欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
16. 種子処理浸透殺虫剤とミツバチ (概要編)
Laura Maxim and Jeroen van der Sluijs

情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part B Summary
16 Seed.dressing systemic insecticides and honeybees
Laura Maxim and Jeroen van der Sluijs
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-16

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/16_Honeybees_summary.html


 1994年、フランスの養蜂業者は、不安な兆候を報告し始めた。夏の間、多くのミツバチは巣箱に戻らなかった。ミツバチは小さなグループで地上に密接に身を寄せあい、あるいは巣箱の前で空中停止し、方向を見失い、何かを探しまわるような異常な行動をした。これらの兆候は冬に死に絶えるまで続いた。

 証拠が、活性成分としてイミダクロプリドを含むバイエル社の種子処理浸透殺虫剤 GauchoR を指摘した。本章は、フランスでのヒマワリとトウモロコシの種子処理におけるミツバチへの GauchoR のリスクに関する証拠の歴史的展開を描写し、これらのリスクに関する累積する証拠に対応する行動を分析している。

 論争の間に政策に影響を与えるために科学的発見が利害関係者と政策策定者により利用された方法に焦点をあてつつ、ヒマワリとトウモロコシの種子処理でのGauchoR の禁止のための予防原則の適用を最終的にもたらした社会的なプロセスが記述されている。

 公的科学者らはこのケースでは難しい立場にあった。彼等の作業の結果は、経済的及び政治的に高い利害関係を持つ社会的議論の中心をなした。ある場合には、彼等の作業は科学的価値によるとは判断されず、それがある利害関係者の立場を支持するかどうかに基づいていた。この状況は圧力に耐えミダクロプリドに対する作業を継続するための研究者の能力と勇気をテストした。

 他のヨーロッパ諸国もまた、ネオニコチノイド種子処理殺虫剤を一時停止した。処理された種子の種まきの間に放出されるダスト中に存在するネオニコチノイドの毒性の証拠が、そのような決定を支えた。最も重要なことは、フランスのケースは、農薬の、特にネオニコチノイドの規制的なリスク評価と上市権限の主要な弱点を明らかにしたことである。これらの識見は最近、欧州食品安全機関による作業で確認された。

 このケース・スタディから、化学物質のリスクに関連する論争のガバナンスについて、8つの教訓が引き出されている。この研究には、二つの追加的な文書が付いている。最初のものは、バイエル作物科学(Bayer Crop Science)の本章の分析に関するコメントであり、二番目のものは、バイエルのコメントに対する著者等の応答を含んでいる。



化学物質問題市民研究会
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