欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
6. ベリリウムの”広報問題” (概要編)
David Ozonoff
情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part A Summary
6 Beryllium's 'public relations problem'
David Michaels and Celeste Monforton
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-6

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月21日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/06_Beryllium_summary.html


 核兵器製造会社に雇われていた多くの作業者が、進行性で非可逆的な炎症性肺疾患である慢性ベリリウム症(CBD)であると診断された。本章は、アメリカの規制政策の形成における米ベリリウム産業の役割に主に焦点を合わせつつ、ベリリウム関連疾病の防止についての知識と公共政策の歴史を示す。

 数十年間以上にわたり、CBDは既存の規制基準以下のレベルのベリリウム曝露に関連していたという説得力のある証拠の蓄積が増大した。ベリリウム産業はそのデータに挑戦するべき強い金銭上の動機を持っており、ベリリウムの健康影響に関する科学的文献の解釈を形成して防衛することを決定した。同産業は、その基準は不適切であったという証拠を論破するために広告代理店や”製品防衛”コンサルタント会社を雇った。科学的証拠が非常に大量となり、作業者が許容される曝露レベルでCBDを発症したということを否定することはもはや説得力がなくなったときに、ベリリウム産業は、新たなもっと防護的な曝露限界の発布を遅らせるための新たな理論的根拠をもって応酬した。

 このケーススタディは、有害物質の危険性を製品の全ライフサイクル通じて考慮することの重要性を強調している。ベリリウム製品の一次製造者は彼等自身の施設の中で曝露を規制できるかもしれないが、多くの二次使用者と回収業者が、曝露した作業者と近隣コミュニティの住民をベリリウム疾病から保護するために必要な専門性、資源、及び知識を持っていそうにはなかった。

 この章の主要な教訓は、多くの環境健康の論争に広く適用可能である。特に、それは”製造の不確実性の慣行”−規制又は被害者補償を阻止する又は遅らせるためにいくつかの汚染者と有害製品の製造者によって利用された戦略を描いている。

 本章の後に、ベリリウムの規制における会社の行動の理論的根拠の分析がなされている。それは会社が面倒な結果に煩わされることなく針路を変えるための、時折のそして限定された機会を利用する可能性を与えることは、責任ある針路を取るために、彼等が立場を考え直し、株主への義務を果たすよう彼等を鼓舞するであろうということが主張されている。これは彼等を”追い払う”ことであると理解されるかもしれないが、最後の結果は、よりよい公共政策と企業責任かもしれない。



化学物質問題市民研究会
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