グリーン科学政策研究所 2021年
よりよい世界を建設する;
建築材料中の不必要な PFAS を取り除く


情報源:Green Science Policy Institute, 2021
BUILDING A BETTER WORLD
Eliminating Unnecessary PFAS in Building Materials
https://greensciencepolicy.org/docs/pfas-building-materials-2021.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年12月 3日
更新日:2021年12月14日
最終変更日:2021年12月28日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/pfoa/PFAS_in_Bldg_Matls/
2021_GSPI_Building_a_better_world.html


訳注:当研究会が紹介したグリーン科学政策研究所の PFAS 関連重要記事
  • よりよい世界を建設する:建築材料中の不必要な PFAS を取り除く(2021年12月14日) (本記事)
  • 建築材料中の PFAS:残留と蔓延(2021年5月10日)
  • ポリ−及びパーフルオロアルキル物質(PFASs)に関するマドリード声明(2015年5月6日)


  •  建築業界には、PFAS 化学物質の使用を減らす意志と知識がある。 PFASが使用されている場所を理解し、安全な代替品を見つけることが重要である。

    目次

    概要
     パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は多くの建築材料と消費者製品に役立つ合成化学物質であるが、大きな害を及ぼす可能性がある。

     いくつかのよく研究された PFAS は健康への悪影響に関連付けられている。しかし、市場にある数千の PFAS のほとんどは、可能性のある健康への有害性について研究がなされていない。

    科学者、消費者、及び政府は、PFAS を本質的な用途のみに制限するよう求めている。

     主な問題は、PFAS が非常に分解しにくく、環境内で永遠に存続することである。

     これらの”永遠の化学物質”の継続的な生産と使用は、地球上の PFAS の分布量を、また危害のリスクを増加させる。

     環境問題に対応して、フッ素化合物産業はより安全であると称する PFAS の新しい代替品を開発している。しかし新たな研究は、代替化学物質はそれらと同じくらい有害である可能性があることを示している。一方、科学者や消費者、そして一部の政府は、それらの使用が真に本質的である場合を除いて、すべての PFAS の生産と使用の制限を求めている。

     食品包装や野外用衣料のような消費財で PFAS が使用されていることはよく知られているが、建築材料中での PFAS の広い使用はほとんど注目されていない。このレポートは、フルオロ(フッ化)ポリマーを含んで PFAS が建築分野のさまざまな用途で使用されされていることを報告した最初のものである。これらには、屋根材、塗料、コーティング、シーリング材、コーキング、接着剤、布地などがある。このレポートは、建築材料における PFAS の多様な使用により 労働者と公衆がどのように暴露する可能性があるかを詳細に説明している。

     建築材料における PFAS の多くの用途には、より安全な非フッ素化合物の代替品が存在する。政府と市場からの圧力により、それらを使用し、さらなる安全な代替品を開発するインセンティブが高まっている。建築業界がこの作業を行うために必要なツール、すなわち透明性プログラム、化学データシステム、及び認定はますます利用可能になっている。このレポートの目標は、PFAS の不必要な使用を排除し、より安全な非 PFAS 代替品の設計と使用を促進するために、建物の所有者、建築家、設計者、建材製造者、及び政府の意思決定者に情報を提供し、刺激を与えることである。

      建築材料中の PFAS を削減するための 3つのステップ
    1. あなたが作り、指定し、購入し、管理し、又は規制する、すなわち影響を及ぼす範囲内の PFAS を特定する。
    2. それらの機能を評価し、可能な限り不必要な PFAS を削除する。
    3. 現在 PFAS によって提供されている本質的な機能のための、より安全な解決策を見つける努力をする。
     地球とその住民を保護することは共同作業である。
     全ての PFAS を排除するよう努め、成功への道を共有すること。


    序論

     PFAS は、耐候性、腐食防止、摩擦低減などの望ましい機能を提供する。 しかし、それらの効用は健康と環境の犠牲の上にもたらされる。
     我々の建築環境は、合成(人工)化学物質やそれらの製品を使用することで、過去1世紀にわたって大幅に改善された。しかし科学者らは、これらの化学物質の多くが製品から環境と我々の体に移動し、害を引き起こすことを発見している。代替物質の情報を提供すること、又は特定の化学物質を完全に回避することは、人々及び地球にとってより健康的な製品をもたらす可能性がある。

     パー及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)は大きな合成フッ素含有化学物質のクラスであり、屋根材、塗料及びコーティング、シーリング材、コーキング、接着剤、布地など、建築業界での多くの用途がある。米国化学工業協会によると、PFAS を含有する建築材料は 260億ドル(約2兆9,000億円)以上の市場である。

     このクラスの化学物質類は、耐候性、腐食防止、潤滑性、摩擦低減、耐グリース性及び耐水性など望ましい機能を提供する。しかし、PFAS は環境中で非常に長い間、何世紀にもわたって持続し、土壌中や水中に蓄積する可能性がある。一部の PFAS は、人間やその他の生物に、有害なレベルにまで生体内蓄積する可能性がある。実際、いくつかの PFAS の健康調査はそれらが人間と野生生物に有害であることを示している。また一部の PFAS は移動性が高く、水または空気を介して地球規模で拡散する可能性がある。ほとんどの PFAS は潜在的な有害影響についてまだ研究されていないが、確かなことは、それらが地球上で何年も存続し、人間と環境を暴露し続けて潜在的な危害をもたらすということである。我々は個々の PFAS について全てを知っているわけではないが、そのクラス全体については予防措置を正当化するに足る十分な知識を持っている。

     飲料水及び消費者製品中の PFAS は、産業界、政府、そして市民の懸念の高まりの焦点である。一部の地域では、不必要な PFAS の使用を排除するために大きな進歩がなされた。たとえばキーン・フットウェア社(KEEN Footwear)は彼らの製品ラインを評価し、100 の PFAS の使用を見つけた時に、彼らはそれらの PFAS の使用の 70%は必要ではないとして、すぐに排除した。残りの用途についても慎重な評価を行ない、キーン社はより安全な代替品を見つけることができた。2020年現在、キーン社の作業により、150トンを超える PFAS が環境に排出されるのを防いだ。

     建築業界での PFAS の使用はあまり注目されていない。このレポートでは、建築材料中の PFAS のさまざまな用途を説明し、代替案を議論し、この化学物質のクラスの本質的でない使用の特定と排除に向けた道筋を提案する。我々は皆、地球とその住民の健康の利害関係者であり、我々は一緒になって皆の健康な屋内及び屋外環境のために建築業界全体の対処の標準を育てることができる。


    略語リスト
    ECTFEethylene chlorotrifluoroethylenePFOAperfluorooctanoic acid
    ETFEethylene tetrafluoroethylenePTFEpolytetrafluoroethylene (訳注:テフロンの商品名で知られる)
    FEPfluorinated ethylene propylenePVCpolyvinyl chloride
    FEVEfluoroethylene vinyl etherPVDFpolyvinylidene fluoride
    HFPhexafluoropropylenePVFpolyvinyl fluoride
    PCTFEpolychlorotrifluoroethyleneTFEtetrafluoroethylene
    PFASpoly- and perfluoroalkyl substancesVDFvinylidene fluoride


    背景


     フッ素原子に囲まれた炭素原子鎖の基本構造を含む PFAS は、自然界では発生しない。。それの炭素−フッ素結合の高い強度が PFAS を非常に安定にし、油と水の両方をはじく独特な能力を与える。何千もの異なる PFAS が、紙、衣類、その他の繊維、プラスチック製品、調理器具、食品包装、電子機器、及びパーソナルケア製品を含む工業製品及び消費者製品で使用するために開発された。


     フルオロ(フッ化)ポリマーは、一緒に結合した多数のフッ素化(fluorinated)モノマーからなる大きな PFAS 分子である(上図を参照)。一部のフッ素ポリマーでは、繰り返し単位(repeatng unit)は単一タイプのモノマーを含んでいる。その他に共重合体(copolymers)と呼ばれる 2つ以上の異なるモノマーからなる繰り返し単位で構成されているものがある。フッ素ポリマーは製造工程で残った残渣及び不純物として他のタイプの PFAS を含む可能性がある。これらの残渣と不純物には、より小さな、フッ素ポリマーから環境中に移動できる非ポリマー PFAS 分子が含まれる。これらの化合物のうちのいくつかには、パーフルオロオクタン酸(PFOA)や GenX など、よく知られている PFAS がある。フッ素ポリマーに比べ、これらの残渣や不純物のサイズは小さいので、それらは容易に生物細胞に入り込み害を引き起こす可能性がある。

    原注:GenX は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸(HFPO-DA)フッ化物のアンモニウム塩の商標名である。

     最も広く知られているフッ素ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;テフロンとしても知られている)である。1930年代後半に初めて発見されたこの素材は”ノンスティック(焦げ付かない)の代名詞となっている。 1950年代に PTFE 並びに電線及びケーブルの絶縁、テープ、シーリング、フィルター、ラミネート、コーティング、及び水、油、過酷な化学物質類、及び火炎に対する耐性を求められるその他多くの用途でのフッ素ポリマーの使用の増加を見た。次の数十年にわたってフッ素ポリマーの使用は急速に拡大し、特殊なフィルム、布地(GoreTexなど)、樹脂などを含むようになった。フッ素ポリマーの現在の需要は年間 20万トンで、今後も成長が見込まれている。


    背景
    人間及び環境中の PFAS
     PFASは、製造から、化学物質又は製品の使用、処分に至るまで、ライフサイクル全体を通じて環境に入り込む。環境排出の既知の発生源には、PFAS を製造または使用する工業用地;空港、軍事基地、及び他の消火泡ユーザー;埋め立て地;及び廃水処理プラントがある。 化粧品やレインジャケットなどの消費者製品でさえ、測定可能な量の PFAS を環境に排出する。

    報告されている有害健康影響には、腎臓と精巣がん、高コレステロール、肝臓障害、生殖能力の低下、甲状腺障害、及びその他の健康問題が含まれる。

     PFAS の測定は、1990年代後半までは困難であったが、新しい検出ツールが利用可能になると、科学者たちは調査するどこでも PFAS を見つけ始めた。PFAS は現在、水、食品、空気、室内のほこり中で検出されているが、それらは全て人間の暴露につながる。 PFAS はテストされたほぼすべての人間の体内で検出されている。消防士や汚染された飲料水があるコミュニティなど特定の集団はより高い暴露をしている。


    背景
    PFAS の健康ハザード

     早くも1960年代に、製造業者によって実施された実験室での動物によるテストは、特定の PFAS を動物の健康被害に関連付けた。健康影響に関する独立した研究は 1990年代後半以降に始まった。それ以来、多くの研究が特定の PFAS の毒性を評価し、曝露の増加といくつかの健康上の問題との間の関連を見つけた。それらは多くの異なる器官系に影響を与え、様々な機序によって作用する可能性があるため、PFAS の潜在的な健康影響の全貌を理解することは難しい。健康への悪影響、特に PFOA の場合には、腎臓及び精巣のがん、コレステロールの上昇、肝疾患、生殖能力の低下、甲状腺の問題、ホルモン機能の変化、及び発達への影響がある。小児におけるワクチンへの反応抑制を含んで免疫系への影響も十分に報告されている。最近の研究は、COVID-19 に感染した人々の間で、ある特定の PFAS への曝露が高い人は、重度の症状に苦しむ可能性が高いことを発見した。


    背景
    誰にリスクがあるか?
     PFAS は世界中の環境と食品チェーンを汚染しており、我々全員がある程度暴露している。しかし一部の人々は暴露が高く、PFAS の健康影響を受けやすい。暴露の可能性が高いグループは、PFAS を製造又は使用する工場の労働者、飲料水が汚染されている地域社会、及び消防士の人々である。建物の建設及び保守の作業員又はホームセンター(DIY 店)の店員もまた、PFAS 曝露が上昇している可能性がある。たとえばタイルとコンクリートの PFAS 含有吹き付け防水製品は急性肺毒性のいくつかの症例に関係している。PFAS の健康への影響に対する感受性は、出生前及び初期の発達中に特に高くなる。 このようなリスクがあるので、建築業界は有害な PFAS を含む市場の多くの製品に対するより安全な代替を見つけて採用することが緊急に必要である。


    背景
    本質的でない用途
     連邦政府、州政府、及び地方政府は、PFAS への人間の曝露を減らし、健康への害を防ぐために活動を始めた。これまでの行動は、汚染された水供給を特定し、影響を受けた地域社会にきれいな飲料水を提供することに焦点を当ててきた。しかし、環境中の PFAS 汚染の完全な修復には莫大な費用と時間がかかるので、可能なら PFAS 汚染を防ぐための努力を優先する必要がある。

     現在勢いを増しているひとつの防止アプローチは、本質的でない PFAS の使用を特定して段階的に廃止することである。これにより、現在不可欠であると考えられている PFAS の使用のより安全な代替の開発のための時間を稼ぐことができる。何百人もの科学者らが2015年に発表されたマドリード声明(訳注:当研究会訳)でこのコンセプトへの支持を表明した。この”本質的な用途”アプローチはすでにいくつかの政府によって採用されている。たとえば、デンマークは食品の紙包装中の PFAS を禁止し、ワシントン州は泡消火剤中での PFAS の使用を制限する米国で最初の州である。カリフォルニア州有害物質管理局は絨毯と敷物中の PFAS を制限する規制を最終決定している。サンフランシスコ市は最近、PFAS を含む絨毯の市による購入を禁止した。しかし、他の建築材料は規制当局からあまり注目されていない。

     産業界でも進歩がある。多くの消費者や小売企業が全ての PFAS の段階的な廃止を求めており、キーン・フットウェア社、リーバイ・ストラウス社(訳注:アパレルメーカー)、コープ・デンマークなどは既に、又はほとんど段階的廃止を達成している。多くの製造業者が、PFAS を特定し、サプライチェーンから PFAS を取り除くことができるかどうか評価中である。他の組織は、彼らが購入する建築材料と調度品中の PFAS を排除するために努力している。

     このレポートの目標は、PFAS の不必要な使用を排除し、より安全な代替手段を開発する取り組みに参加するよう、建築業界の幅広い動きを刺激することである。


    建築材料中での具体的な使用例 2021年12月14日

     次のセクションでは、さまざまな建築製品カテゴリーでの PFAS の使用に関する情報を提供する。我々は、査読済みの文献、政府及び非政府組織の報告書、特許、及び会社の Web サイトを検索することにより、建築材料での PFAS とその使用に関する情報を入手した。このレポートは PFAS を含むすべての建築製品をカバーしているわけではなく、以下のカテゴリー内で、PFAS は多少は一般的かもしれない。

     代替に関する注記:これらのセクション全体を通して、フッ素化合物の可能な代替案はイタリック体で示されている(訳注:原文のみ)。言及された資料は、適切な代替案として容易に識別できるか、レポート、研究記事、または特許にそのように記載されている。ただし、相対的な有効性を保証することはできない。また、代替品としてリストされている材料の一部には PFAS 以外の懸念ある化学物質が含まれていることに注意が必要である。非 PFAS 代替品の有害化学物質の分析は、このレポートの範囲外である。読者は、我々が特定した PFAS フリーの建築材料の潜在的な化学的危険性と機能性を適切な注意をもって調査することをお勧めする。


    使用例
    屋根材
     PFAS は、金属屋根、アスファルト屋根、耐候性平屋根及び布地屋根の 4つの主要なタイプの屋根材に使用されている。建物の屋根は、紫外線、温度変動、及び降水に常にさらされており、それらはすべて屋根の寿命を制限する可能性がある。 PFAS は、風化に耐え、屋根の構造物から太陽光を反射し、内部を冷却して屋根の耐用年数を延ばし、内部を涼しく保つために使用される。

    金属屋根
     PFAS は、金属板屋根、金属こけら板、雨仕舞、及び屋根釘の外部コーティングとして使用される。フッ素ポリマーコーティングは、金属を引っかき傷、退色、及び腐食から保護し、退色又は劣化した塗装金属の美的価値を復元するためにに使用することができる。それらはまた、太陽エネルギーを大気中に反射し、建物に入る熱の量を減らすことにより、屋根構造物を冷却するのに役立つかもしれない。金属屋根部材に適用されるフッ素ポリマーコーティングは、他のタイプで使用されるものと同様であり、これらのすべてはコーティングのセクションでさらに詳細に議論される。

    アスファルト屋根
     PFAS は、アスファルトベースの屋根材に顆粒の成分として使用できる。 アスファルト屋根板及び平屋根は、美的効果を加え、耐候性を改善し、紫外線耐性と太陽光反射を増すために、及び、屋根バラストに役立てるために一般的に鉱物ベースの顆粒を取り入れている。屋根用顆粒は着色されたセラミックコーティングで覆われた岩石または鉱物で構成されている。PFAS を含むコーティングを使用する特殊な顆粒設計で、高い太陽光反射率を得ることができる。3 M 社によって製造されたは顆粒は汚れを防ぐために独自の界面活性剤ポリマーでコーティングされているが、そのコーティングが PFAS を含むどうかは不明である。顆粒に加えて、フッ素ポリマーコーティングを屋根板全体に塗布することもできる。二酸化チタンベースのコーティングは、太陽光の反射率を高めるための 非 PFAS 代替品である。
     屋根用顆粒の特許で言及されている PFAS には、フッ素化ポリウレタンシラン及びトリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチルトリエトキシシランが含まれる。

    耐候性膜屋根
     住宅用又は商用建物の平屋根の耐候性膜には、いくつかのフッ素ポリマー を使用できる。これらの膜は合成ゴム、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、またはその他頑丈な熱可塑性プラスチックを含み、場合によってはフッ素ポリマー層またはコーティングを含む多くの材料でできている。フッ素ポリマーは、湿度制御と太陽光反射に役立ち、また耐久性と耐汚染性を付与する。これらの幕は、温室での使用において透明または不透明にすることもできる。

     PTF(テフロン)などのフッ素ポリマーを高温で加熱すると超微粒子が排出され、それらを吸入すると”ポリマーフューム熱(polymer fume fever)”として知られる症状を引き起こし、重度の急性肺損傷をもたらす可能性がある。したって PFAS を含有する熱溶着屋根材の施工は職業上の曝露の懸念の可能性がある。

     シリコーン及びアクリルコーティングされた膜の代替品が利用可能である。

    引張屋根
     フッ素ポリマーは、耐久性のある装飾的な布地ベースの屋根を作成するために使用される。 PTFE またはエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)は、剛性のあるグラスファイバーまたは撚り糸を織り込んだ布地のような素材へのコーティングとして使用される。これらの材料で作られたいわゆる引張屋根は、強度、耐久性、保守の容易さが謳われ、スタジアムなど格納式及び展開可能な構造、又は日除けによく使用される。引張屋根の有名な例には、北京国家水泳センター、ミネソタ・メトロドーム、及びデンバー国際空港がある。PFAS で作られた布地屋根の代替品には、ETFE や PTFE と同等で低価格なシリコーンコーティングされたグラスファイバー、PVC コーティングされたポリエステル、及び高密度ポリエチレンがある。PFAS フリーの代替品は報告されているところによれば、フッ素化引張屋根と同様の寿命、耐火性、保守要件、及び UV 光フィルタリング機能を備えており、低コストである。

    その他の屋根材
     Dura Coat XT-10、 Kynar 500、及び Hylar 5000 などのフッ素ポリマーコーティングは、雨どいに適用され、汚れをはじき、清掃を容易にする。代替のポリエステル、シリコーン、及びアクリルベースのコーティングは、PFAS を使わずに同様の耐候性をもたすことができる。亜鉛メッキ鋼などの他の金属で作られた雨どいは、耐候性があり、コーティングは不要である。非化学的代替もまた良い選択である。落ち葉除けと異物ストレーナーを使用し、雨どいの傾斜を大きくすると、詰まりが減少し、雨水を効率的に排出する。

     コンクリート屋根瓦や木製の屋根板には、液体フッ素ポリマーコーティングが提案されている。反射性を高め、冷却性があり、防汚・防カビ効果を持つ。二酸化チタンベースのコーティングは屋根板コーティングのための PFAS フリーの代替品である。


    使用例
    コーティング
     コーティングは、機能的な目的を果たす外部処理として広く定義されている。 PFASは、塗料、金属コーティング及び木材ラッカーの性能を高める使用される。それらは顔料を保護し、塗布の容易さを改善し、耐候性を高め、これらの製品の仕上げと耐久性を改善すると言われている。最近の研究では、さまざまな塗料、コーティング、仕上げに使用されている 100を超える明確な PFAS が見つかった。北欧諸国からのデータは、コーティングと塗料は 同地域の製造者による 2番目に高い PFAS 用途であることを示している。

    塗料
     フッ素系添加剤(高分子及び非高分子の両方)は、エポキシ、油、アルキド、及びアクリルベースの塗料に使用して、特定の仕上げと耐久性の要件を実現できる。PFAS は表面張力を低下させ、そのことが均一な流れ、広がり、及び光沢仕上げを可能にする。ポリマー及び非ポリマー PFAS は塗料に添加して、非粘着性、”落書き防止”特性、染みや汚れ耐性、撥油性、撥水性、防食性を提供できる。フッ素修飾ポリシロキサンは泡を減らすためにを脱気剤として塗料に添加される。

     PFAS はまた、バインダーとして塗料にも使用されている。バインダーは塗料中の成分を結合する、又は発泡や剥離を減らすために下地に染み込ませ易くする。市販のフッ素ポリマーバインダーには、ダイキンの ZEFFLE 及び AGC 化学による Lumiflon がある。

     PFASは、粉体塗装で、すなわち着色されたポリマー粉末を金属、木または他の表面に溶融する乾式仕上げプロセスで使用される。ソルベイ HALAR 6014 などの粉体塗装に使用されるフッ素樹脂は、より高い耐候性、色と光沢の保持、並びに化学物質、衝撃、炎、及び腐食に耐性があると言われている。

     液体塗料と粉体塗装の両方でバインダーとして一般的に使用される非フッ素系化学物質にはアクリル、アルキド、及びエポキシが含まれる。アクリルバインダーは耐久性と光沢保持性が知られているが、フェノールバインダーは湿度の高い条件で使用するのが最適である。フェノール・アルキドバインダーなどのハイブリッド材料はフェノールの強度とアルキドの色の保持性を塗料に与える。塗料の粘度と広がりの向上のための PFAS フリーの改善のための代替品には、低芳香族ミネラルスピリットと芳香族石油留分が含まれる。塗料の代替脱気剤には、ポリアクリレート、ポリエーテル、及びポリシロキサンが含まれる。

    金属コーティング
     多くの金属コーティング配合物は、耐久性を高めるためにフッ素ポリマーバインダーを採用している。フッ素化コーティングは、エレベーターや衛生器具などの高頻度接触金属表面に加えて、大きな建物、橋、及び産業構造物の外装仕上げなどに使用される。PFAS の追加は金属製の建築製品を風化と汚れから保護し、耐腐食性を向上させると言われている。PFAS 含有コーティングはまた、反射性を高めることにより金属屋根と外装壁のエネルギー効率を増加させ、雪や氷を屋根や雨どいに付着させず、さらにはコーティングされた屋根釘の貫通を助けるために使用される。金属構造物への PFAS コーティングの使用は、場合によっては、日本の橋梁のように建築基準法によって要求されることがある。ほとんどの PFAS 含有金属コーティングは製造時に実施されるが、施工後に液体または噴霧で建築材料に塗布することもできる。

     ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、金属コーティングで使用される最も一般的なフッ素系化学物質のひとつであるが、他の高分子 PFAS もまた、使用される。金属コーティングに使用されるフッ素ポリマーには、Arkema の Kynar PVDF、Solvay の Hylar PVDF、AGC の Lumiflon FEVE、及びダイキンの ZEFFLE VDF / TFE 共重合体がある。

     金属製の入り口、ドア及びドア付属品(ヒンジ、フレーム、ラッチ、ハンドル、ロックなど)は耐久性と熱保護を強化するために PFAS でコーティングされている。PTFE(テフロン)は、商業ビルのドアの開閉のためのドア開閉装置に使用されているが、機能は不明である。

     ポリエステルやシリコーン変性ポリエステルなどの代替品は、より低コストで入手でき、すでにコーティングに使用されている。亜鉛メッキと陽極酸化処理は、一部の用途にとって効果的で費用効果の高い代替手段である。

    ウッドラッカー
     PFAS は、湿潤剤として、また撥油性と撥水性、耐汚染性を高めるために、ウッドラッカーとシーラーに添加される。これらはまた木材の寸法安定性を高めるために、及び収納戸棚などの木製品の工場で適用される仕上げの艶消し剤としてシーラー中で使用されるかもしれない。

     特許文献は、パラフィンワックスとシリコーンは、木材用シーラー中の PFAS を同様の撥水効果をもって代替することができることを示している。アセチル化などの化学処理により、寸法安定性と耐腐敗性を向上させることがでる。Trex などのプラスチック−木材の組み合わせ(ハイブリッド)は、耐久性が向上し、リサイクル材含有量が多くなる(リサイクル材は、PFAS またはその他の懸念される化学物質を含むかもしれないし、含まないかもしれない)。自然に密度の高い木材の使用は、高い湿気にさらされる木材の反りと腐敗を制限する別の方法である。

    プラスチック・コーティング
     PFAS は、様々な用途のプラスチック表面に適用できる。たとえば、一部のホワイトボードは PFAS 含有コーティングを利用している。フッ素ポリマーコーティングは、浴槽、カウンター、シャワー室、ドアのような用途で、ガラス又はセラミックの代わりに用いられる構造プラスチックに適用できる。


    使用例
    床材
    絨毯と敷物
     PFASは、絨毯(carpets)や敷物(rugs)で、しみや泥の防汚剤や撥水剤として広く使用されている。フッ素化合物は、絨毯繊維のしみや泥の汚れを防止し、絨毯を変色や摩耗から守る。PFAS は繊維製造工程、絨毯や敷物自体の製造工程、又は販売後の補修に適用される。

     近年、ほとんどの絨毯メーカーは、側鎖フッ素化ポリマーと呼ばれる PFAS の一種を採用している。それらのポリマーは絨毯繊維に添加されているが、それらはまた絨毯や敷物から移動する可能性のある製造残留物、不純物、及び分解生成物など、非ポリマー PFAS を含んでいる。研究によれば、絨毯敷きの床は屋内のほこりや内装品の表面の高い PFAS レベルと関連がある。PFAS がほこりの中に入ると大人や子ども、そしてペットが吸入して体内に取り込む。PFAS 処理がなされた絨毯や敷物は、手と口の接触頻度が高く、床で過ごす時間が長い幼児らにとって 主要な PFAS 曝露源となる。

     最も主要な絨毯メーカーは、非フッ素化の代替品に好意的であり、 PFAS を段階的に廃止した。大規模な商業顧客からの PFAS を使用しない絨毯の需要がこのシフトの主要な推進力であった。

     販売後の保守用品市場の防汚剤と絨毯クリーナーもまた、PFAS を含んでいる可能性がある。純正品で最もよく知られているフッ素化製品はスコッチガード カーペット プロテクター(Scotchgard Carpet Protector)である。これらの製品は、絨毯が製造された後に、プロの絨毯洗浄業者、保守要員、又は DIY 実践者によっては使用される。ある研究は、保守用防汚剤の家庭での頻繁な使用は、絨毯、ほこり、及び居住者の血中の PFAS レベルの上昇をもたらすことを発見した。

     主要な絨毯メーカーは PFAS の使用を段階的に中止し始めており、一部の主要小売業者は PFAS 処理の絨毯の販売を止めた。大規模な商業顧客からの PFAS フリー絨毯の需要は、このシフトの主要な推進力であった。フッ素系化学物質の代わりに、メーカーはさまざまな化学的及び非化学的代替品を採用している。PFAS に対する潜在的な化学的代替には、スルホン酸塩、シロキサン及びシリコーンポリマー、パラフィン、ポリウレタン、デンドリマー、及びアクリルがある。これらの選択肢のいくつかは PFAS よりも耐久性があり、保守のための再適用の頻度が少ない。これらの選択肢の多くはポリマーであり、じゅうたんの肌合いや柔軟性を変えずに繊維をコーティングする。非化学的代替には、繊維の形状の改善と本質的に汚れに強い繊維材料の選択がある。現在では、さまざまな色、肌合い、及びパターンをもった耐久性のある非フッ素化絨毯がすぐに入手できるようになった。

    弾性及び硬質床材
     PFAS は時には 弾性床材(訳注:石材や磁器タイルなど硬質の床材と比較して弾性のある、主にプラスチック系床材のこと)に染みや泥の防汚性を加えるために使用される。2003年にマニントンミルズ(Mannington Mills)は、その弾性床材製品はテフロンを含有していると宣伝した。もっと最近では、床材メーカーのコンゴリウム(Congoleum)がスコッチガード(Scotchgard)の使用を宣伝しており、またアームストロング床材社の特許は防汚コーティングの中での様々なフッ素ポリマーの使用について言及している。全体として PFAS は、絨毯製造に比べて弾性床材の製造ではあまり使用されていないように見える。

     弾性及び硬質床材に関連する PFAS のより広範な用途として、販売後の保守用の床保護剤、仕上げ剤、ワックス、及び光沢剤がある。1990年代初頭までに、フッ素系界面活性剤は家庭用と施設用の両方の床剤で普遍的に採用されていた。フッ素系界面活性剤は引き続きこれらのタイプの製品でレベリング剤及び湿潤剤として使用されている。例として、3M 社の Novec、Mason Chemicals 社の Masurf FS-120A 、及び Chemours 社の Capstone FS-65 などがある。PTFE(テフロン)などのフッ素ポリマーは製品添加剤として床コーティング及び研磨メーカーにも販売されている。


    使用例
    シーリング材と接着剤
     フッ素化シーリング材(シーラント)は、汚れ、カビ、及び物理的損傷から建築材料を保護するための耐油性及び耐水性のバリアを生成するために使用される。グラウト、タイル、コンクリートのシーリング材が、きれいで耐久性のある仕上がりを提供するために、これらの材料に適用される。コーキング材は隙間や割れ目を埋めるために使用され、防水シールを生成する。 Oリングは配管用途で耐久性のあるシールを生成するために使用される。2つの材料を結合するために使用される接着剤は、接着強度を高めるために時には PFAS を含有する。

    グラウト(しっくい)、タイル、石、コンクリートのシーラ(封孔剤)
     石、しっくい、素焼きタイル、及びコンクリートなどの多孔質材料は、滑らかで耐水性の保護バリアを生成するために、しばしばシーラー(封孔剤)やラッカーで処理される。封孔剤は、石のカウンタートップ、キッチン、バスルームのタイル細工、及び石、タイル、又はコンクリートの床など、屋内用途で日常的に使用さる。封孔剤はまた、中庭(パティオ)、階段、基礎、及び駐車場などの屋外用途にも使用される。 PFAS は、シーラーに加えられて、油、水、汚れ、及び(外面の場合)雪、氷、及び落書きへの耐性を高める。  グラウトの場合、PFAS 含有シーラーは、グラウトミックスまたはペーストコンポーネントとしてグラウトに含まれることがある。

     2005年には、呼吸器系の問題、めまい及び方向感覚の喪失の数十症例が主要なホームセンターで販売されているスプレー製品である stand'n シールグラウトシーラーと関連付けられた。後にそれはグラウトシーラーに含まれるエアロゾル化されたフッ素ポリマー樹脂がこれらの健康問題の原因である可能性があることが分かった。これにより、米国消費者製品安全委員会は製品の自主回収を発表した。健康被害、法的な問題、及びマスコミの悪評のため、シーラーが再び販売されることはなかった。

     多孔質材料シールの非 PFAS 代替品には、シリコーンとエポキシ、ポリエステル、フェノール、尿素、またはフランの樹脂がある。

    コーキング
     コーキングは、隙間を埋め、構造を劣化させる可能性のある水またはその他の物質の侵入を防ぐために使用される。コーキング配合に PFAS を添加して、材料間の強い結合維持しながら耐久性と化学物質耐性を増加させる。ある特許はまた、PFAS の添加によりコーキングへのほこりの堆積が減少すると主張している。フッ素化コーキングは建物の外装、エレベーター、及び家具で使用される。ウレタン、シリコーン、ポリサルファイド及びアクリル化学系のコーキングは DIY(日曜大工)及び商業用途の両方で使用され、またおそらく PFAS フリーの代替品でも使用される可能性がある。他の化学物質のコーキングの一部にも PFAS が含まれている可能性がある。

    Oリング
     高圧、高応力、及び高温用途のものは PFAS で作ることができる。フッ素エラストマ Oリング(Vitonなど)は、衛生ワッシャー、中型から大型の PVC 継手、並びに給湯器やホース用水栓など飲料水関連付属品に使用できる。これらの製品のいくつかは、テフロンコーティングされたワッシャーを含んでいるかもしれない。O リングは配管システムの一般的な部品であるが、PFAS を含む高性能 O リングが、住宅用及び商業用でどのくらいの頻度で使用され下いるのか不明である。ポリアクリレートやニトリルなどの非フッ素エラストマーで作られた O リングは PFAS ベースのものの代替として使用できる。報告されているフッ素エラストマー O リングの欠点には、適切なシールを形成するために非常に高い圧力が必要であり、またそれらは硬くてそれらを再利用すること困難であることが含まれる。

    接着剤
     接着剤は、接着タイル、床、乾式壁、天井、木材関連材料及び成形構造を含んで建築工事で多くの用途に使用されている。 PFAS は、材料を接着する結合の強さを増加させるために接着剤に添加される。この接着力の増加には 2つのメカニズムがある。 ひとつは、PFAS が接着剤の対象物質への浸透を強化することである。もうひとつは、PFAS が接着剤の潤湿性 (濡れ性)を高め、接着剤と接着対象物質間の広がりと接触面積の増加を可能にすることである。PFAS の接着剤での使用が宣伝されている例には、Capstone FS-30 及び FS-31 がある。特許からの限定された証拠は、フッ素エラストマとして知られているフルオロカーボン系の合成ゴムは、接着剤と同様に使用されるかもしれないことを示唆していることである。多くの接着剤配合は非フッ素系化学物質から作られている。


    使用例
    ガラス
     フッ素系化学物質は、窓、ドア、鏡などのさまざまなガラス建築材料に使用されている。 PFAS は、ガラスの耐久性を高め、ガラス表面にほこりやごみがたまるのを制限する。これにより、PFAS 処理ガラスは、建物の正面(ファサード)や屋根の太陽光パネルなどのアクセスが困難な場所で役に立つ。 PFAS はコーティングとしてガラス表面に塗布されることがよくあるが、場合によっては PFAS はガラスパネル内に別の層を構成することができる。

    窓、ドア、及びその他のガラス、並びにセラミック器具
     窓、鏡、シャワードア、浴槽、トイレなどの一般的な建築材料は PFAS で処理されるかもしれない。フッ素化コーティングはガラスとセラミックの表面をより耐久性のあるものにし、熱や摩耗に強く、汚れや埃のこびり付きを防ぎ、そして”掃除が簡単”で汚れ防止特性を提供する。ガラス及びセラミックコーティングとして使用するために宣伝されている PFAS の例には SURECO 232081 及び Easy Clean コーティング シリーズがある。フッ素ポリマー/ガラス複合材料は、耐火用途での使用について特許を取得している。

     ほとんどの PFAS 含有ガラス処理はホームセンター(DIY)ではなく、製品メーカーに販売されている。DIY 市場のための製品に PFAS が含まれているかどうかは明らかではない。研究者らは、撥油性と撥水性があり、また自己治癒性(self-healing)と化学的摩耗(chemical wear)に対する耐性があるフッ素フリーの”オムニフォビック(omniphobic)”な(訳注:あらゆる物を付着させない滑らかな表面)ポリウレタン及びポリジメチルシロキサンのガラスコーティングを開発した。これらの材料が、ガラス及びセラミックコーティングのための PFAS の代替として適しているかもしれないが、それらが商業的に入手可能かどうかは明らかではない。

    電球
     フッ素ポリマーコーティングは”実験室、医療、及び消費者の使用のために売り込まれている飛散防止(shatterproof)”電球に適用されている。PTFE(テフロン)コーティングは、電球の耐久性を高め、光の色、温度、または陰影を変更することなく非粘着性で手入れが簡単な特性を与えると報告されている。フッ素ポリマーは、商業ビルの安全誘導灯などのエレクトロルミネッセンス−ランプなどにも使用されている。電球の PFAS コーティングは家禽を含む鳥に呼吸困難と死を引き起こすことが知られている。

     PFAS を含む飛散防止電球の代替品には、ガラスの筐体を必要としない LED または他の光源の使用が含まれる。


    使用例
    布地
    布地
     PFASは、防汚性、防泥性、撥水性などのために家具やカーテンなどで使用されている布地に添加される。フッ素処理は、製造中、または販売後にスプレーの形で、個々の繊維や完成した布地に適用できる。PFAS 含有処理のいくつかのブランドには、テフロン、Nanosphere、Scotchgard、Capstone、Crypton、Crypto nGreen、Nanotex、Nanotex + Durablock、及び GreenShield などが含まれる。

     HermanMiller や IKEA などの家具ブランドは、彼らの商品中の PFAS の段階的廃止に成功した。PFAS に対する様々な化学的代替品は布地の使用で利用可能である。水及びウレタンベースの製品には、Teflon EcoElite 及び DetraPel がある。代替のパラフィンまたはシリコーンベースのポリマー仕上げには、Aquapel、CryptonZero、NikWax、Zelan R3、EcoRepel、Altopel F3、Arkophob、Arroshield EVO、SBI、Phobotex WS がある。他の選択肢には、個々の繊維をコーティングするナノシリカが含まれ、粗い表面を作成し、水と油は付着できない。追加の化学物質を避けるために、よりきつい織りと自然に水や油に対してより耐性のある布地が使用できる。オレフィン系繊維(ポリプロピレン)は耐久性のある繊維を生成するために使用され、Crate&Barrel、Bassett、Room&Board、City Furniture の様な主要な小売業者から広く利用可能である。

     壁や窓のカバーも、またデュポンのテドラー壁装材などの PFAS で作られており、同社は交通量の多い場所での使用を推奨している。

     商業施設及び住宅空間で使用される布製の日除けは、防水及び防汚のために PFAS で処理されているかもしれない。ドイツの研究で測定された 5つのアクリルの日除けのうちの 4つには、側鎖フッ素ポリマーの使用を示すレベルのフルオロテロマーアルコール及びパーフルオロカルボン酸塩が含まれていた。


    使用例
    電線とケーブル
    電線とケーブル
     電線及びケーブル(ワイヤのグループ)は、通常、非導電性のプラスチック・シースで、絶縁されており、多くの場合それは PFAS でできている。フッ素ポリマーの絶縁特性が、柔軟性、耐久性、及び耐熱性のある薄い絶縁シースの使用を可能にする。これにより、空調ユニット、コンピューター、照明器具、及び放射加熱床暖房などの用途に役立つ。NFPA 70(全米防火協会/電気規格)は、PTFE(テフロン)と ETFE をあらゆる目的のための絶縁配線に適切なものとして、またエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、パーフルオロアルコキシ、PTFE(テフロン)及び ETFE を建物の備品に適するとしてリストしている。テフゼル(Tefzel)の Chemours 社、及び ハラー(Halar)の Solvay 社を含むいくつかの大手化学メーカーは、コーティングワイヤー用の PFAS 含有調合を販売している。 PFAS はまたエアダクトの電気テープにも使用されているが、それは「テープ」セクションで説明する。

     PFASを含有するワイヤー・シースの代替品には、シリコーン、クロロスルホン化ポリエチレン、PVC、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、熱可塑性プラスチックエラストマー、ネオプレン、エチレンプロピレンゴム、及びナイロンなどがある。これらの代替物質の多くは高温下で機能するとともに、耐食性も有するする。PTFE(テフロン)は PVC に比べて 1 ポンドあたり 8〜10倍の費用がかかる可能性があり、これらの代替物質は費用効果も高い。


    使用例
    テープ
    テープ
     PFAS 含有テープは電気工事、配管、シーリング、及び他の多くの用途で使用される。建築プロジェクトでの PFAS の最もよく知られている用途のひとつは、ネジ用シールテープとしても知られているテフロン配管用テープであり、それはパイプ接続と他のねじ山付き継手をシールするために使用される。それはインターロッキングパイプネジ山間のスペース充填することによって密封し漏れを防ぐよう機能する。配管用テープは 100% PTFE(テフロン)フィルムでできており、摩擦を減らし、錆を防止する。液体/ペーストパイプねじシーラントも PTFE を含む。

     PTFE テープには、飲料水に浸出する可能性のある非ポリマー PFAS が残留している可能性がある。たとえば、PFOA は PTFE の製造プロセスで使用されており、PTFE テープからも検出されている。PTFE テープは通常、パイプのネジ山とのみ接触し、配管中を流れる水には接触しない。ただし、正しく取り付けられていないと破れて内部に入る可能性がある。

     シリコーン系のネジ用シールテープは利用可能であるが、あまり一般的ではない。PFAS を使用しない液体/ペーストのパイプねじ用シーラントも利用可能である。そのような製品は PTFE テープより強力で耐久性のある代替品であり、永久シールとして配管工に好まれる。

     フッ素化ガラス繊維とフィルムテープは、吊り天井やその他の屋外空間の電気用途で使用される。たとえば、商業ビルの異なるフロアを走るワイヤーの束を包むために使用される。これらのテープは、PTFEを含浸させたプラスチックまたは接着層をもつグラスファイバーベースで構成されている。PTFE 又は他のフッ素ポリマーは絶縁体として、及び補強剤として機能し、また摩耗を防ぐのに役立つ。これらのテープの束は、PVDF の層で囲むことができ、ワイヤーシース内の PTFE は難燃剤及び腐食や水による損傷からの保護剤として機能する。フッ素化テープはまた、ワイヤーの束を簡単に取り外したり挿入したりできるよう、コンジット(導管)内でも使用される。

     PTFE テープは、窓、ドア、通気口、天窓、その他の構造的開口部などの製造と設置に使用される。製造時には、PVC フレームを一緒に保持するために、また溶接中の物理的変形を防ぐために、フッ素化テープが使用される。一部の窓や天窓には、設置するまでフレームを一緒に保持するために、このテープが付いたままの場合がある。ドア、窓、又は他の開口部を建物の木枠に密封するために使用される補修テープ(Flashing tape)もまた PFAS 含んでいるかもしれない。

     補修テープで PFAS がどのくらいの頻度で使用されているかは不明であるが、このタイプのテープは、エチレン酢酸ビニル、高密度ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンをなど多くの非 PFAS 材料から作ることができる。溶接中に PVC 枠を保護するために使用されるフッ素化テープは不要かもしれない。

     PFAS 含有テープは、床張り用途で絨毯や弾性床材を下敷きや下張り床に接着するために使用することもできる。フッ素ポリマーは剥離紙(施工前に粘着テープを保護するシート)中で使用されており、使用後に廃棄される。


    使用例
    木材由来製品
    木材由来製品
     PFASが 配向性ストランドボード(OSB)、中密度及び高密度ファイバーボード(MDF及びHDF)、並びに合板(plywood)のような複合木製シートに使用される可能性があることを示唆する証拠がある。ヨーロッパの建築製品の研究で、OSB 及びその他の複合木材材料の 14のサンプルから少量の PFOA 及びその他の PFAS が検出された。PFAS の供給源は、製造中に使用された接着剤であった可能性がある。別の研究によると、パーティクルボードに使用されている尿素-ホルムアルデヒド樹脂に PFAS を添加すると、ボードの特性が向上することが報告されている。

     複合木製シートで PFAS を検出した同じ研究が、環境に優しい代替品として市場に出されている木質繊維断熱材の 2つのサンプルで同様のレベルの PFAS を見つけた。木製シートと木部繊維断熱材の両方の PFAS レベルは比較的低く、意図しないバックグラウンド汚染が原因である可能性がある。


    使用例
    ソーラーパネル
    ソーラーパネル
     PFAS の多くの使用法がソーラーパネルで文書化されている。フッ素ポリマーのコーティング又はフィルムが、パネルのガラス最上層の太陽電池を囲む封止フィルム(encapsulant film)及びバックシート(backsheet)に使用されているかもしれない。フッ素ポリマーは、耐久性、透明性、耐紫外線性、耐熱性、機械的強度、防汚性、及びエネルギー生産性を高め、それらは軽量であると言われている。Halar(ECTFE)と Tefzel(ETFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)とPVDFは、ソーラーパネルに使用されるフッ素ポリマーである。

     ソーラーパネルによって得られたエネルギーを保存するために、ますます使用される充電式電池もまた PFAS を含んでいる。リチウムイオン電池及びスーパーキャパシターでのフッ素ポリマーの使用により、耐薬品性及び接着性が向上しイオン伝導性が強化される。


    ソーラーパネルの構造
    これらの PFAS は各コンポーネントに含まれている可能性がある。
    A(アルミフレーム):FEVEとその他の独自仕様フッ素ポリマー
    B(フロントシート):ETFE、ECTFE、FEP
    C(封止フィルム):PVDF、ETFE
    D(太陽電池)
    E(バックシート):PVF、PVDF、ECTFE、ZEFFLE、及び TFE、HFP、VDF


    使用例
    人工芝
    人工芝
     人工芝または合成芝は、生きた草の造園に代わる、水とメンテナンスを節約する代替手段として使用される。その人気は高まっており、2015年の時点で米国では11,000の人工芝フィールド、ヨーロッパでは 13,000のフィールドがあった。合成芝は裏打ち材に織り込まれている芝の葉(blades)のような人工繊維で構成されている。繊維の様な芝は一般的にナイロン、ポリプロピレン、又はポリエチレンから作られている。インフィルとして知られる粒状材料は、多くの場合、芝の葉と葉の間の隙間を充填し、芝の表面を安定させる。

     最近の報告によると、裏打ち材(バッキング)と人工芝の葉は PFAS を含むことがあることを示している。ある研究で、8つの人工芝 サンプルの葉から測定可能なレベルの総フッ素が検出されたことが報告された。これは、人工芝の葉の製造中に PFAS ポリマー補助剤が使用される可能性があることを示唆している。フッ素エラストマ又はフッ素ポリマーベースの処理補助剤は、機器がスムーズに動作し、完成したプラスチック片の欠陥を防ぐために、押し出し中に溶融プラスチックに添加される。そのような補助剤は最終的な人工芝の葉又は裏打ち材中存在している。同じ研究で、人工芝の裏打ち剤の 2つのサンプル中で非常に低いレベル、すなわち新しい絨毯の繊維で奉告された濃度より 1,000〜1,000,000倍低い濃度の非ポリマー PFAS を検出した。フッ素化処理助剤の費用効果のよい代替品には、熱可塑性ポリウレタンベースのエラストマーがある。

     人工芝の空隙を埋める充填物は、多くの場合、リサイクルタイヤから作られているが、これはもうひとつの PFAS 供給源である可能性がある。充填物として特別に製造されたポリマーペレットも利用可能であるが、特許はこれらの材料が PFAS を含むことがあることを示している。人工芝に関連する充填物は、靴、衣服、運動用機材などの布地にまとわりつき、運動場、車内、そして家で人間への暴露をもたらす。人工芝の PFAS 濃度に関するデータは少ないので、その潜在的な暴露経路の大きさを知ることは困難である。


    使用例
    地震減衰システム
    地震減衰システム
     PFAS は、大きな建物や橋に地震に対して弾力性をもたせるために使用される地震減衰装置(ダンパー)に採用されている。PTFE パッドまたはディスクは、構造物が倒壊しないように構造体及び基礎内でさまざまな方法で使用される。場合によっては、橋梁建設におけるカリフォルニア州法のように PTFE ベアリングを求めるものがある。


    建築材料から環境への移動2021年12月28日


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    PFAS を製造及び使用する工場は PFAS 汚染の主要な供給源である。
     建築材料が PFAS の環境への排出源となり得るにはいくつかのシナリオがある。最初は、建物が建設される前、PFAS の生産中及び製品の製造中である。PFAS(フッ素ポリマーを含む)を生産する施設、及び PFAS を使用して他の製品を製造する工場は世界中で地域社会にとって深刻な汚染源である。PFASを含有する建築製品は、これらの場所の空気、水、土地、及び食物連鎖の汚染の間接的な一因となっている。

     PFAS は使用中の建築製品からも排出される可能性がある。たとえば、内装家具類は PFAS を室内のほこりに排出する可能性がある。最近のある調査によると、PFAS を使用しない家具で建物を改修した場合、ダスト中の PFASレベルが 78%減少した。

     床材や織物の洗浄に使用される洗浄水は PFAS 処理された床材や織物から PFAS を下水道及び水生環境に運ぶ。たとえば、床の洗浄水を浄化槽に廃棄した結果、バーモント州の二つの学校の飲料水が汚染されたと考えられる。


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    PFAS 含有物の表面と接触する流出雨水は環境への PFAS 排出源の可能性がある。
     もうひとつの汚染源として考えられるのは、屋根、日よけ、塗装又はコーティングされた表面、あるいは人工芝などに落下する雨と雪である。PFAS は建築材料から浸出して沈殿するか、又は PFAS を含む物質(例えば屋根用グラニュールなど)が分離して流出する可能性がある。どちらのシナリオでも建物の PFAS は地上又は下水道に、そして水路に洗い流される。研究者らは流出雨水中に PFAS を検出したが、流出水中の PFAS が建築材料に由来するのかどうか、そしてそれはどの程度かを確認するために、さらなる研究が必要である。

     寿命の尽きた建築材料の処分もまた、PFAS の環境排出をもたらす。大量の建築材料廃棄物は、都市ごみと建設及び解体の廃材埋め立て地で処分され、これらの埋め立て地からの浸出液は PFAS を含む可能性がある。PFAS を含有する建築製品もまた都市固形廃棄物焼却炉に送られ、PFAS を大気中に排出する可能性がある。

     建築材料のリサイクルはもうひとつの PFAS 排出源である可能性がある。たとえば、アメリカでは毎年 1,000万トンの使用済みのアスファルト屋根板が屋根から取り除かれる。これらのアスファルト板は通常は埋め立て地に送られるが、時にはアスファルト舗装用にリサイクルされる。そしてリサイクルのプロセス中に、又は舗装施工後に PFAS 排出が発生する可能性がある。カーペットや人工芝もリサイクルされるなら、それは PFAS が新製品に移行する可能性がある大量の廃棄物の流れである。


    今後の展望2021年12月28日

    クラスとしての PFAS の管理

     PFAS は、集団訴訟で、ウェストバージニア州パーカーズバーグ近郊の PFAS 製造工場周辺の飲料水の広範囲にわたる汚染が明らかになった 2000年代初頭に世間の注目を集めた。この事件やその他の事件の結果、米国のフッ素化合物メーカーは PFOA 及び関連する有害化学物質を自主的に段階的に廃止をすることに合意した。その後、これらの化学物質は、代替の毒性が小さく、体内をより速く通過すると主張されている PFAS に置き換えられた。しかし残念ながら、ますます多くの研究が代替品は有害であるだけでなく、米国及びその他の地域の多くの人々の体内にもすでに見つかっていることを示している。これは「残念な置換(regrettable substitution)」として知られている現象の一例である。

     現在の政府推定では、個別の PFAS の数は 9,000を超えており、ますます多くの PFAS が識別されているので、この数字は増え続けている。これらの数千の個別の化学物質の潜在的な健康被害を個々に研究することは現実的ではない。代わりに、科学者らと非政府組織は、これら化学物質のクラス全体に対処するアプローチを採用して PFAS を管理するよう政府や企業に求めている。有害であることが知られている PFAS から環境と健康に影響を及ぼすデータが不足している他の PFAS に代替するのではなく、製造業者と購入者は PFAS のクラス全体を一括して避けることを選択できる。

     化学物質の生産者らは、特定の PFAS は段階的に廃止されるべきことに同意したが、彼らや製品製造者らの一部はクラス全体を避けるという包括的なアプローチに反対している。

     論争の的となる問題点のひとつは、フッ素ポリマーか PFAS のクラスに属すかどうかである。このクラスからフッ素ポリマーを除外するという議論は、それらの分子量が高いために生物学的に不活性であるとする主張に基づいている。フッ素ポリマーは多様な物質のグループであり、それらが本質的に非毒性であるとする仮定は単純すぎるかもしれないということを示す証拠が新たに出現している。しかし、もっと大きな問題は、フッ素ポリマーがライフサイクル全体(製造、使用、及び廃棄/リサイクル)を通じて有害な PFAS 排出源になり得るということである。例として、フッ素ポリマーの製造が広範な環境汚染を;フッ素ポリマーを含む製品の寿命後の焼却が危険な大気排出を;そしてフッ素ポリマーのマイクロプラスチックが世界中で汚染問題を引き起こしている。

    透明性の必要性

     PFASの使用を減らすための最初のステップは、建築製品中の成分を知ることある。幸いにも、建築業界は、近年、材料成分データの使用において大きな進歩を遂げ、透明性は新しい規範になりつつある。建築家、設計者、及び他の指定者は、建築製品メーカーからのこの種の情報ますます要求するようになり、そしてメーカーはますますそれらを入手できるようにしている。健康製品宣言や Pharos や Matter などのラベルとプラットフォームを宣言するツールがこの情報交換をもっと簡単にするために開発されている(建築製品中での PFAS の使用を公表している宣言ラベル及び健康製品宣言のリストについては付録 A を参照)。所有者、建築家、及び設計者は、より多くのメーカー及びより多くの製品タイプへのコンテンツ開示の動きを支持すべきである。

    より安全な代替物

     透明性が向上すると、建設業者は PFAS を含まないより健康的な代替材料を容易に選択することが可能になる。場合によっては、これらの材料はすでに市場で入手可能である。その他の場合、PFAS を含まない代替品の需要は、新しい解決策が必要であるという信号をメーカーに送る。代替化学物質を検討している製品製造者らは、「残念な代替」を防ぐろということに目を向けてそれらを評価し、可能なら非化学的な解決策を考慮すべきである。ケムフォワワード(ChemFORWARD)や、より安全な化学物質のためのグリーン・スクリーン(Green Screen for Safer Chemicals)などのプログラムは、製造者や建設業者がこれらの決定をするにあたり助けになる。さらに、政府は大量購入と仕様指定の力を行使して本質的でない PFAS を排除し、したがってより安全な代替品の開発を促進することができる。

    より安全な PFAS の代替品は存在し、さらにもっと多くを開発することができる。建築業界には PFAS をなくすために市場を動かす経済力と技術的専門知識がある。

     この問題の緊急性はどれだけ誇張してもし過ぎることはない。テストされたほぼすべての人々、生まれたばかりの赤ちゃんですら、その血中に PFAS が含まれている。それらの化学物質は非常に残留性が高いので、もし社会がもっと多くの PFAS を環境に追加し続けるなら、現在のレベルはますます上昇するであろう。

    何ができるか?

     建築材料でより安全な化学物質の使用に向けて取り組むことは、標準治療(訳注:医学用語)を高めることへの約束で始まる現在進行中のプロセスである。いくつかの利害関係者グループには果たすべき役割がある。

     変化は一夜にして起こるわけではないが、素早く進歩することを忘れてはいけない。あなたの成果を誇りに思い、それらを測定し、そしてそれらを広く報告することである。

    建築家、設計者、建設業者
     製品指定者は、より健康的な建築環境を作り出すために非常に大きな力を持っている。
    • 使用する製品に含まれる有害な化学物質について、自分自身と同僚を教育する。 SixClasses.org の短いビデオは、その第一歩として役に立つ。
    • 製品製造者に成分開示を要求する。 HPDs や宣言ラベルはこのことを容易にする。
    • ”それが危害を加える可能性があるなら、それは必要か?”と問う。 PFAS の本質的でない使用(重要な機能を追加しない使用)を排除すれば、あなたのプロジェクトの化学的フットプリントを簡単に減らすことができる。
    • 意図された機能に対する PFAS の有効性を実証するよう独立した研究機関に依頼する。
    • 必要な用途のために、PFAS に対するより安全な代替品を特定する 。
    • PFAS の必要性を排除する設計の詳細を革新する。
    建築製品製造者
     製品製造者は、より安全な化学への移行に向けて重要な役割を果たす。
    • 化学物質供給業者に透明性を要求する。
    • 顧客に成分開示を提供する。
    • HPD や Declareラベルなどの標準化された開示ツールにより、これが簡単になる。
    • PFAS を含まない代替品に置き換えるか、設計変更を通じて、製品ラインから PFAS を段階的に廃止するように努める。
    • PFAS を使用せずに、より安全な代替品を開発するように化学物質の供給業者に依頼する。もしあなたの顧客が PFAS を含まない製品を求めているなら、その要求を上流の化学物質供給業者に上げることで、業界を変革することができる。
    政府
     政府機関は、規制だけでなく購入契約を通じても影響力を持つ。
    • 必須ではない PFAS 含有製品を制限する。都市、州、さらには国家でさえ、食品包装や消火泡などの製品に対してすでにこの措置を講じている。
    • 購買力を利用して、製造業者に化学成分の開示を要求し、不要な PFAS を排除する。
    • 製造業者に、使用している PFAS と場所を開示するように要求する。

    参照リスト
     オリジナルレポートの各所に 266の原注が付されているが、訳文ではそれらの原注は示していない。それらは”LIST OF REFERENCES(参照リスト)”として原文巻末(36〜44頁)にリストされている。


    化学物質問題市民研究会
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