慮しない。

 地球規模で採択される法律の数は増大しているのに、生物学的侵略は、まだどのような飽和効果の兆候もなく急速に増加している。この領域の意思決定は、非常に難しい。問題の全体的な複雑さ、その多分野性、科学的不確実性、情報を与えられ関与される必要のある非常に多くの利害関係者、地球規模ではもちろん、(EUのような)地域規模でもその出現を見ることが難しいデマンド・ガバナンス(demand governance actions)。

 非常に早い段階での生物学的侵入の防止又はそれらへの取り組みが、最も効果的でコスト効果のあるアプローチであることが広く合意されている。しかし、害のない種と害のある侵入種とがごちゃごちゃにされ、資源の浪費をもたらす。もっと深刻なことは、有害な侵入種が無害な種と取り違えられる可能性、すなわち侵入者の偽装(invaders in disguise)があり、それらが及ぼす脅威に対して適切な措置がとられていないかもしれないということである。

 たとえ非常によいリスク評価システムであっても、侵入外来種の新たな発生は起きる可能性があり、迅速な早期警告システムと効果的な根絶措置を必要としている。新たな種の導入又は侵入外来種を持ち込むかもしれない新たな地域社会に対して、新たな許容可能な環境的リスクの線をどこに引くかに関する決定が、次の価値判断になる。

 侵入外来種の管理のための最も適切な戦略に関して科学界の中で活発な議論がある。意思決定に責任ある政府と研究機関はこの件に関する相当な知識へのアクセスを持っているが、多様な団体間の相互作用のルールの欠如が常に効果的な意思決定をはばんでいる。



化学物質問題市民研究会
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