欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
3. ガソリン中の鉛は”精神に障害をもたらす” (概要編)
Herbert Needleman and David Gee

情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part A Summary
3 Lead in petrol 'makes the mind give way'
Herbert Needleman and David Gee
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-3

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月21日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/03_Lead_in_petrols_summary.html


 本章は、ガソリン中で広く使用されている鉛に目を向けている。それは、アメリカで加鉛ガソリンが初めて広く市場に出され、その後1970年代に徐々に廃止されるようになるまで世界中の他の場所にも広がった時機である1925年〜2005年の期間に焦点をあわせている。ヨーロッパではオーフス条約(www.unece.org/env/pp/treatytext.html)が1998年〜2005年の期間に加鉛ガソリンの廃止に取り組んだ。

 鉛の神経毒性影響は、ローマ時代にまでさかのぼる。そして1925年にアメリカの加鉛ガソリンの”1日試乗”で、多くの専門家はガソリンに鉛を加えることによる健康影響の可能性について警告した。専門家によりもっとクリーンであると評価されていた同等に効果的なアルコール添加物が利用可能であったにもかかわらず、燃料効率への加鉛の道が選択され、世界の他の場所にも輸出された。

 加鉛ガソリン導入の数十年後、事実上独立系の研究は実施されず、情報の主要な発信源は産業と産業から資金を得ている研究者らであった。1960年代と1970年代になるまでは、このグループの外部の独立系科学者らは、例えばヒトの活動から生じる鉛の体内汚染は”正常”ではなく、産業革命以前よりも数百倍も高く、したがって有害でありそうだという事実を、産業界の意向通り、示さなかった。

 1970年代中頃のピーク時には、加鉛ガソリンはアメリカとヨーロッパの両方で年間約200,000トンの鉛を大気に放出した。その後の廃止により、子ども(最も感受性の高いグループが曝露した)の血中鉛レベルは、大気中の濃度と一致して、急速に降下した。それにもかかわらず、教訓は今日世界中に関連性を残している。2012年までに世界中のほとんど全ての国が加鉛ガソリンを廃止したにもかかわらず、土壌や堆積物中の鉛濃度はいまだに高い。一方、鉛及びその他の汚染物質を含む電子廃棄物もまた、血中鉛濃度を押し上げた。

 補足パネル文書は、1925年に主要燃料源として加鉛ガソリンを選択したという出来事、及びもっと最近ではEUのガソリン中の鉛に関する政策策定の評価及びドイツとイギリスにおける廃止への道程に焦点をあてている。



化学物質問題市民研究会
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